後立山テント縦走(猿倉〜扇沢)
kaz
- GPS
- 28:28
- 距離
- 35.4km
- 登り
- 4,345m
- 下り
- 4,229m
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9/20 4:00起床-天狗山荘6:00-6:15天狗ノ頭6:20-(天狗の大下り)-7:10不帰キレット-7:45不帰�喫�-8:50不帰�曲�南峰-9:15不帰�景�-10:00唐松岳-10:15唐松岳頂上山荘11:10-13:00五竜山荘(テント泊)
9/21 3:45起床-五竜山荘5:25-6:15五竜岳6:30-8:10北尾根ノ頭-8:27口ノ沢のコル-9:35キレット小屋10:00-11:25鹿島槍吊尾根分岐-11:35鹿島槍北峰11:50-12:20鹿島槍南峰12:40-13:05布引山-13:45冷池山荘13:55-15:45種池山荘(テント泊)
9/22 3:45起床-種池山荘6:00-7:25柏原新道登山口
| 天候 | 初日〜3日目昼過ぎまで晴天 その後天候は下り坂で4日目は曇天から雨予報にて下山 |
|---|---|
| 過去天気図（気象庁） | 2009年09月の天気図 |
| アクセス | |
| コース状況／ 危険箇所等 |
登山ポスト:猿倉にあります 危険箇所:良く歩かれているコースなので、整備はしっかりしていますが、やはり天狗の大下り、不帰ノ嶮、牛首、八峰キレットは注意して歩いてください。コース的には北(白馬)から南下するほうが良いと思います(一番危険に見えた不帰�曲�北峰斜面を下るのはかなり恐いように思います) 山荘・テン場:白馬山荘は山小屋が苦手な人でも泊まれそうな立派な山小屋(ホテルみたい)です。 今回のコースで一番良いテント場は天狗山荘でした。雪渓から冷たい水が汲めるし、静かだし、眺望も良いし、トイレもキレイ。 五竜山荘は交通の要衝・コースどりの拠点となるため、小屋も幕営も激混みでした。お昼までに幕営サイトを確保しないと傾斜地や小屋脇しか確保できません。 冷池テン場は小屋(トイレ)から遠すぎて不便そうでした(傾斜地だし)。 種池テン場は眺望がなく、テントを隣接設営するしかないので、混んでいると落ち着きません(ペグダウン以外はNG)。でも小屋はキレイです。 |
写真
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感想
秋の青空に恵まれたシルバーウィーク前半、テントを担いで後立山テント縦走を満喫してきました。
後立山は、私の北アルプスデビュー(2年前の盛夏 唐松・五竜)以来ですが、ずっと挑戦したいと思っていたテントを背負っての稜線縦走を満喫してきました。
結果から言うと、後半の悪天予報で、今夏に断念した種池から針ノ木・蓮華縦走を今回も断念し、1日短い3泊行程となってしまいましたが、それでもスタートから3日間は最高の天気&眺望を味わうことが出来ました。
(立山・剱岳を厭というほど ずっと右手に眺め続けられる幸せ)
白馬から鹿島槍方向へは人気の縦走コースなので、ずっと同じメンバーでテン場や山頂などで何度も顔を合わせ、談笑したり、またすれ違う人たちと先のテン場情報を交換しあったり、単独山行でしたが、全然寂しくない、楽しい4日間となりました。
(重装備で我ながら良く歩きました)
1日目:猿倉-白馬岳-杓子岳-白馬鑓ヶ岳-天狗平
2日目:天狗平-不帰ノ嶮-唐松岳-五竜山荘
3日目:五竜山荘-八峰キレット-鹿島槍ヶ岳-爺ヶ岳-種池
4日目:種池-下山
=====
前夜、就業時間終了早々に仕事を切り上げ、家に速攻で帰って山行準備。
今回は入山地と下山地が大きく異なるので、マイカーでは無く行きは登山バス利用です。(毎日新聞旅行社の毎日アルペン号)
22:25 竹橋集合ということで、時間に余裕があったことで逆に手間取り、携帯電話を忘れたことにすぐ気づいても戻れないぐらいギリギリで集合時間に間に合う。おかげでバス車中睡眠用に買いたかったアルコールも買えずじまい。
でもやっぱりバスは楽チンです。猿倉終点なのでノンビリ惰眠を貪ります。
(これでアルコールとつまみがあれば言うことなしだったんだけど)
=====
途中、信濃大町駅前、扇沢で途中下車のお客を降ろし、早朝5時半すぎに猿倉到着。
出発点の猿倉荘前には、これから登山開始するために準備する人がけっこう居ます。さすが連休です。今回は登山計画書をネットで事前に長野県警に送信済なので、ここで朝食を少々お腹に入れ、
5:58 猿倉荘前スタート(標高1230m) 白馬岳山頂までの標高差1700m こりゃ大変だ。
出だしは歩きも快調。まだまだゆるい登りの道を良いペースで進みます。
6:40 白馬尻小屋(〜6:55 休憩)
盛夏ならここから大雪渓の登りとなるようですが、さすがにこの時期、ここには雪渓はありません。ここで朝食Part2と水補給。
ここから30分ほどは右岸の秋ルートを歩き、ようやく目の前に拡がる大雪渓の斜面に取り付きます。10分ほどはそのまま歩いてみましたが、早朝ということもあり雪面は想定以上に締まっていたので、万全を期して軽アイゼンをここで装着(だって、せっかく持ってきたんだし)。
正面に天狗菱を見据えるこの構図、写真でよく見るやつです。
軽アイゼンがあれば、登山道を歩くよりも自分の歩幅で直登できるので、順調に高度を稼ぎます。しかし軽アイゼン雪渓歩きも30分弱で終了。
8:40 岩室跡
9:30 避難小屋(どうやら最近再建されたようで、とてもキレイ)
夏にはキレイなお花畑となるカール地形の底から稜線を目指して登ります。
しばらく登ったところで、稜線の先に村営頂上宿舎が見えはじめましたが、これがなかなか近づいてきません。もうヘロヘロ。
10:30 稜線鞍部にある村営頂上宿舎前に到着(〜10:50 休憩)
ベンチに腰をおろし、ゆっくり休憩。登ってきたのを追いかけるように湧いてきたガスが下から次々吹き上げてきて、白馬山荘とその先にある白馬岳山頂を隠してしまいます。
後から登ってきた単独行さんを見ると、東京からのバスで隣の隣座席で見かけたウェア。声をかけてみるとやはり同じバスの人でした。予定を聞くと後立山を縦走して、出来れば船窪から裏銀座へ抜けて最後は笠ヶ岳まで歩いてみたいとのこと。何て豪華でテンコ盛りな山行計画!
※彼もテント装備で1泊目は天狗平ということで、最終日まで何度も顔を合わせたり、一緒に歩いたりとなりました。
重いザックをここにデポし、先に出発した彼の後を追って、ポケッタブルザックで白馬岳に向かいます。荷物が軽いと全然楽チンです。
噂通りの立派な白馬山荘を過ぎて山頂までの九十九折れ道を登っていくと、途中に先行していた単独行さんが座っています。良く見ると、彼のすぐ目の前に雷鳥です。
まったく人を恐がらず堂々と登山道を闊歩する雷鳥さんの足のモコモコした毛がカワイイ!
11:20 白馬岳山頂 2932m
新田次郎の「強力伝」で有名な山頂の方向指示盤が山頂にドッシリ鎮座しています。
相変らず信州側からどんどんガスが沸いてきますが、富山側の視界は良好。
すぐ隣の旭岳、北側は稜線伝いに鉢ヶ岳・雪倉岳までは見通せますが、朝日岳は雲海の中。
そして、南西方向には湧き上がるガスの向こうには毛勝三山・剱岳・立山連峰、その遥か向こうにも北アルプスの山々が小さく雲海に浮かんでいます。
山頂から下って、白馬山荘売店で山バッヂを購入し、ビールと牛丼を注文してのんびりランチタイムです。今回の山行はテント泊、ランチはすべて小屋で食べることにして、少しでも積載重量を減らす作戦です。
とても山の中とは思えない綺麗でお洒落な白馬山荘の食堂の窓際で、湧き上がるガスが時々切れると顔を出す杓子岳・白馬鑓ヶ岳を眺めながら、少々酔っ払う、なんて贅沢で至福なひととき。
村営頂上宿舎前に戻り、再び重いザックを背負い直し、先に出発した単独行さんの後を追って、
12:45 午後の部スタート
ここからはずっと見晴らしの良い稜線コースなんですが、杓子・白馬鑓へ続く道のりは意外アップダウンが多そうに見えます。
小さなピークの丸山から振り返ってみる白馬岳、秋色の地肌に染まり始めた非対称山塊が青空の下になかなか良い構図です。
一方のこれから向かう杓子・鑓のガレ場の多い灰色の山肌と秋色の地肌のコントラストもこれまた良い感じ。
杓子岳の中腹には山頂を通らずに鑓に抜ける巻き道があり、殆どの登山者はこちらを進むようですが、先行していた単独行さんが直登コースで杓子山頂へ向かうのが見えたので、こちらも後を追って山頂へ。
13:40 杓子岳山頂 2812m
湧き上がるガスも少し落ち着いたようで、白馬岳も鑓もクリアに見えます。
ガレ斜面を斜行直進して巻き道と合流し、一旦杓子沢コルまで高度を下げ、ここからまた鑓山頂を目指しての登りです。途中で振り返ると杓子岳・白馬岳がともに同じ角度で富山側の斜面を形づくっている構図がこれまた良い。
14:48 白馬鑓ヶ岳山頂 2903m
鑓という名称とは結びつかない意外と広い山頂部です。きっと信州側から見上げると尖って見えるのでしょう。
山頂からは、天狗平の山小屋・テン場が見えます。天狗尾根の先、天狗の大下りから不帰ノ嶮部分は雲海に沈んで見えませんが、唐松・五竜の山頂部がちょっぴり顔を出し、剱・立山の向こうに薬師・黒部五郎、赤牛・水晶、そして雲海の上に小さく槍の穂先まで見えました。クリアな秋の一日に感謝です。
振り返った反対側には、今日歩いてきた白馬岳・杓子岳とその登山道
さて、テント場への道を急ぎます。
稜線から左に折れて天狗山荘への下りにかかると、目の前に小屋とテントが見えてきました。
幸いテント場は空いているようです。
15:38 天狗山荘
やっと入山初日の宿泊地に到着です。山荘ですぐにテント受付を済ませ、設営を済ませます。ここのテン場は稜線から少し信州側に下った場所にあるので、剱・立山は見えませんが、小屋の奥には雪田と水場があり、正面に大きく白馬鑓ヶ岳が聳える静かなテン場です。
夕方、夕食前に明日の下見も兼ねて天狗尾根を少々南下しつつ、西に沈む夕日を見に行きました。なだらかな稜線を15分ほど進んだ小さなピークからは、不帰ノ嶮・唐松岳・五竜岳・鹿島槍ヶ岳が西日に照らされた姿を見ることができました。
稜線を少し戻って、やはり日没を見に小屋から出てきていた北海道からの3人組さんと談笑しながら、西の空の風変わりな雲や端正な三角形の剱岳を眺めました。
この3人組も含め、天狗平に宿泊する人の殆どが明日は五竜山荘まで、そして鹿島槍を越えて扇沢で下山するという稜線縦走の方ばかり。同じコースを歩くということで、妙な一体感が芽生えてきます。
夜中は満天の星空。夜半過ぎから払暁までかなり強い風でテントが大揺れしてビビリましたが、無事1日目は終了。
=====
縦走2日目
今日は走行距離・時間とも短い五竜山荘までの稜線縦走です。
短いんですが、今回のルートで一番の難所と思われる不帰ノ嶮越えがあるので一番心配な行程でもあるんです。
不帰ノ嶮といえば、毎年八方尾根をスキーで訪れる都度、スカイラインコース・北尾根コースの奥に聳える峰々、中でも猫の耳のように見える山がずっと印象に残っていたんですが、これが実は最難関の不帰�曲�(両耳は北峰・南峰)ということを山登りをはじめてから知って以来、ずっと縦走してみたい場所だったんです。
2年前の夏休みに初めて北アルプスに挑戦した場所が八方尾根から唐松・五竜ルートだったんですが、その唐松山頂から見下ろした北方に続くギザギザにビックリしたことも思い出します(でも思えば、たった2年でいろんな山に登ったし、テン泊や雪上登山まで幅も拡がったもんです)。
とにかく難所は渋滞しがち、ということで早朝出発が肝心と4時起床。
まだ強風で揺れるテントで不安ながらも朝食を食べ、撤収準備開始。
どうも撤収作業はまだまだドンクサイため、トイレも済ませて出発出来る状態となった時には、周りはすっかり明るくなってました。
(そうそう、天狗山荘のトイレはなかなかキレイで快適!)
6:00 天狗山荘前スタート
水場を越えて稜線に出ると、目の前には朝日を浴びた剱岳がド〜ン。
今日も一日ずっと右手に見ながらの稜線歩きが始まりました。天狗の大下りまでは本当に歩きやすいなだらかな稜線歩きです。風も収まり安心して難所に挑めそうです。
6:15 天狗ノ頭
ゆるやかに登ってきた稜線のピークの先には、大きく落ち込む不帰キレット(見えない)から続く唐松・五竜・鹿島槍、北アルプスの峰々が朝日を浴びて林立。
今日も天気は上々です。
標高2800mのここから徐々に下りが始まり、やがて天狗の大下りと呼ばれるザレ場の急斜面で一気に不帰キレットまで400m近い標高差を下ります。
これ、逆コースだったら登るのに一苦労どころではないハードさでしょう(南下する人が主流というのもうなづける)。急なうえザレているため、慎重に鞍部まで一気に下ります。
7:10 不帰キレット 2411m
さて、ここからいよいよギザギザの稜線を登り基調で唐松岳2696mまで約3時間。
目の前には左から不帰�喫�、�曲�(北峰と南峰間はきれいなアーチ状の吊尾根)、�景�が荒々しい絶壁岩肌を露出して聳えています。
�喫�までは岩場の稜線伝いではあるけど、それほど難しいところはありません。�喫�目指して高度を上げるほど、より面前に近づく�曲�の絶壁岩肌がハッキリ認識できるようになります。
7:45 不帰�喫�
ピークで振り返ると、天狗の大下りの高度差・急斜面ぶりが良くわかります。
これ絶対登りで使いたくないなあ。そして、行く手には、そのシルエットはミニ鹿島槍という感じの吊尾根がキレイな難所不帰�曲�。
これ登って越えるの?って感じの絶壁。
いよいよ最大難所、�曲�北峰の取り付きから見上げた斜面です。いやいや、斜じゃなくてほぼ垂直。剱岳のカニタテバイを見上げたときよりも、こちらの方がビックリな壁です。
(この写真の上部に取り付いている人が見えますか?)
一応、クサリもついているんですが、クサリに頼りすぎるとかえって危険なので、片手でクサリを抑えつつ慎重に三点確保で登ります。
登りは足場を確保して慎重に三点確保すれば、あとは重装備ごと体を持ち上げる筋力が問われるコースですが、これを下りに利用するコースは正直シンドイだろうなあ(絶対、こういう場所は下りの方が大変だと思います)。
8:50 不帰�曲�南峰
最大難所の不帰�極綿�を登りきれば、後はそれほどの難所はありませんが、ずっと緊張しながらの筋力駆使の登りだったので、ここで10分ほど休憩です。
目の前には�景�の先、もうそこに唐松岳です。
振り返ると、絶壁の先には不帰�喫�が眼下に、そして天狗の頭・白馬鑓。
10:00 唐松岳山頂
山頂は八方尾根から登ってきた人たちで賑やかです。剱岳をバックに山頂標識をパチリ。
2年前に八方尾根から登った時は晴天ながらガスがどんどん湧き上がって、唐松からは全然拝めなかった一番筋骨隆々な五竜の姿をしっかり正面に拝めました。
いやあ良かった。
10:15 唐松岳頂上山荘(ランチタイム)
食堂営業は10:30からということで、食堂で山雑誌を読みながら時間つぶししてラーメンの出来上がりを待ちます。空腹で疲れていたのでラーメンめっちゃ旨い。でも1100円は正直高すぎ。おまけに水補給しようと売店で聞くと、なんと500mlペットが400円!
八方から結構人が登ってくるので、天水を売ると無くなってしまうということなのでしょうか??? 水補給は諦めます(ザックにまだ500mlくらい残っているし)。
食事を済ませて小屋から出てくると、天狗平テン場で一緒だった単独さん(バスで一緒だったのとは別の単独さん)が小屋前でランチ調理中。しばらく談笑し、不帰ノ嶮ですれ違った方から、五竜のテン場は前夜満杯で早く到着しないと平面に設営できないとの情報を得たことなどを教え、また五竜で再会を約束し、
11:10 先に小屋を出発です。
結構な人数が八方から登ってきて五竜方面に向かっています。たぶん前夜以上の混雑ぶりになりそうです。急がねば。
牛首の難所での渋滞待ちを経て、大人数の団体さんをパスし、途中からほぼ同じペースで歩く単独行のお兄さんと連れだって、時々会話しながら少々ペースを上げて五竜山荘へ向かいます。それにしてもこのお兄さん、なんだか大きなテント装備を背負っています。
2年前はガスガスの稜線歩きでしたが、今回は正面に五竜、右手に剱・立山、さすがに花の時期は過ぎたけど、少々秋色に色づいてきた景色を見ながらどんどん歩き、
13:00 五竜山荘到着
すでにテン場にはカラフルなテントが20張ほど。やはり連休恐るべしです。
急いで受付を済ませ、残り少なくなっていた平面を無事ゲットして設営。途中から一緒だったお兄さんは巨大な8人用ぐらいのテントを隣で設営しています。
今日の行程はここまでで終了。アルコールタイム!
ということで、後はノンビリ。巨大テント設営を終えたお兄さんと色々な山談義。
今日は八方から登ってきたらしく、他のメンバー4名はベテラン・初心者を含んでいるため、かなり遅れて到着しそうだということで、設営場所確保のため(さすがに巨大テントを設営できる区画は限られているため)先行したとのこと。
五竜山荘(テン場)は、唐松方面、遠見尾根方面どちらから来ても白岳の高みへ出て、そこから下ってくるのですが、テント装備の大きなザックを背負った人が姿を見せるたび、そこから見えるテン場の混雑ぶりに面喰ったように下りてきます。
私の左隣に後から来て設営した単独行さんは冷池から鹿島槍・五竜を経て来たらしく、五竜山頂でテン場がかなり混み始めたのをみて急いで下ってきたとのこと。彼も何とか平面を確保し(それでも目の前はすぐハイマツの急斜面)ひと安心。ここから三人で談笑。
(彼とは冷池テン場・天狗平テン場それぞれの情報を交換)
その後もどんどんテン場は混雑を極めます。
13時半ごろ、唐松山荘で談笑した単独行さんテン場到着。何とか狭いながらも平面らしきところを確保。
14時過ぎ、東京からのバスで一緒だった単独行さんもテン場到着。しかしもう平面スペースがありません。結局彼は五竜山荘前の広場の隅に邪魔にならないよう設営完了。
それでもどんどんテン場へは人が入ってきます。
我々のスペースでも、テントとテントの間に殆ど張り綱出来ない広さのところや完全に斜面なスペースにも次々設営。テント長屋状態です。
山荘前の広場はテントだらけ、ついには五竜へ登る道の脇の小さな空き地や、山荘のトイレ近くの軒下、白岳から下りてきた山荘脇の砂利地(もちろんテン場ではない)などにもテント村。
天狗平で一緒だったテン泊の方々も皆さん何とか設営できたようです。
先の巨大テントの後発隊も15時半過ぎ、ようやく到着。もしこの時間にテント設営だったら、たぶん設営不可だったでしょう。
五竜山荘はそれ以上の混雑のようで、暗くなるまでごった返す山荘を出て広場や軒下で時間つぶしする人など、いたるところ人・人・人。。。連休恐るべし。
混んでいる分、お互いのテントが近いので、夕食時もそれぞれの食事を味見したり、おすそ分けしたり、かえって一体感も高まり、楽しい時間を過ごすことが出来ました。
17時半ごろ、そろそろ日没間近となったので、夕日を見に白岳まで。
西日に照らされた唐松岳、妙高や火打などの頚城山塊、そして五竜・鹿島槍が日暮れで暗くなる姿を楽しみました。
山で見る日の出・日の入、自然の素晴らしさや平和な一日への感謝の気持ちが自然に湧き出て、気持ちをリフレッシュしてくれますね。
日常生活では感じることの出来ない、素朴で素直な感情に自ら癒されますなあ。
さあ、縦走前半終了。
明日は一気に五竜・八峰キレット・鹿島槍を経て、何とか種池までのロング縦走を予定。(どうも冷池テン場は斜面だらけでトイレが遠くてあまり良くないらしい)
とうことで、やはり早朝行動第一と、早々就寝。
幸い夜中もほぼ無風でした。もし強風だったらテン場は大変なことになっただろうなあ。
=====
さて、縦走3日目は一番のロングラン、五竜山荘から五竜岳・八峰キレット・鹿島槍ヶ岳を越えて、冷池山荘も越えて、出来れば種池のテン場まで。
何とか走破して翌日の行程を楽にしたいのと、五竜のテン場でお隣さんになったお兄さんが前日冷池テン場泊だったけど、平地が少なくて山荘(トイレ・水補給)が遠いので若干アンモニア臭が漂っていたという話を聞いて、あまりテントを張りたくないなあというのとで、地図上のコースタイムは12時間ながら、頑張れば夕方までに辿りつけるだろうと踏んで、まずは 3:45起床。とにかく早めの行動開始が肝心ですもんね。
第3日目もどうやら良いお天気になりそうです。
これだけ混んだ五竜山荘&テン場、五竜への登りも渋滞にハマると時間ロスが大きそうなので、前日以上に早く撤収&出発できるよう、そそくさと朝食を済ませて暗い中テントを撤収し、
5:25 五竜岳山頂を目指してスタート
見上げると既にかなりの人が山頂目指して先行しているのが、ヘッドランプの明かりでよく解ります。2年前も夜明け前に登った懐かしい道、あの時は初めてのづくしの登りでした(標高、岩稜、夜明け前)。 少々緊張しながら先行者の後ろを一所懸命登ったことを思い出しながら、とにかく山頂目指します。
残念ながら山頂に着くより前に夜明けとなってしまい、残りわずかというところでご来光を山頂で見た人たちが下りてくるところとのすれ違いも発生し、若干タイムロスも。
下りてくる中に、初日の天狗平で一緒だった方が混じっていてしばし談笑。当初私と同じように後立山を縦走するつもりだったようですが、さすがに少々ヘバッてきたので、空身で山頂ピストンした後、遠見尾根から下山するとのことで、ここで握手してお別れとなりました。さあ彼の分も頑張らねば。
6:15 五竜岳山頂
すっかり明るくなった山頂では沢山の人が周囲の眺望に歓声をあげています。
2年前に見た周囲の風景と寸分違わない大パノラマをじっくり堪能します。
あの当時と唯一違うのは、周囲の山々が何山か、ほぼ100%解るぐらいに北アルプスに精通するようになったこと。やっぱり登った山が多いほど、その想い入れもあって感慨深くなります。
もっとノンビリしたいところですが、本日はこれからまだまだロングランが待ってます。
6:30 鹿島槍に向けて五竜から下山開始。
まずは天狗の大下りほどではありませんが、結構ガレガレな斜面を一気に下り、そこからはいくつもの岩峰のアップダウンをひたすら越えながら、キレット小屋を目指します。
8:10 北尾根ノ頭
8:27 口ノ沢のコル
難易度的には前日の不帰ノ嶮の方がかなり厳しかったですが、こちらはとにかく距離が長いので、徐々に重装備の疲労感も手伝い、心が折れそうになります。
前面には徐々に大きく見える鹿島槍、振り返れば五竜からここまで続くゴツゴツした稜線、ピークを越えるたび次の鞍部にキレット小屋が顔を出すんじゃあないかと期待しながら裏切られるの連続。ひと山越える毎に消耗が徐々に蓄積・元気が徐々に減少していくという感じで、「いったいキレット小屋はどこにいったんやろか?」
もう目の前にかなり大きく鹿島槍が聳えるところまで来て、やっと本当に狭い鞍部全面にギリギリ目一杯に建てたという感じのキレット小屋を見つけてひと安心。
9:35キレット小屋(10:00までランチ休憩)
とにかくお腹が空いていたので、小屋に入って「どん兵衛」を買い、山荘前のベンチに座ると、となりのベンチに東京からのバスで一緒だった単独行さんが先着休憩していました。彼は五竜山荘前の広場にテント設営したため、夜明け前からの広場の喧騒で起きてしまい、かなり早い時間に第3日目をスタートさせていたとのこと。
ふたりで何とか種池まで頑張りたいけど、もしかしたら冷池のテン場でご一緒になるかもねなどど話したり。
10:00 5分ほど前に先発した単独行さんを追って小屋を出発
いきなりの急登・クサリが続き、一気に休憩で回復した元気を奪っていきます。途中で単独行さんに追いつき、後は前進する毎に近づいてくる端正な双耳峰の鞍部に続く道の終点を目指してもうひと踏ん張り。やっぱり目標が見えているとモチベーションが違ってきますね。
11:25 鹿島槍吊尾根分岐
南峰と北峰がきれいなアーチで双耳峰をなしている吊尾根の北峰寄りの肩部分で稜線に到着です。とりあえず本日の重労働(重装備登り)はほぼ終了。殆どの人がここに重装備を置いて、空身で北峰ピストンです。私も続きます。
ちょっとガレガレな道を10分ほど登り、
11:35 鹿島槍北峰 2842m
ここで周りの眺望を楽しみながら15分ほど休憩です。
まずは振り返って、早朝から歩いてきた五竜からの八峰キレットの稜線
続いて、逆S字に延びる三ピークが連なる爺ヶ岳から針ノ木・蓮華への稜線(その向こうには表銀座・裏銀座・そして槍穂)
目の前には三角錐がきれいな鹿島槍南峰とその右奥に剱岳
そして北峰の絶壁下にはカクネ里の雪渓(写真は撮り損なってしまいました)
来た道を戻ってザックを背負い、本日の縦走最高峰 鹿島槍南峰への最後の急登。
12:20 鹿島槍南峰 2889m
こちらの山頂には冷池方面から登ってきた人も多く、けっこうな賑わいを見せていました。南峰も北峰に負けず劣らずの眺望です。
北峰から見た以上に間近に爺ヶ岳とそこから伸びる稜線(八峰キレットを縦走してきたから、この穏やかな稜線は楽チンそう)
真上は快晴晴天ですが、よく見ると立山から先の稜線を越えて日本海側から真綿のように真っ白な雲が流れ込んできはじめたのが見えます。これは天候が徐々に悪化の兆しか??
そして北峰と、五竜へ続く八峰キレットの稜線。五竜も唐松から見る筋骨隆々な姿とは違う幅広なれどシャープな姿。
12:40 軽い行動食だけを頬張り、なだらかな稜線を種池目指してスタートです。
ここから種池まではコースタイムで3時間50分。のんびり行くと夕方遅くなってしまうし、もしかしたらテン場が満杯で悲惨なことになるかもしれないということで、かなり早足で稜線を下りました。
(スタートしてすぐに学生さんグループを追い越すときにザレザレで滑って転んで、左腕を擦り剥くわ、恥ずかしいわで、ますます急いで視界から消えるように急ぎました)
13:05 布引山
わりとすぐ布引山に到着したので、休憩無しで通過です
快調に飛ばしてきたが、さすがに少々ガス欠気味となってペースも落ち着いたところで冷池のテン場に到着。事前に聞いていた通り、サイトの殆どが斜面地で、数少ない平面地はすでにテントで埋まっています。おまけにトイレが遠いためでしょう、近辺で少々アンモニア臭を嗅いでしまって、バテバテなら冷池で幕営も致し方なしと思っていたのを思い直し、そのまま通過。
13:45 冷池山荘
本当ならゆっくり休息して、お腹になにかガッツリしたものを入れたいところですが、とにかく種池のテン場が心配で、オレンジジュースを買っておやつだけを頬張り、
13:55 種池までノンストップで頑張ろうと冷池出発
ここまで歩いてきた八峰キレットなどに較べれば、それほどキツイ登りではありませんが、さすがに早朝からのロングランの疲労が溜まっているようで、冷乗越を越えて爺ヶ岳へと続く登り斜面で、あっという間にペースダウン。年配の方と変わらないぐらいのスローペースになってしまい、気はあせれども足が前に出ない状態。
天候も、鹿島槍山頂で見た雲・ガスがどんどん立山を越えて黒部渓谷を駆け下りこちらの稜線にまで迫ってきます。
振り返ると、鹿島槍もガスに包まれはじめそう。
早くしないと爺ヶ岳もガスに包まれてしまう〜 っと焦るけど足が前に出ない。
そうこうしてる間に向こうの稜線に見えていた種池山荘もガスに包まれ、目標の見えないガスガスの中をヘロヘロになりながら孤独な行軍です。
爺ヶ岳の巻き道では、もうピークへ向かう元気もなく、ひたすら早く種池に着いてゆっくり休みたいという願望だけでなんとか歩いているという感じだったんですが、そんな中、ガスガスのハイマツ斜面の岩の上に雷鳥を発見!
人を気にする風でもなく、堂々と斜面を見下ろす風格にちょっぴり元気づけられました。
この巻き道を過ぎるとゆるい下り道となって、ヘロヘロな体でもまた少しペースアップで前進できるようになり、気持ちにも余裕が戻ってきます。
そろそろ種池の小屋が見えてくるあたりじゃあないかと思いながら、なかなかゴールにたどり着きません(視界が利かないとツライですねえ)。
15:45 ようやく赤い三角屋根が印象的な種池山荘に到着
すぐに山荘でテント受付を済ませ、テン場へ向かうところで第2日目の縦走途中で何度か談笑したおじさんに遭遇。すでにテント設営完了ということで、早速サイトの空き具合を確認すると、まだ半分くらいしか埋まっていないので大丈夫だとのこと。ああ良かった。
種池のテン場は四角い砂地の一面が3列に区画してあり、奥から順々に設営するルールのようでした。ここでは石で張り綱を張ることは禁止されていて、ちゃんとペグダウンして張るんですが、隣テントとの間隔が近すぎて、正しいポイントで張ることが出来ません。一部お隣さんとペグを共有して張り綱を張って、なんとか設営完了。
ロケーションは木に囲まれたサイトなので、強風を心配することは無さそうです。
小屋で水とアルコールを調達し、テントに戻ってやっとゆっくりできました。
本当に長時間・長距離の第3日目、お疲れさんでした。
とのんびりしているところに、猿倉からずっと一緒の単独行さんもサイト到着。
しかし、すでにほぼ全面にテントが埋まって空き地が無い状態。でもそこは皆さん運命共同体、ちょっとづつテントを詰めて何とか空間を作り、なんとか設営できるようになりました。
困ったときは皆で協力して解決、こんなところが山仲間の本当に素晴らしいところだなあ。
夕食を済ませ、夜のニュース&天気予報を見るために山小屋の広間にお邪魔し、どうやら翌日からは山は朝から雨模様になる可能性が大であると聞き、第4日目は前進するにせよ、柏原新道でエスケープするにせよ、早朝判断・行動が肝心だと、本日も9時前には就寝となりました。
さあ、明日はどうするか? 選択肢は3通り。
1.予定通り早朝に爺ヶ岳ピストンの後、稜線を縦走し針ノ木小屋でテン泊
2.とにかくコース制覇だけを達成すべく稜線走破してそのまま針ノ木から扇沢まで降りる
3.あっさり諦めて柏原新道で下山する
決断は起床時の天候次第。ということで長い長い第3日目はここまで。それにしてもスタミナ無いなあ俺は。
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第4日目
とにかく朝食&撤収準備を少しでも早くと早朝3時半に起床し、朝食途中で、んんっ?!
フライにポツポツ雨音が。。。
とにかく砂地のテン場なので、地面が湿りきらないうちに撤収しないとジャリジャリの撤収になってしまうので、大焦りで朝食を済ませ、テント用具以外をザックに詰めてまだ暗い中、撤収作業開始です。
もうテント用具が湿ってしまった時点で針ノ木幕営の選択肢は無し。とにかくキレイに畳むとかではなく、収納袋に詰め込み、それを一式ビニール袋に詰め込み、ザックに押し込んで何とか5時ごろには撤収作業完了。
同様に雨によって早めに撤収作業にかかるテントと、そんなことにお構いなしのテントに二分されたテン場を後にして、山荘前のベンチへ。
(最後にずっと一緒だった単独行さんに挨拶したかったけど、就寝中だったようで挨拶できず)
山荘前には、御来光を見るために小屋から出てきた人達が大勢。夜明け前に一瞬降った雨も収まり、どんよりとした曇り空ながら、東の空は朝焼けしています。
目の前に大きく蓮華・針ノ木岳が見えますが、どうやら針ノ木の山頂付近はガスに包まれ天候好転は期待薄。
ここで6時まで空模様を判断したり、縦走しそうな人と談笑したりで過ごしましたが、結局選択肢3をチョイス。
せっかく稜線漫歩するならやはり眺望のないのは、ただの行軍。ここは潔く撤退し、いつかリベンジです(これで針ノ木は、7月末の立山・剱縦走時の後半戦、そして今回、2回連続敗退となってしまいました)。
爺ヶ岳もピークは踏んでいませんが、これも次回挑戦時に併せてリベンジとします。
となれば、さっさと下山です。
6:00 種池山荘スタート
歩きやすくて整備されていると言われている柏原新道。
噂どおり、歩きやすく、また紅葉もまだ満開ではありませんが、所々キレイに色づく中を快調に下ります(朝一番は元気だし、下りは荷物の重さが負担にならないし)。
次々先行下山者を追い越し、
6:55 ケルンにて小休止
ここまで下ればもう下界(扇沢ターミナル)も見え、俗世間に戻ってきた感じです。
7:25 柏原新道登山口ゴール!
元気があれば1時間半で下れる歩きやすいコースでした。
どうやら本日下山第1号のようで、客待ちのタクシー運転手さんが、後続の人数とか、大町まで乗らないかなど、しきりに話しかけてきます。
急いで帰りたいわけでもないし、次の下山者もまだまだ来そうにないことを告げて、隣の沢に降りて、服を脱いで沢水で顔を洗い、上半身を拭き、石の上に座って休憩していると途中で追い越してきた人がようやく降りてきました。
結局、3番目に降りてきたご夫婦と3人割り勘で、タクシーに乗り(それにしてもこの運転手さんの粘り腰はたいしたもんでした)、大町温泉「薬師の湯」で疲れを癒し、朝9時からビールを飲んで極楽気分を満喫となった次第です。
お陰で、JRを乗り継いで早々と帰路につくことも出来、夕方前には船橋の自宅で、山での降りそうな曇り空とはうってかわった青空の下で登山靴を洗うことも出来ました。
こうしてシルバーウィークの大イベント、後立山テント縦走は当初予定よりも1日短い3日半での山行となりましたが、3日間は好天にも恵まれ、また同じコースを歩く人も多くて、途中の休憩やテン場でも親交を深める機会も多く、全く寂しい想いをすることのない充実したものとなりました。
重装備に負けない筋力、長時間行動でもスタミナを維持する工夫という課題をこれから克服していかないとダメだなあと再認識した山行でもありました。
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