スペイン風邪の松本。

松本の地方紙には、古文書や古い公文書や古新聞を読んで、事あるごとに紹介してくれる市文書館の研究員のコラムがあります。100年前のスペイン風邪の疫禍について、数字で書いてあって、興味深く読みました。知っている近所の学校の罹患者数や死者数、第一波と二波の間隔など。やはり住んでいる地域の出来事を読むことは、現実を実感し、未来の災禍を想像するためにとてもリアリティーがあります。
ワクチンなどない。手を洗うほかは、偏らない食事で栄養を摂って健やかな身体で免疫力を養うほかないのは今も全く変わらないから。

・松本で流行し始めたのは大正7（1918）年10月ごろから。10/30の新聞では松本中学で740人中250人、同日一週間の休校を決定。
・松本高女、女子師範ではそれぞれ600人中113人、210人中71人の欠席。近く休校と。市内小学校は全体で数百人が欠席。松本尋常高等小学校開智部では大正7年11月4日から一週間臨時休校。
・松本歩兵第五十連隊では12月に入院中の者数十人、死者18人。
・製糸工場は片倉の500人はじめ各工場打撃を受け100人、200人が病床にあり。
・全国での蔓延の波は三回。
第一波大正7年5月〜7月。死者はなかった。
第二波は7年10月〜8年5月。11月に猛威をふるい10月には原敬首相も罹患、島村抱月が感染死。
第三話は大正8年12月〜9年5月
日本の死者数は45万人余り、長野県内では7000人。