【3泊4日】折立から雲ノ平→水晶→鷲羽→笠ヶ岳、最後は笠新道を避けて新穂高へ
- GPS
- 39:02
- 距離
- 61.5km
- 登り
- 4,396m
- 下り
- 4,722m
コースタイム
- 山行
- 5:56
- 休憩
- 0:21
- 合計
- 6:17
- 山行
- 9:34
- 休憩
- 1:35
- 合計
- 11:09
- 山行
- 10:07
- 休憩
- 1:52
- 合計
- 11:59
- 山行
- 7:47
- 休憩
- 0:42
- 合計
- 8:29
天候 | DAY1 晴天→ガス→晴天 DAY2 晴天→ガス DAY3 ガス時々晴れ→ガス DAY4 晴天 ガスに泣かされたが雨は降らなかった。一週前の予報では登山指数C並びだったのでむしろ幸運に感謝 |
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過去天気図(気象庁) | 2023年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス
帰り 濃飛バス 新穂高BT→平湯温泉 平湯温泉→バスタ新宿 |
コース状況/ 危険箇所等 |
ブナ立尾根の登山口の橋が流されたため、急遽折立からの北アルプス入りに変更。バス、山小屋ともにキャンセル料を払ったが1日前に復旧。もっと情報収集すべきだったか… |
その他周辺情報 | 平湯温泉にて日帰り入浴 ひらゆの森 750円 |
写真
感想
昨年悪天候で諦めたあの場所へ、とリベンジを掲げて計画を立て始めたら行きたいところだらけで結局、ブナ立尾根から笠ヶ岳を目指す3泊4日の計画になった。しかし豪雨被害もあって直前にプラン変更、気づけば昨年と同じ折立登山口に立っていたのだった。
【DAY1】
折立から薬師沢小屋までが初日の行程。けど心の片隅にわずかながら薬師岳への寄り道の未練が残っていた。頑張れば薬師岳も行けるかも。去年登った山だけど天気に恵まれて良い印象しかない。太郎平へ向かう登山道からその美しい姿で誘惑されたらフラフラと立ち寄ってしまうかも、でも時間が。
そんな悩みは太郎平小屋の予約が取れなかったこととガスと太郎平小屋への到着タイムが昨年より大幅に遅れたことも相まってあっさり粉砕される。頑張れば行けるかも?じゃない、全然頑張ってなかった💦好天が一転、ガスが出始めてからはあっという間だった。折立から太郎平へ向かう道は例えガスだろうがお気に入りの登山道であることに変わりはない。しかし最高の初体験の再現を試みるのはたいてい失望に終わる。いや誘惑に負けて無理な行程に挑むなんてことにならなかった結果からみれば薬師岳の姿を隠したガスはむしろ恵みだったかもしれない。太郎平を越えた向こう側では幸いにもガスに悩まされることはなかった。アクシデントもなく目的地の薬師沢小屋に到着し、初日は予定通りピークを踏むことなく終了。ただ太郎平小屋から薬師沢小屋間も遅れ気味に到着したのだけが引っかかった。4日分の荷物の重さのせいかコースタイムにやや不安が・・・。スケジュール完遂のために明日は早く出よう。
【DAY2】
思いの外早く目覚め4時前に出発。空は星が綺麗だった。ヘッドライトの光で吊り橋を渡るのが不安で前日お試しで渡ってみたのだがもうちょい先、高天原と雲ノ平の分岐のところまで足を伸ばすべきだった。河原に出たところで行き先がわからなくなってしばし立ち尽くす。こういう時、道ではないものが道に見えてしまうのが怖い。この時も崩壊した崖が急登に見えた。まもなく行くべき道は見つかったのだけど、明るくなるまでは慎重に進む。
雲ノ平へ登る道は前半は梯子混じりの急登、後半は岩ゴロゴロの急登、最後は朝露でびしょびしょとさすがは日本最後の秘境、楽に到達させてはくれない。雲ノ平に出てからは素晴らしい天気で四方の山全てが見渡せる絶景。スイス庭園から見渡す水晶岳をはじめとする山々の美しさよ。ただ所々に木道の整備が行き届いていない場所があり、シーソー化した木道で思いっきりすっ転ぶ。その後の祖父岳の登りで強打した膝が痛んで慌ててトレッキングポールを取り出す。祖父岳山頂の眺めは期待してなかったので嬉しい驚き。水晶小屋では小屋から見渡す裏銀座への、まるで地の底へ下って行く地獄絵ような迫力の光景に圧倒された(しかしその写真がない!なぜだ!)その水晶小屋に荷物をデポし、挑んだ水晶岳だが山頂に近づいたところでまさかのガス、鷲羽岳もガスでお出迎えと後半はリベンジ案件。コースタイムはこの日も想定をオーバー、特に鷲羽岳の下りで大幅に時間をロス、下りへの不安が拭えない。
【DAY3】
朝からガス、この山行で初めて雲海が見えたと思ったら双六岳の向こうからどんどんガスが乗り越えてきてあっという間に真っ白の世界。この日も朝食はお弁当、時間がたてば晴れると思い三俣蓮華岳でお弁当を食べつつ時間を稼ぐ。双六岳山頂直下ではライチョウに遭遇、全然逃げないライチョウ一家の時間稼ぎへの協力もあって双六岳山頂は晴れた・・・がしかしその後の稜線上ではまたもガス・・お目当ての双六岳の稜線の先に浮かぶ槍ヶ岳の写真は撮れず。あるあるだけど双六小屋に下り始めたら見事に晴れた。戻る気力はなかった。天気はどんどん良くなる。笠ヶ岳への道は槍穂高連峰と並走する素晴らしい長め、そうこんな風に稜線を歩きたくてこのコースを計画したのだった。あんなところまで歩くのか、遠くにあった笠ヶ岳も歩けばどんどん近づいてくる世界は狭い。だがここでも無情にもガス、遠くにあるときはあんなにも美しくはっきりとそびえたっていたのに近くに来たら霞へと姿を隠す。笠ヶ岳お前もか。失意の中到着した笠ヶ岳山荘でさらなる問題に直面、なんと水不足によりひとり1Lの水しか売ることができないとのこと。テン場の水も枯れ、あるのは天水だけ。(途中の秩父平の水場も枯れていた)、売店の飲み物も酒と牛乳以外は売り切れ。熱中症とまではいかないが炎天下の下を歩き続けて火照った体にこれはかなりきつい。もっと事前に情報収集しておくべきだったかもしれない。疲れとガスと水不足のショックから気力は萎えていたがわずかに残った気力体力を振り絞って笠ヶ岳に登頂。だが達成感はなく頭の中は明日、たった1Lの水で過酷と言われる笠新道を下ることへの不安でいっぱいだった。
眠れなかった。満員の相部屋は蒸し暑く、加えて地獄のように汗臭かった。体は火照り頭上にある窓から伝わる寒気でわずかでも体の温度を下げようとする。頭の中では不安と後悔、迷いが増幅し、ごちゃごちゃに入り混じって悪い考えが次々浮かぶ。コースタイムへの不満、水の不安、未知の山行4日目への不安、忘れ物のこと、この夏の過密スケジュール、登山に対する自分の向き合い方を改めるべきか、このまま眠れなかったら明日の体調が・・・。情熱が失われつつあった。明日は撮影機材はすべてしまって何も撮らずに帰ろう、晴れていてももう一度笠ヶ岳山頂に行くのはやめよう、来月の登山スケジュールを見直そう・・・。
【DAY4】
4時、アップルウォッチの目覚ましで起きる。いつのまにか寝てしまったようだ。サクッと準備して外へ。昨日の夕方とは見違えるような晴れ。昨晩の決心はどこへ、荷物を背負うと頂上へ向かった。後から考えると荷物を置いて空手で登るべきだったんだけど、登るか、去るか、どうするか紙一重の決断でそこまで考えてなかった。頂上は・・ああ素晴らしかった。昨日の後ろ向きな考えが溶けるように消えていった。ガスの頂上で終わらなくてよかった。写真もたくさん撮った。帰り道も写真を撮っていこう。
下山について、眠れぬ夜に何度も考えたことを反芻する。笠新道下りのコースタイムは4時間20分、急な下りが苦手な自分はたぶん5時間以上かかる。一方で来た道を戻り小池新道から新穂高を目指したタイムはプラス2時間ほど、しかしこちらのコースを取った場合、分岐から3時間ほどで鏡平山荘に着きそこで補給が可能(かき氷!)。この暑さの中で水1Lだけで持つのか不安だ、補給なしで笠新道を5時間下るより来た道を戻り、小池新道へ向かうほうが安全と判断した。予定を変更し、笠新道を回避することを決める。
抜戸岳、大ノマ岳、弓折岳と続く稜線歩きは行き同様素晴らしかった。途中、笠ヶ岳と槍ヶ岳を眺める最高のローケーションで朝ご飯のお弁当を広げる。おいしかった。水の不安は消えたわけじゃないが昨日、笠ヶ岳山荘の売店で手に入れた2つのゼリー飲料がお守りとして心強かった。寝苦しかった笠ヶ岳山荘だが食事はおいしく、従業員の方たちはとても親切だった。弓折乗越まで来れば安心だがそこまでの道で一番の難所は弓折岳への登り返しだろう。梯子も数か所あり、もう終わりかと思うとさらに上があり、体力的に応えた。けど他はそれほどでもなく水もしっかりそこまで持たせることができた。結局鏡平までのコースタイムも予定をオーバーしたが余力十分であり笠新道を回避した判断は間違ってなかったと思う。
いろいろ反省や学ぶところもあったものの初めての4日間の山行を無事に終えることができた。しかも臭くない服1セット残し(笑)山行を終えた後は平湯温泉へ移動し、日帰り入浴施設へ。4日間の山行のあとの温泉・・・ああ素晴らしい。そして汗をかいた後のしょっぱいみそ汁のおいしさよ・・・。そして汗臭くない服に着替えて家路に着く。次の山行もまた楽しき思い出がありますように。
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