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細い山道ではありますが、深夜帯のため、他に走っている車も無く快適でした。近年は林道沿いにグランピング施設もできたようで、脇を通ると、山中とは思えないくらいに煌々とした灯りがあり明るい。
多少の交差する道路はあるものの、ほとんど一本道で迷うようなところも無いので構わず進んでいると、十字路に出た。はて。こんなところに十字路なんてあったか。カーナビを確認すると、自車は道路上ではなくて、山の中にいることになっている。新しくできた道だろうか。見た感じ、そんな様子はない。誤作動していた。どうも、グランピング施設を過ぎた辺りから、カーナビが現在位置をロストしていたようだ。誤作動してるカーナビ上には付近の地名として「犬切峠」と表示されている。不吉な。なんとも嫌な地名だ。
それはそうと、どっちだ。右か、左か、直進か。さっき、グランピング施設を越えたところが、この辺りで、カーブをいくつか越えたから、今はこの辺りのはず。しかし、ナビ上には十字路は無いのである。まあ、山間部の林道では、地図上に無い道が出てくるのはよくあること。しかし、ナビが誤作動してるので、進路が分からない。案内看板もない。
間違ってたら戻ってくればいいやと、曲がったことが嫌いな私は直進することにした。国道411号線では、道のど真ん中に立派な角を持った鹿が佇んでいたり、Iノ瀬林道に入ってからは、カモシカ、タヌキ、ハクビシンに兎までいるし、ナビは誤作動するしで、無神経な私でも神経を使いながら、なんとか、S場平橋の所にある登山口駐車場にたどり着いた。道は合っていたようだ。11月下旬なだけあって、駐車場の気温は−1℃だった。
S場平駐車場には、24時間利用可能な公衆トイレがある。ここで車中泊だ。平日だから自分だけかと思っていたら、他に車が数台駐車していた。フロントガラスは霜が降りているのか、内側から結露しているのか、内部は見えない。車中泊しているようにも見えるが、誰も乗っていないようにも見える。トイレに行ってから、寝ることにする。
車のエンジンを止めると、さすがに山深い所なだけあって、物音ひとつしなくなった。車に乗っていた時は分からなかったが、降車すると辺りには軽く霧が立ち込めていた。駐車している車は、ひっそりと静まり返っており、人の気配はまるでない。乗っていないのか。真っ暗で、物音ひとつせず、軽く霧。付近に人家も無いので灯りは無い。茂みに目をやれば、奥が窺い知れないほどの漆黒の闇だった。なにかの動物でも飛び出してきそうだ。トイレまでの距離は短いが、気分良く歩ける場所ではない。ヘッドランプの灯りだけを頼りに用事を済ませて素早く車に戻り、床に就く。あとはもう寝るだけだった。
何時だったか、時刻は分からない。ふっと目が覚める。周りを見ると、まだ暗い。夜明けではない。なんで、目が覚めたんだろうと考えていると。車の外から、
ひぃぃぃぃぇぇぇぇえぇぇっぇぇぇーーー
文字で表現するなら、そのような感じで、人間の悲鳴とも動物の鳴き声とも聞こえるような叫び声が聞こえてきた。仮にニンゲンであるのであれば、甲高い感じだったので、男性というよりも女性という感じだった。
鹿か? いや、鹿とは違う。似てるけど、違う。鹿の鳴き声は、登山していれば、何度も耳にするから間違えるわけがない。はっきり言って、その声の主が何者なのか、外に確認しに行こうとは思わない。むしろ、外を見たくも無い。ガラス越しに外を見ると、そこに苦悶の表情を浮かべた誰かの顔があったら、かなり嫌だ。
不意に車のドアロックが施錠されていることを確認する。ロックしているのに、音もなくスライドドアが開いて、誰かが乗り込んで来やしないか。考えたくも無いことが、次々に脳裏に浮かんでくる。悲鳴の真相を確かめる気など毛頭なく、そのまま、布団を深くかぶって寝た。目が冴えてどうしようもないが、寝る努力をした。きっと、リアルな夢か空耳だったのでしょう。もしくは、鹿か何かの動物か。そう思うようにした。いや、そうであってほしい。
写真・左 この日登った、K松尾山
中 この日登った、R喰山
右 真夜中のIノ瀬林道を走る野獣
キョンの鳴き声は聞いたことありますけど、不気味ですね。
言われてみると、キョンの鳴き声にも近かったような。
近年、生息域を拡大してるとのことですけど、天敵がいないですからね。
どこまで食害が拡大していくのか。
80年代に逃げ出した僅かな個体が、50年足らずの間に90000頭近くまで激増してますから、関東一円に勢力を広げるのも時間の問題かもしれません。
「鹿にあるはずの〜」とあったから、てっきり、「鹿にあるはずの角が無い」と続き、キョンを見たという話かと思いきや。さらっと首が無かったと書いてあったので、度肝を抜かれました。首が無かった、、、その話は、イタダキ、、、じゃなくて、貴重な体験と思います。まさに怪異ですね。私はそういう生々しいのは、見たことがありません。特段、見たいわけでもないですけど。
どこの山で何時ころに、どのような状況で見かけたのでしょうか。
非常に気になります。「J子さんの怪異体験」として、まとめてみたいですね。
でもなんか、形状からして、猪のような気もします。
矢が飛ぶように速く走りますので、足が二本に見えたということでしょうか。
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