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松本歩兵連隊は郷土部隊で信州人ばかり。シベリア派兵、満州、北支へと、40年間ここから若者を送り出した。
歩兵連隊の移動経過など、戦中は秘匿されていたし、戦後は散々懲り懲りで忘れたい記憶だったかもしれない。今となっては生存者がいないので戦後20年のこの時点で丹念に取材して書いたこの記録は貴重だ。登場する数多の兵たちの名に、すべて出身地が書いてあり、ぐっと親近感が増す。松本市・安原町とか、塩尻市・宗賀とか。これは著者が相当数の生還者を訪ね、直接丹念に聞き取りをした証だと思う。
そうした生の声に加えて、戦後明らかになった日米の記録を照会し、同時進行の大局も記されていて、トラック島の営みの虚しさが更によくわかる。
歩兵としてトラック基地に上陸する直前に3艘のうち2艘が潜水艦に撃沈されてしまった。わずか生き延びた兵は漂流の末救われ島に上陸を果たしても、武器も食料も無い。昭和19年春ですでにこの状態である。世界三大要塞と云われたトラックは、150連隊の上陸間際に総攻撃を受けて廃墟になり、連合艦隊も去ってしまい、戦線はサイパン、テニアンのあるマリアナ諸島へ。トラックの兵二万五千はほとんど手ブラで取り残されてしまってその後1年半をダイナマイトで魚を獲ったり、芋を耕して飢餓と戦う。全く勇ましくない戦記だった。
こんな日本軍を誰にもどうにもできなかったのか。始めてしまうと、死者が出てしまうと、後戻りができないのが戦争なのか。
著者は生存者におそらく膨大な取材をしたのだろう。関係者がほとんど死んでしまった今の時代にあって、些細な、ここに書かれた小さな現場のできことが、貴重な記録となっている。
郷土部隊の歩兵連隊の記憶は、町からほとんど消えようとしている。この本も絶版になり、書店で見ることはない。
でも図書館と、古書店にはあり〼。時代の思潮に囚われていない価値ある記録と思います。
八甲田山より怖い?読もうかな〜
怖い?ってのが女子高生みたいで可愛いですね!
怖くはないけど・・・ひたすら気の毒です。
八甲田山、怖いですか?
正直怖いと、思いました。
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