槍ヶ岳−大キレットを越えて−
- GPS
- 54:25
- 距離
- 57.5km
- 登り
- 4,265m
- 下り
- 4,245m
コースタイム
- 山行
- 7:05
- 休憩
- 1:24
- 合計
- 8:29
- 山行
- 5:00
- 休憩
- 2:45
- 合計
- 7:45
- 山行
- 5:22
- 休憩
- 0:57
- 合計
- 6:19
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
・上高地行バス 大人1人片道1,160円 ※あかんだな駐車場は車中泊禁止。4時ゲート開門。始発便は人数多い場合は増便される模様。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
■上高地バスターミナス⇔横尾:問題なし ■横尾→涸沢小屋:整備されている問題なし。 ■涸沢小屋→北穂高岳:急登で厳しい。個人的にはザイテングラードよりキツイ。難易度も高いのではないか。 ■北穂高岳→南岳(大キレット北上):北上の場合の核心部は長谷川ピークでも飛騨泣きでもなく、北穂岳直下のくだり。人口落石の可能性高い箇所が多々ある。すれ違いは極力避けたい。 ※南岳からの南下の場合は長谷川ピークがくだりになり、そこが核心部か。南岳直下はハシゴ等あり、下りでもそれほど難しくないか。 ■南岳→中岳→大喰岳→槍ヶ岳山荘 整備されており、慎重に歩けば問題ない。 ■槍ヶ岳山荘→槍ヶ岳→槍ヶ岳山荘 ハシゴの高度感はあるが、ハシゴ、クサリが整備されているので実際にはそれほど難しくはない。 ■槍ヶ岳山荘→ヒュッテ大槍 東鎌尾根は岩稜帯であり、ハシゴもある。 ■ヒュッテ大槍→槍沢ロッジ→横尾 整備されており危険個所なし。 |
写真
装備
共同装備 |
長袖シャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
ゲイター
日よけ帽子
着替え
靴
ザック
ザックカバー
サブザック
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
ハイドレーション
地図(地形図)
コンパス
笛
ヘッドランプ
予備電池
GPS
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
カメラ
ヘルメット
携帯トイレ
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感想
【感想】
3年越しの目標だった槍ヶ岳&大キレットに挑戦!一生の思い出に残る縦走となりました。
一昨年、槍ヶ岳から穂高縦走を計画していたものの、天候不良のため中止。去年は1泊2日の日程した取れなかったため、奥穂・前穂縦走に切り替え。
今回は2泊3日の行程、天候も良さそうということで、北穂から大キレット経由での槍ヶ岳登頂を目指しました。
天気は最高!槍を目的地に大キレットを通過するのはワクワクしました!
しかも、泊まってみたかった北穂小屋とヒュッテ大槍の両方に泊まることができて大満足。北穂小屋では群馬の方に群馬の百名山のお話を聞けたし、ヒュッテ大槍では北アルプスを歩きつくしている猛者の人、北アルプス初めてなのに中房温泉から表銀座を縦走して1日でヒュッテ大槍まで来たという25歳の好青年と消灯近くまで山談義。楽しかった!
さて、大キレットは南岳からの南下が一般的だけど、北穂小屋から朝一で体力・集中力のあるうちに難所を越えてしまえること、また、朝一の方がすれ違いも少なくて落石を起こす、起こされるリスクも少ないと判断。剱岳、八峰キレット、奥穂、吊尾根など経験を積んでいるので、長男も比較的スムーズに通過できました。
というか、大キレットよりも槍ヶ岳山頂の方が狭いし、人がいっぱいで怖かった・・・。
ただし、いつものように左膝が痛み、3日目の長い下りと横尾からの平坦な道のりが苦行なのでした・・・。
【槍ヶ岳】百名山75座目、長男(中3)74座目
【記録】
◆1日目:上高地→横尾→涸沢→北穂高岳・北穂高小屋(泊)
4時50分の始発バスに向けて4時半頃にあかんだな駐車場に到着するも既に行列。3台目の臨時便にて上高地入り。約1年ぶりの上高地。前回は奥穂・前穂縦走だった。
バスを降りると周りは登山者でごった返している。まだ6時前なのに!
バスターミナルで長男はトイレに入る。私もトイレと思ったが行列ができ始めており落ち着かない。
まぁ上高地から横尾までは途中にテント場、明神館、徳沢園とトイレが多いので大丈夫だろうと歩き出す。
登山靴は本日デビューのLOWAタホー。幅広で足に窮屈感がない。まだ革が硬いようで紐の結ぶ強さが掴めなかったがじきに馴染んでくるだろうと考えて歩く。
明神館まで歩いて小休止。ここでトイレを済ませる。すっきり。
つづいて黙々と歩く。前後するパーティーはワイワイ楽しそうにしゃべりながら歩いている。私達、親子は黙々と歩く。人が多いと安心感があるが、静かな山行が好きなのでテンションはイマイチあがってこない。
徳沢園も人がいっぱい。でも、帰りにはここのソフトクリームを食べるというのをご褒美に頑張ろうと思った。
平坦な道を歩き続けてようやく横尾。長かった。帰りにこの距離を歩くことを考えると気が重くなる。
さて、横尾から涸沢までは去年と同じ道。天気は快晴。途中、屏風岩や穂高の山並みが楽しめた。あーこんな場所あったなぁ。と思いながら歩く。小休止を入れながら涸沢分岐。去年は左に登り涸沢ヒュッテに立ち寄ったが、今回は右。まずは涸沢小屋を目指す。既に5時間歩いているので疲労が出て来ている。息も切れる。ハァハァ言いながら小屋到着。テラスは抜群の景観。涸沢ヒュッテから見上げる穂高も良いが、涸沢小屋からカールと前穂を見るのも良いもんだ。
少し早めのお昼にする。私はカレー、長男はラーメン。せっかくだからおでんも注文しちゃおう。これから登るにしてはちょっと食べ過ぎだったかも。
ちょうど同じ頃に休憩していた単独の女性と中学生ぐらいの男の子と母親のパーティとほぼ一緒に北穂に向けて登り始めた。帽子からヘルメットに替える。
しかし、急登の連続で息が切れる。足は疲労が出てくる。ペースがあがらない。単独の女性も親子もどんどん登って行って全然追い付かない。いやー、やっぱり上高地から一気に穂高の稜線に向かう人は健脚ばかりだとレベルの差を痛感。
特に前半は日が照り付けてじりじりと体力が奪われるようだった。途中からは曇ってきたので登る分には楽になった。
南稜取り付きからはクサリが出てくる。登りだということもあり、両手両足を使って登っていく。きついがどんどん標高を上げていけるのが良い。すれ違いも少なくて助かる。ふと、振り返って奥穂高への登山道であるザイテングラードを見てみると沢山の人が歩いているのが見える。北穂の方が静かなクライムを楽しめるようだ。
ずいぶんと標高を上げていったが、途中から左膝が痛くなりはじめる。下山時に痛めることは多々あったが、登りで痛みを感じたのは初めて。明日、明後日と膝がもつかなと心配になってきた。
いつの間にか奥穂高山荘よりも標高が高いようだ。真後ろには常念岳が良く見える。奥穂から吊尾根、前穂までの稜線もしっかり見える。「去年はあそこ歩いたんだよなぁ」などと長男と話をした。
奥穂高山荘よりも目線が高い位置にくるといよいよ山頂付近。北穂高小屋のテント場までやってくるが、そこから北穂山頂までは若干遠かった。一気に岩場を登って北穂高岳登頂!
槍ヶ岳方面は槍ヶ岳は見えるものの縦走路はガスに覆われて良く見えなかった。とりあえず写真撮影。
おじさんが写真を撮ってくれるというので長男と2ショットで撮ってもらった。
「兄弟?」とおじさんに聞かれたので「いえいえ!親子です」答える。長男が大人っぽくみえるのか、私が子供っぽく見えるのか。複雑な気分。
さて、とりあえずはチェックインしないと!と山頂から1分で北穂高小屋に到着。早々にチェックインの受付。受付のお嬢さんが愛想が良くて可愛らしかった。説明も丁寧だ。さて、今日は布団3枚で2名とのこと。ハイシーズンの土曜日だからまだましな方だろう。荷物を片付けてさっそく北穂小屋のテラスへ。ここのテラスからの景色も見たかった。残念ながらテラスはほぼ満席状態だったため、テラスに一番済のベンチに座る。長男はコーラ、私は生ビールで乾杯!槍ヶ岳への縦走路は飛騨側にガスがかかっているものの、しっかりと確認できる。常念山脈の山並みもしっかりと見える。至福の時間である。2本目は缶ビール、長男も炭酸3本飲み干して一旦寝床へ。夕食まで仮眠を取る。夕食は2回戦目に参戦。この小屋のもうひとつの楽しみ「豚の生姜焼き」。ああ、美味しい!!本日3本目となる缶ビールを飲み干す。
食事が終わり、少し人気が無くなったテラスへ。売店で赤ワインをボトルで購入して夕景を楽しみながら飲む。ちょうど隣の人が「あの双耳峰が鹿島槍ですね」と教えてくれて、そこから色々と山談義。群馬の方らしく、群馬の百名山の話を聞かせてくれた。上州武尊は冬に登りたいと話をすると「空気が澄んでいるので絶対に冬がいい」と仰っていた。それから、皇海山のアプローチが大変な話、本当は庚申山荘から登るべきといったことなど。「鋸山の方が眺望良かったです」と伝えると、「登った人は皆そう言う!」と激しく同意していただけた。
ひとしきりお話をさせていただいて寝床に戻る。酔いもあってすぐに寝付けたが1時ごろに目が覚める。頭が痛い。高山病?いやいや飲み過ぎで二日酔い。そのままぐっすりと寝付けないまま朝を迎えることに。
◆2日目:北穂高小屋→大キレット→南岳→槍ヶ岳→ヒュッテ大槍(泊)
頭が痛くて全然寝付けない。二日酔いというよりはアルコールによって脱水気味になってのことだろうと思ったが、消灯中なので水分補給や頭痛薬を飲むのは控えた。
4時に電気が点く。ザックから頭痛薬を取り出して飲む。
朝食1回戦目の時間になり列に並ぶ。最後の二席に滑り込んだ。ラッキー。朝食は目玉焼きにウインナー。御飯をお替わりした。
朝食が終わってのんびりと準備を開始する。長男がトイレに行っている間に小屋を出てサンダルで北穂高山頂へ行き、写真撮影。既に準備をして涸沢岳方面へ縦走する人達がたくさん。今日も快晴。北穂山頂から大キレットを経由して南岳、そして槍ヶ岳までの稜線がくっきり見える。今日、歩く予定の稜線である。
部屋へ戻って、準備をしてテラスに出た。もう売店が開いていて従業員の女の子がコーヒーを淹れている。槍ヶ岳を見ながら美味しいコーヒーを一杯飲み干す。贅沢な朝の一杯だ。
ヘルメットをかぶってザックを背負って小屋を出発する。気持ちを引き締める。
小屋からはいきなりの急下降。後ろ向きにクライムダウンしていく。しかし、大キレットを見下ろしながら降りていくのはなかなかない経験だ。
長男もゆっくりとだが確実に降りていく。これぐらい慎重な方が良い。
しかし、天気が良い。飛騨側には笠ヶ岳。そこから続く双六、奥には黒部五郎なども。素晴らしい景色だ。ハシゴやクサリもあってなかなかの高度感。
「北ホあと200m」大キレットの解説であるペンキマークまで到達。かなり下ってきた。ここからは滝谷の絶景を見ながら岩場が続く。さて、核心部のひとつ飛騨泣きに到達。大キレット北上の場合、飛騨泣きが下りになるので難しいと解説されていることが多い。気を引き締めて慎重に歩く。いやらしいところにはクサリが設置されており、足場もしっかりしている。思っていたほど難しくはなかった。長男も難なくクリア。ただ、悪天候時は怖いだろう。それこそ、昔、クサリがなかったころはかなりハードだっただろう。
飛騨泣きの最後の下りはステップが打ち込んである。上からは見ずらい位置にあるが、事前にネットで調べていたこともあって、すぐに見つけることができた。
長男は見えなかったらしいが、私が指示を出して足場を確認させて降りる。
飛騨泣きを過ぎても岩場は続く。難易度はそれほどでもないが、ザレている箇所もあり注意しながら下る。
ようやくA沢のコルに到着。
すると反対側から小学生と父親のパーティーがやって来ていた。小学生で大キレットはスゴイ。去年も涸沢岳山頂で小学校2年生で表銀座から大キレットを越えてきたという親子がいたが、世の中にはスゴイ家族がいるものだ。
A沢のコルで小休止して、次の難所である長谷川ピークへと向かう。
大キレット北上の場合、長谷川ピークは登りになるのでそれほど難しくは感じない。ただ、団体登山者とのすれ違いに時間がかかってしまう。
長谷川ピーク手前で白人の登山者とすれ違う。
体を避けてすれ違いを待つと「How ・・・・?」と話しかけられるが、よく聞き取れず。上手く返事ができなかった。家に帰って長男に何て話しかけれたがわかったか聞いてみると「この先の道はどれぐらい難しい?」って話してたよとのこと。長男は長男で”どれぐらいって言われても逆ルートの難しさがわからないからなぁ”と返答できなかったとのこと。
団体とのすれ違いが終わるとすっかり静かになった。ほどなく長谷川ピークに到着。ほぼ貸切状態だった。思ったよりも広いなぁというのが印象。「Hピーク」のペンキで写真撮影する。
長谷川ピーク後は快適な稜線歩きが続く。天気は快晴。まだまだ体力に余力もある。楽しいトレイルだ。最後は南岳への急登。かなりの登りであるが、長いハシゴなどで問題なく進める。両手両足を使ってどんどんと標高を上げていく。獅子鼻まで上り詰めると南岳小屋が見えた。
獅子鼻で大キレットを振り返って達成感にひたった後は南岳小屋にて休憩。南岳小屋にいた登山客の大半は韓国人だったのにびっくり。キレットの途中も韓国人の団体に何組かすれ違った。日韓関係悪化で韓国人旅行者が減ったとニュースで言われているが、北アルプスは別なのだろうか。
南岳小屋で冷たい飲み物で休憩。ヘルメットを脱いで帽子をかぶる。昨日の終盤から左膝が痛み始めていたため、念のためサポーターを着用して歩くこととする。槍ヶ岳まではまだまだ距離がある。
小屋を出発し槍ヶ岳を目指して、南岳・中岳・大喰岳の3,000mの山々を縦走する。どんどん槍ヶ岳が近づいてくる好展望の縦走路だ。とはいっても、それぞれの山頂まで登って、くだって次の山頂に登る、というのを繰り返すので徐々に疲れが溜まってくる。ハシゴなどもあるが、登山道は整備されているので歩きやすいのは有難い。
3つ目の大喰岳の山頂にたどり着くと、目の前に槍ヶ岳がドーンと聳える。さぁここまでくれば槍ヶ岳はすぐそこ。飛騨乗越まで一旦下って、また登って槍ヶ岳山荘に到着。槍ヶ岳山荘前は人でごった返している。まずは腹ごしらえ、と、山荘内の喫茶スペースで昼食。長男は牛丼、私は麻婆丼を注文。大変美味しかった。
山荘で長男はザックをデポ。私はサブザックに一眼レフを入れて槍ヶ岳山頂へアタック。さすがに整備されており、難しい箇所はなかった。心配していた渋滞もそれほどなくて無事に登頂。狭い槍ヶ岳山頂は人がいっぱいで長居できそうにない。とりあえず祠前の写真撮影待ちの列に並んで写真撮影。どんどん人が登って来るので、早々に下山することとする。下山は前を降りるお爺さんが覚束ない足取りでクサリに頼って降りていくのをヒヤヒヤ見ながら下った。
さて、山荘まで降りたら本日の宿「ヒュッテ大槍」へと向かう。東鎌尾根を下っていくが結構な岩場が続く。整備はされているので難しくはない。ここで、学生の団体数パーティとすれ違い。あいさつが元気よくて、こちらも気持ちよくなる。
ヒュッテ大槍が近づいてきて、そろそろ到着だなと思っていた矢先、岩場でつまづいて前向きに転倒し、右ひざを強打。気が緩む時が危ないというのを改めて痛感する。
幸い歩行に支障はなくヒュッテ大槍に到着。到着して早速チェックイン。着替えて、食堂で生ビールとコーラで乾杯。途中で小屋裏の槍ヶ岳が望めるベンチに座って景色を眺めながらビールを飲みながらゆったり過ごす。至福の時間。
さて、夕食の時間。この小屋もお楽しみは夕ご飯だ。テーブルごとにペペロンチーノの大皿、さらに一人づつに白ワイン付き!評判通りの夕食でした。
そして、その夕食で同テーブルとなった方々(我々親子以外は皆さん単独行)と山談義で盛り上がる。私はひとり赤ワインを追加して飲みながら参加。
今朝、中房温泉を出発して表銀座を歩いてヒュッテ大槍まで来たという25歳の新潟の青年。健脚ぶりに驚くが登山を始めて1年、はじめての北アルプス、はじめての小屋泊というのに驚く。明日は槍ヶ岳に登って南岳、余裕があれば大キレット通過して北穂か奥穂まで行きたいとのこと。その後は前穂から岳沢経由で生まれて初めての上高地に行きたいとのこと。それには皆さんがびっくり。
槍平小屋から南岳を経由して登ってきたという大阪の方。北アルプス全域を歩いていらっしゃるらしく色々なお話をきかせてくださった。
北アルプスの小屋を泊まり尽くしたこちらも大阪の方。ほとんどの小屋に泊まっていて(ということは、ほとんどの山を登っている)、おすすめの小屋を教えてくださった。
今日、天狗池で逆さ槍を撮影してきたという方。こちらも相当の健脚だった。
新潟の青年が「実は上高地降りた後、北岳・間ノ岳の縦走をしようかと思っているんだけど、おすすめの山はありますか」との質問。「どれだけ休みあるの?」とひとしきり皆が突っ込んだ後は、それぞれがおすすめの山を語りだし、終いには北アルプスの地図を広げてルートの解説が始まる。消灯間近まで山談義で盛り上がった。
◆3日目:ヒュッテ大槍→槍沢ロッジ→横尾→上高地
同部屋は新潟の青年。6人寝れる2段ベッドに3人だったので前日と比べて快適に寝ることができた。4時に小屋の電気が点いたので起床。回りの人達は出発の準備を始めるが、この日は上高地へと下るだけなので、まったりと食事の時間を待つ。
4時半の朝食はガラガラで同部屋の新潟の青年と同じテーブルでご飯を食べる。「体調はどう?」と聞くと「大丈夫ですけど、まずは南岳まで行ってみてキレットを越えるか決めることにします」とのこと。彼の健脚ぶりだと南岳まででは物足りないだろうが、自分の体調を確認しながら判断するのは登山では大事なことだろう。「夏山は時間が遅くなると雷雨が怖いから、槍ヶ岳で渋滞にはまったりして南岳で時間が遅くなるようだったら泊まった方がいいよ」と伝えた。
朝ごはんも白身の焼き魚が脂が乗っていてとてもおいしかった。
朝食後、準備を済ませると、新潟の青年と同じタイミングで出発することに。青年は小屋の方にも「頑張ってね」と声を掛けられている。小屋前で彼は東鎌尾根で槍ヶ岳へ、我々は槍沢にくだって上高地へと分かれる。登山の記念に長男と青年と2ショットで写真を撮る。「じゃぁ頑張って!」とお話をして出発。良い青年との出会いだった。
さて、ヒュッテ大槍からは長い長い下山路。やはり左膝が若干痛むので膝に負担がかからないようゆっくりと下っていく。坊主岩屋下からは槍沢ルートに合流。天狗池に立ち寄ろうかと思ったけど、膝が痛いので止めることにした。
今日も学生の団体と沢山すれ違う。彼らにとって夏休みの良い思い出になることだろう。
ババ平のキャンプ地で小休止、槍沢ロッジまで下る。
槍沢ロッジでは望遠鏡で槍見。登山バッジを買おうかと思ったが店員さんが忙しそうだったのでやめることにした。
二ノ俣、一ノ俣あたりは沢沿いで気持ちの良い場所であったが、はやく横尾まで行きたいなと何故か思ってしまってひたすら通過。ほとんど平坦な道を歩くと横尾に到着。ぐるっと回ってきたぞ!と写真撮影。
横尾でも休憩はそこそこにして、徳澤園を目指す。ソフトクリームが食べたい一心で平坦な道をひたすら黙々と歩く。ようやく徳沢園に到着して早速ソフトクリームを注文。疲れた体に甘みが染み渡る。
さぁさぁこうなると、あとはもうひたすら歩くだけ。なぜか上高地12時到着というのが目標となってペースを上げる。明神館で小休止、小梨平を通過して河童橋。観光客で溢れかえっていて今朝いた小屋とは全くの別世界だ。
11時59分に上高地バスターミナル到着。写真を撮る間もなく、そのまま12時発のあかんだな温泉行バスに乗車し、登山終了。
帰りには平湯の森に立ち寄って、汗を流す。風呂上りに長男はトンカツ、私はざるそば食べながら、充実の山行を振り返った。
思えば二年前の夏、槍穂縦走をしようと駐車場まで行ったはいいが悪天候のため引き返した事がありました。あの時はグレーディング「E」の大キレットに怯え、正直「中止で良かったな…」と思ったほどです。
あれから二年がたち、剱岳という難度の高い岩場や、穂高の雰囲気などを経験した事もあり、覚悟を決めてこの大キレット縦走に臨むことが出来ました。
上高地から涸沢までは昨年と同じ。涸沢から北穂の道はきつかったですが、小屋での乾杯をやる気に変えて登って行きました。北穂高小屋は大キレットの展望台。最初からいきなり下るし、南岳への登りもきつそうだ。しかし飛騨泣きはあまり見えません。見えないと余計に怖くなります。寝る前にもYouTubeをこっそりのぞき、飛騨泣きの雰囲気を掴もうとしました。コースの確認をしてある程度は覚悟も決まりました。しかし不安はなくなりません。大キレットを意識しながら就寝しました。
翌朝、朝食を頂きますがお代わりできるほどの食欲はわかず。これには大キレットへの不安も一因あるでしょう。そしてついに出発です。
序盤の下りはそこまで難しくないものの、ゆっくりゆっくりとしか下れません。安全に越したことはないのですが、「こんな調子で核心部が突破できるか?」という疑念を抱かせました。のちのち考えれば「朝一はいつも調子が出ないから」と思えますが、この時は緊張と集中で思い付きませんでした。「1年ぶりの本格的な岩場に技術が落ちたのか?」そんなネガティブな考えも浮かぶほど余裕がなかったのです。
いざ飛騨泣き核心部へ。どれだけ難しいんだろうか…。
しかしお父さんの指示に従って歩けばわりに簡単でした。クサリやステップもあり、それに一歩一歩足を置けば、進めば、落ちることはありません。
この飛騨泣き攻略が良かったのか、その後の長谷川ピークもあっさりとクリア。南岳への登りも気が滅入りそうでしたが、案外早く登り切りました。その後、南岳小屋で飲んだジュースが美味しかったです。大キレット縦走成功への達成感も、その味を濃くしていました。
しかし大キレットのほかにもまだ岩場はあります。槍ヶ岳です。
大キレットよりも人が多く、長時間歩いた後なので気を付けてアタックします。人に焦りを感じますが、焦らず登ります。そして長い長い梯子を上り切ると、狭い槍の山頂が。予想以上に狭く、撮影中に落ちそうで怖い山頂でした。
そして長い一日はヒュッテ大槍で締めくくられます。ここでは素晴らしい人との出会いがありました。面白い話を消灯まで聞くことができ、「来てよかった」と心底思いました。この日は前日とは打って変わって、大キレットへの達成感、充実感をいっぱいに感じながら就寝しました。
最終日は降りるだけです。しかし、平坦な道こそ逆につらい。「いつまで歩いたら上高地に着くんだ」とばかり思いつつ歩いて歩いて歩きとおし、昼には上高地に着きました。そして上高地から穂高連峰のほうを見れば、改めて縦走への達成感、充実感、満足感が湧いてくるのでした。
お父さんもsouma君も疲れ様でした。
我々も槍登山では幾度となく韓国の登山ツアーとすれ違い、抜きつ抜かれつしましたが、皆さんなかなか友好的でした(^^)
槍沢下りの槍から横尾への道は右側の梓川周辺の倒木が横尾大橋に見えてしまいますよね?
実際に横尾が近づくと橋より先に小屋が見えるのですが…。
自分はほぼ両膝に持病がありますが、膝の痛み防止には自分的には芍薬甘草湯がいいと思います是非お試しあれ!
大キレット制覇となると、次はジャンダルムですか?
その前に北穂から涸沢も経験した方がいいかもです。
個人的にはそちらの方が大キレットより難しいと思います
ikimasseさん、ありがとうございます!
ニセ横尾大橋、わかります!!
平坦なので体は楽なんですがメンタルがやられますね(笑)
芍薬甘草薬、試してみます!私は骨盤が歪んでいるのか左右のバランスが悪く、左足に負担がかかるようです。歩き方も改善しないと。
難関の涸沢岳から北穂間、西穂から奥穂までが未踏区間ですが、いつかは西穂から槍ヶ岳まで縦走してみたいです。体力があるうちに・・・。
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