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最初の日焼山地区（史跡）は、古墳時代の墓壙と古墳のある墓域、この周辺には住居域の吉塚地区（史跡）の他、御所原・南御所原地区、四ッ塚谷地区などこうした300年もの継続が見られる弥生後期〜古墳時代の集落・墓域が継続した遺跡は貴重だ。しかし周囲の多くの遺跡は古い時代に宅地開発などでほとんどが消滅している。周辺の遺跡の一部から水田跡が検出され、一部は水田や公園の下に残っているらしい。地図を見ると大半の場所が住宅街になっており、遺跡公園部分と隣の青木遺跡（いずれも国指定）が残されたのはラッキーだった。吉塚地区を見学し、目の前の元小学校、今は米子市埋蔵文化財センターの収蔵庫兼展示スペースになっている。本来9時半開館なのだが、9時前だが、青木遺跡の行き方を聴こうと思い、玄関に近づくと、すでに職員が仕事をしていた。尋ねると9時前だがすでに開いているので見学がてら中に入って説明してくれるという。ありがたいことだ。訪ねる人は少ないのだろうか？
展示室に入ると、最初に旧石器から縄文時代の土器や石器が並んでいる。米子市は低地が多く、旧石器時代の遺構は出ていないが、諏訪地区や福万地区など標高の高い場所から国府型ナイフ形石器や翼状剥片などが出ている。縄文時代は前期5500〜7千年前のくらいの時代の土器や晩期の土器が見つかっている。海進時代、縄文前期の土器では目久美遺跡出土の貝殻でひっかいたような半円の連続模様の条痕文土器が印象的、破片でははっきりしないが、写真の土器模様は大変美しかった。縄文時代も終わり、砂丘、砂嘴、砂州や潟湖が発達する中、弥生時代を迎えて多くの遺跡が形成されたようだ。低湿地と多いので多くの木製品の出土、水田遺構の検出があり、また丘陵地帯の妻木晩田遺跡や青木遺跡は大規模集落遺跡として知られている。また日野川右岸の尾高浅山遺跡や日下墳墓群では弥生中期〜後期の四隅突出型墳墓も発見されているようだ。
古墳時代の遺跡も多い。弥生時代の集落が古墳時代まで継続する遺跡も少なくないようだ。埴輪や土師器、車輪石、管玉などの装飾品、鉄刀などの鉄器・武具類などが並ぶ。これから向かう青木遺跡は国指定史跡になっている。またこれから向かう上淀廃寺などの瓦や塑像片、壁画なども紹介されている。小原館長様が親切にもポイント解説をしてくださった。30分ほど見学し、青木遺跡への行き方を尋ねると、若手の佐伯純也氏（統括主幹）が、校庭からの近道の階段を探してうろうろしているところを道案内してくださった。一緒に体育館の狭い道から裏門階段を下り、青木遺跡まで連れて行って下さった。埋文センターからは小さな谷を隔てて青木遺跡がある。少し下ってからまた昇り、青木遺跡の入り口に出る。最初に正面、石棺のある42号墳のある1号地を登る。42号墳から発見された箱式石棺が地表に出ている。おそらく発掘後地表に復元したものだろうか？実際には地下にあったものだろう。保存された古墳や弥生時代の住居址、周溝墓などは地下に保存されているので、小さな円墳などの形はあまりよくわからないものもある。1号地には弥生後期から古墳時代にかけての住居址や掘立柱建物が多数発見され、中には8世紀の住居址もあり、縄文時代（落とし穴が見つかっている）から長い間利用された丘陵地帯だったらしい。次に4号地に移動し、35号墳（33mの前方後円墳＝青木遺跡最大）を見学、墳丘高さが3mしかなく、削平されているのか、形はよくわからない。ここには住居址もあるようでツツジの植え込みで示されているようだ。
最後に3号地のホタテ貝型の墳丘を持つH39号墳を見る。下から見ると一番墳丘の形が良く保たれているように見えるが、近づくと周囲に墓地があり、お墓によって削平され、造り出し部分も失われているように見える。今一つぴんと来ない古墳が多かったが、弥生時代から古墳時代にかけての集落と墓域の関係をよく示す貴重な遺跡であると思われる。センターに戻り、館長さんと佐伯氏にお礼を言って福市考古資料館に向かう。
米子市のHPでは
「福市丘陵（標高25メートル）は、日野川と法勝寺川の合流点に突出するなだらかな丘陵となっていますが、この丘陵の全面に遺跡が分布していることは古くから知られていました。
昭和42年の調査では、遺跡は東西500メートル、南北400メートルくらいの範囲に確認され、山市場、御所原、南御所原、四つ塚谷、日焼山、吉塚、青木向の7支群が設定されました。
遺構は、住居跡152、土坑墓28、古墳6、横穴14、合計217が確認され、遺物は土師器を中心に須恵器と弥生土器の壺、甕、こしき、器台、土製支脚、玉類、武具などが多数検出されました。
国の史跡に指定されたのは、吉塚、日焼山の2支群で、弥生時代後期（3世紀）から古墳時代中期（5世紀）にかけての集落跡と墳墓群です。
遺構は、住居跡90、柱穴群6、溝2、土坑墓24、古墳1、横穴1、合計122が確認されました。また、遺物は、土師器片が約35,000点で最も多く、弥生土器と須恵器が若干、土製紡錘車、土製獣首、鏡片、玉類、鉄器、砥石などが多数検出されています。
住居跡この調査は、大規模な住宅団地と学校の用地造成の事前調査として実施されましたが、村落跡と古墳群を中心に構成されたこの遺跡が、山陰における古墳時代の住居構造、集落構成、変遷および土器編年を考えるうえで学術的に重要な価値を持つことが認められ、その一部を国の遺跡として保存、活用されることになりました。これは、米子市民の文化財保護運動の成果です。」
とある。
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