博物館内に入り、常設展・特別展共通券の料金600円を払い、まず特別展の澁澤敬三展を見る。人類学や民俗学に興味を持っていた学生の頃、アチックミュージアムは来たことはあったが、展示を見るのは初めてかもしれない。この澁澤栄一の孫の民俗調査、収集に果たした役割は意外と大きかったのだなと感心した。展示ではおしらさまなどの展示が面白い。また達磨など、かつては単なる玩具と軽視されていたものを研究する価値を見出したことも大きな功績なのだろう。人気があるのか、図録はすでに売り切れだった(大阪の民博にはまだあるらしい)。
地下一階の「平成26年午歳の総開帳記念・錦絵と摺物で巡る埼玉の札所」を見る。今年は左膝のケガを抱えているので、「総開帳」の年でもあり、秩父札所を絡めたウォーキングでも考えようかと思っていたところ、この展示があったので、見たくなった。展示されている錦絵は、沙門円宗著「秩父三十四所観音霊験圓通伝」(延享元年=1744年)刊、武江書林、十返舎一九編、「金草鞋十一編」(秩父巡礼)国丸画、文政元年=1818年、広重、豊国、国定らの錦絵「観音霊験記 秩父巡礼」(安政6年=1859=〜万延元年=1860)などや坂東33カ所札所関連の錦絵などが五期にわたって展示されている。また御朱帳・納経帳なども展示されている。展示解説のボランティアのブースがあったので、解説をお願いできるか尋ねたが、この展示に関しては準備していなかった。学芸員に連絡が行き、女性の学芸員が現れたが、このの展示の規格をした学芸員が今日は不在なので。詳しい説明はその担当者がいないとできないという。学芸員による展示解説は、5月6、10,11日にあるそうだ。秩父札所巡礼の起こりは鎌倉時代にさかのぼるらしく、長享2年(1488)の秩父札所番付(札所32番蔵)が実在する事から、既に室町時代末期には秩父札所があったと考えられ、江戸時代になると観音信仰は庶民の心の支えとして流布し、隆盛をみるようだ。
そんな札所に関する錦絵が多く残されているのも興味深い。ますます歩きたくなった(この箇所は撮影できない)。
また「越生町・黒岩の五大尊、5年ぶりの公開」という五大明王(不動明王、軍茶利明王など)はなかなかの迫力で、
「堂内には平安時代末期に作られた五大尊(五大明王像=不動明王、降三世明王、軍荼利明王、大威徳明王、金剛夜叉明王)が安置されています。武器を持ち、頭や手足の数が多いなど威圧的な姿ですが、素朴で親しみやすい表情をしています。」とHPでは紹介されているが、なるほど、よくよく見るとあまり怖くなく、むしろ可愛らしく思えさえするーー。
その後、ボランティア・ブースに行って、常設展の石器時代から古墳時代までの解説をお願いした。「素人の解説ですからーー」という前置きだったが、なかなかの勉強ぶりがわかる「素人」には十分楽しめる解説だった。
考古学展示の最初に寿能泥炭層の発掘出土品などの展示があり、とりわけ、木工品、丸木舟など、通常の地層では残らない遺物の展示があって、これは中々貴重だ。縄文海進で、関東平野南部の多くに海が進入して、埼玉でも多くの貝塚が出土している。縄文早期・前期の土器の展示も多い。また縄文中期から後期の漆器の器や櫛などの展示も興味深い。
また地蔵塚古墳(7世紀)の線刻画も面白い。
写真1:寿能泥炭層
写真2:縄文後期の漆塗りの櫛
写真3:地蔵塚古墳の線刻壁画
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