新穂高〜黒部五郎さん〜薬師岳〜立山 *5泊6日*
- GPS
- 48:40
- 距離
- 54.8km
- 登り
- 5,554m
- 下り
- 4,188m
コースタイム
2日目:双六小屋ー双六岳ー三俣蓮華岳ー黒部五郎小舎
3日目:黒部五郎小舎ーカールー黒部五郎岳ー北ノ俣岳ー太郎平小屋ー薬師峠キャンプ場
4日目:薬師峠キャンプ場ー薬師岳小屋ー薬師岳ー北薬師岳ー間山ースゴ乗越小屋
5日目:スゴ乗越小屋ースゴ乗越ースゴの頭ー越中沢岳ー鳶山ー五色ヶ原山荘
6日目:五色ヶ原山荘ーザラ峠ー龍王岳ー鬼岳ー獅子岳ー一の越山荘ー雄山(山頂の神社)ーみくりが池温泉ー室堂
天候 | おおむね晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2012年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
室堂ー美女平(バス)美女平ー立山(ケーブルカー)立山ー富山(富山地方電鉄 アルペン号) |
コース状況/ 危険箇所等 |
特になし |
写真
感想
これまで北アルプスは燕しか行ったことがなく、
東北や上越などの緑の深いたおやかな山容と静かな山歩きが好みの私は、
岩稜帯が多く混雑するイメージの北アルプスを食わず嫌いでいた。
が、深部と言われる黒部五郎〜薬師岳のことを知るうちに、北アルプスのイメージも少し変わり、
せっかく長い休みを取れたのだから、そういうときこそ行ける場所へ行こう、と興味が沸いてきた。
しかも、ゴールを立山にすると雄山神社で参拝でき、そのまま富山に出て美味しい魚を食べられる!?
なに〜っ!?それなら行かないてはないね! と山だけじゃない下心も抱いて決定。
一般的な立山・室堂→新穂高温泉とは逆に歩いたのは、新鮮なお魚目当て。
ついでにずっと行きたかった金沢と、能登半島の輪島にも行き、
いつものよくばり充実プランで山だけでなく食と観光も堪能できた夏休みでした。
食いしん坊満載!(日記のようにとても長いです)
●1日目(8/24)晴れ午後一時雨のち晴れーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
6:30新穂高温泉→双六小屋
夜行バスは上高地を通らず予定より早く着いた。ゆっくり準備をして新穂高温泉を出発。
この日はひたすら登りで小屋につけばいいため、気持ちも楽。
初日は荷物の重さに慣れてない&一番重い日。
しかも運良く(?)絶好の山日和で、容赦なく照りつける日差しに喉も乾き、体力を奪われる。
汗もどんどん垂れ落ちて目に入る。
サッカー選手の頭につけてるあの汗止め、役に立ちそう(笑)
やっと着いた鏡平小屋でラーメンを食べる。うん、インスタント!
塩分補給にこのしょっぱさが効く。
双六小屋でも名物だというおでんを食べる。
限定とかそこでしか食べられない、とかに弱い。まあ楽しいからよしとする。
テント場は広い。そこそこ人はいるけどいい場所を確保できた。
この日は仙台麩丼。卵は割れてなくてほっとした。
卵を入れると栄養もボリュームもあり満足感が大きいのだけど、ザックをぞんざいに扱えないから、
一日の行動を終え卵の無事を確認するまでは、結構ヒヤヒヤものなのです…。ハイリスクハイリターン?
●2日目(8/25)晴れーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
6:00双六小屋→黒部五郎小舎
この日のCTは4時間のため、少しゆっくり目に出発。
双六の山頂までが長く感じた。突然視界が開け天空のような場所に出る。
なんだこれはー!このまるっこい平らな山頂、大好きな道だよー!
ニコニコしながら噛み締めて歩く。急ぐ必要はないっていいね。
双六岳でのんびり、三俣蓮華でもしばらくのんびり、マシュマロをあぶって気持ちのいい景色を楽しむ。
三俣蓮華までくると黒部五郎と薬師岳がずんずん大きくなって、私はそっちのほうばかりに見とれていた。
誰も行かない黒部五郎小屋へ向かう。
小屋までの下りは意外にごろごろ湿った石の急坂が続いて、げんなり。こういう所は苦手。
途中3回くらい、小屋の人が作ったと思われる、ゆっくりのんびりコースとの分岐があり、
迷わずのんびりコースを歩くが、全然のんびりじゃない。
でも、小屋の人もあのゴロゴロ石を少しでも回避したくて、苦肉の策でこの道を作ったんだろうなー、
よほど嫌だったんだろうな、という気持ちが伝わってきた。
小屋周辺には池塘もあり、とても穏やかで静かな雰囲気。山の奥にきたという感じがいい。
今日も気付の一杯、ラーメンを。インスタントだけど双六よりは麺がしっかりしてる。
楽しみにしていた手ぬぐいは、プリントで残念だけど絵柄が気に入ったので嬉しい。
とても素敵な絵柄だから、染めの方が雰囲気にあう気がした。
テント場一番奥にはぽつんと小さなシンクがあり、水流が不定期にどぼどぼ流れる水がシュールだった。
●3日目(8/26)晴れのちくもり一時雨のち晴れーーーーーーーーーーーーーーーー
5:30黒部五郎小舎→薬師峠キャンプ場
今日はいよいよ今回のハイライト第一弾。朝から快晴で晴れが期待できそう。
ゆっくり黒部五郎のカールを登って行く。巨大な岩がごろごろ。五郎さんだ。
天候もよさそうだし、あまり時間にとらわれ過ぎず、せっかく来れたこの場所をたくさん味わっておこう。
三脚担いだおじさんがきれいな沢で水を汲んでる。
朝日がカールにあたってきれい。こっちの道から、この時間に歩けてよかった。
黒部五郎から薬師岳の間はダイヤモンドコースと呼ばれているらしい。
ここを歩いてみたいと思っていた。黒部五郎の山頂から急坂を下ると道はゆるやかになり、
薬師岳がどんどん大きくなる。あまり近づきすぎると、大きすぎて薬師岳の全貌が見えないから、
こう歩きながら見る方が、その大きさを感じ取れるのかも知れない。
ななめ前には薬師岳、後ろには黒部五郎岳。人の行き交いも少なく、なんて贅沢な時間なんだろう。
細かくアップダウンを繰り返し、木道の道を進むとだんだんガスに包まれ薄暗くなり、
太郎平小屋に着いた途端雨がぽつりとやってきた。
雨宿りしながら何ともシンプルな手ぬぐいを買い、カップヌードルを食べた。
すぐ止みそうにないので雨具を着て、ネパール人が作ったという石畳を駆け下り薬師峠キャンプ場へ。
そこには私たちのゴール地点、室堂から逆方向に歩いている友達もいるはず。
雨の中、友達のテントと窓から二人の笑顔が見えたときは、こちらも笑顔になった。
雨上がりの夜は、その日で出会ったオランダ人カップルとソロの友人も交えて、
夜ご飯をみんなでシェア。
カレーにチャパティにクスクスにもずくスープにタイラーメンに
ビーフシチューとかぼちゃ・いもサラダ。
食後はコーヒーメーカーで淹れたコーヒー。
山の中にいるとは思えない豪華な品々に舌鼓。
みんなのあたたかい気持ちが伝わり、ほんの数時間だけど、幸せな忘れがたい夜になった。
●4日目(8/27)晴れーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
6:00薬師峠キャンプ場→スゴ乗越小屋
この日はじめて、ここから進むのがもったいない、と思った。
新しくなって以前のおもかげはなくなったという薬師岳山荘で牛すじとあんみつを食べた。
小屋のおじちゃんがまた、気さくで楽しい人だったのが嬉しくて。
「牛すじどうだった?うまいやろ〜」「美味しいです!」「せやろ〜」
ちょっとしたやりとりで、顔もほころび、いよいよ薬師岳の登りにとりかかる足取りも軽くなる。
なだらかな砂の丘をゆっくり登り詰めて山頂台地に上がると、
青い空と緑と白い砂、言葉にならない光景が視界いっぱいに広がった。
圧倒されそうな全視界に感覚を研ぎすませ、全身に感じるものをすべて味わってみる。
このまま歩き進めるのがもったいないほど美しく、それは私にとって初めての経験で。
一歩一歩、時には立ち止まり、噛み締めて頂へ足を進めた。
におい、音、色、肌に当たる風、全てがぎゅうっと体に染み込んだ。
内側に幸せがみなぎって、とっても穏やかで心地よい気持ちが持続する。
こういうことを感じられることが、山に行く大きな楽しみの一つでもあるんだな。
やせ尾根の険しい北薬師もかっこよかったが、
私は薬師峠から丸い丘をたどって山頂にたどり着くまでの道のりが気に入った。
こちらから登ってよかった、とつくづく思った。頂上が近づいてくるまでの過程が、とにかく美しいのだ。
薬師岳には、ただただ感動。大きい。素晴らしい。美しい。かっこいい。
私はこういう山が好きだ。(どういう山だ笑)
友達は薬師岳を過ぎたら後は下るだけでらくちんだよ、と言っていたが
下りが苦手な私には、延々続く下りがなかなかしんどかった。
途中ガスも混じる中のお花畑に励まされて、足の痛みをこらえながらなんとかスゴ乗越へ。
少ないと思っていたけど、そこそこテントは貼られていた。
あと、思ったより陰気な雰囲気はなく樹林帯の中でも開けた明るい雰囲気で嬉しくなった。
●5日目(8/28)晴れーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
5:30スゴ乗越小屋→五色ヶ原山荘
この日はアップダウンが激しくしかも急坂で、道中で一番しんどい行程かも。
地図上で見るより体力的にハード。
小屋から見えた目の前のスゴの頭のスゴい急登に衝撃。
明日はあんな急登を歩くのか…しかも登ったらまた下って左に見えるまたスゴい山を登るのか…
急坂の連続、体力と安全に歩けるよう集中力の持続が必要だな。
そんな時にはパワージェル!持続性はないけど、即効性があるからもうひと頑張り、て時に効きます。
(回し者ではありません)
でも、事前に友達からきつかったことを聞いてたし、きついことを想定してたから
案外次々クリアでき、爽快感と達成感が一番感じられた気がする。
それにしても、スゴい乗越だよ。登りが多くてよかった。下りだったら怖かったかも。
五色ヶ原は想像以上に素敵な丘だった。着いた日に水場が枯れたようで、小屋から水をもらった。
猛暑続きでこの時期に水場が枯れるなんて…。大丈夫か、日本の山々。
小屋の中は静かで、誰もいない休憩室であったかい食事をいただき、目的のかわいいバッジを購入。
やっぱり人の手が入って調理されたごはんは心身に染みるな。心の底からパワーが充填される。
一休みの後はテント場に戻り、テーブルとベンチのとなりにテントを設営。
一面のチングルマ畑を散策しながら、寝袋を干したりしてのんびり。
ここはとても雰囲気のいい場所。また来たい。山を越えないと来られない場所だけど。
だからこそ観光客の来ない静けさが保たれているのかも知れない。
持ってきた梅ジュースも在庫処分。この日も夕焼け。明日も晴れてねー。
●6日目(8/28)晴れーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
五色が原山荘→雄山→みくりが池温泉→室堂
いよいよ最後の日。ここまではほぼ晴天に恵まれ、順調にやってきた。
だがこの日も実はCTが7時間以上あり、あまり油断はできない。
美しい五色が原で雄山方面から昇る朝日とともに行動を開始し、
歴史とロマンのザラ峠を超え、雪渓の残る鬼岳東面を過ぎる。
雄山は見えたり隠れたり、でもこの日も快晴で、最後の尾根歩きを噛み締めながら思った。
これで最後なのは、少し寂しいな〜。長いようで、意外とあっという間だった気がする。
龍王岳までもあっさり進むと一乗越小屋が下に見えるようになり、いよいよ雄山が近づいてきた。
雄山は観光客もいっぱいくるけど、私はそれに混じって下界の感覚を久しぶりに味わい、
山頂の神社でお参りをすることも楽しみだったのだ。
大抵は逆のコースで雄山でお参りをしてから新穂高へ降りるほうが多いのだけど。
山中、雄山神社の赤いお札と鈴をザックにくくりつけている人を見て、とても羨ましく、
早く私もそのお札が欲しい、と切望していたから、喜びもひとしお。
無事下山(ほぼ全行程)できたことを感謝し、室堂までの安全を願う。
途中見え隠れしていた室堂は、下るところで完全にガスに包まれてしまった。
雄山を降りると石畳の遊歩道。これがまた歩きづらいったら。
霧雨も降り出し、室堂までも余計に長く感じ、山道よりペースダウン。
いかに土の道が歩きやすく、土から恩恵を受けているかを思い知った。
ここらまでくると、ようやく6日間の山旅の終わりを振り返る余裕が出てきて
下界と交わる幅が大きくなるのを感じながら、余韻に浸っていた。
みくりが池で6日分の汗を落とす。何だか観光客と混じって入るのが申し訳なかったから、念入りに体を洗った。
室堂から美女平まではバス、美女平から立山駅まではレトロなケーブルカー、
立山駅から富山駅までは、特急アルペン号というこれまたレトロな看板の富山地方電鉄に乗り、
運転手さんのすぐ後ろでずっと車窓からの景色を堪能していた。疲れててもこの景色は見逃したくない!
富山地鉄は、期せずして乗ったらかなりお気に入りの電車になった。
今度、宇奈月温泉や黒部渓谷まで電車に乗り、トロッコにも乗る旅をしてみたい、という新たな楽しみが増えた。
はじめまして(^-^)
羨ましい天気と縦走ですね(*^^*)
来年の参考にします(^-^)
はじめまして!
たくさんある北アルプスの記録のなかから、ここに辿り着いての
コメント、ありがとうございます^^
山行中はほとんど晴天で、天気にはとても恵まれました。
ここは定番のコースでもあり、表銀座などとはまた別の雰囲気が味わえる、おすすめのコースですよ^^
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