北鎌尾根/大キレット
- GPS
- 36:43
- 距離
- 52.2km
- 登り
- 3,994m
- 下り
- 3,865m
コースタイム
- 山行
- 10:19
- 休憩
- 3:36
- 合計
- 13:55
- 山行
- 6:13
- 休憩
- 3:02
- 合計
- 9:15
- 山行
- 5:08
- 休憩
- 1:31
- 合計
- 6:39
- 山行
- 4:51
- 休憩
- 1:21
- 合計
- 6:12
天候 | 全日晴れ->曇り、最終日のみ夕方雷雨 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2019年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス タクシー 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
北鎌尾根は、基本的に山と渓谷社のガイドにある通り。 最後のチムニーで若干道を間違えたが、登れるレベル。悪天等により撤退を余儀なくされる場合、北鎌沢右股の下降がネックになると思われる。 |
写真
装備
個人装備 |
120テープスリング*2
プルージックコード*3
環付きビナ*4
ATC
ヘルメット
長袖シャツ
Tシャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
着替え
靴
ザック
ザックカバー
行動食
非常食
調理用食材
調味料
ガスカートリッジ
コンロ
食器
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
日焼け止め
保険証
携帯
時計
タオル
ツェルト
ナイフ
カメラ
シェラフ
|
---|---|
共同装備 |
10mm*50mロープ
|
備考 | ロープは明らかに過剰装備。8mm*20mとかで事足りる。 |
感想
今年の個人的夏合宿、北鎌尾根。5月ごろに話が持ち上がり、以降それなりに準備をして行った。全日程の晴天に恵まれ、少々怖いながらも楽しい山行になった。槍の最後のチムニーはクライミングらしさがあって面白く、そこまでの北鎌尾根も岩あり花あり景色有りで素晴らしいものだった。一方で遭難者のものと思しき残置ザックが3つもあったりと(今年5月、2月ごろのものと思われる)、リスクについて考えさせられる山行でもあった。自分がどこで線引きをするか、明確に決めるべきだと実感した。後半の大キレットでは同年代のソロの男性と仲良くなり、即席4人パーティーとして動いていた。話も弾み、楽しいひと時であった。奥穂高は時間切れにつき次回の宿題。
--詳細追記--
*同行者: E, T, 途中I君
8/3 上高地-北鎌コル先
前日の夜に都内集合とし、車で沢渡駐車場へ。4時前着。運転してくれたEに感謝。
そのままタクシーで上高地入りしようとするが、ゲートが5時にならないと開かないようで、少々の待ちぼうけ。気を取り直して出発。早朝の上高地には朝霧が立ち込め、なかなか幻想的な雰囲気になっていた。小梨平や徳沢でキャンプもいいよな、何ぞという話をしながら進む。そこそこ時間がかかって横尾へ。穂高周辺は飛騨沢から入っても上高地から入っても林道が長いのがネックかもしれない。こういう場合はサンダルが威力を発揮する。
大曲ではこの日北鎌尾根から降りてきたという三人組にあう。なんでもルートファインディングが結構難しく、予定外のビバークをする羽目になったとか。こちらも予習はキチンとしたつもりだが、気を引き締めねば。水俣乗越までは見た通りの急登だが、沢沿いの花々が疲れをいやしてくれる。
水俣乗越からの下りは最初もろいガレ場。溝状の中を岩くずと一緒に落ちていく感じで、例えるなら白馬雪渓下のモレーン帯のような足元。途中の雪渓は大したことはないが、ストックは欲しいと思う。今回はTのものを一本借りた。以降灼熱の河原歩き。岩がでかい、照り返しが厳しい、景色が変わらないの三拍子で、精神的にも疲れるところだ。やっと着いた北鎌沢出合いでは皆で水浴び。Eはパンイチで滝に浸かっていて気持ちよさそうだ。
北鎌沢右股の登りは沢登風で楽しいが、数か所難しいところがあって緊張する。撤退時には下降に補助ロープがほしいかもしれない(懸垂を要するほどではない)。途中でEがばててしまったので、先行してテント場を探しに行く。やはり10mm*50mロープは相当な重荷のようだ。北鎌コルの平地はテント2+ツェルト1で埋まっており、その先もなかなか見つからない。結局天狗の腰掛手前の登山道わきにスペース(45テント一張分程度)を見つけ、そこに張ることにする。Eの様子は気がかりだったが、何とか登りあげたようで、日没は過ぎたものの薄明るいうちに幕とすることができた(訂正)。
8/4 北鎌コル-槍ヶ岳-殺生ヒュッテ
本番の日。前日の消耗を考え、朝は比較的ゆっくり目の出発とする。はじめのうちは平和な縦走路だが、天狗の腰掛手前の岩場の登りが悪い。今後全体的にそうなのだが、岩角が鈍角でなかなかにつかみずらい。ここはfixロープのお世話になった。天狗の腰掛では独標が大きい。
独標のトラバースではコの字岩で一応補助ロープ(7mm*7m)を出す、が正直不要だったと思う。なおコの字岩手前には残置ピトンがあっていい支点になるが、奥には(岩角も含め)あまりいい支点がない。パーティーで要確保者がいる場合、20m~30mぐらいのロープでもってさらに先の灌木にガースヒッチをとるか、ピトン/カムの類を持参するのが良さそうだ。
独標トラバース後のチムニーはリーチが短いと苦労する。komonomonoは不安があったので、荷物を置いて空身で登り、ロープで荷物引き上げ。残りの二人は荷物を背負ったまま上がれたようだ。空身であれば、クラック内に体を差し込んで、奥の足場を使えば普通に登れる。ここも確保をするならカムの類が必要。今回は所詮荷物の引き上げなので浅い岩角に無理やりスリングをかけて支点にしたが、信頼性は×。そのままスラブを登ると独標と次のピークの間のコルの直上にでる。独標まで出ると大槍が間近に見える。ひとしきり記念撮影して先へ。
以降の道は踏み跡明瞭で、「基本稜線上、巻くときは千丈沢」の原則に従えば基本的にOK.一か所p14付近で大巻き道(yamarecoの"みんなの足跡"の図でひときわ大きく巻いている踏み跡)に入りかけたが、Tがスマホで同図を見ていてくれたので回避できた。GPS+軌跡図は道迷い防止には最強だ。道中の景色は最高だ。鷲羽をはじめ黒部源流域の山をバックに、手前には荒々しい岩稜。近景の花もいい。
大槍の登りは最後のチムニーをスキップしてしまったようだ。登りの途中で白っぽい岩壁に出くわし、小槍側への明瞭な巻道をたどってから岩壁に取り付いたのだが、その巻道を行きすぎたのだろう。途中ちょっと怖い感じのチムニー状を登り(ここでも怖がったkomonomonoのみ補助ロープ確保、トップのTとセカンドのEはフリー)、山頂祠の小槍側から飛び出した。山頂では結構な人が出迎えてくれた。山頂にいた人の中には有名インスタグラマー("山スタグラマー"?)もいたようで、EとTは喜んでいた。komonomonoはその辺疎い。穂先からの下りで話を聞くと、彼女らは4泊で裏銀座を回ってきたそうだ。雲の平はまだ行ったことがないので、この秋か来年に行ってみようか。
その後殺生ヒュッテの天場まで一気に下り、祝杯。心配した雷雨は来なかった。
8/5 殺生ヒュッテ-大キレット-北穂高小屋
前日時点では、疲れたしおとなしく下山しようといっていたのだが、一晩寝たら回復したようだ。空模様もいいし、大キレット行ってみるかという話になる。もともと計画書にORとして記載していたし、時間も短いので行ってみることにする。結局行くなら昨夜肩の小屋に張っておけばよかった。
さて、南岳までは平穏な道。途中で新潟から来たというI君と会う。彼も大キレットに行くそうなので、即席4人パーティーの出来上がり。大キレットは聞きしに勝る岩場で、なかなかの高度感。一等しびれたのは長谷川ピークの下りだった。岩が節理で平らなので、クラックに指や手のひらを突っ込みながら慎重に下る。今朝調子に乗って「ロープ持ちます」とか言ったせいで重さで体が後ろに引かれ、(おそらく必要以上に)怖がっていた。北穂の登りでは下ってきた台湾人パーティー8人とのすれ違い。登りの後続も二人来ていたため、8人と6人のすれ違いになった。急傾斜のど真ん中で、離合には最悪の場所だったが、向こうの先頭の方に英語が通じたため、無事すれ違い完了。自分らの先には大人数の韓国人パーティーが居るそうだし、日本も人気になったものだ。
重荷にあえぎつつ北穂の小屋についたのは午後二時ごろ。Eも疲れたらしいし、夕立も怪しいので、今日はここまでにする。穂高岳小屋経由の奥穂高は次回の宿題に。小屋のテラスでビールをいただきつつ、今回の山行の思い出話に花が咲く。一方空はどんどん雲が増え、18時ごろには雷とともに、短時間ではあるが雨も降ったようだ。
疲れた体に小屋の夕飯が染みる。味噌/醤油系の味は"体が欲していた"感じがして本当にうまい。komonomono,E,I君は小屋泊。Tはテン泊。
8/6 北穂高小屋-涸沢-上高地
見事な朝焼けから一日がスタート。まだ暗い大キレットには、よく見るとヘッドランプの明かりが一つ。大した度胸だ。このまま奥穂高へ向かうというI君と別れ、テント場でTと合流し、北穂高南稜を涸沢に向けて下る。どんどんと大きくなる奥穂高岳に、リベンジのモチベーションが高まる。次回はジャンダルムから岳沢への周回とかだろうか。komonomonoは前日のバテからロープ持ちをリタイヤし、背中の軽さにあかせてソコソコのハイペース。重量約4kgのロープ(重り)はTが代わりに背負ってくれているのだが、さすがに毎週登山の男は鍛え方が違う、余裕の表情である。この南陵の下りでもインスタグラマーとすれ違い。相変わらずEとTがよく気が付く。長く続いた梅雨の後とあって、皆ここぞとばかりに山にきているようだ。
横尾の橋のたもとで軽く水浴びをし、最後はひたすら林道を歩いて上高地に下山。
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