藪に溺れた中央アルプス全山
- GPS
- 31:24
- 距離
- 43.7km
- 登り
- 3,808m
- 下り
- 3,484m
コースタイム
- 山行
- 1:45
- 休憩
- 0:03
- 合計
- 1:48
- 山行
- 10:11
- 休憩
- 1:07
- 合計
- 11:18
- 山行
- 16:09
- 休憩
- 0:53
- 合計
- 17:02
天候 | 晴れ、曇り、風時々 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス タクシー
林道終了点からやや行ったところからタクシーで飯田駅まで7000円ほど |
コース状況/ 危険箇所等 |
【混み具合について】 木曽駒ヶ岳付近、ほぼ誰もいない 宝剣山荘と宝剣岳の周りはそれなりにいるが結構空いてた 宝剣岳の先はソロの方と数名すれ違う程度 奥念丈から先は完全に無人 【小屋について】 宝剣山荘を除き、まだどこもやってない 木曽殿山荘は冬季小屋が使えた 【水場について】 水場がとても少ないので小屋がやってない時期は注意 木曽殿山荘から7分ほどの水場から、 安平路避難小屋から3分の水場まで 水場がない!薮に時間がかかる可能性があるので多めに携帯するべし。私たちは藪漕ぎに時間を取られ、予想の倍の時間がかかった。そのため後半8時間ぐらいを200mlで耐える羽目になった 【薮漕ぎと電波について】 これは2023年6月の記録 調べていた過去の記録と状況は全く違っていたので、これも時間が経つとあたり参考にならないと思う 南越百岳~奥念丈岳 腰ぐらいの薮。踏み跡は時折見失うがあるので割と進みやすかった 奥念丈岳~袴腰岳 絶望的な薮、高さは胸ぐらい 地図上のここに線を引くべきではない 踏み跡はなくはないが非常に分かりにくくすぐ見失う ピンクテープもない 笹は上から下向きに生えているのでそこを無理やり登るのは非常に消耗する 袴腰~浦川岳 薮は肩ほどから背の硬さまで コルからは石が敷かれた細い道があるが、上に行くにつれ分かりにくくなる 道があっても笹がしっかり道を塞いでいるので手で漕ぎ分けないと進めない 浦川岳~安平路山 浦川岳からしばらくは腰ほどの薮だが、踏み跡は割と追いやすい ここで日が暮れたため、道を見失っても稜線上を外れないようにだけ意識し、無理やりに進んだ 安平路山手前も肩ほどの薮 迂回路を取ろうかとも考えたが、トラバースの踏み跡も見つけられずに難儀し、諦めてテキトーにルートを取って直登した。笹は引っ張っても抜けないので斜度はそこそこあったが落ちる心配はなかった 時々電波通る 安平路山頂はしっかり電波通る 安平路山~白ビソ~摺古木山 笹は腰から胸の高さ ピンクテープがわかりやすく、踏み跡も明瞭でとても歩きやすい 電波も弱いが通る 安平路避難小屋手前のコルから3分程降ったところに水場 摺古木山~登山口 笹は膝から腰程度 道はしっかりしている 登山口からの林道 最初の方は電波が通るが、すぐに通らなくなる 道はあまり良くなく、疲れた足に応えた笑 林道終了点までは車は来られず、さらに10~20分歩いたところまでタクシーが来てくれた |
その他周辺情報 | ザックの容量的にシュラフを諦めたのでエマージェンシーシートにくるまって寝たが、やはり寒すぎてろくに眠れなかった。 テント場はほぼないが、小屋もまだやっていないし、そもそも南の方には誰もいないし、どこに張っても誰も文句言わないのでは…?! 藪漕ぎはどんなに暑くても長袖はもちろんのこと、手袋も必須。手袋をしていなかったため無数の細かい傷がつき、シャワーの時にヒリヒリする笑。サングラスも必須。していても笹が目に入りそうになり、ゴーグルが欲しいぐらいだった。 |
写真
感想
日が暮れようとする時、相方が喉の渇きのあまり「沢に降りようよ」なんてとんでもないことを言い出したのが今回の状況のヤバさを物語っている。
私が誘い私が計画を立てた手前、無事に下山できなければ私の責任だ。最悪のシナリオを頭から振り払い必死に藪を漕いだ。
途中まで、私の方がバテていた。笹が目に入り、涙が止まらず痛みでしばし目が開かなかったりもした。コンタクトが外れて視界がぼやけた。彼女は私を励ましつつ、冷静にルーファイをしてくれた。藪を掻き分け、しゃがみ込んで目を凝らし、わずかな獣道を見つけるのだ。
しばらくして、彼女が気分が悪いと言い出した。水分不足なうえ日差しは強く、休憩なしで歩き続けてきたから無理もない。彼女が弱ったのをみると俄然元気が出てきた。ここから先は私がルーファイをしよう、2人ともバテるわけにはいかない。彼女は私よりずっと小柄なので、私が藪漕ぎを先頭でやった方がずっと早くもあった。しばらくして真っ暗になると、彼女が後ろでGPSを見ながら指示を出してくれ、私が藪の中を強引に進んだ。
朝4時に出発し、安平寺山に着いたのは21時だった。小屋まで降りる力は彼女に残されておらず(山頂で🤮笑)私がテントを張った。2人の残りの水は100ml、ジェルを飲んで凌いだ。
彼女がシュラフの中に入って寝ている横で、フライとエマージェンシーシートにくるまって考えた。水をもっと汲んでおくべきだった、藪にこんなに時間が取られるとは思わなかった、調べてはいたが過去の山行記録とは全然状況が違った、もっと明るく冷静に振る舞うべきだった、サングラスを省略すべきでなかった、などなど。反省が次から次へと浮かんだ。
同時に、乗り越えた満足感もあった。もはや喉の渇きも感じなかったし、全く眠くなかった、まだまだ行ける、限界突破。また一歩強くなったなと思って嬉しかった。こんな無茶な山行になって申し訳なかったけれど、彼女への信頼感も強くなった。山岳部で彼女とは二年以上一緒に山に行っているが、合宿でもっと強い男子達と行くのと、2人で行くのとはちょっと違う。彼女となら、もっと過酷な状況でも大丈夫。やはりきつければきついほどやり切った達成感がたまらない。だから山はやめられない。
コメント
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まさかあの後「あまりにも絶望的な藪」「力尽き、ここで夜明けを待った」の事態になっていたとは・・・。それほどにひどい藪と大変な行程だったのですね。さらに水場なし・・・予定より1日多くかかったとはいえ、無事下山のレコにほっとしています。
仙涯嶺手前でお行き会いしたとき「中央アルプス全山縦走」と聞いて驚きましたが、素晴しい若さとエネルギーですね!そして勢いだけではない冷静な判断と計画変更時の対応。藪漕ぎの最中も「稜線を意識すること」「丁寧に踏み跡を探すこと」に感心させられました。
私のピストン山行はかなり修行的要素が強かったですが(笑)、お二人とご一緒できた時間は楽しかったです。ありがとうございました&お疲れさまでした。
あの節はお世話になりました。ご一緒できた時間は短かったですが、ほぼ誰もいない中央アルプスであの時間はとても楽しかったです。
こちらも、「焼岳に行った次の日に藪漕ぎピストンなんてだいぶ狂ってるなぁ」と思ってました♪笑笑
水分不足と背丈の藪に苦しみ、時間を食いましたがなんとか無事に下山することができました。
ご心配いただきありがとうございます。
これからもレコ楽しみにしています😊
お疲れ様でした。
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