黒部五郎・水晶・鷲羽〜黒部源流の夏休み
- GPS
- 83:07
- 距離
- 63.1km
- 登り
- 4,662m
- 下り
- 4,656m
コースタイム
- 山行
- 10:59
- 休憩
- 2:22
- 合計
- 13:21
- 山行
- 5:45
- 休憩
- 2:07
- 合計
- 7:52
- 山行
- 8:13
- 休憩
- 1:38
- 合計
- 9:51
- 山行
- 7:49
- 休憩
- 2:11
- 合計
- 10:00
天候 | 9日:曇り(ガス) 10日:晴れ 11日:晴れ 12日:晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2016年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
車中泊しました。 9日朝には満車で、それ以降はずっと満車で鍋平に誘導されていたようです。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
※全般を通して特に危険な場所や、わかりにくい場所はありません。 ※携帯電話(docomo)の電波は山頂以外殆ど入りませんので注意が必要です。(山小屋も圏外です) ■新穂高〜小池新道登山口 1時間半ほどの林道歩きです。ウォーミングアップを兼ねてゆっくり歩きましょう。途中わさび平小屋で休憩出来ます。 ■小池新道〜鏡平 林道を離れ山道になります。極端な急登では有りませんがシシウドが原まで中々の急登が続きます。途中秩父沢や数カ所の小沢で水の補給が可能です。 シシウドが原からはトラバース気味に緩やかに登り、沢状の登りを詰めると木道が現れ鏡平に到着します。有名な逆さ槍が写る池は小屋の手前に有ります。 ■鏡平〜双六小屋 鏡平からはすぐ上に見える稜線の弓折乗越目指して進みます。小屋の前の池を橋で渡りしばらく木道を歩くと、急登になり弓折中段まで急登は続きます。中段を過ぎると登りはやや緩やかになり弓折乗越に到着します。 稜線を左に進むと笠ヶ岳、右に進むと双六池方面です。 弓折乗越からは若干の上り下りは有りますが比較的平坦な道が双六小屋まで続きます。 ■双六小屋〜三俣山荘(巻道ルート) 双六小屋から三俣山荘までは稜線ルート・中道ルート・巻道ルートの3本のコースがあります。今回行きは巻道、帰りは稜線ルートを通りました。 巻道ルートは最初各コースの分岐まで急登が続き、その後細かなアップダウンの有る長いコースです。最後は三俣蓮華岳直下の三俣峠まで登り返しがありますので、「巻道」だと思って気軽に考えていると痛い目に遭います。決して楽な「巻道」では有りません。三俣峠から三俣山荘までは下りとなり30分ほどです。 三俣山荘のテント場は小屋から三俣蓮華岳に続く沢状の斜面に点在してます。斜面+石で条件の悪い場所が多いため、広い割には良い場所は少ないです。(取りあえず張れれば良いなら、遅く着いても何とかなります) ■三俣山荘〜黒部源流〜水晶岳 三俣山荘から一旦黒部源流に下り岩苔乗越に登り返す鷲羽岳を迂回するルートです。 黒部源流までは比較的緩やかな下りを30分足らずです。途中は沢状の地形で至る所に水が流れています、黒部源流は飛び石で渡りますが、降雨の後など水量が多いと渡れない可能性も有りますので、その際は稜線コースを選んだ方が無難です。 黒部源流の石碑は御影石製の立派なものですが、新しすぎて若干興ざめです。 石碑を過ぎると雲ノ平方面への分岐が有り直進して岩苔乗越まで標高差300m以上の登り返しとなります。登り付いた岩苔乗越は雲ノ平・高天原・裏銀座縦走路方面の分岐点となっておりシーズン中は相当賑わっています。岩苔乗越から一登りで鷲羽岳からの稜線(裏銀座縦走路)ワリモ北分岐となります。分岐を左に気持ちの良い稜線の道を進みます。薬師岳や槍穂高の大展望を楽しみながら進むと水晶小屋に到着します。 水晶岳へは小屋の左手の小さなピークに登り、その後は稜線を忠実に水晶岳目指して進みます。山頂直下がやや岩場となり小さなハシゴ等もありますが、難路ではありません。水晶岳山頂は岩が積み重なった狭いピークです。三角点は山頂では無く赤牛岳方面に進んだ10mほど低いピークに有る様です。 ■ワリモ北分岐〜鷲羽岳〜三俣山荘 水晶岳からは来た道をワリモ北分岐まで戻ります。まずは目の前のワリモ岳目指して標高差100mほどを登ります。ワリモ岳は縦走路に山頂の標識が有りますが、実際の山頂には登れないようです。(自然保護のためルート以外は歩行禁止です) ワリモ岳から一旦下りとなり100mほど高度を落とし、鷲羽岳の登りとなります。 登り返しは150mほどです。鷲羽岳山頂は比較的広くてゆっくりくつろげます。有名な鷲羽池は山頂を南に進むと見えます。 鷲羽岳から真下に見える三俣山荘までは標高差400m以上の一直線の激下りです。難路ではありませんが、登山者の多いルートなので落石やスリップには十分注意して下ってください。 ■三俣山荘〜黒部五郎岳(カールルート) 三俣山荘から三俣蓮華岳に登らず巻道を進みます。(分岐は小屋を少し離れたテント場の中にあります)途中1ヶ所雪渓がありますが、今年は雪が少なく雪の上を歩くことはありませんでした。細かな上り下りが有りあまり楽な巻道ではありません。 1時間ほどで三俣蓮華岳山頂からの道と合流し、その後黒部五郎小舎に向けて下ります。下り付いた黒部五郎小舎は広々とした五郎平の一角に立っています。水が豊富で無料で補給できます。快適そうなテント場も有り是非泊まってみたい場所です。 小舎から黒部五郎岳にはカールルートと稜線ルートの2本のルートがあります。 カールルートは小舎から五郎平の木道を進み、水と高山植物の豊富な小さなアップダウンを繰り返す緩い登りがしばらく続きます。大きな岩が増え視界が広がると緩やかな道は終わり、稜線に向かって急登となります。ジグザグを繰り返しながら高度を稼ぎ稜線に登り付いたところで北ノ股岳との分岐が有ります。 ここにザックをデポして山頂に向かう人が多く、シーズンにはあちこちにザックが転がっています。 分岐から山頂までは一登りです。山頂は東西に細長く広々しています。カール側(北側)は断崖絶壁ですので近づかない様注意が必要です。 ■黒部五郎岳〜黒部五郎小舎(稜線ルート) 山頂から稜線上を忠実にたどるルートです。展望は抜群で終始大展望を楽しみながら歩けます。眼下のカールを行き来する多くの登山者もよく見えます。殆どの人がカールルートを取りますので稜線ルートは空いています。夏山最盛期のこの日も誰にも会いませんでした。(実は一人会ったのですが、ちょっと謎です?詳細は余談で) 山頂からは来た道を戻らず稜線をペンキマークに従って直進します。 岩場とハイマツが交互に現れほぼ稜線の真上を進むルートです。 特に難路ではありませんが左側はずっとカールの縁の断崖ですので注意が必要です。 大きな岩を巻く場所では必ずペンキマークがありますので注意して進めば、特にルートファインディングは必要ありません。 途中小ピークを2つほど登りますが基本ずっと下りです。地図上の2518m三角点ピーク(ピークは巻いてます)の手前は広々としています。2518mピークを過ぎると黒部五郎小舎に向かって一気に下ります。 下り付いた所は小舎のキャンプ指定地、木道を少し進むと黒部五郎小舎です。 ■三俣山荘〜三俣蓮華岳〜双六岳(稜線ルート) 三俣山荘からテント場の間を抜け三俣峠までハイマツの中を登ります。三俣峠で巻道ルートと別れ急登を一登りで、広々とした三俣蓮華岳山頂に着きます。 山頂を少し進んだ先に黒部五郎方面の分岐が有ります。 分岐から広々とした稜線を一旦下り。その後丸山に向けて登り返します。 丸山からはまた下りです。下りきると双六岳への登りが始まりますが、ここで中道ルートが分岐します。分岐後は緩やかな登りを進み、最後に急登となると双六岳山頂に着きます。 双六岳山頂も広々しています。 山頂からルートは左に折れ東に向かう尾根を下ります。この尾根は極めて広々していて正面に槍ヶ岳が見え、よく言われる「別世界」の様な一種独特の感動を覚えるルートです。広大な尾根から別れ激下りとなると、先ほど分かれた中道と合流、すぐに巻道とも合流して、さらに急な下りを進むと双六小屋に到着します。 |
その他周辺情報 | 定番の平湯温泉、平湯の森に入りました。夏休みで駐車場は相当混んでましたが、元々大きな施設なので温泉は比較的余裕でした。入浴料金500円。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ソフトシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
日よけ帽子
着替え
靴
予備靴ひも
ザック
ザックカバー
サブザック
昼ご飯
行動食
非常食
調理用食材
調味料
飲料
ハイドレーション
ガスカートリッジ
コンロ
コッヘル
食器
調理器具
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
針金
常備薬
日焼け止め
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ストック
ナイフ
カメラ
ポール
テント
テントマット
シェラフ
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感想
※長文です(お暇な時に読んでください)
■プロローグ
憧れの北アルプス最深部、黒部源流の山々(水晶・鷲羽・三俣蓮華・黒部五郎)を巡るこのコースを企画したのは3年前の夏でした。
それなりのトレーニングをして、準備を整え出発を待つばかりとなったところで、台風の来襲、1年目はあえなく中止となりました。そして2年目、天候不安定の予報ながらも強行、しかしスタートから雨、それもだんだん強くなり途中で土砂降りに、秩父沢を渡った先で断念して下山しました。2年続けて天候に泣かされた夏、今年は3年目です。
3度目の正直となるか2度有ることは3度有るか?・・・・。
今回の目的の山々は若い頃、薬師岳から烏帽子岳まで縦走した時に登っているのですが、日帰りや1泊では簡単に行けないため、気になりながらもずっと登っていませんでした。
まとまった休みが取れる夏に行こうと思って企画したのですが、体力的に縦走は不可能。そこで思いついたのが三俣山荘をベースにして巡るこのプランでした。
但し問題が一つ、夏は山小屋が混んで利用できないため、テントで行くことが必須条件。いつもは小屋泊まりの10Kg以下の荷物しか背負っていないため4日分の食料を詰めたテント泊装備を背負って初日三俣山荘までたどり着けるかが最大の難関となります。新穂高から三俣山荘まではコースタイムで10時間ほど、私の体力を考えると休憩を含めて13時間から15時間位かかると思われます。初日三俣までたどり着ける可能性は極めて低いと言わざるを得ません。そのためプランA〜Cを作りました。Aは三俣まで初日に登る完璧プラン、Bは双六泊まりで水晶岳を諦める現実プラン、Cは初日鏡平に泊まり黒部五郎を諦める残念プラン、となります。
軽量化を図ったものの、最終的に荷物は21Kgになってしまいました。若い頃なら30Kgぐらい背負って平気で歩いていたのですが、今となっては平地で歩いても重さがずっしりと来て、プランAは遙か彼方に遠ざかってしまった気がしました。
■初日・天は我に味方した!
まず最初の関門は新穂高の登山者無料駐車場に入れること。これが鍋平に回されてしまうと三俣はまた一歩遠ざかってしまいます。
そのため会社から戻るとすぐに出発、午前0時前に新穂高に到着しました。無事最初の関門は突破、新穂高の駐車場に停める事が出来ました。
安心して車中泊、翌朝目が覚めると曇り空の様子、ラッキーです。
初日の成功の鍵を握るのは当日の「暑さ」で、晴れて暑かったら三俣どころか双六も難しいと思っていました。
薄明るくなった4時半に出発、涼しい朝の林道をわさび平まで快調に進みました。
天気は高曇り、雨は降りそうも無く日差しも弱い願っても無い絶好の天気となりました。小池新道に入り急登が始まるとさすがにペースは落ちましたが、林道歩きで上手くウオーミングアップが出来たこともあり、息もあまり上がらず自分としては良いペースで進めました。秩父沢で休憩後更に登りはキツくなりますが、三俣を意識して無理をせずペース配分を考えながら登ったせいか思いの外早くシシウドヶ原に到着。ここまでどれだけ体力を温存して登れるかが今日の分かれ目と考えていましたので、ここで三俣まで登るAプランが一気に現実味を帯びてきました。シシウドヶ原から鏡平は比較的楽な登りで予定より早く到着しました。
体力は未だ大丈夫、これで残念なCプランは廃棄されました。
鏡平山荘で昼食をとり大休止。気分を入れ替えて稜線を目指しました。実はこのコースは2週間ほど前下見を兼ねて笠ヶ岳からの下りで使っていたため、どこに急登がありどこが楽かは殆ど頭に入っていました。その為弓折乗越までの登りもさほど苦労すること無く登ることが出来ました。もちろん曇り空で涼しさに助けられたのが大きかったことは言うまでも有りません。
弓折乗越で稜線に立っても展望は全く有りませんでしたが、今日は展望が無い事に逆に感謝しました。
ここから双六小屋までは多少のアップダウンは有るものの、比較的楽な道、双六小屋までは大きな苦労も無くあっけない感じで到着しました。
ここで長考。今日の体調、天候、時刻などを総合的に判断。三俣までの所要時間を3時間と見積もって14時半までに出れば17時半頃には到着出来そう。この時期19時頃までは明るいので到着時刻に問題はなさそう。ただしこの先のルートは稜線ルート以外歩いたことが無いため、今回通る巻道の様子は未知数。「巻道」なので「稜線」よりは楽なはずですが調べた限りでは決して楽な道では無い様子。
今日三俣まで行ければ、明日からの予定は変更無く全ての山に登れる、しかし途中でバテて動けなくなってしまいビバークの可能性も0では無い。長く山をやっている者として体力不足でのビバークは絶対に避けたい。色々な葛藤があり結局20分近く迷って居ました。そして出した結論は、行ってみよう!行けるはずだ!でした。
その後、「巻道」は辛い道でした、特に最後の三俣峠までの登りでは完全に足が止まってしまい、一気にペースダウン三俣峠に登り着いたときは、やっぱり楽して登らせてくれないなぁと、つくづく思いました。三俣峠から三俣山荘までは下りの楽な道。この下りのお陰で何とか無事に三俣山荘に辿り着く事が出来ました。結局双六からは3時間半以上、新穂高からは13時間以上かかりました。
テントを張り終え一休みしていると霧が晴れて目の前に鷲羽岳が勇姿を現しました。今日一日頑張ってここまで来て本当に良かったと、心の底から思いました。
■2日目・水晶・鷲羽に遊ぶ
初日頑張って三俣まで入ったため、予定通り今日からはサブザックで山巡りの「夏休み」が始まります。
今日の目的地は水晶岳と鷲羽岳。昨日の疲労も考慮して軽めのコースです。
朝はゆっくり6時半頃出発。既にテント場ではみんな出発した後でした。
最初の目的地は黒部川源流の碑が有る地点。まあ特別どうと言うことは無いでしょうが、あの黒部川の源流を見てみたいと以前から思っていました。
三俣山荘から30分ほどで源流の碑到着。立派な石碑がありましたが新しい感じでちょっと興ざめでした。
続いて水晶岳に向かいます。
黒部源流から岩苔乗越まではお花畑の中比較的急な登りですが、今日は空身に近いので楽勝です。ワリモ北分岐で裏銀座縦走路の稜線に飛び出すと大展望の楽しい稜線歩きが始まります。水晶小屋は絶景の尾根上に建つ最高のロケーション、空いていれば是非泊まってみたい小屋です。
小屋から水晶岳はわずかな距離、ちょっとした岩場を楽しみ水晶岳へ。
水晶岳は正に北アルプスの最深部の山、周囲を見回しても全て山々々です。
何十年ぶりになるか忘れてしまうほど、久々に登りました。
水晶岳を後に次の目的地は鷲羽岳。
ワリモ北分岐までは来た道を戻り、ここからワリモ岳を越して鷲羽岳へ。鷲羽岳の登りは大変そうでしたが、意外に楽であっという間に着いてしまいました。
鷲羽岳は水晶岳ほど久しぶりではないもののやはり10年以上は登っていません。
水晶岳と違って広々とした山頂は、皆思い思いにくつろいでいました。
夏山雑誌の表紙の様な鷲羽池と槍ヶ岳の景色を眺めながら夏山を十分満喫しました。
下を見ると遙か下に三俣山荘が見え、よく見ると自分の緑色のテントも確認出来ました。
テントまでは400m近い標高差、下りだから良いものの、登りは大変だろうなぁと思いながら下りました。
今日のコースは短かったので出発が遅かったにもかかわらず14時過ぎにはテントに戻って来ました。
午後は展望を楽しみながらお茶を飲んだり、ちょっと昼寝をしたりして優雅に過ごしました。
■3日目・憧れの黒部五郎岳へ
今回の山行の最大の目的地、黒部五郎岳に登る日です。
黒部五郎は過去1回しか登ったことがありません。そのときはガスに巻かれて視界0。正直なところ、記録には残っていますが記憶には全く残っていない幻の山です。
大きなカールを持った独特の山容は北アルプスの中でもひときは存在感を放っており、なかなか簡単には行けない事もあって、私の憧れの山になっていました。
今日もサブザックで三俣のベースキャンプから往復ですが、コースタイムでも9時間ほど、空身に近い装備でも休憩を入れて10時間以上はかかるため決して楽では有りません。
明るくなった5時半過ぎに出発。まずは三俣蓮華岳を巻いて黒部五郎小舎を目指します。こちらの巻道も予想通り細かなアップダウンが多く、楽な「巻道」では有りませんでしたが、荷物も軽く気分も軽く、快調に進んで思ったより随分早く黒部五郎小舎に着きました。
広々とした五郎平の一角に建つ小屋はなかなか良い雰囲気、テント場も気持ちよさそうで、是非泊まってみたくなりました。ただ、ここまで来るのは相当大変なので次に来られるのは退職して時間が自由になる頃かなぁ〜、なんて考えていました。
山頂へのコースは2本、山頂北側のカールを通って山頂を目指すカールルート、小屋から直接稜線に登り山頂を目指す稜線ルート。
今回は登りはカールルート、下りは稜線ルートを通りました。
カールルートは水と花のルート、最後の壁に取り付くまでは比較的楽なルートでした。最後の壁を登ると北ノ股岳からの縦走路と合流、ここから山頂を往復する人が多い(殆ど全ての人?)のであちこちにザックがデポしてあり、ちょっと変わった光景でした。
憧れの黒部五郎岳山頂。ここに来るのは学生の頃以来40年ぶりくらいになります。天気は良く何処までも見通せる360度の大展望を心ゆくまで満喫しました。
下山は予定通り稜線ルートへ。岩とハイマツの間を下る変化があって楽しいコースなのですが、なぜか誰もいません。登りはカールルートの方が楽ですが、下りは断然稜線ルートがお勧めだと思います。眼下に見えるカールルートはたくさんの人が列をなして歩いているのが見えるのですが、結局稜線ルートでは一人の登山者にも会いませんでした。実は1名会っているのですがちょっと謎です(後述)
大展望を楽しみながら黒部五郎小舎まで下りて来るとちょうど昼時。途中行動食は食べているのですが、山小屋で食べるラーメンは格別のうまさがあるので、あちこちで食べています。もちろんここでも山ラーメン、おいしく頂きました。
憧れの山を登り、おなかもいっぱいになったのでテントに帰って昼寝でもしたいところですが、ここから三俣山荘まではコースタイムで2時間半、まだまだ気を抜けません。
それでも荷物が軽く、天気も元気も良いので特に苦労することも無く15時半頃にはテントに帰着しました。
■最終日・感動のフィナーレ
いよいよ4日目、今日は下山日です。
下山と言っても、三俣蓮華岳と双六岳に登り新穂高まで下る、コースタイムで9時間ほどの長丁場です。食料分の重量が減ったとは言えまだ15Kg位はあるザックを背負って歩くのは私にとって楽ではありません。
4日間お世話になったテントを撤収し更地になった幕営地の跡を見ると、楽しかった思い出が蘇りちょっとセンチメンタルな気分になりました。
今日も天気は最高!気分を新たにして三俣蓮華岳に向かって登り始めました。この4日間、巻道ばかり通っていて三俣蓮華岳の山頂に立つのは最終日になってしまいました。三俣峠までは初日に通った道、初日ここを下ったときは疲れ果てていましたが、今日は元気です(歩き始めですから当たり前ですが)三俣峠までは一登り、その後山頂まではあっという間でした。
広々とした山頂で周囲の山を眺め満足感に浸りながら双六岳に向かいました。
三俣から双六の稜線には、地味ですが丸山と言う山があります。何とこの山三俣蓮華岳よりも高いのです。三俣と双六の2つの山に登るつもりでしたが、実は丸山を含めて3つの山を登る事になりました。名前は地味ですが上り下り共にしっかり有り、堂々とした山でした。丸山を下った先の双六岳の登りは思ったほど厳しくは無く、無事今回の最後のピークとなる双六岳登頂を果たせました。
双六岳からは今回登った全ての山が見渡せ、フィナーレを飾るにふさわしい山頂でした。双六岳のもう一つ素晴らしい点は双六小屋への下山ルートの広々とした稜線から眺める槍・穂高の稜線の姿です。よく言われる言葉ですが、正に日常を離れた非日常の景色が広がっていました。双六岳から双六小屋を経由して弓折乗越へ、ここで稜線から離れ下界へ一気に下りて行きます。鏡平で鏡池に映る槍ヶ岳を眺め、小池新道を下り林道をわさび平、新穂高と歩みを進めました。長かった様であっという間だった色々なことが凝縮した中身の濃い4日間を思い起こしながら、長い林道を達成感に浸りながら下山しました。
■エピローグ
私は今年60歳になります。この夏は50代最後の夏になるわけです。だからというわけでは無いのですが、やはり50代最後を飾るにふさわしい山行をしたいと思っていました。
若い頃の様に難易度の高いバリエーションルートを行ったり、長いコースを短時間で歩くことは出来ませんが、今回は今の自分に出来る最高の登山が出来たと大変満足しております。今回、天候に恵まれたことがもっとも大きな要因だったと思いますが、準備段階、計画段階、実行段階と全て面白い様に私の思惑通りに事が進み、一切の変更無しに5日間(移動の前泊を含め)の山行が行えたのは本当に我ながら良く出来たと思っています。もう60歳になりますが今回も私より遙かに先輩の方たちがたくさん登っておられました。もう60歳では無くまだ60歳、あと15年は現役で登り続けられるそんな自信が付いた夏休みとなりました。
■余談
感想の途中に書いたのですが、黒部五郎岳の稜線ルートを下山中、実は一人の若い女性に会っています。山頂から3分の2くらい下った2518mピークの手前の平坦な小広い稜線に青い服を着た人が居るのが上から見えました。下りていっても動く様子が無く、休んでいるようでした。しばらく歩いてその人の近くまで来ると、登山道から少し離れた場所に登山靴を脱いで座っているのが見えました。側を通る時に「こんにちは」と声をかけると、振り返って「こんにちは」と返事をしてくれました。そのとき初めてその人が若い女性だと気がつきました。何か話したかったのですが、若い女性にオヤジが気安く話しかけるのもまずいかと思い、そのまま去ったのですが、場所柄どうしてそこに居るのか不思議でなりませんでした。具合が悪い様子では無かったのでトラブルでは無い事は確かですが。まだ先の長い稜線の途中で靴を脱いで休む理由がわかりませんでした。同行者と登っていて体調が優れずここで待っている、と言うのが一番有りそうなのですが、私は山頂からここまで誰にも会っていません。黒部五郎小舎に泊まっていて、ここまで登ってきて展望を楽しんでいる、と言うのも小屋からの距離を考えるとちょっと考えにくい。う〜ん謎です。下山途中に稜線からカールを写した写真に写っているはずなので帰ってから調べて見たのですが、何処にも写っていませんでした。
まあ写真は出来るだけ人が入らない様にアングルを取りますので、無意識に外したのだろうとは思いますが・・・。
もしかしたら私が会ったのは黒部五郎岳の女神で、登山者の安全を見守ってくれていたのかな?
なぁ〜んてね。でも不思議です。
yamayaさん、おはようございます。
先日よりレコがあがるのを待っておりました 4日間とは言えロングコースなんですね。天候に恵まれ、準備も周到にされてたようなので何事もなく、最高の夏休み&山歩きでしたね!
私も数年前に三俣蓮華・鷲羽までは入った事はあるんですがその先の水晶とか黒部五郎岳は歩いた事は無いので、yamayaさんのレコは参考になります
確かに感想に書かれていた双六から三俣山荘に向かう巻き道に私も騙された 記憶があります。
yamayaさんの感想を読んでいると無性に北アルプス最深部を歩いて見たい気持ちになります、やはり4〜5日間程度の連続した休暇がないと実現できないので計画はまだまだ先になりそうですが...
またお目にかかる機会がありましたら、是非今山行のお話を聞かせてくださいね
遅くなりましたが、先ずはお疲れさまでした<(_ _)>
opiroさんこんばんは。
気合いを入れて行った山だったので、レコにも気合いが入ってしまって、気がつけばとんでもない長いレコになってしまいました
まず無理かな〜と思って企画したコースですが、初日以外は普通の行程なので、初日に三俣にたどり着いた時は思わずヤッター と叫びそうになりました。(そんな元気は残っていませんでしたが)
このコース意外にお勧めですよ。北アルプス深部の山を効率よく回れますし、毎日変化が有って面白いコースです。
休みが取れたら是非行ってみてください。
opiroさんのこの夏はもう一つ有るのでしょうか?
ここ数日は天気が良くないですが、その後辺りに狙っているのかな?
期待してレコ待ってま〜す。
いつもコメントありがとうございます。
yamayaさん、こんにちは(・ω・)ノ
こんなこと言うのも失礼ですが、yamayaさんがテント泊4日山行とは驚きました!
三俣山荘を拠点として、100名山を三座踏破するコースどり、参考になりました!
このコースどりは北アルプスの山々を色んな角度から味わえるゴールデンルートですね!
自分はまだ手つかずのエリアなので、最高の日にyamayaさんと同じルートどりしたいと思いました。(巻き道は避けとこう…っと)
謎の女性…
スゴく気になりますねぇ…
登山靴を脱いで休んでるなんて、そうそう見ないですよねぇ(テン場なら分かりますが)
自分もきっと登山の安全を見守るナニカと思いたいです!その方がロマンがある!(´Д` )
追伸…
よく見るとyamayaさんが履いてる登山靴はスカルパのトリオレプロGTXでは!?
自分が冬用に履いてるのと同じだ(・ω・)
nurupoさんこんばんは。
超長いレコにお付き合い頂きありがとうございました。
テン泊4日、一番驚いているのは私本人です。
計画段階では、凄く良い計画だと思ったのですが、実際にパッキングが終わったザックを背負ってみて、正直「これはダメだな」と思いました。
まあどうせ一人なので、行けるところまで行って途中でダメなら計画変更すればいいや
くらいの乗りで出発しました。
初日三俣まであの荷物を背負って行き着けたとは未だに自分でも信じがたい気持ちです。
でも、初日以外は、本当に楽しいコースでしたのであっという間の4日間でした。
黒部五郎の女神、今では絶対に間違いないと信じています。やはり写真に写らなかったのが女神で有る証拠ですよね
nurupoさんも是非会いに行ってください 、美人ですよ〜(顔はよく見てないですが)
靴はビンゴ!です。
スカルパの足形が私に合っているようで、ここ10年くらいはスカルパばかり履いています。
夏はトリオレプロGTX、冬はモンブランGTXを履いています。
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