|
|
|
時間までには子供たちを含め30人近く集まり、「ヘビの話」が始まった。
まず、日本のヘビだが、日本に生息するヘビは４科１９属３９種（１４亜種）だそうで、しかもその多くは亜熱帯の沖縄―琉球列島に生息し、本州などではたった8種類、その多くはアオダイショウやヤマカガシ、シマヘビなど「ナミヘビ科」のヘビだ。マムシだけは（沖縄のハブも）クサリヘビ科に属する。このほか沖縄にはコブラ科のヘビやウミヘビ（コブラ科に含む場合とウミヘビ科と独立させる分類法もあるらしい）の仲間が生息する。
今日は
１）へびとはどんな動物？
２）ヘビの種類
３）江戸時代のヘビ像
４）ヘビに出会ったら
の４つをメインに話をするという。
はじめにに清水さんの自己紹介ーー幼少時はお定まりの恐竜や昆虫に興味を持ち、中学時代は水生生物、高校、大学とネズミやモグラの勉強を始め、大学院時代はモグラを中心としたげっ歯類の研究生活を送る。津久井湖城山公園パークセンターに勤め、自然担当スタッフとして、様々な生き物の知識を広げているところだ。この周辺にマニアックな自然愛好家が集まり、面白いグループができている。様々な動植物の研究者、愛好家のネットワークが広がってきて面白い展開だ。
まずヘビの分類上の位置だが「爬虫類」の中のカメ目、ムカシトカゲ目、ワニ目と並んで「有鱗目」という目の中で、ミミズトカゲ、トカゲ、ヘビの亜目に分かれている。ヘビはトカゲから進化？（足をなくした退化？）したらしい。ムカシヘビ上科に属するボアなどは退化した足の痕跡を残しているらしい。トカゲの仲間ではオオトカゲなど大きな肉食動物もあるが、ヘビは中生代白亜紀、恐竜などの大型爬虫類全盛時代、地上では餌を得にくく、地下に潜って生活したことで足を退化させたといわれる。手足がなくなると、狭い穴や隙間に容易にもぐることができ、身を守るにも有効だ。
ヘビの体ーーヘビの特徴は長いこと、背骨は200本あるそうだ。人間は全部の骨で200本程度、この背骨を中心に全身に筋肉がついて蛇行し、さらに横に入るうろこの滑り止めによって、巧みに前進する。
またあごの骨を自在にはずし、大きな動物や卵を丸呑みするのもヘビの大きな特徴だ。ヘビは肉食で、生態系の上位に属する。
鱗ーーヘビにより、鱗の枚数が決まっていて、一列にアオダイショウは23or25枚、シマヘビ19枚、ジムグリ21枚などなどーー。
生まれた時から鱗の枚数は決まっているという。もっともこれは肛門の下の尾は例外らしい。鱗は固く、身を守る鎧であるようだ。歩行にも役立っている。
ヘビはにおいに敏感で、下の先にヤコブソン器官という鋤鼻器（じょびき）を持ち、さらにピット器官というサーモグラフィー機能を持つ赤外線センサーで獲物を捕らえる。目は鱗がかぶさり、あまりよく見えないらしい。
食性は肉食で、トカゲやカエル、オタマジャクシなどを食べるもの、トカゲを食べるもの、鳥の雛や卵を食べるもの、など、様々であるらしい。ミミズ専門のヘビもいる。住処はムササビの穴や岩の隙間、パイプの中など、狭いところを利用して天敵や寒さから身を守っている。
天敵：猛禽類ーー恐竜時代から空飛ぶ動物は苦手だろうーー
タヌキなどの肉食動物、ヘビを食べる蛇もある。
日本のヘビーー
本州のヘビーー1．アオダイショウ：本州最大のヘビーー最大2m、木登りが得意で鳥の巣などを襲う。ヘビは餌などの状況がよく、長生きすれば体はどんどん大きくなるらしい。しかし天然の状態と飼育では飼育のほうが大きくなるようだ。ヘビの本当の寿命はよくわからないという。
2シマヘビー体長80〜150�僉�ネズミ、カエルや小鳥、トカゲ、ヘビなどいろいろな餌を食べる。普通、4本の縦縞が入るが、縞模様のない個体もあるようだ。黒化タイプの「カラスヘビ」と呼ばれるものや少数のアルビノ・タイプ（白蛇）もあるらしい。
3、ヤマカガシ：体長70〜150�僉�水田のカエルなどを好む。奥歯に強力な毒をもつが、缶でじわじわ毒を出すタイプ。マムシは前歯でかむとすぐ注射のように毒が飛び出すという。またヤマカガシなどはヒキガエルの毒素を体に溜め込み、人がうっかり触るとその毒を浴びることがるので注意しなければならないという。こうした毒蛇は捕まえたり、近づいたりして接触しなければ、人を襲うことはない。
４．ジムグリ：体長最大で1m以下、小さいものが多い。カエルやミミズが主食。この蛇を飼っている学生はペットショップでピンクマウス（ネズミの赤ちゃん）を購入して食べさせているという。ひと月に1，2回食べさせれば死なないということだ。大きくなると大変なので少なめにやるのが長く飼うコツか？
５．ヒバカリーー65�儖焚爾両�型のヘビ。魚、カエル、オタマジャクシ、ミミズなどが主食
６．シロマダラーー体長３０〜７０ｃｍで灰色または茶褐色の地色に黒の帯模様が横に入る。夜行性で地上を這い、トカゲや小型のヘビを食べる。気性は屋や荒くよく噛むという。かまれると痛いらしい。捕まえると肛門からくさい分泌物を出すらしい。
7、タカチホヘビーー全長30〜60cm。真珠光沢のある体背面の基色は黒紫色〜淡黄色と変異が多い。夜行性で土中生活が多い。ミミズが主食で、石や朽木、崖の穴などで見つかることもあるらしい。
８．ニホンマムシーーこの中では唯一クサリヘビ科、頭がひし形でヒョウ柄模様、体長は65�儖焚爾波羈單�小さい。カエルやネズミなどの小型動物を食べる。
捕食など活発に行動するのは夜間だが、昼間にも日光浴している姿も見られる。特にメスが産仔前（秋）に出ているのが見られるケースは多い。
ほとんど地面におり、追い詰めたり混乱しない限り木などに登ることはない。
比較的穏やかな性格の持ち主が多いが、ほぼすべての個体で「触る・踏む・棒でつつく」などすると咬みついてくる神経質さは持っている。決して刺激しないこと。（ばいかださんのヘビ図鑑から引用）
次に清水さんが公園なので捕獲したヘビの統計。年間多数のヘビを目撃または捕獲しているが、6月の気温・湿度の上昇とともに数が一番増えるという。
３）江戸時代のヘビの記録
今回は江戸時代のヘビに関する記録を国会図書館などで調べたという。40冊の文献3を調べて研究したという。
キリスト教などの文化圏ではヘビは悪いものの象徴というイメージが強いが、日本では善悪両方のイメージがある。「ヤマタノオロチ」「岩国の白蛇」「治水の神様」としてのヘビなどヘビは神様の使い、畏怖の対象、信仰の対象になっている。
「草木鳥獣ノ図」など江戸中期以前の文献では、絵はあるが、ヘビの種類などには及んでいない。
「栗氏千虫譜」など江戸後期の文献で初めてヘビの種類に言及している。ツチムグリ＝ジムグリ、河原蛇＝シマヘビ、赤蛇＝ヤマカガシなどそれとわかるヘビもあるが、何を指しているかわからないものも多いそうだ。
中でも金蛇、銀蛇が何を指すかーー銀蛇は目が赤いので、アオダイショウなどのアルビノである可能性が高いが、金蛇はなぞという。
４）ヘビに出会ったらーー
ヘビは人に対しては通常襲うような行動はとらない。人は大きく、増と人くらいの差があるので当然だ。しかし不用意に近づき、接触すれば、自衛行動として噛みついたりすることになる。石垣に手を入れたり、岩登りや渓流釣りなどで、不用意に岩に手をついてヘビと接触することなので事故が起こる可能性がある。津久井町では年間一件くらいの頻度で、畑で蛇をうっかり踏みつけてかまれるというような事件があるらしい。
日本に生息するヘビの毒は、すぐに命の危険が迫るわけではないので、かまれた場合、落ち着いて行動し、かまれた蛇の種類を確認し、ヘビの血清をの用意のある病院で手当てをすればよい。種類がわからなければ特徴を覚えておくとよいだろう。
神奈川県のレッドデータブックではヒバカリが純絶滅危惧種でアオダイショウ、ヤマカガシ、シマヘビ、マムシ（トカゲも）要注意種とされている。しかしヘビは自然度の高い場所でしか餌も得られず、生息場所が得られないので、すべてのヘビが絶滅危惧種といってもよいようだ。
日本は生物種の多い地域だが、ヘビに限っては特異的に種類が少ないらしい。２千種以上といわれる世界のヘビの中で日本は38種しかいない。これに関しては、ヘビの分布と大陸移動との関係を論じている研究者もいるようだ。中国ではコブラ属も含め、かなり多様なヘビが分布しているが、日本は沖縄以外は限られた種類しかいない。
最後に協力者の帝京科学大学の3人の学生、院生からヘビにまつわるエピソードなどを聞いた。
また清水さんからは、ヘビの飼育に関して注意があった。毒蛇やニシキヘビなど、法で定められた種類のヘビは無論届け出制で飼育は制限されており、また飼育制限のないへびでも、まず、最後まで飼いきる覚悟をもって育てる意思がなければ飼うべきでないこと、何らかの理由で飼えなくなった場合は、生息場所に戻す努力が必要で、日本のヘビといえども、場所により変異があるので、別の場所に戻すと問題が生じる場合もあるという。国内でも外来種問題があるという。
こうして「ヘビの話」は幕を下りた。
今回の記述は当日のメモが不完全だったので、ばいかださんら、ネット上のヘビのHPなどを参考にして補足しました。
（写真１）学生に飼われているジムグリ
（写真２）目の部分の鱗もついているヘビの抜け殻
（写真３）生きたヘビや標本を見る子供たち
hirokok510さん、こんにちは。
土曜日に沢登りをしてきたのですが、あと少しで
> 岩登りや渓流釣りなどで、
> 不用意に岩に手をついてヘビと接触すること
になるところでした。
手をつこうとした岩に赤い線の入った蛇が！
「うわぁっ！」と思わず声が出て手を引っ込めました。
気づかずに手を付いていたら噛まれていたかも…
山ではいろいろなところに危険がありますね
hirokok510さん こんにちは
昨日、鳥海山の下山中、あまり下を見ずに歩いていたら
足元で紐なような物がするする動いているので
良く見たらヘビでした。
> 不用意に近づき、接触すれば、
> 自衛行動として噛みついたりすることになる
気をつけて歩きます
melonpanさん、miuraj2さん、コメントありがとう。
私も１昨年秋に飯豊連峰北部のえぶり差に向かう途中の大熊小屋への谷のへつり道の途中でマムシを踏みそうになり、驚いたことがあります。やっぱりポイゾンリムーバーは常備した方がよいのかなーー？？
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する