ヘロヘロの後立山縦走♪(白馬〜唐松〜五竜〜鹿島槍)
- GPS
- 80:00
- 距離
- 37.5km
- 登り
- 3,638m
- 下り
- 4,048m
コースタイム
- 山行
- 6:49
- 休憩
- 0:03
- 合計
- 6:52
- 山行
- 7:44
- 休憩
- 0:24
- 合計
- 8:08
- 山行
- 6:26
- 休憩
- 0:25
- 合計
- 6:51
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
帰り:扇沢〜信濃大町駅(バス:1360円) 信濃大町駅〜白馬駅 (JR:500円) 白馬駅〜栂池(バス:560円) |
写真
感想
<モモ夫>
Day 1
栂池自然園 天狗原 乗鞍 白馬大池 小蓮華山 白馬岳 白馬山荘
後立山連峰にある白馬、五竜、鹿島槍の3座を縦走で一気に踏破することにした。
白馬岳といえば、大雪渓。猿倉を起点として雪渓を上がって行くコースがメジャーでいいのだが、敢えて雪渓は登らずに距離はあるが栂池から白馬岳を目指すルートで行くことにした。
栂池高原ゴンドラ乗り場の近くに無料の駐車場があるので、そこにクルマを止め置いて行く。
ゴンドラ乗り場には登山指導員らしき人がいて、「どちらまで行かれますか?」と聞いてきたので「白馬山荘です」と答えると、午前8時30分を回っていたせいか、「距離が長いので急ぎ気味で頑張ってください」と返ってきた。
計画では栂池のゴンドラに10時頃到着としていたのだが、実際は1時間以上早く到着したので15時過ぎには山荘に到着できると踏んでいた。指導員は一般的なコースタイムからアドバイスをしてくれていたのだろうが、不安をあおられた感じがしてしまった。
栂池高原ゴンドラリフトで15分、ロープウェイに乗り換えて栂池自然園まで5分と一気に標高を稼いでのスタートだ。
時間は9時20分。天気は晴れてはいるが、雲(ガス)が多い。
しばらく樹林帯を歩いた後、天狗原という見晴らしのいい場所(湿原)に出る。最初に目指す(白馬)乗鞍岳もガスではっきり見えないのは残念だが、そのまま先に進む。
1時間ほど進むと乗鞍岳の標識が出てくるが、平坦な場所にあるため、そこが果たして頂上なのかと思ってしまうような所だ。この辺りに来ると、白馬岳方面から栂池方面へ抜ける登山者(下山者?)と多くすれ違うようになった。道はそれほど狭くはないので道を譲ったらしばらく動けない、という状態はなかったものの頻繁にすれ違った。
乗鞍岳を後にして進むと、大きな池が見えてくる。白馬大池だ。相変わらず空模様はガスが出てきたり、クリアに見えたりと短時間の間で目まぐるしくその姿を変えていた。
momoは高所順応に時間がかかるせいか、この辺りから歩くペースが落ちてきた。確かにゴンドラ、ロープウェイで一気に高度を上げたため時間とともにしんどさが出てきたようだ。
小蓮華山から三国境への途中、雷鳥親子を見かけると気持ちも和らいだのか、少しはペースも上がったが、白馬岳山頂に着くころには再び足取りが重くなっていた。
しかし、目指す山荘は山頂から下がってすぐにあるので、手続きを済ませるとようやく落ち着くことができた。
予定より早くに出発したが、momoの調子が上がらなかったため、結局山荘に入ったのは16時を回っていた。
宿泊した白馬山荘は収容人数が800人という大規模宿舎だ。しかし、内部は一般的な山小屋と変わらず、大部屋ももちろんある。今回宿泊したのは平日だからか詰め込まれることはなかった(とはいえ、結構な数の人が泊まっていた)。しかも、大部屋なのに2人ずつ(最大3人)に仕切られた区画(左右に壁あり)だったため一層落ち着くことができた。昨年泊まった槍ヶ岳山荘では別料金を払って同様の空間(壁付簡易個室)を確保したのに、この白馬山荘は無料で大部屋にもかかわらず「コンパートメント」が提供されたのはうれしかった。しかも自炊場は同じ建物内にあるため風や外気に影響されることなく調理ができるということで、その点でもこの山荘はよかった。
momoお手製のロコモコを食べて、就寝した。
Day 2
白馬山荘 杓子岳 白馬鑓ヶ岳 天狗山荘 天狗の大下り 不帰キレット 一峰 二峰北 南 三峰? 唐松岳
唐松岳頂上山荘
午前6時頃に山荘を出発。一路杓子岳を目指す。結構ザレ場で、登りにくい。続いて白馬鑓ヶ岳。離れて見ても「鑓」というようにとがった山容かと思いきやなだらかな頂上だった。しかし鑓ヶ岳山頂から見る杓子岳、白馬岳の姿はポスターにもなっているように素晴らしい眺めだった。
今回のルートはほぼ稜線上にあり、岩場も連続しているため水場というのがほとんどない。そのため山荘で手に入れるしかない。ところが、1か所だけ水場がある山荘があった。天狗山荘というテント場も併設する場所に水場があった。天狗山荘自体は現在改修中で宿泊はできない状態だったが、水場は当然タダで使える。最初に泊まった白馬山荘はタダとは言え、天水だから美味とは言えなかったが、この天狗山荘の水場は雪解け水を利用しているせいか、冷たくて美味かった。
天狗山荘を後にして、不帰キレットに差し掛かる。まずは、天狗の大下り。尾根沿いに下がって行くのだが、ガレ場の急斜面のためズルっといかないよう慎重に下りていく。
続いて「不帰キレット」を通り過ぎ、「不帰ノ瞼」と呼ばれる一帯を進んでいく。途中、一峰、二峰(北峰、南峰)、三峰と岩場の連続する場所をクリアしていくのだが、この日は前日のmomoと違って僕の方がへばってきていた。というのも、この日宿泊する唐松岳頂上山荘は水場がなく、しかも有料のため少しでも負担しないように白馬山荘で補充した水2ℓ分を背負っていたので1日目の取れ切れていない疲れにその重さがのしかかってきたようだった。しかもガレ場のアップダウンに加え日差しもきつかったため休憩も増え、動き自体も鈍くなっていた。動きが鈍い中でも難所といわれる一帯をクリアできたのはよかった。
ようやく唐松岳頂上に到着し、そこから小屋が見えると安堵感が漂った。時間としてはまだ午後2時なのだが、これ以上は距離的にも体力的にもしんどいので体力回復のためにも早めのチェックインとした。
この唐松岳頂上山荘は八方尾根から来る登山客も利用するため、場合によっては大部屋では“厳しい状態”になる。四畳のエリアに枕を8人分(‼)並べてあり、繁忙期でないので、今日は6人くらいで使用してもらいますと説明を受けた。幸い僕らのエリアは5人だったので窮屈さはなかったが、もしこれが8人だったらまともに仰向けでは寝ることはできない。恐るべき窮屈さだ。しかもこの山小屋、本館と別館で宿泊料金に800円の違いがある。その差は食堂や自炊場があるか、どうかの違いくらいしかない。しかも別館に素泊りでも、前日の白馬山荘よりも300円高い(7000円の白馬山荘、7300円の唐松頂上山荘)。おまけに水は天水を利用しているのはいいのだが、歯磨き用として500ml80円で販売する始末。飲み水はペットボトルのミネラルウォーターを宿泊者ですら購入しないといけない。
じゃあ、利用しなきゃいいのかもしれないが、利用せざるを得ない場所にあるので残念だがやむを得ない。
多少の不満を抱えながら就寝した。
別件。この山小屋で昨年穂高山荘で少し言葉を交わしただけだったのだが、その人が覚えていたのだろうか、声をかけてきた。話している内容はその時のことでmomoにも記憶にあったらしく(僕は全くなく、忘却の彼方だった)再開といっていいのかわからないが、偶然に話が弾んだ。その人の記憶力はスゴイとしか言いようがない。今回は名前も聞いておいたので、次回どこかの山で会ったとしたら奇跡だろうが、その時は普通に再会を喜べそうだ。
Day 3
唐松頂上山荘 大黒岳 五竜山荘 五竜岳 G5 北尾根ノ頭 口ノ沢のコル キレット小屋
午前5時40分、唐松頂上山荘を出発。五竜岳を目指す。しばらくするとクサリ場が出てくるが、足元に気を付けて進めばクリアできる。五竜山荘へ行く途中、昨日は見ることのなかった雷鳥に遭遇した。今回は珍しく、子連れではなく単独だった。警戒する様子もなく、登山道を横切り、しばらくするとハイマツの中に姿を消していった。
五竜岳への上りに差し掛かるところに五竜山荘がある。唐松山荘よりも小規模だ。しかし、大きな違いがあった!天水だが水は1リットル100円で分けてくれる。宿泊者はタダだ。同じ稜線にあってこの差は何なんだろうか。経営母体が違う(白馬山荘と五竜山荘は同じ会社)のでその考え方の差なのだろうか。「なんだかなあ」と思いながらも水を補給して頂上へ向けてアタック開始。岩稜帯を登ること1時間ほどで頂上に到着。天候も素晴らしく、頂上からは360度の大パノラマが広がっていた。西方を見ると剱岳から立山方面はもちろん、東南方向に目をやると富士山までもが見渡せた。
絶景を堪能した後は、本日の宿泊地キレット小屋を目指す。とはいえ、ここから鹿島槍ヶ岳にかけてのルートは八峰キレットを含む険しい岩稜帯の道を進むことになるので注意力を高めていく。
五竜岳からの下りはガレ場となっており、足を滑らさないように、クサリも適宜使いながら進むと「G5」という岩場にでる。ちなみに、「G」って何だ?同じ疑問をもつ人が多いので、検索すればすぐ出てくる。「グラート」というドイツ語で「岩尾根」という意味らしい。「がんりょうたい」のGかなと思ったが、あながち間違いでもないようでまあ同じような意味だな。
続いて、ハシゴも使って岩場を越えると「北尾根ノ頭」に出る。岩峰の頂上で、小休止したら、再び下降する。とにかくこの辺りは岩場のアップダウンを繰り返すので気が抜けない。
降りると「口ノ沢のコル」と平坦な場所に出る。岩場は終わったかと思いきや、「三段登り」という岩場が待っていた。ここまでも三段以上のアップとダウンを繰り返しているのに、何が三段なのかよくわからないがとにかく目の前の岩場を越えると見えました。キレット小屋。絶妙な位置(鞍部)に建っている。
キレット小屋は予約が必要の山荘だ。そのためか窮屈な思いはしなくて済みそうだ。実際この日は80人の定員のところ16人とゆとりのある空間を提供してもらえた。5畳に5人のエリアを4人で使用。つまり1畳1人の割り当てなので全くストレスのない空間だ。前日の山荘とは違い4畳に8人なんて言う考えはここにはない。ちなみにこのキレット小屋も白馬山荘と同じ会社の経営だ。なので、水も宿泊者はタダ!自炊場も館内にあり狭さもない。ただ、トイレは和式だったのでアンモニア臭が目に沁みるのは仕方がない。
小屋前から剱岳方面に沈む夕日を堪能できるなどロケーションとしては素晴らしい小屋だ。
Day 4
キレット小屋 八峰キレット 鹿島槍ヶ岳北峰 南峰 布引山 冷池山荘 爺ヶ岳(南峰) 種池山荘
扇沢 →(バス)→ 信濃大町 →(JR)→ 白馬 → (バス) → 栂池駐車場 晴レル家
縦走最終日。距離的には一番長いので5時30分にキレット小屋を出発。剱岳方面に大きな虹がかかっていたのが印象的だった。
小屋を出るとそこから八峰キレットの核心部に入っていく。すぐにクサリ場、ハシゴが現れるなどウォーミングアップなどの暇はない。
キレットというだけあって、スパンっと切れ落ちている個所がある。足元も狭いのでクサリを伝って通過する。不帰キレットよりもスリリングな場所といえる場所だった。
八峰キレットをクリアすると鹿島槍ヶ岳の斜面に出る。岩場を登ると北峰、南峰の分岐に着く。ここで、ザックをデポして北峰に向かう片道7分ほどだ。
富士山、八ヶ岳はもちろん、槍、穂高がきれいに見渡せた。やはり朝はガスがないのでいい景色に巡り合える。
南峰へ向かう吊尾根では別の登山者とすれ違うことが多くなってきた。冷池山荘からの人たちだろうか、身軽で降りてくる。北峰は人がいなかったのに、南峰に到着すると多くの人がいた。団体もいる。冷池山荘あたりからは危険個所がないのでそれだけアクセスやすいってことなんだろうな。
後は扇沢に向けて下るだけ。頂上から見ると稜線伝いに登山道がよく見え、冷池山荘、その先の種池山荘まで見渡せる。上から見ると距離を感じないが、いざ歩いてみるとそんなにすぐにはたどり着けなかった。
下り始めてもう一度鹿島槍ヶ岳の雄姿を見ようと振り返ってみたがガスで覆われ、このあと見ることはできなかった。
布引山経由冷池山荘まで1時間少々、冷池山荘から爺ヶ岳(南峰のみ、中央峰はスルー)経由種池山荘まで約1時間。種池山荘はオリジナルのピザが有名なようで、1ホール1000円で焼きたてが食べられる。食べるつもりはなかったが、たまたまmomoが声をかけた人がそのピザを買い、「協力してください」と1ピース頂いた。山の中で焼き立てのピザを食べることはないため、とても美味く感じた。
種池山荘を後にして柏原新道を扇沢に向けて下りていく。道は急な斜面があるわけではなく、むしろなだらかな方だが、景色が開けないため単調な感じがした。そのため実際は扇沢駅まで2時間20分ほどだったが、歩いている時間が長く感じられた。
信濃大町駅行きのバスにすぐに乗車できたのはよかったが、そこから白馬行の電車まで1時間ほど待たなければならなかった。地方になると電車の本数が極端に少ない。ようやく白馬駅に到着し、そこから25分ほど待って駐車場のある栂池公園行きのバスに乗車した。扇沢から栂池の駐車場までの時間の方が柏原新道を歩くよりも長かった。
約38kmの後立山連峰縦走も無事踏破できた。今回荷物の軽量化のためザックを新調したが、自炊道具を担いでいったため軽さはそれほどでもなかった。しかも布団が薄いと寝られないため膨張式のマット(不使用)や館内にいるので使わなかった保温着などただの荷物となったため、軽量化のためには必要な装備をきちんと考えないといけないと思った。
もちろん小屋泊食事つきにすればずいぶん楽には違いないけど…。
1月に膝の半月板手術をして、初の縦走だったが上りはともかく、下りについては石で足をとられると膝に負担がかかるため痛みが出てくる。とはいえ、歩けない状態になるわけではないので、滑らないように気を付けて行けば大丈夫だ。
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