北アルプス 黒部源流縦走・秘湯めぐり(新穂高温泉〜笠ヶ岳〜三俣蓮華岳〜黒部五郎岳〜鷲羽岳〜雲ノ平〜高天原温泉〜水晶岳〜野口五郎岳〜湯俣温泉)
- GPS
- 128:00
- 距離
- 74.3km
- 登り
- 6,018m
- 下り
- 5,833m
コースタイム
- 山行
- 1:10
- 休憩
- 0:00
- 合計
- 1:10
- 山行
- 9:30
- 休憩
- 1:55
- 合計
- 11:25
- 山行
- 8:05
- 休憩
- 1:35
- 合計
- 9:40
- 山行
- 6:00
- 休憩
- 3:50
- 合計
- 9:50
- 山行
- 6:50
- 休憩
- 1:25
- 合計
- 8:15
- 山行
- 6:52
- 休憩
- 1:26
- 合計
- 8:18
天候 | 9/7(日):晴れ 9/8(月):曇り時々晴れ 9/9(火):晴れ 9/10(水):晴れ、夜中雨 9/11(木):曇りのち晴れ一時雨 9/12(金):晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2014年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス タクシー 自家用車
下山後高瀬ダム〜信濃大町駅:タクシー 信濃大町駅〜松本駅:電車 松本駅〜新宿駅:高速バス |
コース状況/ 危険箇所等 |
9/8(月) 笠新道は終始急登ですが、整備されているため、歩きやすいです。 9/9(火) 三俣蓮華岳から黒部五郎小屋までのルートで、黒部五郎小屋手前30分辺りからは急坂で大きめの岩が連続するガレ場となり、下り上りともに注意が必要です。 三俣蓮華岳の巻き道分岐から三俣山荘までの巻き道ルートは、がれた涸沢、ハイマツの根が露出した道、万年雪などがあり、かつあまり歩かれてないのか歩きづらいです。コースタイムは40分ですが、50分ほどかかり、ここのルートだけ辛めの時間設定に思いました。 9/10(水) 鷲羽岳山頂〜ワリモ岳は大きめの岩のガレ場が続きます。ワリモ岳〜ワリモ北分岐までの下りはザレ場で非常に滑りやすいです。祖父岳山頂から雲ノ平までの下りも大きい岩が連続するガレ場です。 9/11(木) 今回の山行唯一の破線ルートである温泉沢ルート。高天原温泉を右岸側から通り過ぎ、約一時間は土石流跡の沢登り。所々に赤ペンキマークがあるので注意すれば迷うことはありませんが、前日の夜中に雨が降り水量が増えた沢を右へ左へ渡りながら遡上するので神経と体力を使いました。約一時間後、正面に急斜面の沢が見えた所で、左に見えるハシゴを登り、沢登りは終了。ここから超急勾配の樹林帯を登ります。地面はザレてて滑りやすいので注意。30分ほど樹林帯を登るとハイマツが現れますが、傾斜は相変わらず30度以上の急登です。ハイマツ帯を40分ほど登ると赤牛岳へ続く稜線が見え、まもなく温泉沢ノ頭に到着です。通る人が非常に少ないルートです。温泉沢ノ頭から水晶岳山頂までは穂高岳のような痩せた岩陵帯が続きます。 9/12(金) 真砂分岐から湯俣温泉までの竹村新道は健脚向きの長いルートです。竹村新道の下りは極端に歩きにくい訳ではありませんが、急斜面が頻発して脚に負担がかかります。特に湯俣川が見えてからは、晴嵐荘まで滑りやすい急傾斜を下ります。湯俣温泉から高瀬ダムまでの林道はハイキングコースで快適ですが、ひたすら長いです。コースタイム的にも、上高地〜横尾と同じくらいと考えて良いと思います。 |
その他周辺情報 | 湯俣温泉は、晴嵐荘から徒歩15分ほどの噴湯丘周辺のところどころに温泉が湧き出しており、河原を掘れば自作の温泉に浸かることができます。しかしながら温度調節と掘る作業が大変なため、ゆっくり入りたい方は晴嵐荘の内湯(有料)をおすすめします。 |
写真
感想
【前泊日】晴れ
この日の前日に乗鞍岳をトレッキングし、平湯温泉の旅館でゆっくり。前泊日は午前中高山市の辺りの牧場で遊び、午後3時に新穂高温泉より入山、わさび平小屋でテント泊しました。
【1日目】曇り時々晴れ
山行の1つめとして笠ヶ岳を目指すことにしましたが、クリヤ谷ルートは景色に乏しくあまり楽しめないと聞いたため、笠新道を選択。笠新道は急登ですが整備されています。徐々に背後から西穂高岳、焼岳、乗鞍岳、槍ヶ岳と順に顔を出してくれるおかげでモチベーションの上がるルートです。この日は午前は曇りで笠ヶ岳付近から晴れました。笠ヶ岳山頂からは御嶽、乗鞍岳、焼岳、穂高岳、槍ヶ岳、黒部五郎岳、雲ノ平など360度北アルプスが望めました。ピストン後の抜戸岳付近から、急な温度上昇のせいかみるみるうちにガスが出て、槍穂高方面が隠れてしまいました。抜戸岳から秩父平までは急坂でザレ場のため歩きにくいです。この日はコースタイム12時間半。そのためか、秩父平付近から双六小屋が見えますが、とても遠くに見え萎えました‥。実際その先アップダウンが多く、長く感じました。双六小屋は快適ですが、テン場は風の通り道のせいか、今回の全てのテン場の中で夜は一番寒かったです。
【2日目】晴れ
双六岳付近から三俣蓮華岳まではなだらかで気持ちの良いルート。鷲羽、槍ヶ岳、黒部五郎岳の展望がよいです。三俣蓮華岳から黒部五郎小屋までのルートで、小屋手前辺りからは急坂で大きめの岩が連続するガレ場となり、下り上りともにしんどいです。小屋から黒部五郎岳までのカールルートは所々に小さい沢があり、植物も多くとても気持ち良い。黒部五郎岳山頂からは岐阜県側にガスが出るも、薬師岳や雲ノ平は絶好の景色を堪能。帰り道に小沢で足を冷やしてリフレッシュしました。黒部五郎小屋から三俣蓮華岳の巻き道分岐まで登り返したのち、分岐から三俣山荘までは巻き道ルートを使いましたが、今回の山行中唯一のコースタイムオーバーとなりました。ガレた涸沢、ハイマツに覆われた道、雪渓などを通り、かつあまり歩かれてないせいかどこも歩きづらいです。三俣山荘は鷲羽岳が目の前に見え、槍ヶ岳、大天井岳も見える絶景の小屋。ぜひ二階の食堂からの槍ヶ岳を味わってください。テント場は小屋から徒歩3分ほどの小沢とハイマツ帯に囲まれた場所にあり、とてもいい場所です。この日は満月だったため、夜になっても空が明るく、槍ヶ岳・北鎌尾根の稜線が綺麗に見えました。この日は一日中快晴でした。
【3日目】晴れ
15時頃から曇り予報だったため、青空のうちに雲ノ平と高天原温泉を堪能すべく早朝に出発。三俣山荘から鷲羽岳山頂までは見た目より短時間で登れましたが、終始急勾配で、山頂直下は一部手を使って登る箇所もありました。鷲羽岳山頂からワリモ岳は大きめの岩のガレ場が続く。ワリモ北分岐までの下りはザレ場で非常に滑りやすいです。祖父岳山頂まで進むと目の前に天上の楽園、雲ノ平が見えて来ます。祖父岳山頂からは360度黒部源流の山々が望めます。雲ノ平までの下りは大きい岩が連続するガレ場。ガレ場が終わると雲ノ平の木道が始まります。雲ノ平はいつまでもいたくなる穏やかな楽園です。雲ノ平山荘は非常に綺麗な小屋で、雲ノ平を引き立ててます。この日は荒れた場所での植生実験のために、環境省の人とスタッフ総出で活動をしていました。雲ノ平を離れるのを惜しみつつ、本日もう一つの目的である高天原温泉に向かいます。高天原山荘までは祖父岳から見えた通り、一気に標高500mほど下ります。湿原が見えたら山荘はすぐです。到着したらすぐに徒歩15分ほどの温泉に向かいました。沢の音がするとすぐに薄めの硫黄臭が漂い、まもなく日本一遠い温泉といわれる高天原温泉です。温泉は乳白色で風呂は4つあり、そのうち二つに入りました。一つは脱衣所付きの風呂「からまつ露天の湯」、もう一つは沢を挟んで対岸にある風呂「野湯」です。「からまつ露天の湯」は温度40度で適温です。「野湯」は目の前にあるものの、行くには沢を渡る必要がありますが、着替えて行くのも面倒なので素っ裸で冷たい沢を渡って風呂に飛び込みます(笑)。こちらの温度は少しぬるめ、38度くらいでした。合計1時間以上温泉を堪能し、3日間たまった汚れを洗い流しました。この日は小屋に泊まり、夜には今回の山行で初めての雨が降りました。小屋の宿泊客は合計7名で、ゆったりとした夜を過ごしました。
【4日目】曇りのち晴れ一時雨
夜中に一時本降りの雨が降るも、朝には止み、薬師岳方面は青空が見えました。朝食後、山荘のご主人の経験から見て雨は降らなそうとのアドバイスをもらい、出発。今回の山行唯一の破線ルートである、温泉沢経由で水晶岳山頂を目指す。高天原温泉で顔を洗い、ここから約一時間の沢登り。所々に赤ペンキマークがあるので注意すれば迷うことはありませんが、水量が増えた沢を右へ左へ渡りながら遡上するので神経と体力を使います。約一時間後、正面に急斜面の沢が見えた所で、左に見えるハシゴを登り、沢登りは終了。ここから超急勾配の樹林帯を登ります。地面はザレてて滑りやすいので注意。30分ほど樹林帯を登るとハイマツが現れるが、傾斜は相変わらず30度以上の急登。水晶混じりの道に熊のフンを発見し、熊鈴を鳴らします。ハイマツ帯を40分ほど登ると赤牛岳へ続く稜線が見え、まもなく温泉沢ノ頭に到着。ここまでの破線ルートは登り下り共に誰とも会いませんでした。ここから水晶岳山頂までは穂高岳のような痩せた岩陵帯が続きます。当山行初めての小雨がパラパラ降り出しガスが充満し出すも、山頂へ到着したとたんに開け、360度の景色を堪能します。山頂から水晶小屋までは一部危険箇所もありますが、特に難しくありません。水晶小屋は野口五郎岳や槍ヶ岳が望める素晴らしい小屋。水晶小屋から野口五郎岳までは岩陵帯とザレた道が続きます。野口五郎岳は雪が積もったかのような白く美しい山です。山頂からは360度素晴らしい景色が望めます。10分ほど下るとクラシカルな佇まいの野口五郎小屋。ここは高天原山荘同様、小屋泊のみです。とても美味しい夕食を頂きました。最終日の夜は19時半頃より天の川と共に満天の星空が見え、その後スーパームーンが燕岳方面から現れたことで明るくなり消えていき、幻想的な光景を体験しました。
【5日目】晴れ
最終日の朝は雲一つない晴天、野口五郎小屋からの朝日を望み出発。早朝の野口五郎岳山頂を独占し360度の景色を楽しむ。剱岳も間近に迫って見える。真砂分岐まで戻り、そこから湯俣温泉までの竹村新道は健脚向きの長いルート。南真砂岳付近から早速温泉の硫黄臭が漂い始める。その付近は槍ヶ岳と北鎌尾根を目の前に望みながら歩ける好ポイント。逆にこれまでの山行で度々目にしてきた鷲羽、水晶、薬師の姿はここの辺りでお別れとなります。竹村新道の下りは極端に歩きにくい訳ではありませんが、距離が長く、たまに現れる急斜面で脚に負担がかかります。段々と表銀座方面に降りていくため、燕岳の稜線が樹林帯の中から近づいてきます。槍ヶ岳の穂先も湯俣温泉付近まで終始顔を覗かせています。湯俣川が見え始めたら、川まで急斜面のザレ場。最後の目的地湯俣温泉に到着後、晴嵐荘の方に川から湧き出る温泉について情報を教えて貰い、徒歩15分ほどの噴湯丘周辺へ向かいました。噴湯丘は圧巻の姿です。河原のいたるところから硫黄臭の強い源泉が湧き出て川と合流するため、程よい場所に穴を掘り風呂作りを試みました。しかしどうしても源泉の熱さが勝り上手くいかず、高温に耐えられる足湯だけ楽しむことにしました。山荘まで戻り、そこからタクシーの拾える高瀬ダムまでコースタイム2時間50分の平地の林道歩きとなる。快適な林道ですが、殆ど見所もないため、最後のひと踏ん張りで高速歩行し1時間55分後、ゴール地点の高瀬ダムに到着。
この夏の北アルプスは晴れの日が殆どなかったと言われた中、6日間のうちほぼ晴れという奇跡の山旅を味わいました。憧れていた雲ノ平、高天原と湯俣の二つの秘湯、4つの百名山を始めとした素晴らしい山々をはっきりと思い出に残せた旅でした。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する