思えば遠くへ来たもんだ 上高地発扇沢行き
- GPS
- 104:00
- 距離
- 64.3km
- 登り
- 5,350m
- 下り
- 5,431m
コースタイム
- 山行
- 1:15
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 1:15
- 山行
- 11:40
- 休憩
- 1:00
- 合計
- 12:40
- 山行
- 7:00
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 7:00
- 山行
- 7:35
- 休憩
- 1:15
- 合計
- 8:50
- 山行
- 7:50
- 休憩
- 1:20
- 合計
- 9:10
計画が決まらないまま出発前日になり北アへ上高地から入ることだけ決めルートは現地で考えることにし出発した。
帰りが日曜で混雑すると思い一旦は上高地から帰るバスも予約したがそれに囚われてしまうのを恐れキャンセルした。
天候 | 7日(水) 夕方から小雨 8日(木) 午前中小雨のち曇り、午後から夕方まで雷雨 9日(金) 午前中晴れ、午後から曇り 10日(土) 午前中快晴、午後から曇り 11日(日) 朝だけ晴れたが終始曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2016年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
帰路は扇沢から新宿まで高速バス |
写真
感想
7日(水)
仕事を朝だけで切り上げさせてもらい午後一番の特急あずさに乗るため新宿へ。
中央線の人身事故が特急にも影響し27分の遅れで出発、松本には31分の遅れで到着。
松本からの上高地線にも一本遅れ上高地に17時20分に到着、時間がないので早速出発。
小雨が降っていたがザックに入れたはずの傘が見つからないため雨具を羽織る。
小梨平のキャンプ場に泊まるか悩んだがまだ明るいので徳沢を目指すことにする。
1時間ちょっとで徳沢に到着、翌朝早く出たいのでテント泊ではなく素泊まりで受付。
徳澤園は井上靖の『氷壁』の作中に出てくる徳沢小屋のモデルとなっている宿であり
小説は読んでないが増村保蔵監督の映画の方を観て泊まってみたいと思っていた宿だ。
夕食には間に合わなかったがメニューが大変魅力的であり再訪しようと心に誓う。
お風呂に入りカレーパンと缶ビールの簡素な夕食をとり消灯までサロンで寛ぎ就寝。
8日(木)
早朝3時半に起きるが外があまりに暗いため待機し結局出発したのは5時。
出がけにはまだ降っていた雨は横尾に到着する頃には止んでしまった。
横尾で雨具をしまいちょっと休憩した後ここからは槍ヶ岳方面を目指して歩きだす。
ルートは決まってないというものの実は伊藤新道を通ってみたいという野望はあった。
但し日曜に帰ることを逆算するとこの日のうちに三俣山荘まで行かないと後半きついため
水俣乗越から北鎌出合へ下り天上沢を下って湯俣へ抜けるショートカットに切り替えた。
それで湯俣に着いてまだ気力があったら伊藤新道を登り返せばいい、と考えたのだ。
槍沢ロッヂ前のベンチで朝食をとる、少し先のババ平には綺麗なトイレがあった。
槍沢大曲りから水俣乗越を越えてザレた急坂を下っていくと北鎌出合に到着。
あいにく雨雲が山頂部を覆っていたため北鎌尾根の全貌は見ることができなかった。
この頃から雷鳴が轟きはじめるが雷が苦手なため稜線を歩いてなくて良かった思う。
しとしとと降り始めた雨はいつしか本降りになり早めに下りないと増水の危険がある。
かつては北鎌尾根へ向かうメインルートであったが今は廃道同然で道は荒れ放題。
千天出合で千丈沢と合流すると水量はさらに増え渡渉が厳しいところも現れ始める。
渡渉中にバランスを崩し流されそうになりながらもなんとかクリアしたがカメラが水没。
スマホも一時的に写真が撮れなくなったが途中で復活、画面には水染みが残った。
浅瀬では渡渉、深場では高捲き、時には岩壁登りを繰り返し何とか湯俣に到着。
晴嵐荘でテント泊の受付をし食事とお風呂をすませ就寝、夜は星が綺麗だった。
9日(金)
朝食をとったあと噴湯丘へ行きかけたが沢が増水し渡れそうにないため途中で戻る。
この条件だとさぞかし伊藤新道は厳しいだろう、と烏帽子小屋へ向かうことにする。
この時点で不動岳を抜け船窪小屋に泊まり針ノ木峠から扇沢に下山する計画に確定する。
出発した時点では晴れていたが高瀬ダムに着く頃には山の上は雲に覆われ始めていた。
恐る恐る丸木橋を渡りブナ立尾根登山口、北ア三大急登というだけあり急登が続く。
今回の荷物は水を入れて約20kg、酒を持って来なかったわりにやたらと重い。
寒さを恐れて服を持ちすぎたのと食糧が多かったようで特に食糧は半分以上余った。
重さに耐えかね何度も休憩し14時20分頃に烏帽子小屋に到着しテント泊の受付をする。
受付用紙の明日の目的地に船窪小屋と書いたら小屋番の女性も明日行くと言っていた。
ガスに包まれ視界が悪い上に寒いため食事をとった後は早々にテントに篭って眠る。
夜中外に出ると満天の星空と月明かりに照らされた北アの山々が幻想的だった。
10日(土)
3時半に目を覚まし朝食のラーメンを食べてからテントを撤収し5時過ぎに出発。
途中ニセ烏帽子の山頂で日の出を拝み、烏帽子岳山頂、池塘が点在する烏帽子田圃、
崩落が進んでいる南沢岳、不動岳、船窪岳を経由して船窪小屋に到着。
水は1.5リットル持ったが天気が良すぎて早々に枯渇し、後半はほとんど脱水状態。
そのため船窪小屋に到着しテント泊の受付を済ませて飲んだビールが一際旨かった。
小屋からちょっと離れたテント場に戻り設営を済ませ水場で水を汲んで小屋に戻る。
この日のテントは5張、自分の他にもルナーソロが1張あったが持ち主には会えず。
最初小屋泊のつもりだったが定員を大きく超えているというのでテント泊にする。
なので食事だけお願いすると16時半からというのでビールを飲んで待つ。
先に着いてた烏帽子小屋の小屋番の女性がお話につきあってくれたので退屈しなかった。
彼女も旅が好きで一人で海外によく行っていた時期があるとか、そんな話をしていたら
ふと、山小屋って海外旅行におけるバックパッカー宿みたいなものなんだなと感じた。
例えば映画『バグダッド・カフェ』の舞台であるカフェ併設のモーテルなどまさにそれで
旅人たちが宿で時間を共有するうちに次第に疑似家族のような心の絆を感じはじめる…
という様な感慨に耽っていたら外のテーブルに食事が用意されはじめ夕食タイムとなる。
昨年訪れた際も感動したが地のものを使った見目麗しい献立に改めて感動する。
食後はビールを飲みつつ夕陽を待つがガスがかかったまま日が暮れてしまった。
11日(日)
23時くらいからずっと起きていたがふと眠ってしまったらしく目が覚めたら4時半。
5張あったテントも既に2張なくなっていて残った2張も撤収をしている最中だった。
テントを片づけすぐ扇沢へ向かうつもりだったが心寂しいので船窪小屋へ寄り道してみる。
船窪小屋に到着する頃ちょうど雲海の上に朝陽が登り多くの宿泊客がそれを眺めていた。
鯖の缶詰め入りのラーメンを作るが調理の水をケチったため塩辛すぎる出来栄え。
6時に扇沢へ向けて出発する、船窪小屋のお母さんが鐘を鳴らして送ってくれた。
七倉岳からは一度大きく下って北葛岳へ登り返す、鎖場などもありそれなりに険しい。
蓮華岳手前で黒く蠢く熊っぽい姿を見かけたがそこを通過する頃には影も形も無かった。
蓮華岳から針ノ木峠に向かう途中ひときわ大きなザックを背負った若者に出会う。
あと1週間ほどかけて裏銀座を抜けて焼岳まで歩き通すという、彼が少し羨ましかった。
10時40分に針ノ木峠に到着、時間があるので針ノ木岳にも登ってみることにした。
ザックを小屋の前にデポ、軽装だったこともあり30分ほどで山頂に到着。
曇っているが周りをとりまく山はよく見え今まで歩いてきた北アルプスの思い出に浸る。
遠目には槍ヶ岳も見え、あの向こうから来たと思うとふと懐かしい歌が頭の中を流れる。
思えば遠くへ来たもんだ ここまで一人で来たけれど
思えば遠くへ来たもんだ この先どこまで行くのやら
針ノ木峠に戻ると八ヶ岳でご一緒したことのある女性にお会いできしばしお話をする。
12時半を過ぎたので扇沢へ向け下山、聞いてはいたが針ノ木雪渓には全く雪が無かった。
途中の沢で水浴びをし、余裕もあるのでゆっくり歩いて15時10分に扇沢駅に到着。
荷物の整理をし、お土産など購入して新宿行き16時10分発の高速バスを待った。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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お疲れさまでした。
私は本格山屋になりたいけど、体力も精神力もないし観光登山で登ってます。
水俣乗越から先のルートは、あるのは知ってても予想外のルートですね。
涸沢へヒィヒィ行ってる自分では実行できない縦走です。普通は大天井岳に行くと思いますが、お一人でこのルート行かれるのは
凄い です。
8日の雨の中湯俣温泉まで13時間弱もうついていけませんね。
並の体力精神力では、めげてしまいます。
高瀬ダムから登り返して烏帽子そして蓮華岳、扇沢ですか。
考えるだけでも疲れ そうです。
感想を楽しく読ませていただきました。少しは縦走した気分が味わえました。ありがとうございました。
okuho1banさま
ご覧いただいたうえコメントまでありがとうございます。
自分は本格山屋になりたいという願望はなく観光登山でいきたいくらいですが
山行の度にだんだんと荷物が増えて特に今回はヒィヒィいいながら登ってました。
理想はジャケットのポケットに入るだけの装備で縦走したいのですが…
ちなみに湯俣温泉までの天上沢の下りは長い割にそれほど疲れなかったです。
それでも沢が増水し徒渉できない箇所など少し危うい場所はありました。
そのためルートファインディングに苦労し予定より1時間半ほど押しました。
ブナ立尾根は整備され安心感があったけど荷物の重さにあの急登は苦労しました。
いつもはお酒類を3kgから5kg持ち運ぶのですが今回は軽量化のため全てカット!
…したはずが結局ザックの空いたとこに色々入れて寧ろ普段より重くなったかも。
不動岳を経由しての烏帽子〜船窪間はきつい登りも無く景色も大変良かったです。
返信のはずがいつの間にか感想になってしまいました、これからも覗いてみてください。
レコにコメントを頂いた蓮華でお会いしたオッサン2人のうちの小さい方です。あなたのレコを読んであまりの長駆にぶったまげたところでした。いやはやお疲れ様でした 。また、下山時に見かけた親子4人連れが無事とのことで安心しました。
当方のなまくら山行のレコ写真の後ろから6枚目、「改めて蓮華岳から針ノ木岳」の写真右下に大荷物を背負って駆け降りるmonkichikunさんの後ろ姿が写っています。豆粒以下で判別は困難ですけれど・・・。またどこかの山でお会いしましょう
zaoluck さま
親子連れと会ったのは雪渓(雪はないが)の一番下の橋のところで小さい子がよちよち歩きだったので大変そうだな、明るいうちに着くのかな、などと思っていたのですが不思議にも扇沢には自分の30分遅れ程度で着いていました。
写真ありがとうございます。
monkichikunさん、こんにちは。
お互いお疲れ様でした♪・・・っと言っても私は1泊2日ですが(笑)
当初のコースは私の想像を更に超えていたんですね!「伊藤新道」名前すら知らなかったです、三俣蓮華から湯俣温泉に抜けるルートがあるなんて‼
大天井側の貧乏沢から天上沢に出るルートでギリ知ってたくらい(笑)
過去記録も少し拝見しましたが沢登りがお好きなんですね〜なるほど納得(^。^)
ルナーソロテントもカッコイイ‼でも設営面積必要だしテンションしっかりかけないと風に弱いとか・・大丈夫なもんですか?
それにしても凄まじい体力!工程が長いとはいえ累積登り標高5500m、恐れ入りましたm(__)m
表現は悪いのかもしれませんが自由気ままな山旅って感じました、羨ましいです♪
また何処かでお会い出来たらイイなと思っています(^O^)/
kabukiyaさん、こんにちは
伊藤新道のことは昨年湯俣を訪れた際に教えて頂き、ロマン溢れる登山道だなと憧れていたら詳細なレコを上げてくださっている方がいて一気に現実味を帯びてきていたところでした。もう少しマイナーですが宮田新道という千丈沢を登って西鎌尾根に合流するルートもあるようです。
沢登りは体験レベルをまだ三回ほどやっただけの初心者ですが夏の登山のオプションとしてこれからも取り入れていきたいと思ってます。
ルナーソロは過去にも山で三回使ってそれほど問題なかったのですが今回はかなり結露しました。湿度と気温に左右されるのかもしれません。ワンポールとしてはしっかり張れる方だとは思うのですが風が強い稜線ではどうでしょうね?
雨のため中止しましたが昨年船窪小屋から不動岳を経由しての七倉下山を計画していましたが逆の登りルートで来る人がいるとは考えもしませんでした、しかもテント泊装備で。
また北アルプスでお会いできるかな、と思ってます。
その時はよろしく(^-^ゞ
お疲れ様です!ものすごい長い縦走ですね!しかもみんながこぞって行くような縦走路ではない玄人好みのルート!感心しました!
個人的には船窪小屋の夕食に感動してしまいました!あれは何度でも食べに行きたいですね!
あと徳澤園の夕飯もメニュー見ただけで魅力的でした。
わたしにはまだ体力がないのでここまで縦走は出来ませんがかいつまんで少しずつ北アの山にチャレンジしてみたいと思います!ぜひ参考にさせてください(^^)/
上高地から湯俣方面へ抜ける最短ルートだと考え実行しました。
ただ雷雨の予報なのに一人で沢を下るのは軽率だったな、といささか反省してます。
実際結構危ういところもありカメラ1台水没しただけで済んで良かったくらいです。
今回間に合いませんでしたが湯俣晴嵐荘の夕食も美味しそうで再訪を誓ってます。
夏の縦走は浪漫溢れる山旅で計画してるだけでも楽しいです。
matako0530さんの北アレコも楽しみにしてます。
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