「冬期閉鎖」が解除されると「マイカー規制」となり公共交通のみ通行可となるのだが、今年の「マイカー規制」開始以前、つまり冬期閉鎖中にこの林道を歩いて北岳に向かったレコが上げられていた。
「全面通行止め」なのだから歩行も禁止じゃないんだろうか?と疑問に思ったのだが、そのままにしていた。
先日思い出して関係先に問い合わせたりしたので、その結果を書いておこうと思う。
まず山梨県警に問い合わせたところメールで返事が来た。
「南アルプス林道は、中北林務環境事務所の管理道路なので、道路交通法上の歩行者通行禁止措置(道路標識による通行規制)はしておりません。」
とのこと。
そこで道路交通法を見直してみた。略称「道交法」は車の運転免許を持っている方ならおなじみの法律だ。
わかったことは、まず道交法上の「道路」とは「国道、都道府県道、市町村道と自動車専用道路(高速など)」ということだった。この中に「林道」は入っていない。
したがって、道交法の中には「道路の通行止め等については警察が実施する」などの条文があるのだが、それは林道には適用されないということのようだ。
上記メールは「林道はウチの管轄じゃないよ。」という意味なのだった。
で、南アルプス林道を管理しているという山梨県の「林務環境事務所」にメール。その返事は、
「夜叉神ゲートより以遠につきましては、冬期閉鎖中、関係車両を除く一般車両(自転車含む)は通行止め(冬期閉鎖)とするとともに、歩行者につきましても、同様の危険が想定され、安全の確保を最優先する必要があることから、通行をご遠慮していただいております。」とのこと。
むむむ・・。一般車両は明確に「通行止め」としながら、歩行者については「ご遠慮願う。」という言い回しだ。この違いは何だろう?
調べて見ると林野庁通達の「林道規程の制定について」という文書が見つかった。
その中に「管理」>「車両の通行に関する措置」という項目があって、通行止めや重量制限・速度制限などを行うのだという。通常警察が行う制限項目を林道管理者が行うわけだ。
ところが、あるのはこの「車両の通行に関する措置」だけであって、歩行者を制限する項目がない。つまり歩行者を強制的(法的)に通行止めにするという法的根拠がないのだ。そこで「ご遠慮願う」つまり自主規制で、という表現になっている、ということらしい。
以上から、「冬期閉鎖中」の林道も歩いてなら進入しても法律違反にはならないということのようだ。
結論としてはこういうことなのだが、これを「法律違反じゃないんだから自由に入っていいんだ。」という風に解釈しないでほしい。
登山はすべて自己責任だ、とはいうものの、何かあれば周囲にも迷惑がかかること。くれぐれも慎重に判断したいものだ。
[追記]
上文中の「道交法上の「道路」とは「国道、都道府県道、市町村道と自動車専用道路(高速など)」ということだった。この中に「林道」は入っていない。」
は誤りだった。
道交法には、普通の「道路」以外に「一般交通の用に供するその他の場所」に適用されるとあり、林道や私道、駐車場内なども含まれる、という解釈が正しいとのこと。
上写真)南アルプス林道夜叉神ゲート
こんばんは。
そうですか。
ということは、話は飛びますが、林道を車で走る場合は免許はいらないのですかね?
私は田舎なので山の中の林道を子供の頃に軽トラックを無免許で運転していました。一度道を踏み外して車が傾いて崖から落ちそうになったことがありますが大したことはなかったですが親に叱らられたことがありました。
いい悪いは別として、あれは法律違反じゃなかったのですね?
でも、その林道まで行くのが公道なので法律違反ですからダメですね 失礼しました。
コメントありがとうございます。
そうですね。林道は道交法の適用外ということで、免許がなくても運転可能ということになるかと思います。自宅の庭で練習するのと同じですね。そこに行くまでは仮免許でないとダメですね。
ただ、たとえば富士山の吉田登山道は車は走りませんが山梨県が管理している県道だそうで。そうすると道交法の適用内となります。車は走らなくても通行止めその他規制は法的規制ですから守らないと罰則が待っています。難しいですね。
PASOCOM様、初めまして。
若い頃オフロードバイクで各地の林道を走り回っておりました。
基本的に林道は水源地管理や林業作業のためのものなので一般車両は入れたくないと言うのが関係者の本音だと思います。
崖落ちや事故など起きると管理体制を問われかねませんから。
人の通行の良し悪しに関しては、あまり考えていなかったように記憶しております。
盲点かも知れませんね。
私の知る限り未舗装の林道で制限速度の表示は見たことが有りませんでした…無い!?
まぁ60か70kmで心臓口から出そうな感じでしたから、はなから無意味なのかもしれませんが…
怖いと思ったのは崖くずれでしょうか。
巻き込まれる事よりも、どこかに抜けられないピストン林道の奥などに駐車した場合などヘタをすると何ヵ月もほったらかしになりますから要注意ですね。
初めまして、 hirogodspeedさん。コメントありがとうございました。
山梨でも「通年通行止め」という林道も多くあります。こういうのは関係者だけが利用しているのでしょうね。一方こういう道は登山に便利に使えるケースも多いです。通行止めの場合はたいていゲートが施錠されていますが、二輪車や歩行者は脇から入ることは簡単にできますね。
今回、そういう進入は法的にどうなんだろうと疑問に思ったのがきっかけでした。
南アルプス林道は6月下旬に開通ですが、その頃は事実上はもう夏山状態で、もし自由に進入していいならそういう時期に登ることができるようになって選択肢が広がるんだが・・・、と思っていました。
この区間は地盤が軟弱で崖崩れが頻繁に起こります。
日記の最後に書いたように、歩く場合も雨や雪の後などは避けて天気の良い日を選ぶなど最大の注意を払って入らなければいけないと思いますね。
車両通行止と掲示されている林道をアプローチする山で、林道をバイクや自転車を使う登山者をよく見ます。バイクはもちろん、自転車も車両なので違反ですね。バイクは違反を意識していると思いますが、自転車の人は違反とは知らない人も多いと思います。
記録などで「アプローチに自転車を使ってスマートに」などと自慢げに書くのはいかがなものでしょうか。
コメントありがとうございました。
aoiyamaさんの文で思い出したのですが、一ノ沢ルートで常念岳に登ったとき、林道を進んで行くと駐車場があって「ここから先は関係車両のみ通行可」とありました。が、その先の路肩に多くの登山者車両が停められていましたね。少しでも登山口に近づきたいのでしょうが、違和感がありました。
自転車はちょっと盲点かも知れませんね。道交法では自転車も軽車両だし、林道管理規定でも「車両(自転車も含む)」ですから、徒歩以外はすべて不法侵入になるようです。
記録に書く方自身が不法に当たるという自覚が無い可能性もありますね。
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