昭和9年建築のストレッチタイルの建物、諏訪湖畔の旧岡谷市庁舎で、復員省の窓口や、作戦会議の大広間などのロケをしたとのことで、その縁もあって見に行った。
元飛行機好き少年なら知っている、幻の海軍局地戦闘機・震電が空を飛ぶ姿には、何より興奮した。あの飛行機、みんな知っているんだ。プラモデルも作った。
マリアナ沖海戦、レイテ沖海戦でも生き残った重巡洋艦・高雄が、ゴジラと戦うシーンも興奮した。現実はシンガポールで終戦になり、爆破沈没された船だ。
アカデミー視覚効果賞受賞は納得。妄想のゴジラ都市破壊、妄想の戦闘機空撮、妄想の軍艦艦砲射撃と妄想が映像化され留飲を下げる。でもあんなにたくさんの人が無慈悲に踏みつぶされ、焼かれるシナリオが世に自然に受け入れられたのは、あの大戦争の後の日本人だったからなのだろうか。いまの時代の私はぶっ飛ばされ潰される一人一人の痛みや苦しみを想像してしまう。
脚本的にはPTSDを抱えた特攻生き残り隊員の立ち直りの物語なのだが、実際の日米・日中戦争の人間同士の殺し合いという心的外傷の帰還兵たちの重い史実を「意味を超越した存在」のゴジラとの戦いに変換されてしまっている違和感が、私の中ではどうしてもうまくいかなかった。核開発の申し子という説明さえほぼ無かった今作のゴジラは、もはや「人間の業」ではなく天災であり、手の付けられない荒ぶる神。地震台風熊嵐みたいなものだ。そういう意味で、敵国との戦争の痛手が、廃墟の東京しか描かれていない点が、何かつながらなかった。
細かく言えば、敗戦直後の日本人のギラギラ感不足もちょっと不満。生き残り駆逐艦雪風の艦長も優しすぎるし、元水平たちも殺気が無くなんか今風に優しいぞ、まあいいか、今の映画なんだし。でも俳優陣は子役も含めていい仕事していた。隣のおばさん(安藤サクラ)のリアリティある殺気にのみビビった。
なじみのパン屋で牛乳パンやクルミチーズパンやたまごパンを買って、市民会館の屋上の芝生の上で山を見ながらはむはむ食べた。今週末は雨も降ったが、山は雪だろうし、積雪が少し延命してありがたい。4月後半まで藪を覆っていてほしい。常念を見ながら三人でパン。
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