天国と地獄の5泊6日 扇沢→柏原新道→後立山縦走→栂海新道→日本海へ
新潟県
富山県
長野県
umiyama7
- GPS
- 49:04
- 距離
- 65.4km
- 登り
- 5,346m
- 下り
- 6,704m
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標高グラフを拡大コースタイム
扇沢9:50→種池山荘13:20→14:05爺ケ岳（南峰）14:15→15:30冷池山荘15:40→15:50冷池山荘テン場
【2日目(13日)】
冷池山荘テン場5:40→布引山6:25→7:10鹿島槍ヶ岳（南峰）7:35→鹿島槍ヶ岳（北峰）分岐8:05→9:20キレット小屋9:40→10:40口の沢のコル11:10→五竜岳13:50→14:50五竜山荘テン場
【3日目(14日)】
五竜山荘テン場5:00→7:20唐松岳頂上山荘8:05→唐松岳8:25→二峰南峰9:10→（不帰キレット）→（天狗の大下り）→13:10天狗の頭13:17→13:37天狗山荘テン場
【4日目(15日)】
天狗山荘テン場4:40→鑓温泉分岐5:00→鑓ケ岳5:25→（杓子岳）→7:05白馬頂上山荘7:40→7:55白馬岳8:00→三国境8:30→雪倉岳避難小屋9:35→10:10雪倉岳10:20→14:00朝日小屋テン場
【5日目(16日)】
朝日小屋テン場3:35→朝日岳4:25→千代ノ吹上4:52→6:45黒岩平6:55→（黒岩山）→8:27サワガニ山8:40→9:15北又の水場9:35→（犬ケ岳）→10:30栂海山荘11:15→12:40黄蓮の水場13:05→（下駒ケ岳）→15:20白鳥小屋（白鳥山）
【6日目(17日)】
白鳥小屋4:50→5:45シキ割の水5:55→坂田峠6:30→入道山7:50→8:50親不知観光ホテル8:55→9:02日本海（栂海新道起点）
| 天候 | 12日：晴れ（激暑い！） 13日：晴れ 14日：明け方ガスのち晴れ 15日：晴れ 16日：晴れ（激暑い！） 17日：晴れ（激暑い！） |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2013年08月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関：
電車 バス 自家用車
【復】親不知11:24→（JR北陸本線）→11:36糸魚川13:10→（JR大糸線）→14:11 南小糸14:22→（特急あずさ26号）→14:37白馬15:05→（バス）→15:10白馬八方バスターミナル |
| コース状況／ 危険箇所等 |
【道の状況】 水場はどこもあり。見落とさないこと！ 不帰の嶮、八峰キレット等は3点ホールド。 天狗の大下りや、五竜近辺も岩場多く、油断できません。 それ以外も油断すれば、どこも危険です。 斜面や高所では歩きながら景色見ない、ボーっとしない等は 絶対条件です。 【登山ポスト】柏原新道登山口で警備隊が臨時のテントで受け付けしてくれました。 【お風呂】下山口に「親不知観光ホテル」があり、駅までの送迎付きで一人1,500円です。 【食事】自分は食べてませんが、親不知の道の駅で食べるのがいいでしょう。また糸魚川で乗り換え時間のある人は、駅から数分でB級グルメの「ブラック焼きそば」がありますし、日本海の幸にありつきたい人は、駅前の和食屋「かんの屋」さんのランチ1,280円（ご飯お代わりOK）がお勧めです。 |
写真
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すでに15時を回っている。混んでそう…？
立山、剱と雲！ 斜めのとこだったのでテント
内で滑ります（笑）
鹿島槍北峰から八峰への穏やかな登山道。写真の上の大きな石に不用意に乗ったら、「ン！」重い荷物もあり、バランスを崩し外側に流れ出す身体。「落ちる！」
ゆっくりと地面が回転。まずい。転がりながらも懸命にハイマツの根をつかみ…滑落を免れました。
重い荷物もあり、バランスを崩し外側に流れ出す身体。「落ちる！」
ゆっくりと地面が回転。まずい。転がりながらも懸命にハイマツの根をつかみ…滑落を免れました。
ロード・オブ・ザ・リングでも使えそうだ。
普段から自然を愛でる人が山に来るのか？
どっちでもいい。
みんないい顔で沈む夕陽を・・・・。
ほぼ同じペースの方と写真を撮り合う。
改めて、ありがとうございました！
頂上からこれから行く難所、「不帰の嶮」
うーむ。
しーーーーーーーんと鎮座してます
余り見ると怖くなりますので…早々と出発。
数年前、家族で来たところ。懐かしい。
あちらは緊張感ゼロな場所。癒されます。
一瞬、全部崖でどこを降りるの？
左に移ってくる鎖から…。
昨日の滑落寸前によりビビりあがっているため、腰がひけてバランスが悪いは、鉄梯子の下を通らず、なぜか降りてなかなか這い上がれず…。その後もすれ違いにビクビクしたり・・・・・。
どうにかこうにか北峰を降りてきました。
「ふーーーーーーー！」
腰がひけてバランスが悪いは、鉄梯子の下を通らず、なぜか降りてなかなか這い上がれず…。その後もすれ違いにビクビクしたり・・・・・。
どうにかこうにか北峰を降りてきました。
「ふーーーーーーー！」
私の少ない山人生では一番の岩場となりました。
「（わかってはいたけど）結構、登るねーー（泣）。」
全然逃げない「エゾゼミ（？）」こいつ巻いたゼンマイが戻るみたいで、何ともよくようがないまま、ずーーーーーーと
「ジィィィィィィィィィィーー」って鳴く。
1分数えて止めた。鳴きながら息してんのかな？
こいつ巻いたゼンマイが戻るみたいで、何ともよくようがないまま、ずーーーーーーと
「ジィィィィィィィィィィーー」って鳴く。
1分数えて止めた。鳴きながら息してんのかな？
天狗尾根様なる美しい稜線が立ちはだかる…。
いい加減やんなる。
まだかーーーと休んだ地点から見えない天狗山荘方面を望む。
さすがにここのテン場は空いている。
生ビールを頂き、テントを張って、
「白馬鑓ケ岳」を望む。
4日目。4時40分スタート。今日はガスガス。一気にテンションさがり、
「鑓温泉に下ろうか？」
「もう帰っちゃおうか？」
いや太陽が上がるまでは…
上がってきました。少し明るくなり…
やっぱり進みます。
今日はガスガス。一気にテンションさがり、
「鑓温泉に下ろうか？」
「もう帰っちゃおうか？」
いや太陽が上がるまでは…
上がってきました。少し明るくなり…
やっぱり進みます。
去年、まったく見えなかった白馬岳だ！
（山中から初確認）
稜線上にいる人（見えます？）から「最高！」って声が飛んで来た。
行ったことないけど、いつもチベットの僧院に思える。
「ブォーーーー」って聞こえて来ます。頭の中で。
どっちも頂上は踏まなかった。
行っとけば良かった？
また今度。
三国坂へ到着。さあーここまでは去年来た。ここからは未知のルートだ。
朝日岳方面に向かう自分がちょっと格好いい。
非常に疲れているが、ここまで来たら行ってしまえ。
ここからは未知のルートだ。
朝日岳方面に向かう自分がちょっと格好いい。
非常に疲れているが、ここまで来たら行ってしまえ。
南アルプス、北アルプス何回か経験ありますが、これは初めて見た。「紫たんぽぽだ！」
（正式名称：タカネマツムシソウ）
朝日岳までたっぷりと見れます！
「紫たんぽぽだ！」
（正式名称：タカネマツムシソウ）
朝日岳までたっぷりと見れます！
この辺は、天国かと思うくらいどこを見ても美しいところ。
写真ではわかりにくいですが、肉眼だと結構登る感じです。
トイレ行こうと思ったが、ありませんでした。
ここから苦痛の時間が…。
山頂はみなさん、休憩してました。
写真ではわかりませんが、暑くて暑くて！トイレ行きたいががぶがぶ飲んで、水平と名ばかりのup-downでたぶん熱中症寸前、もうクタクタで、ようやく朝日小屋へのラストの登り。憔悴しきってテン場着でした。
トイレ行きたいががぶがぶ飲んで、水平と名ばかりのup-downでたぶん熱中症寸前、もうクタクタで、ようやく朝日小屋へのラストの登り。憔悴しきってテン場着でした。
5日目。3時35分。朝日小屋スタート。昨日、夕食を食べれなかった無念で、お弁当を注文。しっかりと小屋から頂きスタート。
数々のライトが朝日岳へ向かう。
朝日岳を下り、栂海新道へ向かう千代ノ吹上を過ぎて朝日が昇ってきました。
昨日、夕食を食べれなかった無念で、お弁当を注文。しっかりと小屋から頂きスタート。
数々のライトが朝日岳へ向かう。
朝日岳を下り、栂海新道へ向かう千代ノ吹上を過ぎて朝日が昇ってきました。
北又の水場。岩の間から水が出てきてます。冷たくて最高にうまい。その場で500ml以上飲む。水場の横に巨大なカエルがいました。
「お前最高の水飲んでんな！」
冷たくて最高にうまい。その場で500ml以上飲む。水場の横に巨大なカエルがいました。
「お前最高の水飲んでんな！」
その後、映してませんが、黄連の水場でも水を汲む。ここで栂海山荘でしゃべった方々とまた再開。ともに白鳥小屋を目指す。地獄のup-downを経て。
地獄のup-downを経て。
激下りを経て、
入道山あたり。
頭の中で「日本海！ 日本海！」と…。
車の音が大きくなると国道と共に親不知観光ホテルがデーーンと。でも全く日本海への道がわからない。ホテル前で深夜出発の先発隊のお風呂上りの方と再会し、駐車場脇の看板がラストの花道と教えてくれました。乾杯用のコーラ500mlを携えて。
ホテル前で深夜出発の先発隊のお風呂上りの方と再会し、駐車場脇の看板がラストの花道と教えてくれました。乾杯用のコーラ500mlを携えて。
調度、下にいたお二人に撮って頂きました。
感動の一杯。
「美味すぎるーーーーー！！！！」
美しい。とにかく美しい。こんな海が待っていてくれて喜びもひとしお。
パンツ1枚で海水浴。潜って浮いて泳いで。
きれい！きれい！
「水中メガネをなぜ俺は…」
こんな海が待っていてくれて喜びもひとしお。
パンツ1枚で海水浴。潜って浮いて泳いで。
きれい！きれい！
「水中メガネをなぜ俺は…」
感想
お盆9連休に突入。
雲の平周回にするか？
南アルプス周回にするか？
以前、ヤマレコで目にした日本海への道を行くか？
この連休でしかできない山、やっぱり日本海にしよう。
土・日で十分に準備して12日（月）から望むはずであったが…。
結局、あれやってこれやって……3時40分。
結局、一睡もせず出発時間になってしまった。
【12日 1日目】晴れ 東京⇒白馬八方⇒扇沢⇒冷池山荘
扇沢に停めると工程上、扇沢行きのバス終了後に信濃大町到着となる。
そこで車まで戻れる、かつエスケープできる場所ということで白馬八方を
車の置き場所とする。
一睡もしてないので猛烈に眠い。高速のPAでたまらず10分だけ睡眠。
再び出発するも到着予定時刻は7時35分。扇沢へ向かう信濃大町行きの電車の白馬
発は7時46分だ。これを逃すと次の電車は約2時間後。
もう寝れない。
自分の名前を叫びビンタしながら白馬八方目指し、高速をひた走る。
安曇野ICを降りてからの下道も混んでて到着予定時刻は7時38分。
たまらず車中から駐車場にTAXIを待機させ、到着するやいなやTAXIに乗り込む。
たった2つしかない信号に共に引っかかる。
どうにか44分に駅に到着し、改札をくぐってすぐに電車が来た。
8時30分発の扇沢行きのバスに乗り込みようやく落ち着く。
山に登る前からクタクタとなってしまった。
満車の扇沢の駐車場を下り、柏原新道登山口へ向かう。
山岳警備隊が臨時のテントを設け、登山届を提出させてくれる。
とりあえず親不知と書く。すると警備隊の方が、同じコースを行く女性が一人先ほどいましたよと言われる。
「…！（すげー女性がいるんだな）」と絶句。
（この時に、この女性と本当に会うとは露ほども思っていなかった）
9時50分。2泊3日は何度も経験しているが、未知の5泊6日の山がスタート。
新調したグレゴリーのザックのおかげで背負い心地はいいが、とにかくザックが重い。たぶん20�坩幣紊△襪隼廚ΑＧ愽蕕辰申峇屬茲蹐韻襪曚鼻�
まったくペースがあがらない。おまけに以上に暑い。
以上にのどが渇く。
いつもはストックを使わないが、とにかく6日歩きとおすことを考えストックを使用してというより、ストックにしがみつくように登る。汗ダラダラ！ 息ゼーゼー！
13時20分。いつもはコースタイムより早く歩けるのだが、コースタイム通りの時間で稜線上にある種池山荘に到着。
ここからは美しい爺ヶ岳が見える。勝手に厳しい山を想像していたが、名前通り、
とてもゆったりとしたいい山だ。ここからゆったりと下り、冷池山荘を目指す。
どうにもテント場が混んでいるように見える。
冷池山荘でビール（550円）とコーラ（350円）をグイッと飲みテン場へ。
やはり激混み。どうにか斜めの場所を確保する。
寝ていてもずり下がる場所だがしょうがない。
ザックの重さと暑さに打ちのめされた波乱の1日目がどうにか終了。
【13日 2日目】 晴れ 冷池山荘⇒鹿島槍ヶ岳⇒五竜岳⇒五竜山荘へ
3時54分起床。食事して5時40分出発。
布引山を経由し鹿島槍ヶ岳を目指す。
7時10分。鹿島槍ヶ岳（南峰）到着。立山・剱が美しい。遠く本物の槍ヶ岳や富士山も雲間に浮かぶ。絶景を25分楽しむ。
7時35分出発。足場の悪い下りをおり、北峰分岐点へ。北峰へは向かわず本日の難所、八峰キレットへ向かう。
そこで事件は起きた！
どうってことない緩やかな下り。何気なく谷間を向いた大きな石に足を乗せた途端、若干バランスを崩す。ザックが重い。立て直すことなく身体が谷に向かう。
「えっ！ えっ！」
顔が地面に近づき回転し出す。
「落ちる！！！！！！！！」
回転しながらも、目に飛び込んだハイマツの根を右手でつかみ、転がり落ちることはなかった。どうにか這い上がる。左手の腕を擦りむいた他はおおきな怪我はなかった。
少しくだり、改めて転んだ場所を見ると、そこは40度位の斜面が5mほどだが、そこからはほとんど80度位ではるか下まで切れ落ちていた。勢い良く行っていたら、滑落で死亡か行方不明だったなと胸をなでおろすと共にこれはなんとラッキーだったんだと自分を落ち着かせる。
これほどまでにザックの重さが変えてしまうのかとびっくりすると同時に日本海につくまで一歩一歩とにかく慎重に行くことを決意する。
その後、八峰キレットもそれなりに険しく噂通り。
9時00分。急な岩場を降り八峰キレット小屋に到着。コーラで喉の渇きと心を落ち着かせる。
10時40分。「口の沢のコル」に到着。ここでゆで時間1分のスパゲティの昼食。
11時10分出発。緊張する急な岩場を登りを緊張しながら必死に登る。
13時50分。五竜岳到着。1日で百名山2座登頂。疲れすぎて実感薄い。
そこから五竜山荘までのくだりもかなり険しい。もうクタクタだが気を抜けない。
14時50分。行きも絶え絶えにテント場着。やはり混んでいる。どうにか人の行きかう通路の端っこに張る。平なところで寝れるだけ嬉しい。
立山・剱に沈む美しい夕陽とビール（500ml、800円）、ウイスキーに酔い眠りにつく。しかし足にはマメができ「こんなに毎日疲労困憊であと4日持つのだろうか？」と日記には記す。
滑落仕掛けの恐怖と疲労困憊で2日目終了。
【14日 3日目】晴れ 五竜山荘⇒唐松岳⇒不帰ノ嶮⇒天狗山荘へ
3時45分起床。1L100円の水を購入。
5時00分出発。岩の五竜岳を振り返りつつも唐松岳を目指す。
ここの道も思いのほか険しい。ものすごい黒く焼けた（失礼）ベテランの方とほぼ同じペースで唐松頂上山荘へ向かう。
7時20分。唐松頂上山荘到着。ベンチで朝食を取る。きのこスープとマーボーナス。
8時25分。唐松岳頂上。今日も美しい立山・剱を望む。しかし気になるのはやはり難所、不帰ノ嶮。何とも嫌なでこぼこが稜線上に連なる。
ストックをしまい慎重に一歩一歩行く。
二峰南峰の下り二峰北峰の上下はもう鎖だらけ。鎖に頼ってはいけないと分かっているのだが、恐怖心が出てバランスが悪い。ここでもザックの重さと大きさが邪魔をする。ヘルメットを装着し、どうにか恐々と通過する私と回り込むような鎖場で若い兄ちゃんとすれ違う。普通のスニーカーで鎖を頼らずサクサクっと進んでいく。（すげー奴がいるもんだ）
どうにかこうにか一峰も通過し、不帰キレットへ向かう。ここは大したことはない。
安心して「天狗ノ大下り」を昇る。がザレた急斜面。足と心肺機能に負荷がかかる。写真にとってないが途中、鎖が天から1本降りてきているように見えるところがあり、笑ってしまう。
13時10分。そんな鎖を繰り返し、ようやく天狗の頭にたどり着く。
ここからの天狗尾根がまた長い。危険個所と大下りも必死に上り、気分的にはもう天狗山荘なのだが、まだつかない。午後になるとやはり暑く喉も渇く。あとひと踏ん張り。
13時37分。天狗山荘到着。やったーテント場は空いている。
テント場を確保することなくキンキンに冷えたグラスの生ビールを頂く（800円）。
ここは雪渓の溶けた水がただだ。タオルで身体を拭き頭も軽く洗いサッパリ。
ここで明日の朝日岳での有名な夕食を食べるべく電話番号を調べる。
山で本を読むと恰好つけて持ってきた本も出さず、今日もクタクタで缶ビール（500円）と夕食で寝てしまう。
どうにか不帰ノ嶮と天狗の大下りでヘトヘトの3日目終了。
【15日 4日目】 ガス⇒晴れ 天狗山荘⇒白馬岳⇒雪倉岳⇒朝日岳へ 約18km
3時30分。起床。テントの張り方が悪くバタバタと音を立てている。隣の人に申し訳なかったなーと思いつつ撤収。
4時40分出発。ここまで晴れていたが今日はガスっており視界も聞かない。
今日までの疲労でテンションも低く、おまけに今日は約18kmの長丁場。
このまま「鑓温泉に下ろうか」と悪魔が囁く。太陽が出てから考えようと弱い自分を打ち払い歩を進める。
白馬鑓ケ岳途中でガスの中太陽が顔を出す。美しい。
視界のきかない白馬鑓には登らず歩を進める。杓子岳もガスを理由に諦め白馬へ進む。途中、ガスが薄くなり白馬岳の三角形の頂上が姿を現す。
「おおー」。去年仲間と来たが、視界悪く見えなかっただけに感動！
7時05分。徐々にガスが晴れる中、白馬頂上山荘到着。ホウレン草味噌汁と棒ラーメンの朝食。
7時40分出発。
7時55分頂上到着。すっかりガスや雲も消え4日連続の晴れとなる。
張れた頂上で写真を撮りたかったが、とにかく混んでる。写真を諦め三国峠へ向かう。
8時30分。三国峠を左に下り、いよいよ未知の領域。ゆったりとなだらかの山の斜面、ところどころ残る雪渓、沢山のお花畑。ここは天国か？
今まで歩いたどこよりも美しいのではないだろうか。厳しい岩場も素敵な山だが、自分が本当に好きなのはこういうところだなーて思う。
今まで見たことない紫のたんぽぽみたいな「ミヤママツムシソウ」も楽しませてくれる。
9時35分。雪倉岳非難小屋。大キジを打ちたいが、トイレなく諦め雪倉岳の登りへ。
ゆっくりゆっくり登る。登る度に振り返り白馬方面の美しい景色を堪能。
10時10分。雪倉岳に到着。頂上は広く多くの人も休憩。お菓子、水を摂取し出発。
ゆるーーーい稜線を朝日岳へ向け下る。ニッコウキスゲやマツムシソウなど花々の中、距離を稼ぐ。
11時50分。長い長い距離を歩き、暑さで汗滴る中、ツバメ平の水場に到着。これまたうまい水。たらふく水を飲んで補給し出発。
水平道は木道もところどころあるが、小さな起伏の連続とカンカン照の直射日光で思いのほかキツイ。みるみる体力を消耗する。
昼飯は小屋についてからと諦めているので、空腹も来る。
暑さからの水分欲求、絶え間なく押し寄せる大キジ、小キジそして空腹感。
絶え間ない欲求の連続にもうフラフラ。
余りにボーとして何もない水平な場所でこける。少し頭も痛い。
熱中症の寸前だなと水を摂取し小休憩を小刻みにとる。
朝日小屋の夕食だけを胸に耐え歩く。
14時 4日連続で疲労困憊となりながらも、どうにかこうにか朝日小屋到着。
小屋のおばちゃんの顔を見た途端、電話をしていなかったことに気づきながらも、「夕食食べれますか？」
「今日は、テント泊の方の申し込みも多くもう終わっちゃったよ。大目に作るんだけどね。前日電話してくれたら良かったのに。また食べに来て！」
「…（えっ、そんなー！おばちゃんは悪くない。自分が悪いのだが…）。」
悔しいので「お弁当は？」「明日のお弁当、それなら大丈夫よ」
ビール（500ml、800円）2本とゆですぎて不味い素麺2束を無理やり胃に押し込み、
食べれない悲しみをこらえる。
今日も日本海に沈む夕陽を見て睡眠に入る。
それにしてもここのテント場は最高だ。水豊富、トイレはしっかりした一戸建て。木道とお花畑と雪渓に囲まれた中で眠りにつく。
疲労困憊と本能にクタクタとなった4日目終了。
【16日 5日目】晴れ 朝日小屋⇒朝日岳⇒（栂海新道）⇒栂海山荘へ
13km予定も都合18km
2時20分。周りの撤収の音で目が覚める。今日は栂海山荘までの13kmの予定だが、できればその先の白鳥小屋（約18km）まで行きたい。撤収だ。
3時35分。ヘッテンつけて出発。星空の中、朝日岳を昇る。夜中なのに暑い。
4時25分。朝日岳到着。かなり荷物が軽くなってきたのと、幸い筋肉痛とかもなく快調だ。そのままくだることとする。
6時45分。分岐を過ぎ、今日も朝日に照らされながら、歩を進める。黒岩平到着。
ここもところどころ木道があり、沢山の花々があり非常に美しい。
が、ここからが地獄の始まりであった。
先まで続く小さな山々の稜線。いずれも回り道でなくその頂点を道がつなぐ。
つまり都度、上まで登り下る。
高度が下がるについれ異様に増えるアブ、蚊。
そして何より猛烈に蒸し暑い。ガンガン水を消費する。
みるみるペースが落ちる。
10時30分。もうすでに疲れ果て栂海山荘到着。ここで弁当を食しリカバリー。
まだ時間があるしあと4時間耐えれば白鳥山荘まで行ける。そうすれば最終日の工程がずっと楽になるし、白馬までの列車の確保も容易となる。白鳥小屋まで行こうと決意し、小屋を出ると、一人ずつ男性と女性も降りてきて食事中。話が楽しく、話し込んでいると、その女性こそ扇沢で先発された方だった。男性は七倉からで7日目という。みんだ山馬鹿だ（笑）。皆、白鳥小屋まで行くという。
11時15分。同志ができた喜びで勇気100倍、先発する。
しかしどんどん暑くなる。さっき補給した水がどんどんなくなる。
暑い中、上半身すっぱだかな元気おじさんとすれ違う。この日すれ違って登ってきたのはこの人ただ一人。
先ほどの女性に導かれ、予定になかった黄連の水場でも水を補給する。
その後もとんでもない急登り、急くだりの連続。一歩一歩が重い。そして暑い。
絶え間ないアブ、蚊の襲来。展望のきかない道。信仰や交易のためにできた従来の登山道と違い、後から作られた登山道。仕方がないと思いつつ恨みたくなるような登りの連続。
15時20分、これがラストか？と耐えること数回。ようやく白鳥小屋に到着。
都合、ここまでの水の補給量4L。尋常じゃありません。
こんなに頑張ったが無人小屋。ご褒美のビールは今日はなし。
しかし、ここで先ほどの2人ともう2人。今日の小屋泊まりは5人にて楽しい語らいの時間を過ごす。
夕やみ直後は、暑い小屋の中、蚊の襲来を受けながらなかなか熟睡できない。
「いよいよ明日は日本海だ」と胸に激疲れの5日目終了。
【17日 6日目】晴れ 栂海新道2日目 白鳥小屋→あこがれの日本海へ 約9km位
3人は暑さ対策でなんと1時30頃出て行った。残る2人は日の出位。
4時50分。いよいよフィナーレの最終日。水泡の足も痛むが関係ない。日本海目指しくだるだけ。しかし朝一から暑くハエ、アブ、蚊の襲来が激しい。
蚊のしつこさはもうすさまじい限り。そりゃ1日、数十人しか来ない人間の血を求めて蚊も必死。こっちもそんな蚊に血はあげまいと顔と手を振り回す。
視界きかない中、延々とくだり、延々と虫を追い払い、またまた水をしこたま飲む。やはり地獄だ。しかし昨日、白鳥小屋まで行っていて良かった。とても栂海山荘から登り下りを繰り返してさらに歩く気力もない。
5時45分。もういらないと思っていたがシキ割の水場でまた水を補給する。
こんなに水が有り難いと思った山は初めてだ。
6時30分。坂田峠を過ぎる。後、3時間の工程。ひたすら暑さと耐えるだけ。
時折とんでもなくしつこいアブが身体の周りを左回りに旋回し続ける。
「頭を狙って近付く」」
「ブーーーーン」
「ブーーーーーン」
こいつはハチだ。巣から300m離れれば離れていくと聞いたことがある。一瞬、首にチクッと来る。
「うへーーーたまらん。」
鳥肌が立ち、疲れているが刺されるのが怖く小走りする。確かに途中でつきまとわれなくなった。
7時50分。入道山あたりに向かう山道で糞が増え、茂みでガサガサとうなる。
ふと上を見上げると、ボス猿らしき猿がこちらを見ている。
これでは先に進めない。しばし待つがいっこうにどかない。
目を合わさないようにしてゆっくりと通り過ぎる。
栂海新道、虫と猿の住処にしのびこんだ人間の立場を痛感！
暑さにばてばてとなり、頭の中に日本海に飛び込む自分だけを希望に下り続ける。
鉄塔を過ぎ、自動車音が大きくなるとついに国道だ。親不知観光ホテルの自販機で
ゴールご褒美のコーラを買う。
早朝に先発した3人のリュックをホテル前で見つけ嬉しくなる。
あとは日本海にホテル横の道をくだるだけ。
階段を下りる。時折、エメラルドグリーンの海が木々の間から垣間見れる。
疲れが吹き飛び小躍りしながら階段を下る。
9時02分。ついに到着。
玉石ゴロゴロのとっても美しい日本海。観光客の2人に写真をとってもらい、コーラを飲む。とんでもない栂海新道でちょっと恨みたくなる位であったが、日本海を見て、何もかも吹き飛ぶ。
「最高だ！！！」
パンツ一枚になり、海に飛び込む。超、綺麗！
「超、最高！」
疲れも忘れ泳ぎ潜る。水中メガネ持ってくるんだった。反省！
こうして毎日、クタクタとなった地獄の6日間の旅が終了した。
体重4kg減。しかし思い出すのは、辛くも美しい光景と日本海。地獄であったがさまよっていたのは天国か。
降りてくる5倍くらいの時間をかけてホテルに戻り、風呂に入ってビールを飲み、親不知駅まで送ってもらう。ホテルの方曰く、
「今年は空梅雨で例年よりも虫の量は1／5位だよ。」
「えっ？！」「………」
糸魚川駅で乗り換えに時間があったので駅前の和食屋で最高のランチを食す。
6日振りのまともな飯にまたもや生ビール。何もかもが美味い。
満ち足りて疲れと満足感にしたり白馬駅から車を無事回収し帰路についた。
【追記】
しかし山にはすごい人たちがたくさんいる。朝日小屋から一気に麓まで下山した学生さん。同じく麓まで一気にいったおじさん。またすれ違った上半身裸のおじさん。アブや蚊も怖くない（？）。恐るべき健脚や身体、気持ちをお持ちの方々が沢山いらっしゃります。自分の未熟さを痛感しました。
【同じ工程を行こうと思われている方々へ（自分の反省）】
・私のように長期初の方は荷物の計量化がとにかくカギ
・お金を使っても多少は小屋食をとったほうが良し
・朝日小屋の夕食は予約すべし
・読まない本、ガス、服等はぶけるものは省く
・水場は絶対にチェックしておく。（夏場の晴天時連日3Lは飲みました。）
・虫対策もしておく （できれば初秋の頃の方がいいかも知れません。）
・余裕あれば水中メガネ
【御礼】
・山中でご一緒した沢山の方々、つくづく人の力で歩けるのだなーと痛感しました。ありがとうございました。
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umiyama7 さんのレコ、文章が面白くて、とても楽しく読ませていただきました
寝ないでスタートした1日目、大変でしたね。
なんと2日目には滑落の危機も！？
その後、キレット越えや天狗の登りの厳しさがあったり、
朝日岳周辺の花に癒されたり、、、。
なんといっても虫と暑さとの戦い、終盤の栂海新道は忘れ堅いですね。
最後にボスざるまで登場したんですよね
日本海では、カンパイのコーラで、グビッといきましたか〜！！
冷えた飲み物が身体に染みる、あの瞬間。最高ですね！
またこれからも、山をエンジョイしてください〜
slowlifeさん
コメントありがとうございます。
山もヤマレコも軽くささっとせんといかんですね。
最近、これまでの2泊3日と違い、長期縦走の
達成感とその満足感の違いを日々痛感して
おります。
かけがえのない時間と経験が脳と体に染み込んで
いる。そんな気がします。
現在、次の縦走をどうしようか考えています。
でもやっぱり次は日程的に2泊3日ですね。
お互い継続していきましょう。
職場で話は聞きましたが、力作読ませて頂きました。
上には上がいるもんですな。
今まであんまり考えてなかったけど、テント泊で軽量化とパッキングは、大事ですな。
ヘルメット姿もなかなかいいね。
今度は、雲の平リベンジしましょう。
ただ、栂海新道は、秋が良さそうですね。
白鳥小屋と、親不知観光ホテル前でお会いしたＫです。
あのあとやっぱり海に飛び込まれたんですね〜（笑）
私らより長い行程を歩かれてこられたので達成感もすごかったでしょうね。
これからも、がんばってください。
htoyommcさん
今回の山は、すごい人ばかりでした。
自然も人も大きくでかく、自分の小ささを思い知りました。
山は、天候や季節で印象が変わります。栂海新道は秋の方が、いいと思います。でもそれだと海には飛び込めないが…。
Kumatarouさん
コメントありがとうございます。お二人の掛け合いが楽しく、最終２日は楽しませて頂きました。
それにしてもkumatarouさん、去年、雲の平65kmを２泊３日って恐ろしいですね。kumatarouさんなら、上高地から親不知６泊７日でＯＫでは？
お連れの彼女にもよろしくお伝えください。
お互いこれからも楽しみましょう！
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