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写真2）モヨロ貝塚遺跡の墓域と復元住居跡
写真3）オホーツク人の海獣狩猟
濤佛湖を11時過ぎに出発し、網走町に入って最初に道立北方民族資料館に向かう。ここではアイヌを含め、北極海を取り囲むカナダ、アラスカなどの北米、シベリア、北欧などの諸民族の文化を展示解説している。印象的なのは、民族衣装で、魚類や海獣などの内臓を使った衣服や船、漁労や海獣猟でも体が濡れないよう、アイヌの鮭の皮製の靴、イヌイットのアザラシの毛皮、シベリア先住民や北欧のサミ人のトナカイ毛皮製の服や靴など、寒地適応のすごい能力を示すものだった。
そのほか、骨角性の女神や動物の彫像、土器類、北方諸民族の生業と道具類、交易の歴史など、興味深い展示があった。すでに12時半を過ぎ、昼食をゆっくりとる時間がないので、車中でおにぎりやパンなどをかじり、次のモヨロ貝塚見学の前に13時過ぎ、網走町郷土資料館に到着。
知床博物館同様、網走町の動植物や魚類など町の自然条件に関する展示に始まり、越川遺跡（旧石器―二万年前）や縄文早期の網走湖底遺跡出土品などを見る。また短期間ではあるが、石刃鏃という北方民族の文化も一時期南下して網走までやってきた。石器類には大曲洞窟遺跡などの遺跡名が出ているが、土器類は縄文核時代ごとに並んでいるものの、遺跡名がないのはどうしてか？館職員に聞いてもわからなかった。オホーツク文化期に関しては、モヨロ貝塚や二ツ岩遺跡などの遺跡名が出ているが、どの遺物がどの遺跡なのか、多くの土器などで表示がないのは残念。
モヨロ貝塚と資料館
まず遺跡の復元住居と墓域を見学。オホーツク文化期の復元住居はまず形が六角形で中心に石囲い炉があり、さらに熊の頭蓋骨が多数お供えしてある独特のもの、さらに奥の墓域には被葬者の頭に被せた土器の底が上に出るこれも独特の墓制。
資料館では動物祭祀の重要性を物語るクマの頭部の石像が展示され、オホーツク人のクマを巡る祭祀はその後アイヌにも引き継がれたと思われる。縄文時代には北海道でも本州と同様イノシシの祭祀が行われていたので大きな変化だと思う。
オホーツク文化は5世紀から9世紀まで継続する中で、住居は同じ場所に何度も建て替えられている。この辺りの住居の立て方は擦文文化などとは大きく異なり、また住居内のクマの頭骨の祭壇も特徴的だ。。
またモヨロ人の主要な生業である海獣猟に使われる回転銛頭などの漁具・狩猟具が展示。解説されている。
さらにシャーマニズムにつながるワンピースを着た婦人＝女神像も独特で、墓から出た人骨の形質学的な調査結果（北方民族的要素の確認）やお墓の副葬品＝石器・鉄器・装飾品などの展示解説などがある。
また交易の民として、クロテンや海獣の毛皮などと引き換えに入手した鉄器や穀物・装身具などがある。また貝塚の調査から知られる食生活、植物利用（クルミ・ヤマブドウなどの食料のほか、オオムギ、キビ・アサなどの栽培植物に関しても出土している。また貝塚などから出土する骨から、オットセイなどの海獣、海鳥、魚類などを食べていたこともわかっている。また交易と合わせて、サハリンやアムール川流域の北方文化とのつながりについて触れている。
しかしなお、オホーツク人・モヨロ人がどこから来た何者なのか、議論は決着していない。なぞ多き民族らしい。ただこうした北方民族との交流・混血が後の中世アイヌ文化・民族を生み出す原動力の一つとなったことは否定できないようだ。オホーツク文化とサハリン・カムチャッカ・沿海州〜アムール流域の様々な遺跡・考古資料の比較検討が続けられている。モヨロ貝塚出土品との共通性や違いが様々に検討されている。
すでに2時半を回り、この後常呂遺跡群のある所町に移動する。
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