( 山行記録もこのところ、景色に石が加わって、少し変わってきた。)
・ 地質図で見ると、各務原アルプスは(地質図:茶色)チャート層(kc)と、一部(地質図:紺色)砥石型珪質粘土岩(kt)とが主な地層です。
( 地理院の地質マップは、メニューからたどると5万分の1の地質図に凡例と断面図までついた原図資料を見ることができる。…欄外)
写真1: 国土地理院(地形図+地質図)各務原アルプス周辺
写真2: 地質マップの、凡例の一部(地質記号と名称)
写真3: 各務原アルプスの、津保川〜木曽川間の地質断面図
( 断面図(中段)が、各務原アルプスを、木曽川をはさんでほぼ南北に見た地層断面図です。)
( 各務原アルプスはほとんどチャートの山ですが、北側に少し位置している砥石型珪質粘土岩層を露頭の岩で確認するのが、今回の狙いの一つでした。)
< 珪質粘土岩層の解説 より >
『 〜 古生代ペルム紀と中生代三畳紀の境界(PT境界)にあたる時期に海洋環境での酸欠状態が海洋生物の大量絶滅をもたらし、生物界における大変革をもたらしたイベントを示す岩石とされている。実際に化石がほとんど含まれない。〜 』
・ 各務原アルプスのほんの1部ですが、PT境界の時代の地層があるなんて、知りませんでした。
( 地質を知ると、山がいっそう面白くなってきます。)
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地理院+地質マップの2DオンラインURL
" http://maps.gsi.go.jp/#13/35.432561/136.890593/&base=std&ls=std%7Cslopemap%2C0.65%7Chillshademap%2C0.37%7CgsjGeomap_G50_11_006ominagahama%2C0.49%7CgsjGeomap_G50_11_008gifu%7CgsjGeomap_G50_11_007ogaki&blend=00000&disp=111010&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1 "
凡例と断面付きの地質図の原図 ( 地理院左メニューの「説明」をクリックすると参照できます。)
" https://gbank.gsj.jp/ld/resource/image/map/gsj_map_546_org_546.jpg "
珪質粘土岩および優黒色泥岩【Mto】
" https://geo-gifu.org/mobile/gaikan/10_minotai/minotai_2_keishirunenndo_Mto.html "
makobeさん、こんにちは。
いろいろ調べられていて、日記内容自体が「面白い」です
それにしても、生物界最大の大量絶滅事件といわれる、ペルム紀末の大量絶滅時の地層(いわるゆる”P/T境界”)が日本にもあるのは、私、知りませんでした。
興味のない人、知らない人にとっては、ただの黒い粘土層でしょうが、これが地球の生命史における大事件の証拠だと思ってみれば、地球や生命の悠久の歴史に思いを馳せることができますよね。
私が住んでいる四国には、ペルム紀付加体が無いのですが、お隣りの中国地方にはペルム紀付加体があるので、そのうち私も見てみたいものです。
興味深い情報、ありがとうございました。これからも「地質同好会?」の仲間として、宜しくお願いします。
bergheil さん こんばんは
PT境界については、まったく自信ありません。
( 現地を歩いてみても、まったく区別がつきませんでした。)
・ 前に日記で紹介させていただいた、岐阜県博物館の小冊子では、「美山の舟伏山のチャート層でのP/T境界」の例がありましたが、それには電子顕微鏡でしか判別できないようなことが書かれていたと記憶しています。
美山町の岩石が面白い… 美濃ではよく見かける身近なチャート!
" https://www.yamareco.com/modules/diary/173565-detail-229114 "
・ 今回の各務原の「珪質粘土岩層」全て、P/T境界としてしまうのは、早計かもしれませんね。
( いい加減な話ですみません。)
makobeさん、こんばんわ。
いやはや貴重な情報有難うございました。
BLUE BACKS 「地学のススメ」鎌田浩毅著を、今パラパラと調べましたら、
「大気と海洋の汚染に伴い、〜〜植物が激減した〜〜、海中での酸素欠乏、〜〜気温低下、地球磁場強度の低下などの複数の異なる現象が発生したことが、P/T境界付近の地層に記録されています。」と記述されていました。
その地層を肉眼で観察でき羨ましいです。
fujikita さん こんばんは
・ 昨日は祝日で勤務が休みでしたので、各務原をあるいてきましたが、実際の岩を見ても違いが良くわかりませんでした。
( なんとなく黒っぽいしわしわのヒダのぺらぺらのものはありましたが、それがそうなのかチャートの風化したものかが、素人目ではわかりませんでした。下記参考記録に、写真も一部アップしました。)
参考記録: 各務原アルプス 大岩不動から桐谷向け 2021.02.11
" https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-2915905.html "
( 手探りのいい加減な話ですみません、もっと勉強して、石の種類がわかるようになりたいです。)
makobeさん、こんばんは。
高校地学の参考書にPT境界の時代の黒色層の写真が載っています。場所は岐阜県本巣市で、ペルム紀末のチャートと三畳紀初めの頁岩層に挟まれています。「海洋無酸素事変」・・・恐ろしい名前ですね・・・。
「地学図録」(数研出版、改訂版・2018年)の120ページです。ご参考までに!
irazuyama さん こんばんは
・ 「海洋無酸素事変」・・・ 確かに日本語のほうが恐ろしい雰囲気たっぷりですね、和名は初耳で知りませんでした。
( 「地学図録」には、残りの4つの和名も、記載があるのでしょうか? )
( 想像してみると、K/Pg境界は「隕石爬虫絶滅事変」… な感じなのでしょうか? )
??? ばっかりで、すみません。
度々恐れ入ります。
「地学図録」では5回の大量絶滅イベントは、「○○紀末」というように書いています。K/Pg境界の大絶滅は「中生代末の大量絶滅」と呼んでいます。
そして「海洋無酸素事変」(Oceanic Anoxic Events)は、地球史上少なくとも3回起こったと考えられている・・・と書いています。
私見ですが、五大絶滅事変のうちでは、オルドビス紀末(O/S境界)、デボン紀後期(F/F境界)、ペルム紀末(P/T境界)の3回が「海洋無酸素事変」で、五大絶滅以外の絶滅事変では、ジュラ紀前期、白亜紀前期、白亜紀後期の絶滅が「海洋無酸素事変」に該当するだろうと・・・。
○○事変という言い方なら、K/Pg境界の出来事はおっしゃるように「隕石恐竜絶滅事変」とか呼べると思います。
絶滅事変とか境界事変とか無酸素事変とか、学者は物騒で滑稽な和名を付けたもんだなぁと思います。「事変」と言えば私などは「満州事変」の類いを連想します。あるいは椎名林檎の「東京事変」とか・・
でも、地学を履修する高校生は大変少ないので、このネーミングで地学に興味を持つ高校生が増えたらいいな、と思っています。
楽しい週末に岩石のように堅い話ですみませんでした。
irazuyama さん、おはようございます。はじめまして、宜しくお願いいたします。
「海洋無酸素事変」(OAE)は中生代以外にも起きている。勉強になりました。
小生は2年前から地学に興味を持ち岩探しをしています。産総研の20万分の1、シームレス地質図の地質の岩を実際にこの目で確認しようとしています。
そして石灰岩のピナクルに尖っているもの(秋吉台)と丸いもの(平尾台)があり、丸くなるのはシアノバクテリアの影響であること。シアノバクテリアは初めて光合成能力を獲得した生物であることを知りました(「日本の山ができるまで」小泉武栄著)。
もう少し調べてみますと中生代にOAEが何度もおきていて、OAEは「黒色頁岩」と呼ばれる有機物に富んだ堆積物が海洋の広範囲に形成され、海洋の低層水や深層水が無酸素になって有機物に富んだヘドロ状の堆積物が形成されたことからOAEと呼ばれるようになったとのことでした。
そして「黒色頁岩」が形成される過程でシアノバクテリアが重要な働きを担ったとの論文がありました(論文の内容は自分には難しく完全には理解できませんが)。
石灰岩探し→2種のピナクル→シアノバクテリア→OAE と興味の対象がどんどん広がっていきます。地学って本当に面白いです。
長文で失礼しました。
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makobeさん、申し訳ありません。
この場で irazuyama さんとお話させていただきました。
irazuyama さん おはようございます。
「海洋無酸素事変」についてのわかりやすい説明をいただき、ありがとうございます。
・ 特定の境界を意味するのではなくて、数ある地球をおそった大きな変化のうちの、原因の種類を表した用語なんですね。
( 物騒な印象かどうかは人によりますが、実際に遭遇すれば、物騒どころか地獄の様相かと想像します。私のような年寄りには、記号や英語表記よりわかりやすく、とても興味をそそられる気がします。)
・ 私の返信中の文面で、K/Pg 境界「恐竜絶滅〜」の記号を、間違ってしまっていました。すみません… 好きなことでいろいろ教えていただけるのは、固い話…24時間いつでも歓迎です。
・ 昨年の秋に名古屋に嫁いでいった娘が、椎名林檎と東京事変が好きで、車の中でよく聞かされました。
( Jazzやロックなどいろんなジャンルを聞きますが「東京事変」はちょっと苦手で、ついていけませんでした。)
fujikita さん おはようございます。
・ 石灰岩とピナクル… おもしろそうですね。
( 岐阜県の美山では「小尖塔」と呼べるほど高さのあるものは見かけません、ほとんど「子羊」風のものです。)
・ 先日の各務原はチャート主体の山域ですが、石灰岩っぽいものをみかけました。
( 自信はありませんが、チャートの地層の間にも、ときおり部分的に石灰岩層が見られるときもあるようです。)
・ 私も、各務原の地層について、もう少し調べてみようと思います。
( 余計なことかもしれませんが、「産総研の20万分の1シームレス地質図」について…
今回の各務原アルプスを調べていて、5万分の1の地質図に表示されている、砥石型珪質粘土岩(kt)の層が、20万分の1シームレスのオンラインでは表記されていないことに気がつきました。)
・ 5万分の1は地域で色合いや凡例が異なっていたりで、地域のつながりが不自然ですが、内容は詳細です。反対に20万分の1シームレスでは、統一してWeb版に作り直す段階で、省略や欠落があるのかもしれません。可能であれば、地理院オンラインで5万分の1地質図の3Dを併用されることをお勧めします。
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