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Yamareco

記録ID: 8084000
全員に公開
積雪期ピークハント/縦走
槍・穂高・乗鞍

【滑落顛末記】残雪期裏銀座縦走(笠新道↑ブナ立尾根↓)

2025年04月29日(火) 〜 2025年05月01日(木)
情報量の目安: S
都道府県 富山県 長野県 岐阜県
 - 拍手
体力度
10
2〜3泊以上が適当
GPS
36:10
距離
56.6km
登り
4,518m
下り
4,788m
歩くペース
標準
1.01.1
ヤマレコの計画機能「らくルート」の標準コースタイムを「1.0」としたときの倍率です。

コースタイム

1日目
山行
8:29
休憩
2:12
合計
10:41
距離 10.2km 登り 2,043m 下り 316m
4:19
5
4:58
24
5:22
19
5:41
6:30
106
8:16
8:43
34
9:49
10:03
88
11:31
11:47
81
13:08
13:12
0
13:12
13:17
59
14:16
22
14:38
14:39
21
2日目
山行
13:29
休憩
1:01
合計
14:30
距離 21.6km 登り 2,011m 下り 1,960m
4:46
9
4:55
4:58
9
5:07
5:09
4
5:13
5:14
13
5:27
5:28
39
6:07
2
6:15
36
6:51
6:52
8
7:00
7:13
20
7:33
7:34
11
7:45
15
8:00
23
8:23
2
8:25
5
8:30
8:31
10
8:41
14
8:55
8:56
26
9:22
9:23
3
9:26
9:28
19
9:47
9:48
4
9:52
9:53
55
10:48
13
11:01
11:02
33
11:35
20
11:55
11:57
22
12:19
12:20
103
14:03
44
14:47
14:53
18
15:11
15:12
50
16:02
7
16:09
16:20
39
16:59
17:08
74
18:22
41
19:03
19:04
12
3日目
山行
10:00
休憩
0:46
合計
10:46
距離 24.8km 登り 464m 下り 2,512m
4:53
19
5:12
5:20
6
5:26
5:32
149
8:09
8:15
48
9:03
131
11:14
11:22
47
12:09
16
12:41
12:49
47
13:39
1
13:40
13:50
28
14:18
81
15:39
ゴール地点
過去天気図(気象庁) 2025年04月の天気図
アクセス
予約できる山小屋
七倉山荘
この辺りから積雪あり
この辺りから積雪あり
土砂が道を塞いでいた
土砂が道を塞いでいた
あちこちで土砂崩れ(雪崩跡?)が起きており、道が寸断されていた
1
あちこちで土砂崩れ(雪崩跡?)が起きており、道が寸断されていた
デブリを乗り越える
1
デブリを乗り越える
尾根沿いに進み、雪庇を崩して登った
1
尾根沿いに進み、雪庇を崩して登った
この先も尾根沿いで進む。笠新道分岐へは、垂直に見える氷の壁をよじ登って乗り越えた。
1
この先も尾根沿いで進む。笠新道分岐へは、垂直に見える氷の壁をよじ登って乗り越えた。
稜線に上がった頃からガスに巻かれる。一瞬のガスの切れ間に地形を確認し、GPSもフル活用してなんとか来れた。ホワイトアウト怖い。
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稜線に上がった頃からガスに巻かれる。一瞬のガスの切れ間に地形を確認し、GPSもフル活用してなんとか来れた。ホワイトアウト怖い。
ダメだ、雪の下はどこも氷。ノコギリは入りにくいし、グズグズに崩れてしまう。イグルーは断念、テン泊かぁ…
ダメだ、雪の下はどこも氷。ノコギリは入りにくいし、グズグズに崩れてしまう。イグルーは断念、テン泊かぁ…
翌朝は晴天。ダイヤモンド槍が見られそう。
2
翌朝は晴天。ダイヤモンド槍が見られそう。
マジックアワーの槍ヶ岳
2
マジックアワーの槍ヶ岳
笠ヶ岳山頂と乗鞍岳
3
笠ヶ岳山頂と乗鞍岳
槍の後ろから太陽が昇ってきた
2
槍の後ろから太陽が昇ってきた
ダイヤモンド槍
風巻く稜線
笠ヶ岳を振り返って
3
笠ヶ岳を振り返って
抜戸岳から北方向を眺める。奥に見える鷲羽岳が果てしなく遠い。近くに目をやると雪庇が今にも崩れそう。西側の夏道を行く。
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抜戸岳から北方向を眺める。奥に見える鷲羽岳が果てしなく遠い。近くに目をやると雪庇が今にも崩れそう。西側の夏道を行く。
双六小屋の後ろに鷲羽岳が見えるスポットがこんな所にも
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双六小屋の後ろに鷲羽岳が見えるスポットがこんな所にも
シュカブラと槍穂連峰
3
シュカブラと槍穂連峰
上部にヤバそうな雪庇があるな…
上部にヤバそうな雪庇があるな…
大迫力の槍穂連峰
2
大迫力の槍穂連峰
双六小屋はホント抜群のロケーションに建ってますよねぇ
1
双六小屋はホント抜群のロケーションに建ってますよねぇ
まだ雪に覆われひっそりとしている双六小屋。昨年夏に、息子と北ア大縦走した時ケーキを頂きましたが、その嬉しそうな笑顔が思い出される。
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まだ雪に覆われひっそりとしている双六小屋。昨年夏に、息子と北ア大縦走した時ケーキを頂きましたが、その嬉しそうな笑顔が思い出される。
天空の滑走路
天空の滑走路
グェーとの声に振り向くと雷鳥が!
背景に笠ヶ岳とはナイスポジション。シャッターチャンスを知らせてくれたのかしら?
3
グェーとの声に振り向くと雷鳥が!
背景に笠ヶ岳とはナイスポジション。シャッターチャンスを知らせてくれたのかしら?
双六岳から後半戦。黒部源流域の山々と野口五郎岳もかすかに見える。
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双六岳から後半戦。黒部源流域の山々と野口五郎岳もかすかに見える。
クラックの入ったところに真新しいトレースが。ちょっと怖いので迂回。
クラックの入ったところに真新しいトレースが。ちょっと怖いので迂回。
三俣蓮華岳から鷲羽岳。好きな風景トップ10に入るだろう。
1年前はここがゴールだったが、今回は中間地点に過ぎない。
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三俣蓮華岳から鷲羽岳。好きな風景トップ10に入るだろう。
1年前はここがゴールだったが、今回は中間地点に過ぎない。
いつか行きたい雲の平
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いつか行きたい雲の平
槍と燕岳。ピラミダルな姿が気になっていて、大天井かも…と悩んでいたが、湯俣川と重なった事で同定出来た。
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槍と燕岳。ピラミダルな姿が気になっていて、大天井かも…と悩んでいたが、湯俣川と重なった事で同定出来た。
三俣山荘と鷲羽岳。ここも息子との思い出の場所。思い出に浸りながら通過。
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三俣山荘と鷲羽岳。ここも息子との思い出の場所。思い出に浸りながら通過。
鷲羽池と槍ヶ岳
絶賛冒険中
前回はこの景色を眺めて折り返したが、今回はさらに奥へと踏み込む。
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前回はこの景色を眺めて折り返したが、今回はさらに奥へと踏み込む。
そそり立つワリモ岳にたじろぐ。通過点に過ぎないと考えていたが、山頂直下が難関だった。
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そそり立つワリモ岳にたじろぐ。通過点に過ぎないと考えていたが、山頂直下が難関だった。
ワリモ岳から鷲羽岳を振り返って。鷲羽岳の登りから急激に積雪量が減り、ほとんど夏道のためアイゼンは基本外した。
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ワリモ岳から鷲羽岳を振り返って。鷲羽岳の登りから急激に積雪量が減り、ほとんど夏道のためアイゼンは基本外した。
水晶小屋直下から槍と鷲羽・ワリモ岳を振り返って
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水晶小屋直下から槍と鷲羽・ワリモ岳を振り返って
時間が微妙なのでここでテン泊するか悩んだが、危険箇所は明るい内に通過したいし、翌日の行程も考え出来るだけ進むことにした。
時間が微妙なのでここでテン泊するか悩んだが、危険箇所は明るい内に通過したいし、翌日の行程も考え出来るだけ進むことにした。
雪が緩んで難易度アップ。慎重にいけば問題なかったが、残雪期特有のリスクに気づけていなかった。反省。
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雪が緩んで難易度アップ。慎重にいけば問題なかったが、残雪期特有のリスクに気づけていなかった。反省。
東沢乗越からは暫く雪なし。所々雪があるのでアイゼン着脱をマメにする。
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東沢乗越からは暫く雪なし。所々雪があるのでアイゼン着脱をマメにする。
ゴールの野口五郎岳が見えてきた。一見巻道は雪がないように見えるが、ここから見えない北斜面は雪が残っていたので最後までアイゼン装着のまま進む。
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ゴールの野口五郎岳が見えてきた。一見巻道は雪がないように見えるが、ここから見えない北斜面は雪が残っていたので最後までアイゼン装着のまま進む。
太陽が沈む。所々適地はあったが風の通り道のためパス。ここまで来たらしっかり西風を防いでくれそうな野口五郎小屋まで無心で進む。
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太陽が沈む。所々適地はあったが風の通り道のためパス。ここまで来たらしっかり西風を防いでくれそうな野口五郎小屋まで無心で進む。
ビーナスベルトがかかる槍ヶ岳
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ビーナスベルトがかかる槍ヶ岳
マジックアワーの水晶岳
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マジックアワーの水晶岳
翌朝、雷鳥と遭遇。幸先良し。
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翌朝、雷鳥と遭遇。幸先良し。
絶賛冒険中
北アルプス南部が一望できる
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北アルプス南部が一望できる
笠ヶ岳から延々と続く尾根を目で辿る
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笠ヶ岳から延々と続く尾根を目で辿る
ブナ立尾根を目指して出発。基本的に西側の夏道は出ている。アイゼンは主に北斜面、必要な時だけ装着した。
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ブナ立尾根を目指して出発。基本的に西側の夏道は出ている。アイゼンは主に北斜面、必要な時だけ装着した。
野口五郎岳を振り返って
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野口五郎岳を振り返って
TJAR応援を兼ねて息子と縦走した立山方面。左端が越中沢岳だろうか?えげつないアップダウンだったが今となってはいい思い出。
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TJAR応援を兼ねて息子と縦走した立山方面。左端が越中沢岳だろうか?えげつないアップダウンだったが今となってはいい思い出。
雪のトラバースを避けて、名もなき山頂へ。ミニオベリスクのあるカッコいい頂きでした。
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雪のトラバースを避けて、名もなき山頂へ。ミニオベリスクのあるカッコいい頂きでした。
P2844は巻道で通過
P2844は巻道で通過
三ツ岳に到着。左に立山、右に後立山連峰。
三ツ岳に到着。左に立山、右に後立山連峰。
烏帽子小屋への登り返し。ここまでは雪が締まっていて歩きやすかった。
烏帽子小屋への登り返し。ここまでは雪が締まっていて歩きやすかった。
後ろ髪を引かれる思いで下山開始。
後ろ髪を引かれる思いで下山開始。
この時間ですでに雪はズルズルに緩み、非常に歩きにくい。急斜面はフロントポインティングで着実に。切り立った尾根は雪庇を避けるように、反対斜面をトラバースするように歩くところも多い。
この時間ですでに雪はズルズルに緩み、非常に歩きにくい。急斜面はフロントポインティングで着実に。切り立った尾根は雪庇を避けるように、反対斜面をトラバースするように歩くところも多い。
50mほど滑落した。
一瞬トレースを見失い、見つけたトレースについて行ったのが失敗の始まり。おかしさにすぐ気付き戻ればよかったが、トレースにならって10m程の斜面を横切って復帰しようとした。この日は雪が緩く、滑ったらヤバそうとは分かっていたが、フラットステップで進んでしまった。谷足でステップを作り足場を確認中に体勢を崩し滑落発生。すぐに滑落停止を行ったが、雪が緩いせいで全然止まらない。足は守るように折り曲げていた。何かの拍子に制動が効き始めなんとか停止。怪我はなかったが水筒を失った。
一旦右側の尾根に退避し元ルートに復帰した。
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50mほど滑落した。
一瞬トレースを見失い、見つけたトレースについて行ったのが失敗の始まり。おかしさにすぐ気付き戻ればよかったが、トレースにならって10m程の斜面を横切って復帰しようとした。この日は雪が緩く、滑ったらヤバそうとは分かっていたが、フラットステップで進んでしまった。谷足でステップを作り足場を確認中に体勢を崩し滑落発生。すぐに滑落停止を行ったが、雪が緩いせいで全然止まらない。足は守るように折り曲げていた。何かの拍子に制動が効き始めなんとか停止。怪我はなかったが水筒を失った。
一旦右側の尾根に退避し元ルートに復帰した。
滑落停止の効かない急斜面が続く。下降もトラバースもフロントポインティングで慎重に進む。
滑落停止の効かない急斜面が続く。下降もトラバースもフロントポインティングで慎重に進む。
中休みを過ぎても腐った急斜面が続く。権太落シ先のトラバースが終わるまで、一時たりとも気が抜けなかった。
中休みを過ぎても腐った急斜面が続く。権太落シ先のトラバースが終わるまで、一時たりとも気が抜けなかった。
1500m付近で完全に雪が消え、なんとか下山出来た
1
1500m付近で完全に雪が消え、なんとか下山出来た
雪解け水で流れは早そうに見えるが、渡渉ポイントから流れに逆らわず、斜め45度で進むとすんなり渡れた。
冬靴+スパッツなのでジャブジャブ入っても問題なし。
雪解け水で流れは早そうに見えるが、渡渉ポイントから流れに逆らわず、斜め45度で進むとすんなり渡れた。
冬靴+スパッツなのでジャブジャブ入っても問題なし。
久しぶりの人工物にホッとする。ここでランニングシューズに履き替え、15kmのロードに備える。
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久しぶりの人工物にホッとする。ここでランニングシューズに履き替え、15kmのロードに備える。
趣のある素掘りトンネル、蛍光灯があるのでヘッデンなしでも十分明るい。
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趣のある素掘りトンネル、蛍光灯があるのでヘッデンなしでも十分明るい。
高瀬ダム湖とさっきまでいたはずの北アルプスの峰々。反省点が多過ぎてまた行きたいという気にはなれなかった。また山に行けるようしっかりと振り返りをしようと思う。
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高瀬ダム湖とさっきまでいたはずの北アルプスの峰々。反省点が多過ぎてまた行きたいという気にはなれなかった。また山に行けるようしっかりと振り返りをしようと思う。
重荷を背負ってのロードはしんどいが、満開の桜に励まされた気がする。
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重荷を背負ってのロードはしんどいが、満開の桜に励まされた気がする。
大町ダムの旧坂、桜と松並木に眼を奪われるも、流石に足が痛くなってきてそれどころではない状況。
大町ダムの旧坂、桜と松並木に眼を奪われるも、流石に足が痛くなってきてそれどころではない状況。
ダム手前でコミュニティバスを見つけ声をかけると、大町エネルギー博物館からバスが出ているとか。上原まで歩くつもりだったのでラッキーである。
出発時刻まで数分しかなく、600mをひたすら走ってなんとか乗車できた。
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ダム手前でコミュニティバスを見つけ声をかけると、大町エネルギー博物館からバスが出ているとか。上原まで歩くつもりだったのでラッキーである。
出発時刻まで数分しかなく、600mをひたすら走ってなんとか乗車できた。
松本駅で1時間の電車待ち。途中下車して、改札出て右手のエスカレーターから駅ビルのレストランで夕食。
ガッツリと山賊焼きを頂きました。
2
松本駅で1時間の電車待ち。途中下車して、改札出て右手のエスカレーターから駅ビルのレストランで夕食。
ガッツリと山賊焼きを頂きました。
2日目の天気。単純に気温だけで語れないだろうが、12時頃に通過した三俣蓮華岳は締まっていた一方、16時頃通過した水晶小屋から東沢乗越にかけては緩んでいた。
2日目の天気。単純に気温だけで語れないだろうが、12時頃に通過した三俣蓮華岳は締まっていた一方、16時頃通過した水晶小屋から東沢乗越にかけては緩んでいた。
3日目の天気。朝から気温が高いが稜線上は締まっていた。9時を過ぎ標高も下がるブナ立尾根でグズグズに腐っていたのも頷ける。
3日目の天気。朝から気温が高いが稜線上は締まっていた。9時を過ぎ標高も下がるブナ立尾根でグズグズに腐っていたのも頷ける。

感想

残雪期にイグルー泊をやってみたい、昨年の続きで裏銀座縦走したい、ついでに笠ヶ岳にも登ってみたい。そんなやりたいことを詰め込んだ山行です。しかしそこに思わぬ落とし穴が。

終わってみると体力的には問題なし。イグルー泊も予備装備で凌げたのでこれも問題なし。ただ技術面はハシボウではないだろうが、慣れによっていい加減な所があった気がします。楽しかった思い出は写真に込めたので、ここでは反省点を書き連ねます。
自戒と共に、読んで頂いた登山者の他山の石となれば幸いです。

▪️滑落の顛末
写真に記載した通り、50mほど滑落した。
場所はブナ立尾根の1930m地点、三角点から70m程降ったところ。地図には表れない小さな尾根が分岐する場所で、その手前でも道を間違えかけていた。
一瞬トレースを見失い、見つけたトレースについて行ったのが失敗の始まり。おかしさに気付くと同時にトレースの方向が変わったところで地図を見ると別の尾根を降り始めている事が分かった。戻ればよかったがトレースにならって10m程の斜面を降りつつ横切って復帰しようとした。この日は雪が緩く、滑ったらヤバそうとは分かっていたが、フラットステップで進んでしまった。右足(谷側)でステップを作り踏み込んだところ足場が崩れ、右足だけズルズル落ちて行き、ピッケルで体勢を維持できなくなったところで滑落発生。すぐに滑落停止を行ったが、雪が緩いせいで全然止まらない。足は守るように折り曲げていた。水筒が飛び出したのが横目に見えたが、視線は胸元のピッケルに集中しとにかく力を込めるだけ。何かの拍子に制動が効き始めなんとか停止。怪我はなく、失ったのは水筒だけだった。
体勢を整えて一旦右側の尾根に避難。そこから登り返すのと、トラバースを天秤にかけ、フロントポインティングでいけばリスクは同じと判断してトラバースで元ルートに復帰した。
なお、トレースは真新しいのが1つと、消えかけているのが2~3程度。

▪️直接的な原因
・なぜ道を間違えたか
三角点までは尾根が明瞭で、トレースもあったので、方角への意識が薄れていた。また三角点から2方向に尾根が分岐し、北に向きを変える事は認識していたが、細かい支尾根の存在を読み取れていなかった。そのため、トレースを見つけた際、それは北ではなく北東の支尾根なのに、それしか尾根が見えなかったので疑いを持たなかった。

・なぜ登り返さなかったか
腐った雪と急斜面の連続で思うように下れず、半ばイラつきのようなものがあった。間違った方向に降り始めて10m程度。普段なら登り返すが、面倒くさいが勝ってしまった。

・なぜフラットステップで進んだか
これも面倒くさかったから。雪の状態的にフロントポインティングで行くべきだとは思ったものの、トレースは普通に歩いているし、自分も大丈夫だろうという根拠のない自信、慢心もあった。また判断を他人任せになんて普段はしないが、やはり疲れていたのかもしれない。

・なぜ滑ったか
ステップを作り、足場を確認してから体重を乗せるように歩いていた。が、問題の一歩は確認中に足場が崩れ、体重も乗せすぎていて足を引き戻せず、山側の爪だけが雪面に掛かった状態でズルズルと滑っていった。今思うとペースを上げたいという気持ちが心のどこかにあって、重心移動が雑になっていたのかもしれない。

▪️間接的な原因
・計画の問題
挑戦的ではあったが、今までの延長線上のステップアップという認識だった。しかし、初日は悪天候、急登と名高いルートを組み込み、残雪期イグルー、行程も最長クラスと、要素を組み合わせると大きな一歩になっていたかもしれない。安全マージンを犠牲にするようなステップアップになっていないか、客観的に考えようと思う。
体力的にはそこまで無理はなかった。ただ疲れが溜まり始める頃と、雪が緩む時間帯、危険箇所を通過する時間帯が重なっており、そこが考慮不足だった。
予備日とエスケープも設定していたし、それも考えたが、結局それを選択する事はなかった。余裕のあるうちにその判断をするのは難しい。

・残雪期の認識の甘さ
残雪期は気温変化により雪の状態が目まぐるしく変わる。雪崩れ、落石、シュルンドなど読みにくいリスクが多く、厳冬期より厄介とさえ思っていた。実際、イグルーが作れず、厳冬期装備でも荒天時は厳しかった。腐った雪の急斜面を歩く経験があまりなく、残雪期リスクとして見落としていた。

▪️その他
ザック重量23.5kg

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無雪期ピークハント/縦走 槍・穂高・乗鞍 [5日]
笠ヶ岳・水晶岳
利用交通機関:
技術レベル
3/5
体力レベル
3/5

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