表銀座ソロ縦走 〜最高に怖くて、最高に楽しい〜
- GPS
- 33:06
- 距離
- 48.0km
- 登り
- 3,434m
- 下り
- 3,387m
コースタイム
- 山行
- 3:55
- 休憩
- 4:00
- 合計
- 7:55
- 山行
- 6:20
- 休憩
- 3:10
- 合計
- 9:30
- 山行
- 4:15
- 休憩
- 3:05
- 合計
- 7:20
- 山行
- 6:00
- 休憩
- 2:05
- 合計
- 8:05
天候 | 7/18 曇り時々雨 7/19 晴れ 7/20 晴れ 7/21 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
http://www.maitabi.jp/bus/tokusyu1.php 【帰り】さわやか信州号 上高地15:00→バスタ新宿19:42 http://sawayaka.alpico.co.jp/area/kamikochi/shinjuku/ |
コース状況/ 危険箇所等 |
【中房温泉〜合戦小屋〜燕山荘】 危険箇所なし。 合戦小屋までは、とくに虫が多く、虫除けネットが必要。 私は、ネットを使用するタイミングが遅く、顔を5箇所と腕を一箇所刺されました(>_<) 【燕山荘〜燕岳】 危険箇所なし。 コマクサが見頃。ロープが無くても、中まで入り込むのはやめましょう。 【燕山荘〜大天井岳〜大天荘】 危険箇所なし。眺望抜群。 コマクサが見頃。 大天井岳頂上付近に雷鳥の親子有り。 【大天荘〜ヒュッテ西岳】 概ね良好。一部ヒャッとする箇所も有り。 大天井ヒュッテからは、斜面に花畑が続きます。 ヒュッテ西岳より、歩いてきた登山道の斜面に熊発見。 【ヒュッテ西岳〜槍ヶ岳】 危険箇所多し。 ヘルメットは、ヒュッテ大槍でレンタルしましたが、槍ヶ岳山荘でも可。 【ヒュッテ大槍〜槍沢〜上高地】 危険箇所なし。 雪渓が数箇所あり。 特に槍沢・天狗原分岐から下にある雪渓は長いので、軽アイゼン(チェーンスパイク)の使用がベター。 私の前を歩いていたテント泊のお兄さんは、ノーアイゼンのためか何度か転倒していました。 |
その他周辺情報 | 大浴場「小梨の湯」 http://www.kamikochi.or.jp/facilities/stay/mori-no-resort-konashi/ |
写真
装備
個人装備 |
Tシャツ
ソフトシェル
ズボン
ハーフパンツ
靴下
グローブ
防寒着
雨具
帽子
靴
ザック
行動食
非常食
飲料
地図
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
保険証
携帯
時計
タオル
ストック
カメラ
|
---|
感想
最高に怖くて、最高に楽しかった。
※※※※※
表銀座縦走三日目、天候は晴れ。
いよいよ槍を目指す。
ヒュッテ西岳を出発して、東鎌尾根を順調に進む。時折でてくる急勾配の岩場やはしご、ヤセ尾根。もし雨が降っていたら、かなり厳しい。
徐々に大きくなる槍の姿に、嫌が応にも期待と緊張が高まる。
コースタイムより、少しだけ早く、宿泊予定のヒュッテ大槍に到着する。
荷物を土間に置かせてもらい、ヘルメットをレンタルする。
名乗る前に名前を呼ばれ、びっくりする。ソロの女性のお客さんは、私だけらしい。
ここから目指す槍までは、もう目の前。
槍ヶ岳山荘には寄らずに、直接頂上へと向かう。
間近に仰ぎ見る槍は、数日前より見続けてきた、美しいシルエットの槍とは、全然違っていた。とてつもなく巨大で、ゴツゴツしている岩の塊だ。
心配していた渋滞は、おきていないようである。
私の前には、蛍光イエローと白いTシャツを着た二人連れがいるだけだし、後ろには誰もいない。
落石は起こすのも、起こされるのも怖い。岩場に描かれた矢印と、蛍光イエローを目指した。
槍には、登りと下りのルートがあり、途中で何度か合流を繰り返すのだが、私はここでミスを犯してしまっていた。
蛍光イエローばかりに気を取られて、登りの矢印を見失ってしまっていたらしい。
下りてくるお兄さんに指摘され、はじめて間違いに気付いたのだ。
幸いなことに、登りのルートはすぐ隣にあり、お兄さんにお礼を言って、リカバリーすることが出来た。
もしかすると、前を行く蛍光イエローの二人も間違っていたのかも知れないが、これは完全に私のミスである。
多少の動揺はあるものの、気を取り直して、より慎重に登る。怖くない、怖くないと、自己暗示をかける。まさに全身全霊で登った。
途中、前にいた蛍光イエローの二人連れが頂上より、早々と下りてきた。蛍光イエローさんは、なんと外国人だった。流暢な日本語で励まされて、おかしな気分になりながら、さらに登った。
そして、槍の穂先の最後のはしごを登り終え、とうとう頂上へ。
頂上には、誰もいなかった…。
いや、ひとり、ここにもまた別の蛍光イエローさんが寝っ転がっていた。
本当は、やったーと叫びたかったが、恥ずかしいので、小さく喜びをかみしめた。
頂上の祠へ手を合わせる。
ここまで登って来れたことを感謝し、帰路の無事を祈願した。
『もう登らなくていいんだ』
そう思ってしまった私をどうか許して欲しい。
恐怖と緊張から解き放されて、ほっとしたのだと思う。
槍ヶ岳は、標高3,180mで日本で5番目の高さだけれど、ここより高い場所は他に無いように思えた。
気が付くと、寝ていた蛍光イエローさんがいない。もしやと思い、はしごを覗き込むと、無事に下山していった様子。そして、いまだ登ってくる人はいない。
頂上にひとりきりとなった。
三日間かけて歩いてきた方向へ、手を振ってみる。
一昨日の燕岳では、雲に覆われて見ることが叶わなかった。
昨日の朝、燕山荘のベンチの向こう、流れる雲の間から、その小さな姿を沢山の人と眺めた。
表銀座を歩きながら、大天井岳、西岳の頂上で、みんなが槍を見ていた。
今日も、きっと誰かが槍を見ている。
そんな誰かに向かって、思い切り手を振った。
槍ヶ岳の初登頂は、最高に怖くて、そして最高に楽しかった。
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