憧れの知床縦走(羅臼岳〜硫黄山)を満喫したよ!


- GPS
- 56:00
- 距離
- 21.8km
- 登り
- 2,496m
- 下り
- 2,452m
コースタイム
- 山行
- 6:24
- 休憩
- 3:07
- 合計
- 9:31
- 山行
- 6:07
- 休憩
- 1:33
- 合計
- 7:40
天候 | 1日目:曇り時々晴れ 2日目:晴れ時々曇り 3日目:晴れのち曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
下山時は、カムイワッカ湯の滝からシャトルバスに乗車し、知床自然センターにてバス代を支払いました。シャトルバスは、車の規制があるお盆期間(今年は8月9日〜17日)は20分間隔、8月1日〜8日、18日〜25日、9月19日〜23日は40分間隔です。それ以外は車可。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
特別な危険箇所はありません。土嚢で補修されていたり、間違えやすいところにロープがあったりして、意外と整備されているという感想です。 硫黄山付近が迷いやすいと聞いていましたが、昨年の遭難事例を受けて、立ち入り禁止のロープが張られたりして、私の想像以上に整備されていました。 が、コケシ岩の手前から第一火口への下降は、ザレ場が苦手な私にはちょっと厄介でした。風が強いと、知円別分岐から硫黄山の稜線はちょっとヤバそう。 |
写真
感想
お盆休みを利用して、憧れの知床連山の縦走をしてきました!
一緒に行ってくれる仲間がいないため単独となるのですが、「ヒグマがいるからひとりで行くな!」とか「現地のガイドを付けろ!」とか周囲がとっても心配するので、今回は地元のガイドさんのお世話になることにしました。
さて、天気予報では3日間とも曇り。でも、このところ午後から知床連山が見えてくることが多かったので、展望が開けることを期待して曇り空の中、木下小屋前の登山口を出発。
単調な登り。風がなく、昨夜の雨のためかちょっと蒸し暑い。オホーツク展望台は、ガスっているためか(?)全く展望なし。さらに登っていくと弥三吉水。湧き出した水とのことで安心して飲めるらしい。一口飲んでみたけど、冷たくておいしい!
しばらくは極楽平のやや平坦な道を行くが、いつの間にかジグザグの登りになっていて、気が付くと仙人坂を登り切っていた。銀冷水はあまり水がなかった。林の奥に立派な携帯トイレブースが設置されていた。
ちょっと登ると大沢入口。最近まで雪渓が残っていただけあって、お花が出現し始めた。待ってました! さらに登ると、雪渓も出てきた。適当な雪解け水のあるところで、明日のための水を確保。今日のテント場は十分な水が確保できないらしいとのこと。ここから水を歩荷でちょっとだけザックが重くなったけど平気!普段から歩荷のつもりで重たい目の荷物を担いでいてよかった。
水を確保してちょっと登ると、羅臼平に到達。ガスの晴間に羅臼岳をチラッと間近に見ることができた。初めて目にするフードロッカー。フードロッカーに、食料やら化粧品やらにおいのあるものを入れて、フードロッカーの横にザックをデポして、いざ羅臼岳に出発! が、さすが百名山だけあって、頂上や登山道上にかなりの人影が見える。岩場を下っている人たちがなだらかなところに下りてくるまで待ってからの出発とした。
途中の岩清水には滴り落ちる水滴の下に青いコップがあって、コップにたまった水を一口いただきました。冷たくておいしい。再度水滴が入るようにコップを置いた。下りの時までに溜まりますように!
ちょっとだけ岩場っぽくなったら頂上直下。でも、頂上には大勢の人がいて、下りてくる人たちが往生しているので、しばらく待つ。待ち時間に登ってきた反対側を見ると、雲間に時々羅臼湖がちょっとだけ見えた。
やっと羅臼岳頂上。だけどガスがちょっと濃くなってきて展望がいまいち。ガスが動いているので、しばらく景色待ちすることにする。他の登山者たちがほぼ下りて行って、やっと静かな山頂になった。ときどき、これから向かう三ツ峰方面が見えたり、羅臼湖や知床横断道路が見えたりした。
頂上で1時間ほどのんびりした後、羅臼平に戻って、いざ本日のテント場である三ツ峰キャンプ場を目指して出発。いよいよ本当の知床縦走の始まり!
しばらく登ると三ツ峰のコル。三ツ峰山頂(東ピーク)と西ピークとの間の平坦なところ。前方には北ピークが見える。山頂へ向かう道が見えているが、今回はパス。北ピークの下を通っていくと、登山道にヒグマの糞が。量が多いのにビックリ!!
ここからはひと下りで今日のテント場だから楽勝、と思っていたら、先行者が立ち止まっている。200mほど先の窪地の中の登山道を見ると、登山道脇に黒いものが。。。。1時間も待っているとのこと。ヒグマを挟んでさらに200mほど先のテント場の上の登山道にもヒグマで足止めを食らっている2名が見えている。ヒグマは人間を気にも留めずに草を食べ続けている。先行者によれば、ときどき寝そべったりしてとてもくつろいでいる様子らしい。
このままでは埒があかないので、我々にこの場で待っているように指示した上で、ガイドさんが少しずつヒグマとの距離を縮めていく。人の存在を知らせるためにホッホッホーと声を出したり、ピッケルで岩をたたいて音を出したり、手を大きく振って人がいることを見せたりしながら、慌てずゆっくりと時間をかけながら距離を徐々に詰めていった。
そのうちにヒグマも人間の存在に気づき、何だかやだなぁという素振りを見せ始め、動く範囲が広がってきた。が、まだ草を食べたりして、登山道から離れない。が、やっぱり居心地が悪くなってきたのか、左側の窪地の縁のハイマツの方へ行き、窪地から出てハイマツの斜面を西の方向へ走り下りていくのが見えた。ここまで約40分経過。やれやれやっと動ける。
ヒグマがいた地点は、最近雪渓が解けたばかりでタカネトウウチソウの柔らかい新芽があり、ちょうど食べごろらしい。反対側で足止めされていた2名の方は、日帰りでサシルイ岳方面に行っていたらしいが、計3時間半も足止めされていたとのこと。明るいうちに下山できますように。
ヒグマポイントから100mもない先が本日のテント場。クマ待ちの先行者は、二ツ池まで行く予定だったけど、時間が遅くなったため今日は三ツ峰で泊まるとのこと。よほどヒグマが嫌になったのかあるいは時間切れなのか、翌日は早々に下山していきました。
で、テント場には、テントが1張り見えていたけど、近づいてみるとポールがひしゃげて半分壊れている。よく見ると、ヒグマの爪痕が!! フードロッカーにはテントの持ち主のものと思われる食料等が入っていてテントには食料がおいていなかったのに。。。。後ほど戻ってきた持ち主さんは、硫黄山往復してきたそうだけど、テントが壊れて大変ショックを受けてました。
この事例を、下山後に環境省のヒグマ担当者に報告したところ、新聞に載っちゃいました。
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/society/society/1-0168837-s.html?df=1
テント場の水は、取れないこともないが、あまりいい状態ではないので、担いできてよかった。テントを張って、ガイドさんお手製の生ハムと赤ワインで乾杯!
夕方になって、ガスが取れて三ツ峰やサシルイ岳が見えてきた。夕食を終えると、夕日で周りの雲が色づいてきた。これは夕日が期待できるぞ!
フードロッカーの横からはオホーツク海が見える。海に反射する夕日も見えた。下の方に雲があったから、海に沈む夕日が見れなくてちょっとだけ残念。
そういえば今日は、ペルセウス流星群が良く見えるはず。上空は晴れているので、星が見えていたら起こして、とガイドさんにお願いして就寝。
9時半ごろに起こされてテントから出てみると、満天の星空!! 天の川が白く濁って見えるくらいに星がいっぱい。あっ流れ星! 北斗七星がはっきりくっきり見える。また流れ星! 星が多すぎて、どれがどれなのかわからないくらい。こんな満天の星は久しぶり。今度の流れ星はかなりひっぱったよ! 上ばかり見てて首が疲れたのでテントに戻る。
翌朝はガス。昨夜の晴天が嘘のよう。でも、きっと日が昇るとガスが晴れそうだ。朝食後、予想通り徐々にガスが晴れてきた。でも、テントは夜露とガスでびっしょりのまま撤収した。
サシルイ岳に向かって登る。チングルマの綿毛が朝日に輝いてキレイ。オホーツク海側を見ると、知床五湖が見える。登っていくと、三ツ峰の間から羅臼岳が見えてきた。いい眺め。サシルイ岳はピークは踏まない。この縦走路、ピークを踏むところはあまりないらしい。ここからはいったん下ってオッカバケ岳を目指す。沢状のところを下っていくと、エゾコザクラの見事な群落。下りきると、ミクリ池。登り始めると、古い道標がところどころに出てくるようになった。
オッカバケ岳もピークは通らない。ほんのちょっとだけ下ったところで休憩。ガスが晴れてきて、眼下に二ツ池、そしてその奥には硫黄山が見える。縦走コースの見どころの一つとか。いい眺め!来てよかった、と思える風景です。
二ツ池への下りの途中、単独の外国人女性に出会う。先ほど二ツ池の当たりに見えてた人かな?
二ツ池では、水のある地の池ではモウセンゴケを発見。以前は湿地帯を行っていたが、環境影響が大きいということで、地の池から西に向かってハイマツの切り開きの新しい登山道が作られている。ハイマツの中を登っていく途中、ワンデイ縦走の方に追い抜かれた。爆裂火口の外輪山上に出ると、硫黄平と硫黄山が目に入ってきた。
ハイマツの道を登っていくと、南岳頂上。今日初めてのピーク。と言っても標識はない。ここからは、アップダウンがあまりなくなる。しばらくは外輪山の稜線上を行く。ガスがかかったり晴れたりして、ときどき硫黄山が見える。砂礫地にシレトコスミレの株がある。すでに花は終わっていた。
稜線を離れると、構造土の亀甲模様のようにひびが入った土壌が現れた。しばらく行くと、さらに平らな場所(知円別平)に出た。登山道がまっすぐのびている。チングルマの綿毛がピンク色でとってもキレイ。暑くもなく寒くもなくとっても快適。
ちょっと登ると知円別分岐。ここも知円別岳のピークには行かないが、突然風景が変わった。第二火口の外輪山上に出たんだ。目の前に真っ白な火山灰のやせ尾根とそれに続く硫黄山の峰々が。この白い風景は、他では見られないとっても貴重な風景だ。絶景。と、足元を見ると、まだコマクサが残っていた。シレトコスミレの葉っぱもある。
知円別岳の急斜面のガレ場をトラバースして、白い稜線上を行く。コケシ岩の手前から第一火口に向かって急なザレの斜面をザレとともにズリズリと下っていく。下りに超苦手な私にはちょっと疲れる下りでした。ほぼ下りきったあたりに、シレトコスミレの花が残ってました。ラッキー!
第一火口はチングルマのお花畑。雪渓が十分に残っていてとってもいい感じです。まずは、雪渓の雪解け水で顔を洗いました。冷たくて超気持ちいい!
我々がテントを張った場所はまさにお花畑のど真ん中で、7月下旬はまだ雪の下だったとか。周りを山に囲まれたとっても素敵な場所。水も豊富にあり、お花も満開で、お天気も良くて眺めが良くて、何もかもが最高のテント場でした。
本日のテント場は、我々の他は、単独方2名。お洗濯している人もいました。
テントを張っている間に冷やしておいたワインで乾杯!
昼過ぎからは、ガスもほとんどかからず真っ青な空。夜露で濡れていたテントもすぐに乾きそう。近くの岩の上でシュラフを干しました。今日はクマ待ちもなく早目にテント場に着いたので、まったりする時間ができました。
こんな場所でも、携帯が通じるのにビックリ。友人にテント場を自慢する写メを打ったりしてのんびり過ごしました。
夕食後には、夕日を浴びて、白い山肌が金色に輝きとってもキレイ。窪地なので夕日自体は見ることができないけど、夕日に焼けた山を十分堪能できました。
翌日はお天気は下り坂の予報。夜は全然冷え込まず、夜中にちょっと風が吹いたりしてお天気が心配されたが、朝の時点ではまだ青空が見えている。でも、羅臼岳方面には東から西へ筋になった雲がかかってる。ちょっと幻想的。
それにしても、今朝はテントが全く濡れていなかった。
朝一は雪渓の登り。凍ったところで滑らないように気を付けて登る。第一火口分岐近くまで登ると、羅臼岳から斜里岳の方まで見えていた。第一火口分岐まで来ると、硫黄山が目前に。縦走路から硫黄山へは、荷物をデポして登った。最後の方は、ちょっとした岩場があり楽しい。
硫黄山に登頂。曇っているけど360°の展望。知床岳が雲海に浮かんでいる。雲海の向こうには国後島の山々がずら〜っと並んでいる。爺爺岳も一番奥に見えている。こんなにはっきり国後島の山を見たのは初めて! 縦走してきた山々も見えている。羅臼岳の向こうには、斜里岳まで見えている。ウトロ方面の海岸線も見える。ここで、一眼レフの電池切れ。展望はここまでなので、タイミング的にはぎりぎりだった。
さて、ここからは下り。硫黄沢への入り口のところ、昨年は3件ほど道迷い遭難が発生している場所とのこと。そのため、今年は、間違えてウプシノッタ川の方へ下りないようにロープが張ってあった。
大きな岩や一枚岩がある枯れ沢を下っていく。下りの先にはオホーツク海が見えている。途中、滝のところは高巻き道あり。ッ下の方に行くと雪渓が残っていて、雪渓の上を歩ける箇所があった。通常、8月中旬は残ってないのに、今年は雪が多かったせいか珍しく残っていて、ラッキーだったみたい。硫黄沢出合では、沢を下りすぎないように、ロープが何本も張ってあった。
ここからは一旦尾根に登り返す。尾根道はちょっと障害物競走チック。イソツツジやシラタマノキが多数みられるようになってきた。
新噴火口最上部で視界が開け、オホーツク海が目の前に。ここからは、あちこちから噴煙が上がっているし、なんとなく地面があったかいところがある。
一番噴煙が上がっている噴火口が登山道の比較的近くにあり、近づけるらしいので行ってみた。
噴火口の噴煙が直接当たる岩には、硫黄の針状結晶が付着していた。ここの硫黄の純度は99%以上の高純度なので、戦時中は盛んに採掘されていたとのこと。
下っていくと、確かに旧硫黄採掘跡があった。歩きやすい道になり、カムイワッカ湯の滝と林道が見えるようになると、ゴールが近づいてきた感がある。雨がパラパラ降ってきたので、とりあえずカッパの上着を着てザックカバーを付ける。とっても歩きやすい林間の道なのであまり濡れないですんだ。
足元に林道が見えたら間もなく、登山口。やった〜!知床連山縦走完歩!!
林道に出たら、雨はほとんど止んでよかった。
カムイワッカ湯の滝の林道ゲートのところで、携帯トイレ(結構重たい)を回収ボックスに入れ、シャトルバスのバス停へ向かう。今年は、観光客も500mほど歩かされる。
バスが発車しようとしていたので、走って乗った。車中から木登りしている子グマとそれを見守る母グマを見ることができた。走って乗ってよかった。
こうして、お天気に恵まれ、知床の自然を満喫した山旅が終了しました。
国内でのガイド登山は私としてはやや不本意ですが、今回のようなヒグマに遭遇した場合、単独だったら他の方たち同様、単に待っているだけしかできず、どう対処したら良いかわからなかったと思います。今回のガイドさんの行動が必ずしも正解というわけではないのですが(状況によって変わると思います)、参考になりましたし、安心して自然を楽しむことができたと思います。そういう意味で今回はガイドさんのお世話になって正解だったと思いました。
コメント
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去年、同じコースを行き、悪天候で二つ池で撤退しました
今年は、ヒグマの出没が多いようですね
来年、リベンジする予定です
でも、ヒグマが怖い
sakuratkさん、はじめまして。
二つ池はコースのちょうど中間点、昨年は残念でしたね。
お天気に恵まれたらとっても素晴らしいところなので、
是非ともリベンジが成功しますように!
今年は7月中は登山道上でのヒグマ目撃はあまりなかったそうですが、
8月になって非常に増えているとのこと。
ヒクマがすぐに遠ざかってくれるといいのですが、
長時間にわたって居すわられると、行動計画そのものに影響するので、
出会わないようにお祈りしております。
写真ステキです
テント場、紫、黄色、白のすてきなお花たちも◎
ヒグマは洒落にならないですね〜
熊恐怖症。南アルプスでも熊鈴ならして熊来るなーと心で叫んでます
知床は30年以上も前に北海道一周に自転車で行きました。登山ルートは知りませんが湖もきれかったですね〜
知床縦走無事で満喫何よりです!
素敵なテント場でしょ
今年はツキノワグマの痕跡をたくさん見てきただけに、
本場の知床のヒグマについては出会いませんようにと祈っていたのですが、
登山道に居座ったり、テントを壊していたりと、
十分すぎるほどの熊体験をしちゃいました。
ヒグマさえいなければ、とってもお勧めのコースです
逆にヒグマがいるから人が少なくていいんだけど。。。。
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