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写真2）雨の中、濃国分寺遺跡を見学
写真3）27日に見学した夕田茶臼山古墳（３世紀中ごろ＝古墳時代初頭）に隣接した初めて蓮野１号墳（2世紀半＝弥生後期）、杉洞１号墳（３世紀初頭＝弥生終末）の平成28，29年度の確認調査による出土品ー
25 日（火）が休館日で見学できなかった博物館・資料館を中心に昨日まで行けなかった施設などを巡ることにした。朝、定宿のゲストハウスを巡る出発、いつもの店でモーニングセットを食べ、雨の中、予約したレンタカー店が中々見つからず、なんとか見つけて8時過ぎに出発。出発が少し遅れたので、当初予定した円満寺古墳はカットし、美濃国府跡に向かう。美濃国府は大垣市ではなく、垂井町府中にある。平成3年以降の発掘調査で確認されたらしい。名前からして「府中」だ。15年前以降の調査でまだ史跡整備はこれからだが、予算不足なのか、整備は進んでいない。ここから大垣市の国分寺跡周辺を含め、古代美濃国の中心だったようだ。発掘調査で激しい雨の中、国府跡から４�劼曚錨譴砲△觜駟�寺跡に移動。先に大垣市歴史民俗資料館を見学、最初に展示の中心の国分寺の復元模型を見る。7重塔がすごい。出土品は、軒丸瓦などの古瓦や硯、墨書土器、帯金具などの金属製品など、史跡整備に関する展示もあったが、実際の遺跡の状況を見ると、雑草がかなり茂り、歩けない場所もある―予算不足ということだろうか？塔跡や金堂跡など、礎石・基壇部分が復元されているものもあるので、今後の整備が待たれる。国分寺跡以外の展示では、まず弥生時代の荒尾南遺跡や東町田遺跡など、環濠や周溝墓などのパネル解説や土器などの出土品の展示がある。こうした弥生後期以降の周溝墓から古墳への移行に関して、解説があった。2〜3世紀にかけて、東町田遺跡にみられるように、方形周溝墓に突出部があらわれ、次第に前方後方系の墳墓が形成され、前方後円墳が定着するまでのこの地域の首長墳として、造成され、古墳時代への移行が明らかになっている。このあたりは南北に揖斐川の支流の杭瀬川やさらにその支流が網目のように走り、その流域に多くの弥生・古墳時代の遺跡がある。また陸上交通も現在東海道線・新幹線・名神高速などが東西に走り、不破の関、関ヶ原から東国＝東山道、東海道。北陸道に抜ける交通の要衝と知れる。人面文土器、水銀朱付土器などの特殊な土器や銅鏃などお祭りに関連する出土品も展示されている。
弥生終末期から古墳時代にかけて、地元の土器に交じって、パレス式土器やS字口縁甕などが出土、4世紀に入ると花岡山古墳・矢道長塚古墳などの前方後円墳が定着していき。副葬品も銅鏡、鍬形石、石釧、鉄剣など、ヤマト王権との密接な関係を示すものが出土、矢道長塚古墳の出土品は東博にあるそうだ。
4世紀末には団体ツアー初日（26日・水）に見学した墳長150m、岐阜県最大の昼飯大塚古墳が出現、三段築成で葺石、埴輪を備えている。副葬品は土器以外に勾玉・管玉。ガラス玉・ナツメ玉・臼玉などの装身具、鉄製の刀子や剣などの刀剣類、農具などもーーこのような大型古墳は弥生時代の周溝墓や墳墓とは異なり、集落から離れた丘陵上に築造された。
5世紀になると4世紀までとは異なる独立丘陵上に、やや小ぶりの前方後円墳などが作られ、副葬品は武器型の鉄製品が増え、副葬品はより豊かになるようだ。さらに6〜7世紀中ごろになると前方後円墳はなくなり、横穴式石室を持つ円墳や方墳が築造され、石室内部からは副葬品や人の歯などが出ており、石室は金生山の石灰岩が使われた。6世紀以降は丘陵上に集団ごとの共同墓域が作られている。
美濃国分寺跡を見学してから、一気に各務原市にある木曽川文化史料館に向かう。この地はかつては川島町といい、木曽川の渡しや湊のある交通上の要衝だったらしいが、今は各務原市と合併している。建物は川島会館といい、その4階に木曽川文化史料館がある。木曽川の交通や文化に関する展示、戦国時代の松倉場や木曽川を巡る合戦、川島まつりなどの展示があり、なかなか面白い。かつてこの辺りは、木曽川が分流し、流れは緩やかで、狩猟漁労の人々が生活していたが、弥生時代、農耕文化が押し寄せ、土器などの痕跡が川床から発見されるが、多くは洪水などで流され、埋もれてしまっているようだ。この松倉伊八島川床遺跡の出土品を見るのが、ここに来た目的だったが、わずかな遺物しか出ていないようだ（弥生時代・古墳時代の壺や甕、古墳時代のS字甕、須恵器や中世の山茶話など）。川島会館から各務原大橋に行く途中に、川床遺跡の標柱を発見して満足、25日に来た時には見つけられなかったが、今回は
資料館の女性から標柱の位置を確認し、発見することができた。
さて、次は各務原市埋蔵文化財調査センターに向かう。車のナビが古く、前回も今回も古い住所が出て、水道施設に出てしまう。スマホのナビに切り替えてなんとかセンターに到着、図書館の4階にある。旧石器時代から近世までの市内の遺跡出土品がこじんまりと展示されている。熊田山北古墳群（5世紀末＝古墳後期初め）・半の木洞古墳（6世紀中頃）・天狗谷古墳群（7世紀後半＝終末期古墳）などの出土品の展示はあるが、先日見学した船山北古墳の出土品は岐阜県文化財保護センターが所蔵しているようだが同所には展示はしていなかった。衣装塚は発掘しておらず出土品はないらしい。唯一坊ノ塚古墳の出土品があるのだが、現在岐阜市歴史博物館で開催されている2018列島発掘展の地域展に展示されているという。これから行くところだ。
岐阜市歴史博物館の前に12km離れた関市の7100年記念公園にある岐阜県博物館に向かう。県博は自然展示室と人文展示室に分かれる総合博物館に近いもの。考古・歴史展示も岐阜県全体の様子を見るには最適だろう。
人文展示室では、旧石器時代から順番に、県内の遺跡分布と個別のいくつかの遺跡の出土品が並べられ、若干の解説がある。旧石器・縄文時代の石器に関しては、下呂石に関する展示が面白かった。中部地方から関東まで広く流通した下呂石は、下呂温泉の東にある湯ヶ峰火山の溶岩が固まってできたものという。下呂石の槍先は千葉県の遺跡からも出ているらしい。また縄文早期の初めごろから利用された洞窟・岩陰遺跡のジオラマなどの展示もあり、根方洞窟遺跡の復元模型が目を引く。遺跡からは動物の骨だけでなく、貝輪やイノシシの牙のペンダントなど、海と山の交流を示す出土品もあるようだ。
土器の変遷では、古墳時代初めごろ遠方まで広がったS字状口縁の甕が、大変薄手で煮炊きの効率に優れ、お米がおいしく炊けるようで各地で貴重品として重宝されたようだ。また口縁部を折り曲げて作ると強度が増し、壊れにくく丈夫な土器になるそうだ。濃尾平野・東海地方では古くから優れた土器づくりの歴史があったという。
古墳時代に関しては、4世紀の海津市の円満寺山古墳と6世紀の関市の陽徳寺裏山古墳の副葬品などの比較の展示などがある。円満寺山古墳は見学予定もあったが、時間の関係で割愛して見られなかった。4世紀の古墳は竪穴式石室で、副葬品には三角縁や画文帯神獣鏡などに特徴があり、一方6世紀の古墳は横穴式石室で須恵器などに特徴がある。また角杯形須恵器も面白い。古墳時代は西方世界では主としてローマ時代で、いわゆるギリシャのリュトンに似ている。シルクロードで当方に伝わったのだろうか？角杯形須恵器は北陸に多く、この古墳の被葬者は北陸とのつながりがあるらしい。
古代・律令時代に入って美濃と深い関係のある壬申の乱に関する展示がある。また飛騨国府のある古川盆地には多くの古代寺院が立ち並び、都のような趣のある場所だったという。白鳳期までは古川盆地に国府や国分寺・白鳳寺院がt拉致並んだが、その後、より交通の便の良い高山に国府は移動したようだ。
古代までの展示を見てから少しだけ自然展示を見る。特に濃尾平野の成り立ちのところをゆっくり見たかったが、今回はさっと通るだけで、次の機会を待つことに。日本で最古の石（飛騨川の20億年前の石）、最古の化石（コノドント）、最古の隕石？冥王代＝などのほか、御嶽山などの火山の成り立ち・木曽川などの河川・濃尾平野の成り立ち・地質と地形ーなどの興味深い展示があったが、じっくり見る時間はない。次の岐阜市歴史博物館に急ぐ。25日に岐阜城と信長公居館遺跡（千畳敷遺跡）を見学した際に使った岐阜公園堤外駐車場に車を止め、歴史博物館まで歩く。歴史博物館の入り口付近には、信長公居館のジオラマがある。だが今日の目的は１）地域発掘展（全国巡回展：列島発掘2018」の地域展）にある「蓮野１号墳・杉洞１号墳」の出土品の展示（全国の展示は東京で見たのでスルー）。最初に目を止めたのは富加町の夕日茶臼山古墳の近くにある富加町郷土資料館で話を聞いた弥生後期から古墳時代初期の墳墓群だ。出土品の高坏や器台から、蓮野1号墳は2世紀後半、杉洞1号墳は3世紀初頭と判明、夕日茶臼山が3世紀中頃なので、弥生後期から古墳時代にかけて続いたこの地域の首長墳と推定できるようだ。また25日に見た各務原市の坊ノ塚古墳の出土品（勾玉・管玉・丸玉などの滑石性模造品）などもある。地域発掘展示を20分くらい見学し、常設展示の「歴史物語」「特集展示」を見るが、列島発掘展とは異なり、撮影ができず、時間もなかったので、余り見学できずーー。古墳時代のところで、岐阜市の台地上の龍門寺1号墳や後期古墳と渡来文化のところで、「美濃」刻字の須恵器の発見から、須恵器窯跡が発見されたー「老洞窯跡」などが記憶に残っている。30分くらい急いで展示を見て、予定の名古屋市立博物館は割愛し、「荒木集成館」に向かう。しかし、途中でナビがおかしくなり、高速の進み方がわからなくなり、また渋滞もあって4時前に到着する予定が5時近くになってしまった。諦めy投下と思ったが、近くに出たのでとりあえず行ってみたら、オーナーの女性が個人の施設だから時間は大丈夫と館内に入れてくださった。初期の猿投窯などの発見にかかわった個人の収集された須恵器や土器の展示が主で、特に見たかったのは「東山古窯址群」の最初期の猿投窯の須恵器などだがーー展示数は少なかった。ともかく、荒木集成館の概要は把握できたことに満足し、名古屋に戻り、ガソリンを満タンに戻し、車を返却、5日間のギフト愛知の旅を終えた。
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