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講演は高久氏が大学院生のころ韓国釜山の東亜大学に留学していきなり指導教官の命令で昌寧の校洞古墳群の発掘調査に参加し、副葬品などの出土品の実測も行った思い出に始まり、同氏が発掘した新羅と伽耶〜特に昌寧の王墓を中心としてこれらの王墓の形態、築造方法、木槨系石組で木の骨組みを組んで石組が崩れないような土木技術、日本の大王墓などと比べ大きさは劣るがやたら墳丘を高く盛るやり方、横口式石室など新羅系の王墓や新羅の影響を強く受けている昌寧の王墓とその豪華な副葬品を次々と解説された。当時の倭国にも大きな影響を与えたと思われる文物が多数スライドで示された。
韓国の地形図を見ると大きな河川が作った平地は、百済や馬韓ー栄山江流域に多く、新羅のエリアは山がちの盆地で、水田耕作には向いていないにも関わらずなぜ新羅は、軍事強国として伽耶や百済を併合するに至ったのか？その富の源泉は何か？不思議だったが先生に講演前に尋ねたとこ炉、鉄生産だという。また鉄は金官伽耶などの伽耶諸国だけでなく新羅にも多くの鉄資源があり、製鉄や金属加工が盛んでそれが富を産み出し強国にのしあがったらしい。なるほど蔚山など現代まで存続した製鉄産業があるのがこの地域だった。長年の疑問が氷解した。日本書紀などでは、倭国は百済とばかり仲良く新羅と常に対立していたかのような記述が目立つが実際には新羅とも大いに行き来があり、様々なことを学んだのは確からしい。書紀の記述は編者の政治的な偏見から歪んだ歴史像が組み立てられていることが少なくない。新羅のことをよく理解しないと倭国の古代史は正しく理解できないだろうと感じられた。
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