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本仮説では、「太平洋北西縁における弧状列島形成の成因」において提示した“流動論”の枠組みをさらに展開し、知床半島・国後島・択捉島といった千島列島の一部が、中生代に直線状に形成されたハワイ海山列の一部であるという可能性を提示する。この海山列は、中間層の北西流により形成された後、新生代における上層の西向き流動によって、順次西に押し流され、現在の北西太平洋縁辺部へと移動・変形・接合されたと考える。
■ 背景と前提
古生代〜中生代:中間層の北西流によって、ハワイ起点の直線的な海山列が形成される(天皇海山列より前段階)。新生代(約65Ma以降):太平洋東端(ユカタン・カナダの隕石衝突)を起点とした地殻流動が発生し、上層が西向きに流動を開始。この西向きの上層流動が、既存の海山列を変形・移動させ、アリューシャン〜千島〜北海道東部に連なる弧状列島を形成。
■ 知床半島=中生代ハワイ海山列説
この仮説の中核は、現在の知床半島・国後島・択捉島が、中生代の直線的な海山列の一部だったという大胆な提案である。これらの陸塊は、ハワイから北西へと伸びていた中生代の海山列(ハワイ〜天皇海山列以前)と構造的に連続していた可能性がある。
上層の西向き流動により、これらの海山列の一部が北西方向から西へ押し流され、日本列島の縁辺部に衝突・接合。その結果、知床半島を起点として、国後島・択捉島、さらに千島列島を通じてカムチャッカへと続く曲がった海山列の残骸として、現在の弧状地形が形成された。
■ 図解の補足
左図:現在の太平洋地形(変動後)
知床半島〜千島列島〜カムチャッカ半島が弧を描いて配置されている。
右図:中生代〜新生代のハワイ海山列(変動前を仮復元)
直線状に並んだ海山列が、途中から屈曲し、現在の地形と一致する位置に再構成される。
■ 地質的・地形的根拠
知床半島や千島列島の基盤岩類には、海洋火山起源の玄武岩やチャートが多く見られ、海山起源の可能性が示唆される。海底地形との接続性や、重ね合わせによる一致性は、地殻構造の連続性を示す有力な視覚的証拠となる。
中生代に形成された“火道痕跡”と、現在の地形の残存形が、方向・形状ともに整合的であることが、既に動画解析などから示されている。
■ 意義と今後の展望
この仮説は、「千島・北海道東部の弧状列島は、実は古いハワイ海山列の残骸だった」という、プレート論の枠を超えた地質進化モデルを提示するものである。
特に、プレートが一枚岩的に動くという従来の前提では説明しきれない「変形」や「位置ずれ」現象を、「層別に異なる方向へ動く流動構造」として捉えることで、より合理的かつ整合的な地球像を描くことが可能となる。
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参考ブログURL: 仮説:太平洋北西縁における弧状列島形成の成因
https://history-of-the-earth.seesaa.net/article/514747071.html
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