後立山全山縦走(白馬〜針ノ木)
nabekuni
その他1人 - GPS
- 104:00
- 距離
- 45.5km
- 登り
- 5,439m
- 下り
- 5,246m
アクセスを調べる
標高グラフを拡大コースタイム
- 山行
- 8:55
- 休憩
- 2:35
- 合計
- 11:30
- 山行
- 6:55
- 休憩
- 1:55
- 合計
- 8:50
- 山行
- 10:40
- 休憩
- 2:20
- 合計
- 13:00
- 山行
- 10:45
- 休憩
- 2:10
- 合計
- 12:55
| 天候 | 8/6：晴れのち曇り、8/7：晴れのち曇り、8/8：晴れのち曇り、8/9：曇りのち晴れ、8/10：晴れ |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2016年08月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
電車 バス 自家用車
|
| コース状況／ 危険箇所等 |
不帰の嶮、牛首、八峰キレットはそこそこ難所。 |
| その他周辺情報 | 八方温泉・おびなたの湯 |
写真
拍手
装備
| 個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ソフトシェル
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
日よけ帽子
着替え
靴
予備靴ひも
サンダル
ザック
ザックカバー
サブザック
行動食
飲料
地図（地形図）
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ツェルト
ナイフ
カメラ
テントマット
シェラフ
ヘルメット
|
|---|---|
| 共同装備 |
調理用食材
調味料
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
食器
調理器具
ライター
ポール
テント
|
感想
8月6日 晴れのち曇り
去年の立山〜槍ヶ岳に続いて今年のロングトレイルは後立山全山縦走。後立山全山縦走は1980年以来実に36年ぶり2回目だ。猿倉から入山して扇沢に下山するが、バスと電車で猿倉に戻る事にして車で猿倉に向かう。パートナーは昨年と同じく佐々木さんで、車も佐々木さんに出してもらった。
ザックの総重量は水1�箸魎泙瓩凸�22kg。水場の少ないコースなので登山口で1�畔箋襪靴燭箸靴�23kgだ。
佐々木さんが迎えに来てくれ20:00に出発。山手トンネルが渋滞して30分くらいロスしたが、中央道は渋滞なし。盆休みを外して正解だった。
談合坂SAで休憩、梓川SAで夜食に蕎麦を食べて安曇野ICで高速を降りる。大町のコンビニで朝食を買い、2:00に猿倉に到着。
駐車場はほぼ満車だが、辛うじて駐車出来た。公称70台だが100台くらい有りそうだ。我々の後にも次々に車がやって来るが、もう停められそうにない。
シートを倒してそのまま車中泊。シュラフは被らなくても寒くは無い。
5:00起床。天気は素晴らしいピーカンだ。
朝食を食べ、身支度と最終パッキングをして200mほど離れた猿倉荘へ。丁度バスが着いたところで山荘周辺は大勢の登山者で賑わっている。
トイレに行き、水場で水を補給してから計画書を山荘前の夏山登山相談所に提出し、コースの注意事項を教えてもらう。今年の大雪渓は雪が少なく、小雪渓は秋道だそうだ。
6:00猿倉荘を出発。テント山行は2月の八ヶ岳以来なので23kgでも重い。
猿倉荘裏手の斜面を少し登ると林道に出る。ここから白馬尻の手前まで約30分の林道歩きだ。途中白馬鑓温泉への道を左に見送り、しばらくすると小蓮華山と思われる稜線が見えて来る。ピーカンだが、我々が稜線に着くまでこのまま持って欲しいものだ。
林道終点から20分ほどで最初の山小屋・白馬尻小屋に到着。ここは白馬山荘と同じ(株)白馬館の経営する小屋だ。雪の多い年は小屋の前まで雪渓が延びているが、今年は全く見えない。遥か彼方に見えるだけだ。情報掲示板には「大雪渓まで15分」とある。
実際に行ってみると大雪渓の末端まで35分掛かった。しばらくツボ足で登ってみたが、結構な傾斜があるのでアイゼンを着けた方が楽で安全だ。途中大きなクレバスがパックリと口を開けていた。後日談だが、その後クレバスが多くなった為に9/1から大雪渓ルートが通行止めとなり、栂池ルートか白馬鑓温泉ルートで登らなければならなくなってしまった。
晴れていても大雪渓の上だけガスが掛かる事もあるが、今日はずっとピーカンだ。重荷はキツいが、涼しい風が吹いて気持ちが良い。雪渓上は落石の危険があるのでヘルメットを着用する。
雪渓上は傾斜がきつくて休憩出来ないので、半分ほど登った所にある島のような場所で休憩。そこから20分ほど登った所で雪渓から登山道に移る。「小雪渓は秋道」と聞いていたが、そもそも小雪渓自体が無かった。
このあたりから稜線まではお花畑の連続で、色とりどりの可憐な高山植物が目を楽しませてくれる。ハクサンフウロ、ミヤマタンポポ、トリカブト、タカネナデシコ、ミヤマオダマキ、クルマユリなどなど、とても素晴らしい。
避難小屋を過ぎて少し登ると村営頂上山荘が見えるようになるが、見えてからが長い。結局見えてから1時間近く掛かって11:35に頂上宿舎に到着した。名前は頂上宿舎だが山頂直下に建っている訳ではなく、白馬岳山頂まで30分以上掛かる。
頂上宿舎の裏手にはテント場があるが、公称100張のテント場には既に90張のテントが張られ、ほぼ満席状態だ。
水場は雪渓の雪解け水で、手が切れるほど冷たく、とても美味しい。
30分ほどのんびり休憩してから白馬岳へ。小屋から数分で稜線に出るが、越中側はガスが多い。それでも直ぐ隣の旭岳とその向こうにピラミダルな剱岳が見える。
白馬山荘は800人収容の日本最大の山小屋だが、恐らく世界最大だと思う。かつては1,200人収容と言われていたが、定員を見直ししたのだろうか？ その昔宿泊した事があるが、小学校のような長い廊下があり、寝床は2階建てのカイコ棚だった。
白馬山荘のベンチにザックをデポして山頂に向かう。幸い我々が山頂に着いた時はあまり人が多くなく、山頂での記念撮影の待ち時間は少しだった。
白馬岳は5回目だが、佐々木さんは初登頂だ。因みに白馬岳は雪形が代掻き馬(しろかきうま)の形に残る事から「しろうま→白馬」になったので「しろうまだけ」だが、村の名前は白馬村(はくばむら)、駅名は白馬駅(はくばえき)だし、白馬大池、白馬大雪渓、白馬尻、白馬鑓ヶ岳、白馬鑓温泉などもすべて「はくば」と読む。「しろうま」は白馬岳だけなのだ。
山頂からは大雪渓と白馬沢、白馬尻小屋が見えた。
山頂直下に「白馬岳開山の恩人」と言われる「松沢貞逸」のレリーフがあった。1906年(明治39)に白馬山荘の前身となる小屋を建てたのだが、そのとき彼は16才だった。その後株式会社白馬館を創設したが、37才の時に自動車事故で早逝した。
頂上山荘のテント場に幕営すれば楽なのだが、先の事を考えると今日は天狗山荘まで行かなければならないので白馬岳を後にする。午後になると信州側からガスが上がって来た。
寝不足と重荷で1,700mの標高差を登った後でさらに杓子岳と白馬鑓ヶ岳を越えてコースタイム3時間分を歩くのはきつい。杓子岳は山頂を回避して巻道を行く。元気な佐々木さんは山頂を踏んだ。
白馬鑓ヶ岳を越えて天狗山荘に着いたのは17:30。ヘロヘロだった。猿倉を6:00に出発してから11時間30分。休憩を除いて8時間55分だったが、コースタイムは9時間10分なので、上出来だ。
到着時テント場はほぼ満席。公称30張だが、既に40張近くが設営されている。テントとテントの狭い隙間になんとかスペースを見つけたが、岩が多く地面は傾いている。
場所をキープしてから小屋に行って受付。幕営料はトイレと水代込みで1人1,000円だ。水場は小屋の前にあり、雪渓の雪溶け水で冷たくて美味しい。
そしてテント場に戻る前にビールで乾杯！天狗山荘には大きな休憩・自炊室があり、テント泊でも使用できるのだ。我々は到着が遅かったのでテント内で夕食にしたが、時間があれば自炊室を使っただろう。
ビールの後テント場に戻って設営。この時既に18:15。テントに入り、まずはコーヒー。そして初日の夕食はパスタ・ペペロンチーニ。今回の4泊の中で水場があるのはここ天狗山荘だけ。茹で汁を捨てるというもったいない水の使い方が出来るのは今日だけなのだ。
パスタはペペロンが一番好きだが、フライドガーリックをトッピングしたのでさらに旨い。
夕食後は即座に就寝。既に20:00だが、明日は4:00起床、6:00出発なので8時間眠れる。外はガスで楽しみにしていた星は見えない。外に出るとTシャツ1枚では寒いが、テント内は暑いくらいで、シュラフには潜らずに上に掛けて就寝する。
8月7日 晴れのち曇り
1:00に外を覗くと満天の星だった。4:00起床。ピーカンだ。
朝食は「五目あんかけかた焼きそば」。かた焼きそばの麺にレトルトの中華丼の素を温めてかけたモノで極めて簡単だが、そこそこに旨い。
朝食と撤収を済ませて6:00に出発。大半のテントは既に出発してしまっている。今日は難所の「不帰の嶮」と唐松岳を越えて五竜山荘までのコースタイム合計7時間45分だ。
唐松山荘まで水は補給出来ないので水を3�隼�って行く。食料はあまり減っていないので、今日が一番重いかも知れない。
まずは小屋の前から稜線まで登る。15分ほどで稜線に出ると剣岳がくっきりと見える。昨日白馬岳から見た剣は午後だったのでクリアでは無かったが、早朝のクリアな空気の下では素晴らしい。
ゆるやかな稜線を天狗ノ頭に向かう。信州側を見ると火打山と妙高山それに高妻山も見える。南側には八方尾根のスロープが見える。八方尾根の終点が唐松岳だが、かなり遠い。
さらに高度を上げて天狗ノ頭に着くと、端正な双耳峰が美しい鹿島槍ヶ岳が見える。その奥には槍・穂高連峰も見える。これは素晴らしい展望だ。この展望だけでも今回来た甲斐があった。
天狗の大下りまで約30分の稜線漫歩だが、前に20人くらいのツアーパーティーが居る。大人数のツアーは脚が揃わず難所の通過では渋滞の元になりがちなので、大下りの手前で休憩していた所をちょっと無理して追い越した。
天狗の大下りは不帰キレットのコルまで約300mの急降下。鎖場が連続するが、怖さは無い。
キレットに着いて一休みしていると、大パーティーが結構近くに来ている。人数の割には脚の揃ったツアーのようだ。
キレットからの剣岳は角度が変わって北方稜線が正面に見えるようになって、よりカッコ良い。
キレットから唐松岳までは難所として名高い「不帰の嶮」だ。いくつもの険しいピークを越えるので心身共に疲れる。36年前の記憶は殆ど無いが、不帰の嶮はそれほど恐く無かった覚えがある。
しかし不帰2峰北峰直下の鎖場でうっかり右手薬指の指先を切ってしまった。どこでどうして切ったか覚えていないが、血が滴っている。
2峰北峰のピークで手当しようとしたが、救急バッグがザックの下の方にあり出すのに手間取っていたら、ずっと一緒だった女性が消毒軟膏を塗り、バンドエイドを貼ってくれた。そのうえフルーツまでご馳走になった。有難い。女性は60代後半と思われるが、静岡から来たそうだ。
出発時からヘルメットを着用していたが、荷物が多くてザックの上部が延びている為顔を上げるとヘルメットがザックに当たって上が見づらいので、不帰の嶮の途中でヘルメットを脱いだ。リスクはどっちもどっちなので、視野の確保を優先した。
11:10唐松岳に到着。2峰までは晴れていたが、唐松岳に着く頃にはすっかりガスに覆われてしまった。唐松岳はゴンドラのある八方尾根から比較的楽に登れるので、大勢の登山者で賑わっている。結局36年振りの不帰の嶮の印象は「言うほどではない」だった。
唐松山荘に着くと大勢の登山者が地べたに座って休んでいる。350人収容の大きな小屋で人気がある小屋なのだが、ベンチやテーブルが1つも無いのだ。こんな小屋は珍しい。
唐松山荘を出ると直ぐに「牛首」の岩場がある。不帰をクリアしたら安全地帯と思っていたが、どうして牛首は結構な難所の連続で、不帰よりも緊張する。
途中で出会ったソロの男性は針ノ木から白馬まで縦走した後、栂海新道で日本海の親不知まで行くそうだ。凄い！
15:00に今日の幕営地・五竜山荘に到着。唐松岳手前からのガスはついに晴れる事は無かったが、朝方に絶景を堪能したのて満足だ。
天狗山荘から8時間50分。休憩除きで6時間55分だったが、コースタイムは7時間45分なのでなかなか良いペースだ。
テント場は公称30張だが、稜線の西側に3段になっていてすでにほぼ満席。一番下の段に辛うじて張れるスペースが残っていた。後で数えると38張あった。
小屋の前の広場にはテーブルとベンチが7つあるが、これがあるべき山小屋の姿だ。小屋でビールを買ってとりあえず乾杯！
水は小屋の入口脇に大きな水タンクがあり、料金箱にお金を入れてセルフサービス方式。1��100円とリーズナブルだ。幕営料は1人1,000円。
夕方になってガスが切れて青空が見えて来た。17:35〜2本目のビールで夕食開始。
今日のメインはオムレツ。魚肉ソーセージとシシトウ入りのオムレツとα米の五目ご飯、味噌汁のラインナップ。
夕食後、外に出るとすっかり良い天気になっており、テント脇に腰掛けてしばし展望を楽しみ、夕陽を見送ってから就寝。
明日は五竜岳と鹿島槍ヶ岳を越えて冷池山荘までコースタイム9時間30分の長丁場なので、3:00起床、5:00出発だ。19:10就寝体勢。
8月8日 晴れのち曇り
3:00起床、今日もピーカンだ。まだ真っ暗で満天の星が輝いている。
朝食はマルタイの棒ラーメンとソーセージ。いつもながらマルタイラーメンは旨い。
夜明け前、稜線と五竜の山頂にはヘッドライトの灯りがたくさん見える。山頂で日の出を迎える人達だ。
5:00日の出とともに出発。モルゲンロートに染まる稜線と五竜岳が美しい。遠くにシルエットながら八ヶ岳と富士山が見える。
山頂で日の出を見た人が大勢降りてくるので、岩場でのすれ違いに時間が掛かる。
6:15五竜岳に登頂。山頂には10人位の人がいる。360度の大展望で、鹿島槍ヶ岳、槍・穂高、立山・剣、白馬〜唐松岳などなど、実に素晴らしい。
五竜の次は難所・八峰キレットへ。途中踏み跡に惑わされてルートを誤り、岩場で難儀したが登り返してルートに戻った。10分くらいロスしたが、お陰で雷鳥を見る事が出来た。
途中ホラ貝を持った修験者と出会った。靴とザックは今風だったが、その他の装備は山伏そのものだ。
9:00過ぎにはガスが出て展望が無くなってしまった。
11:15キレット小屋に到着。36年前と同じ狭い鞍部に建っているが、建物は新しくなっている。かなり疲れていたので長めに休憩する。
小屋で35缶のCCレモンと500ccのポンジュースを買って飲んだが、ポンジュースは濃厚過ぎて乾いた喉には逆効果だった。道中飲もうと思って買ったのだが、休憩中に飲み干した。
手前の岩場で前後した若いカップルが少し遅れて到着したが、彼らは親不知からスタートして槍ヶ岳まで縦走するとのこと。凄い！。今日は冷池までとのことなので、再会を約束して先に出発した。
小屋を出て直ぐに八峰キレットの核心部。36年前の記憶では不帰の嶮同様にそれほど恐く無かったが、流石に気の抜けないクサリ場やハシゴが連続するので緊張して通過する。
鹿島槍は北峰、南峰ともに先客は1人しか居なかった。
南峰から冷池山荘まではコースタイムは1時間30分だが、これが思ったより遠く感じた。小屋を目視してからテント場に着くまで25分掛かった。
テント場は公称40張だが、先客は10張もないくらいで空いている。稜線上のテント場で強風になるとイヤらしい感じだ。
テント場から小屋まではさらに5分以上掛かり、高低差もあって夜間に小屋のトイレに行くのは危険だ。
幕営料は1人700円で水は厨房の窓越しに買う様になっている。1��150円だ。
生ビールを買い、小屋の前の展望台のベンチで乾杯する。キレット小屋で出会ったカップルも到着し、一緒にビールを飲みながらお話した。名前を知ったのは最終日の朝だったが、お二人は御夫婦で池田さんといい、大阪から来たそうだ。
池田さんのテントは這松の中のサイトに張られていた。ここなら風が吹いても大丈夫そうだ。小屋に来る途中に見つけてどうしようかと迷った場所だった。
テントに戻り、一休みしてから夕食。今夜は一番のご馳走で、スパムをスライスして焼いてご飯にのせて「スパム丼」だ。スパムは脂が多いので、焼くための油が不要だし、塩気も強いので疲れた身体に美味しく感じる。
20:00頃就寝。明日は針ノ木小屋までコースタイム10時間05分の最長区間なので3:00起床、5:00出発だ。
夜になって風が強まり、雨も降り出して暴風雨になってしまった。こんなことなら池田さんのように這松の中に張るべきだったと後悔したが、後の祭りだ。
8月9日 曇りのち晴れ
3:00起床。一晩中強風が吹き荒れ、殆ど眠れなかった。
朝食は赤飯とツナ缶、味噌汁。雨は止んだが強風は止まず、撤収時はテントが飛ばされないように気を遣った。
小屋に行く途中這松帯で池田さんのテントに声を掛けた。天気が悪いので出発するか迷っていたようだ。
撤収時に適当にパッキングしたので小屋の前でパッキングし直して、6:30に出発した。
雨は降っていないが、風が冷たいのと濡れた下草や樹木からの雨の雫が降ってくるのでカッパを着てザックカバーを付けて出発する。
小屋で聞いた天気予報では9:00頃から回復するとのことだが、濃いガスと強風の中、縦走路から外れた爺ヶ岳のピークは踏まなかった。
7:40種池山荘着。小屋の前で休憩していると池田さんご夫妻に追いつかれた。針ノ木峠での再会を約束して小走りで出発していった。
種池山荘のテント場は平坦で石が殆ど無くて素晴らしいサイトだ。
10:40新越山荘到着。風は弱まったものの未だ天候は回復しない。新越から針ノ木まで5時間以上小屋の無いルートなので長めに休憩する。
鳴沢岳を過ぎたところでガスの切れ間から扇沢が見えた。また遥かに針ノ木峠と針ノ木小屋も見えた。峠から扇沢へのルートは遠目にはとても歩けないようなもの凄い急斜面に見える。
13:20赤沢岳に登頂。この頃ガスが切れて青空が見えて日差しもあり、天候回復かと思ったが、一時的なものだった。
針ノ木方面から赤沢岳に登ってきたソロの人と言葉を交わしたが、彼はなんと今朝大町温泉郷を出発して走ってきたそうだ。
赤沢岳の下りからは黒部湖が良く見えた。スバリ岳、針ノ木岳ともにガスで展望の無いなかひたすら歩き続け、17:50に針ノ木小屋に到着。
冷池から12時間20分。休憩除きで10時間40分。コースタイムは10時間5分なので、だいぶ時間が掛かってしまった。雨と疲労のせいだと思う。
テント場は稜線上と稜線から南側に下った所にあるが、下のサイトはほぼ満席。でも稜線は風が当たるので、下に行ってみるとテントとテントの間に1張分のスペースを見つけた。
テント場で池田さんのテントを見つけて声を掛けると、彼らは15時台に到着したとのこと。我々よりも2時間以上速い！
設営後、池田さんが訪ねて来てくれ、酒のおつまみを色々頂いた。そして一緒に写真を撮った。こう言う旅の出会いは良いものだ。
幕営料は1人700円。水は1��200円だ。ビールは山小屋では珍しい発泡酒が売っている。安いので500CCのロング缶を買った。
夕食は松茸ご飯とラーメンの予定だったが、つまみでそこそこ腹一杯になってしまったので、ラーメンだけにした。
寝る前に外を見ると見事な星空で天の川もくっきり見える。しばらく星空の撮影をして20:55就寝。
8月10日 晴れ
3:30起床。ピーカンだ。今日は最終日、針ノ木峠から扇沢に下山し、バス、電車、バスを乗り継いで猿倉まで戻る。
朝食はカレー。レトルトは重たいので最終日のメニューには向かないが、最終日のパワーの源だ。
出発準備をしていると出発する池田さんが挨拶に来てくれた。彼らは烏帽子岳から裏銀座に入り、黒部源流、高天原、黒部五郎岳、槍ヶ岳を経由して上高地に下山するとのこと。素晴らしい！
今日は快晴なので昨日見えなかった槍・穂高方面や昨日の縦走路が綺麗に見える。本当は昨日も見たかったのだが・・・・
5:40下山開始。ルートはもの凄い急斜面にジグザグに付けられており、ヘアピンの折返しを延々と繰り返す。登りには使いたくないルートだ。
針ノ木大雪渓の雪渓は非常に少なく、雪上歩行は危険とのことで大雪渓ルートは通行止めになっており、高巻道を行くように看板が出ている。
高巻道はかなり狭く、鎖場も多数あってなかなか険しい。針ノ木峠〜大沢小屋のコースタイム2時間は雪渓歩きの前提なので高巻の場合は余計に時間が掛かる。
下部に来ると沢を何度も徒渉する。たいていは橋が無く、石伝いに徒渉を繰り返す。橋も簡単なもので大雨が降ったら流されそうだ。
7:00を過ぎると下から登って来る人とすれ違うようになる。ここの急登を登るのには覚悟が必要だ。
8:05大沢小屋に到着。針ノ木峠からのコースタイム2時間のところ2時間15分掛かった。
大沢小屋から40分で車道に出た。アルペンルートの管理用の道路だ。扇沢までは車道とショートカットの登山道を何度か繰り返して15分ほどで扇沢に到着する。
9:15扇沢ターミナル着。4泊5日の後立山全山縦走を無事に完遂した。きつかったが天気にも恵まれて大満足の山行だった。
9:30のバスで信濃大町駅まで行き、JRで白馬駅へ。猿倉行きのバスまで30分弱あるので、駅前の蕎麦屋さんで山菜蕎麦を食べた。5日ぶりのまともな食事だったのでとても美味しかった。
11:45のバスの乗客は数人だけ。12:15に猿倉に到着。まずは猿倉荘でかき氷を食べて大縦走を締めくくった。
駐車場は混んではいるが満車ではなかった。途中八方温泉で5日ぶりの風呂に入って旅の疲れと汗を流した。八方温泉は誰もおらず貸切だった。5日間伸ばした髭も剃った。
温泉の後は寿司。5日間生ものを食べていないので、昼食は寿司と決めていた。スマホで検索すると、最も近いのが大町市内の「かっぱ寿司」だったのでGo！
かっぱには滅多に行かないが、久しぶりの生ものはとても旨かった。
中央道はまだ上りの混雑は無いと思っていたが、大月から19kmの大渋滞。思ったより日帰り観光の帰り車が多いのだろうか？
20:30君津に到着。山旅の仕上げは「ステーキハウス桂」のステーキでスタミナ充填して締めくくる。
今回のコースタイムの合計は39時間10分だが、実際の歩行時間の合計も39時間10分だった。年齢や荷物の多さを考えると上出来だと思う。まだまだ大丈夫だ。
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