北アルプス縦走 〜扇沢から室堂へ〜
- GPS
- 56:30
- 距離
- 76.2km
- 登り
- 7,754m
- 下り
- 6,736m
コースタイム
- 山行
- 13:10
- 休憩
- 1:47
- 合計
- 14:57
- 山行
- 10:46
- 休憩
- 1:28
- 合計
- 12:14
- 山行
- 10:38
- 休憩
- 2:41
- 合計
- 13:19
- 山行
- 8:14
- 休憩
- 2:57
- 合計
- 11:11
【1日目】距離 4.7km・累積UP1716m/DN626m
【2日目】距離16.7km・累積UP1971m/DN2052m
【3日目】距離18.5km・累積UP1382m/DN1544m
【4日目】距離21.7km・累積UP1672m/DN1738m
【5日目】距離14.7km・累積UP1578m/DN1422m ※GPS値
天候 | 2015年シルバーウィーク5日間すべて晴れ! 秋分の日9/21・日の出5:37/日の入17:51 |
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過去天気図(気象庁) | 2015年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
【往路】立山黒部アルペンルート:立山駅発7時00分発ケーブルカー〜美女平7時10分発バス〜室堂着8時00分(しかし、ザックが乗車したバスに積まれていない…次の便で届くそうで暫し室堂ターミナルで時間つぶし)トロリーバスとロープウェイとケーブルカーを乗り継いで黒部湖に到着9時15分。9時35分の黒部ダム発のトロリーバスに乗れば9時51分に登山口の扇沢に到着するのだが、恥ずかしいことに富山ケンミンでありながら黒部ダム見物は未経験…初日は余裕ある行程。ゆっくりと黒部ダムで小一時間過ごした。結局、登山スタートは計画より一時間遅れの11時過ぎ。立山黒部アルペンルート全線乗車も人生初めてのこと(〃⌒∇⌒) 【帰路】立山高原バス・ケーブルカー:室堂発15時のバス乗車。大混雑している美女平駅で暫しケーブルカー待ち。立山駅到着は16時半頃。日没前に帰宅(´∇`) |
コース状況/ 危険箇所等 |
・一日目 【扇沢〜針ノ木峠】気持ち良いブナの樹林帯。下を向いてばかりいると枝に頭ゴツンご用心…北アルプス三大雪渓の針ノ木雪渓は高巻ルート。鎖アリ岩棚歩行アリ、岩登り的な箇所が多数。峠に近づくに連れて急勾配になります。 ・二日目 【針ノ木〜蓮華岳】整備良好、危険無し。 【蓮華岳〜北葛岳】約500mを一気に下る“蓮華の大下り”終盤は危険な岩場。崩壊防止策の丸太ばかりに気を取られるとルートミス注意。北葛乗越からの急な岩場を越えると登り易くなる。【北葛岳〜七倉岳】地図にワイヤー有りと明記されているとおり、素手でワイヤー掴みは痛い…手袋必須ですよ。 【七倉岳〜船窪乗越】片側が崩落している箇所が多い。この先の区間から比べるとマダマダ序の口。船窪テント場で水補給要!烏帽子まで水場がありません。風通し悪い樹林帯は夏季だと暑くて想定以上に水分消費するでしょう。 【船窪乗越〜船窪第二ピーク】玄人好みのナカナカ厳しいコース。ロープとワイヤー併用してある安全整備箇所は前々項のとおり手袋は必須。ザラっと滑り易く脆い砂礫の岩棚状の道が数多い。 【船窪第二ピーク〜不動岳】前項以上に危険度と厳しさが増します。私が通過した日に滑落事故発生。今年の夏に死亡事故発生。約200m下って不動岳へ約300m登り。体力的に消耗した頃と危険箇所が重なることが事故の要因かと思います。この区間コースタイムは2時間40分ですが、難路のため短縮は簡単ではありません。 【不動岳〜南沢岳】小さな登り返しを経て約200m下り約230m登る。 【南沢岳〜烏帽子小屋】整備良好、危険無し。 ・三日目 【烏帽子小屋〜野口五郎岳〜水晶小屋〜水晶岳〜岩苔乗越〜黒部源流分岐〜三俣山荘〜巻道〜黒部五郎小舎】メジャーなルートなので説明省略 ・四日目 【黒部五郎小舎〜黒部五郎岳〜赤木岳〜北ノ俣岳〜太郎平小屋〜薬師岳】省略 【薬師岳〜北薬師岳〜間山〜スゴ乗越小屋】薬師岳から北薬師岳間は約100mの高低差登り返しで緊張感ある岩場が続きます。先程までイージーだった気持ちの切替要。 ・五日目 【スゴ乗越小屋〜スゴの頭〜越中沢岳〜鳶山〜五色ヶ原〜ザラ峠〜獅子岳〜鬼岳東面〜龍王岳〜室堂】近いのに遠いスゴ乗越小屋。数多い登り返しがタフさを感じさせるマニアックなコース。 大雑把なセクションでの説明でしたが御容赦ください\(_ _ ) |
その他周辺情報 | みくりが池温泉で入浴しましたが、下界にも温泉でリラクゼーションを愉しめるスポットが多いですよ。 立山界隈には幾つもの温泉がある中でオススメは「グリーンパーク吉峰」 https://www.yoshimine.or.jp/relax/01.html 極楽坂スキー場近くにあるクラシカルな「森の雫」もイイ! http://morino-shizuku.co.jp/ja/onsen-hot-springs-ja/ 粟巣野スキー場前にある「森の風」も良さ気。 http://www.morinokaze-tateyama.com/spa/ 立山国際ホテルも日帰り入浴可。未だドボンしてませぬが… http://www.tatekoku.com/spa/ |
写真
感想
2015年シルバーウィークは奇跡的な5日連続の好天!北アルプスは暑くもなく寒くもなく、紅葉が始まったばかりのオールシーズン通して最も良い季節。夏季は雲が早く湧いて雷雲が何より怖く、遅くとも14時迄の到着が常識。9月下旬であれば雲の湧きが遅くて低い。雷の不安は稀で、行程時間が長くなって目的地到着が少々遅くなっても、テント泊だと気にならない。ロングトレイルを愉しむには絶好のチャンス!
ピークハントよりも歩いた軌跡を地図に塗り潰す方が喜びを感じる。激混み必至のシルバーウィークは北アルプスの奥深いマニアックなルートを歩きたい。選んだのは船窪〜烏帽子の間。4泊5日で扇沢を起点として室堂までの馬蹄型周回縦走プラン!天候や体調次第で折立にエスケープ下山する場合も考慮して計画。
とても悩ましかったのは、針ノ木〜蓮華〜船窪〜烏帽子のルート。扇沢に駐車の早発で船窪では帰路とエスケープに問題…。アルペンルートで扇沢着からでは時間的に船窪は無理…。針ノ木から船窪は近過ぎ…。日程も限られている…。初日は針ノ木までとして、二日目で一気に烏帽子まで往く選択をした。それが後悔することに…
テント泊の重量歩荷は7月末以来…8月は忙しさで2度しか山に行けず、このままだと4週間ブランクでの山行。それだけは避けたく、無理に休暇とって4日前に剱岳早月尾根で足慣らしのはずが、筋肉痛が二日間も続く…乳酸デトックスしようと山行前日の朝に小一時間ジョグで汗を流すも、疲れを引きずったまま決行。
【1日目:扇沢〜針ノ木】 4.7km・UP1716m/DN626m・約5h
アルペンルートと関電トロリーバスで扇沢入り。その道中に富山ケンミンながら初めての黒部ダム見物(昨年に赤牛岳から下山した際は通過しただけ…)未だ剱岳の疲れも残っているし、初日は針ノ木テント場までだけだから、のんびりと悠長に過ごそう。しっかし、5日分+αの食料と防寒アイテムやカイロ等を積んだザック25.5kgは重くて一歩一歩がキツカッタ… テント場は混雑しており、小屋から15分程登った場所に幕営。静かなエリアで途中から一緒だった若者と日没までY談で盛り上がる。“Y談=山談義”
【2日目:針ノ木〜蓮華岳〜船窪〜烏帽子】16.7km・UP1971m/DN2052m・約15h
悩ましくも計画した烏帽子まで。標準CT13.5h!重量歩荷では厳しいのは承知。最悪はビバークも視野に入れての実行。無事クリアできましたが、これまでの山行経験で最もタフだったですぅ。結果オーライは危険と隣り合わせの紙一重…反省猛省しなければなりません。
4時にテント場を発ち、追いついてきた方と抜きつ抜かれつで併登する殿方ひとり。彼も烏帽子を目指すというが、テント泊装備では無理と判断して小屋泊の軽量化で遂行する判断されたそうです。徐々に会話を重ねているうちに不思議な御縁と私の志向と似た同じ歳の方。船窪第二ピークまで一緒でしたけども、スタートから8時間も経過するとスローダウン…。私に構わず先行していただいた。小松ブルーベル山岳会の方、お名前も尋ねずお別れ。
爆音を響かせながらホバリングするヘリ。船窪第二ピークから少し先の処で滑落事故があったようだ。すれちがった遭対協の方が曰く、一命は取り留めたそうだが此処界隈は危険なエリア。夏には死亡事故が発生している。
不動岳・南沢岳の登り返しを経て前烏帽子岳を通過した頃に日没。既に14時間経過…スタミナが枯渇し、思うようにカラダが動かない。ついに座り込んでしまった。「もう眠いよ パトラッシュ」ってな心境。水滴が付くくらいの高湿度のガスと強風で視界が悪かったのだが、小屋までの登山道がハッキリ表示してあるエリアだったのは不幸中の幸い。GPSで現在地を確認すると小屋まで10分程度の距離。歩き始めると後方から猛スピードで走る若者が一名。「大丈夫か?」と、親切に声を掛けていただき励ましていただいた。後続にバテている登山者ひとり居るようで先に小屋へ行って報告するとのこと。
小屋でテント受付を済ませ、その若者と暫し談笑。今朝に薬師峠を発って五色ヶ原を経て針ノ木谷から此処まで来たとか(驚)普通の健脚者でも2泊コースだ。ツワモノを遥かに超えた「ヘンタイ」である。只者では無いと思っていたら、昨年のトランスジャパンレースの選手だという。「凄い」よりも「ヘンタイ」というワードが適した褒め言葉ですわ(笑)もしも生まれ変わるなら、彼のような豪脚になりたいよ。
正しいテント場は大混雑…真っ暗な中、登山道脇でビバークするかのような場所で幕営。遅い夕食後、疲労と足裏の痛みで気を失うかのように就寝zzz
【3日目:烏帽子〜野口五郎〜水晶〜黒部五郎】18.5km・UP1382m/DN1544m・約12h
前日の経験したことの無いタフな1日を経て3時起床。早出する登山者の足音と鈴の音で目が覚めた。意外と疲れは残っていない。はじめての裏銀座ルートに向けて5時出発。人が多いゆえに“銀座”というワードが付く。
ガキの頃から亡父に登山中に出会う人とは絶対に挨拶を交わすことと教え込まれた。人が多過ぎるからなのか?挨拶してもシカトされ、道を譲っても礼の言葉も無い。都会の街の中と変わりない感覚なんだろう。ここ数年、こんな登山者が増えてきたような気がする。なかには「あとどのくらいで着きますか?」「この先は大変ですか?」と、ワケノワカラナイことを尋ねてくる人も…ちゃんと計画してるのかな? メジャールートになると、こんな人達が多い。残念な気持ちになりながら目的地に進んだ。
先日のスタミナ切れは俗にいう「ハンガーノック」体力不足は否めないが、重量歩荷ではカロリー消費が激しい。ちゃんとした食事を摂らなかったことと行動食の摂取量とタイミング失敗だ。水晶小屋名物「力汁」で精をつけて2度目の水晶岳登頂。昨年に登った鷲羽岳は見送り、三俣蓮華巻き道を経て黒部五郎小舎テント場到着。
どっかで会ったことある人だなぁ〜似ているなぁ〜と、互いに顔を見合わせた殿方。7月に大日岳でお会いした立山自然解説員のT島さんと遭遇!私の行程を話すと半分呆れ顔のような感じでした。日没になり短い会話を交わした後にテントに戻り、前日同様、疲労で気を失うかのように就寝zzz
【4日目:黒部五郎〜薬師岳〜スゴ乗越】21.7km・UP1672m/DN1738m・約13h
本日が最も長いコース。体調が悪ければ折立へ下山する選択肢もあり。テント場の朝は早い。出発する方々の音と寒さで目が覚めた。お空は満天の星空!放射冷却でてフライシートはバリバリに凍っている。凍結したテントポール撤収に手間取り、計画より15分遅れで出発。調子いいし計画通りに進もう。
山頂で御来光を眺める計画だったが、五郎の肩に差し掛かる地点で日が昇ってきた。雲ひとつ無い空と下界はフラット凪の雲海。以前に登った際は眺望ゼロだった黒部五郎岳、今回は360度パノラマだ!北アルプス雲海への大航海は順風満帆。
やはり、歩いたことのあるコースだと精神的に心強い。赤木岳〜北ノ俣岳〜太郎小屋へのエリアはお気に入りの場所。蓄積しているはずの疲れは何処?存分に稜線漫歩を愉しんだ。太郎小屋に到着して直ぐに若旦那へ挨拶に伺うも、雲ノ平で事故があったようで救助連絡調整等で緊迫した雰囲気。外のベンチでラーメンを食べながら相席したCT50%というツワモノの姫方おひとり様とY談で盛り上がった。
薬師岳山荘で休憩中、東京から来られた殿方と同じ目的地のスゴ乗越へ向かった。本日のスタートから10時間経過。疲れよりも足裏が痛く、北薬師からスゴ乗越への下山がキツカッタ…。私の牛歩ペースに合わせていただきありがとうございました。テント場で晩酌のお誘いを受けるも、万全の体調で明日の最終日を迎えたく、足裏の炎症が酷いため酒は遠慮。心残りだったなぁ〜…足裏に湿布貼って鎮痛剤服用して就寝zzz
【5日目:スゴ乗越〜五色ヶ原〜室堂】14.7km・UP1578m/DN1422m・約11h
長かった山行も最終日。下山時は気が緩んで事故・怪我が発生しがち。気を引き締めて出発。本日の行程は距離の割にタフで数多いアップダウンがある。近くて遠いスゴ乗越と云われる所以だ。五色ヶ原を過ぎて、ザラ峠からの獅子岳はとくにキツイ。
夜が明けつつある時間帯にスゴノ頭で朝食休憩中、同時間に発った方と会う。翌日に剱岳アタックされるとのこと。ほぼ同ペースで浄土山まで御一緒させていただいた。山での出会いも一期一会。単独行となるとしみじみと実感できるものです。
無事に室堂へ下山し、みくりが池温泉へ直行!5日ぶりの風呂でキレイさっぱりして、湯あたりしたカラダを冷たい秋風でクールダウンさせながら帰路についた。
これまでは「山と高原地図」のCTを参照しながら、ガーミンGPS付属アプリ「BACECAMP」で距離と高低差を試算しての山行計画でした。今回はCTと距離を瞬時に計算してくれる「ヤマプラ」を使用。とても簡単で早くて楽チン!今回の山行計画ヤマプラでは距離67km・累積UP6584m/DN5569m。しかし…実際に歩いた距離と高低差のGPS数値と14%乖離しているではないか(ノ゜ο゜)ノ
この距離と高低差を最初から分かっていたら4泊プランにしなかったかもしれない。次回からは余裕ある行程を組みたい。天気と諸条件が良かったからこそ成し遂げられたロング山行。ひとつ大きな経験を積み重ねることができました。4泊5日ながら1週間分くらいの山行したような気分ですよ…。テント泊装備で此の行程はタフ過ぎました。5〜6泊が適正ですね。
※拙い長文レポを最後まで読んでいただきありがとうございましたm(_ _;)m
ロング山行おめでとうございます。
家庭なんてどうでもいいんです!
それはともかく、二日目悩ましいですね。
計画時いろいろ思案するのも楽しい時間ですね。
いやぁ〜…計画が悩ましかったっす。実際やってみると、なかなか進まない進まない(汁)詰め過ぎた計画は教訓になりました。下山日は久々に家族皆で晩餐、罪滅ぼしの家族サービスでしたちゃ
兄貴こんばんは
5日間お疲れ様でした。
東北で会った登山者の方はアルプスは混んでいるから、こちらにエスケープしてきたと言われる方が多くて、僕も同意見でしたが兄貴のレコを読ませて頂いて、こんなのもあるのだと感心致しました。
ただし、5日間でこのルートを廻るのも僕から言わせて頂くとやはり兄貴も「ヘンタイ」だと思います
富山県人として北アルプスを違う視点から見るには、とても理想的なルートですね。
僕も来年は、このルート厳しいので兄貴が昨年行かれた読売新道での「水晶&赤牛」にトライしてみたいと思いました。
みちのくひとり旅お疲れ様でした。好天に恵まれた激混み必至の銀色週間、マニアックな山は静かでしたね。
レッドブル狙いデスカ?色々なルートがあるから悩ましいですね。読売新道を登るか下るかドチラにするかで計画が変わってきます。
一日目:アルペンルート〜黒部平〜奥黒部ヒュッテ・二日目:読売新道登り〜赤牛岳、そこらでビバーク・三日目:水晶経由で高天原温泉でまったり・四日目:大東新道を経て折立へ下山。いかがでっしゃろ? このプランでしたら付き合いますぞ
好天に恵まれたロングトレイルお疲れ様でした!
厳しい?Mな?度々の山行はこの縦走のためにあったのですかー
山で日の出を4日連続で拝めるなんて、何て幸せ
濃厚で素敵なシーンを沢山見せてもらいました。
sinmyoさんの北ア地図、着々と塗りつぶされていきますね
それを見てニヤニヤしている顔を想像しちゃう
貴女さまらしいサブイ見出しですね(笑)
そこそこのトレーニング積んで北アルプス雲海へ大航海のはずが、二日目は無理した行程に後悔っすわ。よって、大航海ならぬ大後悔(爆)
北アルプス地図塗り潰しのラストは栂海新道下って海にドボン!にしたい。いつになるやら…
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