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考古学協会主催の公開講座は早稲田大学の長野教授の基調講演や長野県埋文センター、小平市の文化財関係者など様々な研究者からの報告があった。鈴木遺跡を取巻く武蔵野台地の地理・地質学的な説明から鈴木遺跡研究の考古学上の重要性まで話が及んだ。しかし、メインの報告者は皆直接鈴木遺跡の発掘には関与しておらず、長年鈴木遺跡発掘に関わった元東京都教育委員会の小田静夫氏の短いコメントが最も本質をついていたように思う。鈴木遺跡は、遺跡そのものの+戦後の旧石器研究史上重要であり、遺跡の一部の土地を農林中金から譲り受け、今後国指定史跡、重要文化財指定を目指して、保護+研究+普及活動を進めていくことになる。ねつ造問題発覚以前から東北の「前期」旧石器遺跡に関する批判的論文を発表していた小田氏は、協会の権威主義的体質の中で追い詰められ、旧石器研究から黒潮の考古学という方向に転換したが、今日も鋭い舌鋒で鈴木遺跡から旧石器ねつ造問題に至る旧石器時代研究の在り方を短い時間の中で論じた。講座の冒頭、協会の「自主・民主・公開」ーどこぞできたような理念が語られたが、背中が寒いーーそれでも主催者はよくぞ、小田先生を呼んだものと感心する。今日は小田先生のお元気な姿を見ることができ、よかった。
写真1)鈴木遺跡資料館入口にある「土層」ーI〜X層の分類は小田先生らが行った武蔵野編年により確立した分類で全国的に指標として使われている。
写真2)出土した石器類
写真3)礫群(調理などに使ったもの)
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