秋の中央アルプス(木曽駒、宝剣岳、三の沢岳、空木岳) (1982)
- GPS
- 75:00
- 距離
- 30.1km
- 登り
- 2,584m
- 下り
- 4,386m
コースタイム
10/10 5:20千畳敷−6:50-7:00木曽駒ヶ岳−7:50-8:30千畳敷−9:20極楽平−10:40-12:00三の沢岳−13:20極楽平−13:50宝剣岳−14:50千畳敷(泊)
10/11 6:20千畳敷−6:50極楽平−7:50-8:10濁沢大峰−9:10-30檜尾岳−10:40-11:20熊沢岳−12:30東川岳−12:50木曽殿越(泊)
10/12 4:50木曽殿越−6:20-7:00空木岳−9:00大地獄ー9:50マセナギの頭−10:20-50池山小屋−12:30駒ヶ池
天候 | 10/9 霧、小雪、のち曇り 10/10 晴れのち曇り、霧 10/11 曇りのち霧、小雨 10/12 晴れ |
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アクセス |
利用交通機関:
電車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
・駒ヶ根駅からはバスとロープウエーで千畳敷へ。 ・下りは池山尾根の末端の駒が池より、バスで駒ヶ根駅へ。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
・初日は小雪が降り、稜線はうっすらと雪が積もる状態だった。 ・それ以降は、道も良好で特に問題なし。 |
写真
感想
【山行No 27】
※ たまたま用事で、浜松に行く機会ができた。それでは、ということで、ついでに山登りを計画。
(実はこの時まで)日本アルプスを登山するのは初めてなので、
ロープウエーで登れて楽そうな、中央アルプスへ登ることにした。
10月8日(金)
・浜松での用事が終わり、夕方の電車で移動、豊橋より飯田線の鈍行に乗り、
駒ヶ根駅に着いたのは午後10時過ぎ。
ホテルも予約してないし、旅費節約も兼ねて、
駅の待合室でシュラフを敷いてステーションビバークとした。
夜の暗い駅の中、独りきりで寝るのもなんだか心細く、安眠はできなかった。
10月9日(土)
・朝5時には起床。何とも寒い朝だ。
天気は、と見ると、上空は青空もあるが、山の方はドンヨリと曇っている。
7:00 駒ヶ根発
・始発のバスに乗る。連休のため登山者も多く、バスは2台出た。
7:50-8:40 シラビ平(気温=8℃)
・他の登山者はどんどんとロープウエーに乗って行ったが、
そう焦る必要もないので、日暮の滝を見物してからロープウエーに乗る。
8:50 千畳敷(標高=2400m、気温=プラス3℃)
・外は霧に覆われており、雨もパラパラと降るあいにくの天気だ。
そんな天気なので、観光客も登山者もレストハウス内でぼんやりしている。
朝からじっと待機しているのもつまらないので、カッパを着て、稜線まで上がってみることにした。
・稜線への道は霧が濃くて視界はほとんどない。
最初は雨だったのが、高度を上げると、ミゾレから小雪へと変わってきた。
10:10 浄土乗越(稜線、気温=マイナス1℃)
・稜線に出ると西風が強い。風に乗ってアラレが吹き付けて顔が痛いほどだ。
足元には雪も少し積もっており、岩には岩氷まで着いている。
まるで冬のような状況に、これでは稜線歩きは無理、と判断し、退却決定。
11:00 千畳敷着
・あっさりと退却してきた。とりあえず今日はここで泊まることとし、宿泊の手続きを取る。
レストハウスに隣接した山小屋は、広い板の間の部屋。
寝不足なので、毛布をかぶって昼寝をして過ごした。
・うとうとしていたが、2時過ぎになって窓の外を見てみると、霧は晴れて、宝剣岳が見えている。
これは行かなくては!と思い、出発の準備をする。
14:30 千畳敷発
・軽装なのでサクサクと稜線まで上がる。
稜線まで上がると、再び霧が湧いてきたが、宝剣岳へと向かう。
宝剣岳への道は、花崗岩の岩場が続き、少し緊張するが、まずまず爽快な道。
15:20-50 宝剣岳山頂
・霧はあるが朝方の強い風は弱まっている。
もう午後も遅いので、登山者の影も少なく、霧の中、独りきりの山頂。
日本アルプスの山らしい山に登頂するのは初めてなので、視界はなくともうれしいものだ。
16:40 千畳敷着
・山小屋は食事も出るが、節約のため素泊まりとしており、今日の夕食はカップ麺とソーセージ。
少し疲れているようで、早々と眠りについた。
10月10日(日)
・5時過ぎに起床。外を見ると、素晴らしい上天気になっている!
それでは、ということで軽装で木曽駒ヶ岳へとさっそく出発する。
5:20 千畳敷発
・千畳敷カールを一気に登る。が、途中からお腹の具合が悪くなり、
引き返すこともままならず急ぎ足で登り、稜線の小屋のトイレに駆け込む。
なんとかセーフだった。
5:50 浄土乗越
・稜線は昨日の雪がうっすらと残っているが、朝の光に映えて、いい感じの風景が広がっている。
・気持ちの良い朝の稜線を、ずんずんと木曽駒へと向かう。
6:50-7:00 木曽駒ヶ岳山頂(標高=2956m)
・中央アルプスの最高峰に到着し、第一目標達成。
天気が良くて四周の展望も良好。北アルプス、御嶽、乗鞍、八ヶ岳などなど
憧れの山々が一望のもとに見え、素晴らしい。
もっとじっくりしたい気分だったが、今日は三の沢岳へも行く予定なので、引き返す。
7:50-8:30 千畳敷
・千畳敷山荘にいったん戻り、不要な荷物を置いてから、三の沢岳へと向かう。
9:10-20 極楽平
・稜線に再び出た。三の沢岳が大きく見える。
あまり人気の無い山かと思っていたが、稜線を見ると、三の沢岳へ向かう人も結構いるようだ。
・稜線の道は、岩とハイマツが混じった道で、高山らしくて気持ちがいい。
思ったよりも踏み跡は明瞭だった。
10:40-12:00 三の沢岳(標高=2847m)
・なかなか感じの良い山頂。展望もよく、主稜線沿いに、木曽駒ヶ岳、中岳、宝剣岳と並んでいるのが見える。
巨岩がゴロゴロしたいい感じの山頂で岩の上に寝転んで、のんびりと山の時間を過ごした。
・帰りも行きと同じ道を行く。だんだんと周囲は雲が多くなってきた。
13:20極楽平
・ここから、宝剣岳を経由してから下ることにした。
宝剣岳の南陵は、少しスリルのある岩稜帯だったが、思ったほどのこともなく、
爽快に岩稜歩きを楽しめた。
13:50 宝剣岳山頂
・今日は天気がまずまずなので、山頂には人が山盛りだった。
千畳敷が眼下に見えて眺めは良かったが、人で混雑しているので早々に下る。
14:50 千畳敷着
・小屋に到着。部屋が人で埋まっていないか心配だったが、それほどの宿泊者はいないようだった。一安心。
・夜は、また自炊で、パックの赤飯などを食べるが、今日は自炊の人は自分独り。少し淋しい夕食だった。
10月11日(月)
・今日はいよいよ空木岳方面への縦走の日。
朝、5時過ぎに起きて外を見ると、上空は薄曇り。
暗い中に、下界の駒ヶ根市内の夜景も見えた。
6:20 千畳敷発
7:00 島田娘ピーク(気温=プラス1℃)
・稜線に上がると、南のほうはずいぶん暗い雲が出ていて、雨の予感がする。嫌な感じだ。
今日は、木曽殿小屋までだが、雨に降られないことを祈って、急ぎ気味で行こう。
こんな天気でも縦走する人は以外といて心強い。
大きなパーティが2つほど、ほかに2〜3人グループがいくつか前後して歩いている。
7:50-8:10 濁沢大峰
・この付近は、岩稜帯となっており、特に難しいことはないが、いかにもアルプスの稜線を歩いている感じがして良い。
・桧尾岳への登りは結構登りがいがあった。しかし、途中からパラッとアラレが降ってきてイヤな感じ。
9:10-30 桧尾岳(標高=2728m、気温=3℃)
・風は東風が強くなってきて、寒くなってきた。テルモスのお茶を飲んで一休み。
10:40-11:20 熊沢岳
・熊沢岳のあたりは、ガイドブックに書いてある通り、岩稜帯となっていた。
熊沢岳の山頂部も、岩が多く、展望はなかなか良い。
少し早いが、カップ麺での昼食をとった。
・熊沢岳の最初のピークを越えても、「熊沢五峰」というだけあって、
その後もアップダウンの多い道が続く。
そのうち、とうとう霧雨が降り出した。まだ本降りではないが、ゴアの上着を着てしのぐ。
12:50 東川岳
・あと一息だが、雨は止まないので、山頂で休憩することなく、木曽殿越えまで一気に下る。
前方には雲に隠れた空木岳が暗い表情をしていて、山の怖い一面を見た気がした。
12:50 木曽殿越え(木曽殿小屋)着
・コルに、真っ赤な屋根の二階建ての小屋。ようやく着いてほっとした。
小屋の中は最初はまだ泊まる人は少なかったが、その後だんだんと増え、
今日は、最終的には約30人の宿泊客(内、自炊は10人程度)。
・ここは水場が少し遠く、木曽側に10分ほど降りたところにあった。
水を補給して、夕食はアルファ米で済ます。
10月12日(火)
・夜明け前の4時に起床。ほかの登山者も同じころに起きたが、
自分は空木岳の山頂で夜明けを迎えようと思い、お茶を飲んだだけで、
暗い中を一人出発した。
4:50 木曽殿小屋発
・外はまだ暗いが、昨日来の雲は西風に追い払われたようで、
夜空には、オリオン座、カシオペヤなどの星空が広がっていた。
まだ暗いのでヘッドランプを頼りに、岩場の登りを慎重に登ってゆく。
そのうちに徐々に上空が明るさを増してきて夜明けが近づいてきた。
・朝日が出るまでに山頂に着けるかと思っていたが、以外と登りの標高差が大きく、
なかなか山頂に着かない。結局、一つ手前の前衛峰あたりで東の空から日がでてきた。
夜明けの風景はなかなか素晴らしく、主稜線の山肌が赤く染まった。
東の南アルプスはまばゆい朝日を浴びて、影絵のように見える。
6:20-7:00 空木岳山頂(標高=2864m、気温=0℃)
・本峰に到着すると、さらに展望は素晴らしく、下界には雲海が広がり、
周りには近く、遠くに山々が勢ぞろいしている。空は真っ青な秋空だ。
南には、南駒ヶ岳がそびえ、日帰りで足を延ばしたい気持ちも湧いたが、
予定では今日で下山することにしているので、名残はあるが、次回としよう。
・山頂でのんびりしていると、2人目の登山者が上がってきた。
名古屋の大学生で、WV部に属しており、昨日は木曽側から歩いて稜線まで上がってきたとのこと。
自分とは違い、なかなか本格的な人だったが、世代が近いので話が弾んで楽しい一時だった。
・さて、名残惜しいが、これから麓まで下山なので腰を上げる。
伊那谷へと下る池山尾根の道をたどる。
駒石あたりまではハイマツの茂る高山帯らしい雰囲気の気持ちの良い稜線。
澄み切った秋空のもと、気分よく下ってゆく。
・途中から樹林帯の道となる。登山道は尾根筋を右へ左へと巻きながら下ってゆく。
知らないうちに、迷い尾根の分岐も過ぎていた。道自体はかなり明瞭で
迷うような感じではなかったが。
この付近で遭難碑があった。5月に遭難した若い人の遭難碑。
「勇み立ちて 登りし山の懐に 抱かれて眠れ 安らかに」とある。
なんとなく心に残る遭難碑だった。
8:40 小地獄入口
・この付近まで下ると、樹林帯の中に紅葉した木々が目立ち始め、秋らしい。
「地獄」のトラバース道は危険と聞いていたが、思ったほどのことはなかった。
大地獄には長いハシゴや鎖場もあったが、これらも特に難しく感じなかった。
調子よくどんどんと下る。「地獄」を過ぎると岩場も少なくなってきた。
9:50 マセナギの頭
・ここからは稜線沿いを離れ、北西斜面の針葉樹帯の中をジグザグに急下降する。
10:20-50 池山小屋
・時刻は少し早いが、今朝の出発が早かったので、ここで昼食休憩とした。
カップラーメンでのの昼食。この付近も紅葉がまずまずきれいだった。
・池山小屋からはしばらく下ると、林道に出会った。
林道を横切る登山道をつかいショートカットするが、歩く人は少ないのか、
草がしげって少し不明瞭なところもあった。強引にくだる。
12:20 大沼池
・長い尾根を無事、下山できて一安心。長い距離を歩くのに自信となった。
12:30 駒が池
・ここから、池の向こうに千畳敷、宝剣方面が良く見える。
あそこが今回の出発点だったな、と感慨深い。
バス停に着くとちょうどバスがやってきた。
12:40-14:20 駒ヶ根駅
・駅について、駅のコインロッカーに入れておいた荷物を出そうとして、アクシデントが発覚!
なんと、間違えて、千畳敷山荘のコインロッカーの鍵を持ってきてしまっているではないか。
これは困ったが、駅の売店の人に相談して、なんとかロッカーは開けてもらい、
千畳敷のコインロッカーの鍵は、バスの運転手に預けて、山荘まで届けてもらうことになった。一安心だ。
・あとは、飯田線の電車に乗り、ゴトゴトとのんびり走る鈍行で、豊橋へと向かう。
豊橋駅にて、夜行寝台「さくら」号に乗り、九州への帰路に着いた。
※ 日本アルプスの山を本格的に歩くのは初めての体験だったが、
素晴らしい展望もあったし、アルプスらしい岩稜や長い縦走路も楽しめ、
これからは、日本アルプスにも本格的に登ろう、と自信を深めることになる、
自分の登山の歴史のなかでも、転機となる山旅だった。
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