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まず主催者らの挨拶ーー奈良県側の世界遺産登録の担当者からは、１）飛鳥藤原の世界遺産登録を支援してほしい、２飛鳥に来て、古代の空気、風景、夕日を感じてほしい、とーーアピール。明大副学長ら、日本の考古学の発展に貢献してきた明大の日本古代学（研究所）に関するPRなどーー。本題に入って最初に、明治大学名誉教授で著名な考古学者大塚初重氏。最初に明日香地方の天皇・皇族らを中心とする大和政権の中枢をなしたであろう有力者の膨大な古墳群を概観し、その変化の中で出てくる八角形古墳に注目する。鎌倉時代の盗掘事件の記録が残る野口王墓古墳、牽牛子塚古墳、中尾山古墳、窟屋山古墳などに触れ、こうした古代古墳終末期の天皇や皇族関係者の古墳とみられる八角形、六角形の古墳が東国でも近年発見されていることに言及、群馬県三津谷古墳、多摩市百草の稲荷塚古墳をはじめ、茨城県水戸市吉田古墳、山梨県笛吹市経塚古墳、群馬県藤岡市伊勢塚古墳などに触れ、また八角形の下に方墳上の下壇がある上円下方墳に言及、古代中国の宇宙観などとの関係を示唆、三鷹市天文台構内古墳、府中熊野古墳、沼津市清水柳北古墳、福島県野地久保古墳などを考察し、古代古墳終末期時代の中央と地方の関係に関して考察、被葬者と中央政府との関係に関してなお不明点が多く、今後の課題と述べた。
二番目に、中国社会科学院考古学研究所長で元中国考古学会会長で全人代代議員でもあった王魏氏の講演。最初に弥生後期から飛鳥、奈良時代にかけての日本の古代国家の形成過程を萌芽期(揺籃期＝弥生後期）、初期国家（古墳時代＝乳児期から幼児期、少年期）、転換期（少年期＝古墳後期）、主権的律令国家形成（青年期＝奈良時代以降）とわかりやすく説明、遣隋使、遣唐使など古代日本と中国、朝鮮などとの関係を概観、最後に中国の王朝、古代国家の形成、発展の変遷に触れ、古代中国の都城のプランの変遷と日本の都城のプランを比較、飛鳥の都城が初めて中国の正北方位観念を取り入れた都市計画になっていること、大極殿の名称を使用していることーー当時朝鮮半島は唐王朝の属国であり、この名称は使用できなかった）などなど。
面白かったのは、中国は世界遺産の数でスペインに次ぐ世界第二位の数を持ち（自然遺産、歴史・文化遺産などを含め４５）、仏教遺跡も各地の石窟や寺院など多数あるが、古代寺院などに関しては、大半が破壊され、寺院跡もほとんど残っていない。その点で日本の古代寺院（跡・遺跡）は、この時代の中国の仏教寺院がいかなるものであったかをほうふつっセル貴重な存在であり、その世界性、普遍性を十分持つのであり、世界遺産にふさわしいと締めくくった。またシンポジウムの最後に世界遺産登録候補リストの中で、中国はまだ５０くらいのリストが待っているが、多くは１０位台以下で、飛鳥藤原は二位であり、早期の登録が期待できるとエールを送った。そのほか、明日香村の劇団「時空」による「大化の改新」の上演、明治大学の吉村武彦氏、東京学芸大学名誉教授の木下正史氏（飛鳥藤原京の世界遺産登録推進委員会の専門員）らのコメントとトークセッションがあり、大盛会のうちに幕を閉じた。
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