※ビレイは、フリークライマーに教わるべき。アルパインクライマーで、フリーをやらない人は、墜落を止めた経験が少ないので、危険と心得るべき。
※その一方で、フリークライマーでムダな動きが多いビレイをしている人がいる。「ムダな動きは、少ない方が合理的」というスポーツの基本を知らない方がいらっしゃるのは、残念なことだと思う。
※ビレイは、最初は、インドアで練習すべき。すべての技術を外岩でやろうとするのは、合理的でない。
某クライミングジムで、リードクライミングをしていた時のこと。
横で見ていた世界的クライマーKYちゃんのお父さんKE氏が出てきて、こう言った。(世界的クライマーHY氏のご指名ビレイヤーらしい(;・∀・))
「この人がミスをして、事故が起こった場合、リーダーであるあなたが責任を問われます。」
パートナーのビレイがお粗末だったのを見て、自分にそう言ってきた。
そこで、KE氏の指導が始まった。(●は、KE氏の説明。※は、自分の個人的な捕捉。)
●腕はできるだけ下。腕が上に上がると、重心が上がって、体が持って行かれる。
※腕は、脱力して伸ばした状態がいい。腕の重さが使える。あと、伸ばして伸筋を使うのが、パワーが出る。
●停める時は、腕を下に置いて、何もしなくていい。何もしなくて止まるのが、ATC。
※流した方がいいケースもあるが、流すと失敗することが多い。前にスペースを作って、自分も流されるのが一番間違いがない。小手先は、失敗する可能性が高い。
※しっかり踏ん張った場合、ハイサイドで吹っ飛ぶ可能性が高くなる。脱力して、最初の衝撃を流すのが正解。
●たぐると間に合わないので、親指と人差し指で輪っかを作り、スライドさせる。こうすれば、落ちることはない。
※たぐりをやると、たぐった手がロープを押さえるだけの人がいる。たぐった場合、そのたぐった手も、当然墜落を止める前提で持たなければならない。
特に、マルチのセカンドビレイでボディビレイをやった時、いい加減になるので注意が必要。
自分は、その時、クライマーだったのだが、パートナーにビレイを教えるKE氏の説明は、上から見てても、非常に丁寧で分かりやすい説明だった。
しかし、何回か、そのジムに通っている時に「ビレイ危ないですから注意してください。」と店長から注意を受けた。
理由は、3人でやっている時に分かった。パートナーは、KE氏の指導を理解できていなかったのだ!
KE氏があれだけ、分かりやすく説明してくれたのに、理解できないとは何事か!
確かに、体育会や山岳会などでは、お粗末な指導者によるパワハラ指導が多くみられるが、KE氏の指導は、合理的で客観的なものだった。
教わる側にも資質は問われれる。今回のケースは、世界的ビレーヤーKE氏が丁寧に教えてくれたにも関わらず、理解できないのは、本人の過失による。
世の中には、「合理的で客観的な判断」が苦手な人がいるかも知れない。
だが、登山では、「合理的で客観的な判断」のみが安全を確保できる。それができないなら、基本的な自己責任が成り立たないということだ。
後日談があって、合理的な説明が理解できない方は、結局、「それなりの結果」をもたらす。向いていないことは、やるべきでないということだろう。
【参考】ビレイについて
https://www.yamareco.com/modules/diary/73693-detail-227524