昨日は放送大学の面接授業「生活と物理」でした。この中でGPSの仕組みの話があり、しっかり納得出来ました。
GPS衛星は60度づつ異なった6本の軌道上を回っており、一つの軌道に4個の衛星、計24個の衛星で構成されていて、軌道高度は20000km、12時間で地球を一周しています。GPS衛星の一番の特徴は非常に精度の良いセシウム原子時計を積んでいることです。この時計の精度は30万年に1秒の誤差だそうで、クォーツ時計の1000万倍の精度です。
GPS衛星の送信している情報は上記の原子時計に基づいて、衛星自身の時刻と位置のデータを送信しているだけです。地上のGPS受信機の方ではこの情報を受信し自分の時計との時刻差を計算して、それに光の速度を掛けて衛星との距離を計算します。3個の衛星からの情報が得られれば、3元連立方程式を解いてGPS受信機の位置が計算される訳です。GPS衛星の情報は「現在何時何分何秒、私の位置はXYZ」だけで、これを繰り返し発信しています。衛星自身の位置は他の衛星との情報交換により計算しており、その情報を送信しています。
きちんと衛星との時刻差を測定するには、本来、GPS受信機にも原子時計が必要ですが、普通のGPS受信機には高価な原子時計を積むわけにはいかないので、もう1個の衛星からの情報を元に原子時計時刻情報を入手し正確に距離を計算します。つまり、4個の衛星を補足できるとGPS受信機の位置が特定出来ることになります。
このGPSの仕組みで感動させられるのは、計算式の補正にアインシュタインの相対性理論がしっかり使われていることです。特殊相対性理論から高速に動く物体では時間が遅れますが、衛星は秒速3.9kmで地球を回っていますので、原子時計に10の−11乗オーダーの遅れが出ます。
また一般相対性理論から重力が少なくなると時間は速く進みます。衛星は高度20000kmを回っているので、地球の引力か地上より少なく、原子時計に10の−10乗のオーダーで進みが出ます。これらを補正しないと地上での位置精度が出ない訳です。
GPSの技術もすごいですが、アインシュタインのすばらしさにも再度感心させられます。
wakaさんこんにちは
GPSは一般に普及する前、アメリカが軍用として作ったのですが、1990年の湾岸戦争で、米兵全員に配れるだけの廉価版(民間用)のGPSの大量生産が追いついたのがイラクへの開戦のタイミングだったそうですね(日垣隆/情報の技術)。イラクのクウエート侵攻からの微妙な時間経過はそのせいだったそうです。
その時を境に、世界中の民間用GPSに対するセキュリティーレベルが下がり、民間用でも劇的に高精度になったのだそうです。
兵隊全員がGPSを持っていたために、土地不案内の砂漠の真ん中の目標に、真夜中の攻撃ができたそうです。そういえば当時の報道で、ピンポイント攻撃だと盛んに宣伝していました。
yoneyamaさん、こんにちは。
GPSの誤差信号が解除されて、精度が一桁良くなったのはたしか2001年の4月でした。
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