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そこで、かねて見たいと思いつつ見ていなかった「剱岳 点の記」(2009映画)のDVDを借りてきて見た。
明治時代にあのような大変な思いをして各地に三角点を配置し、日本中を測量した先人の苦労をいまさら痛感する。
そもそも、この山行で起点となった「立山温泉」。
ネットで調べて見ると、立山温泉は1969年の大雨でアクセス道が流されてしまい廃湯になってしまったのだそうで、現在は浴槽などの廃墟だけが残されているらしい。国土地理院地形図で見ると「泥鰌池(どじょういけ)」のすぐ南に未だに温泉マークが記されているのがそれらしい。
そこからだと現在の「立山有料道路」のあたりの尾根を越え、称名川の谷を渡って奥大日岳に向かったのだろうか。
地形図を見ると大日平山荘から大日岳の東側尾根、大日小屋のところに登山道が延びているがこの道なのか・・・。
映画では(史実かどうかわからない)、明治40年6/16に奥大日岳に三等三角点を設置。そこから尾根伝いに進んだのだろう、7/2には剱御前に到着している。
しかしその後のルートがわからないのだ。どこかの雪渓から剱に登ったらしいが。
で、WIKIPEDIAによれば、それは「長次郎谷雪渓ルート」からだと。
それだと一旦2800m級の尾根から東側の2000m地点あたりまで下りて登り返したことになるようだ。
結局測量隊が剱登頂を果たしたのは7/13であった。奥大日岳からでもほぼ一ヶ月の時間を要したわけだ。すさまじい。
映画では主人公の「柴崎芳太郎」はじめ5人で登頂したように描かれているが実際には7/13に登頂したのは「測量隊の測夫・生田信ら」であり、「7/28、柴崎らが登頂した。この登頂日は長らく不明とされていたが、2007年(平成19年)に「四等覘標高程手簿」が発見され、柴崎の登頂日が明らかになった。
このときの案内人は、地元在住の宇治長次郎で・・・」だという。
(以上WIKIPEDIA「剱岳」より)。
柴崎らが設置したのは映画のとおりで「四等三角点」。これは標石が不要で、剱岳には重い標石を担いで登ることが不可能だったからだ。
現在の剱岳の三角点は三等。これはずっと後世の2007年になってヘリコプターを使った資材輸送により設置され、GPS測量にて標高2,997.07mと求められたのだという。
(いま剱岳の標高とされる2999mはその後の最高点測量によるのだろう。)
しかし「このとき国土地理院により作成された「三等三角点「剱岳」点の記」では、選点日時を「明治40年7月13日」とし、選定者としては柴崎の名が記載された。」と。お役所にしてはなかなか粋な計らいをしたものだ。
(同上WIKIPEDIAより。)
思えばろくな機材のない古に一等標石なら90kg、二、三等標石でも65kgもあるそうだからそんなものを担ぎ上げて設置するのは筆舌に尽くせない苦労であったに違いない。
「地図を作る」という目標に情熱を燃やした人々に、月並みな表現だが「頭が下がる」のだった。
私も多くの方がされるように登頂の際に三角点があれば感謝の気持ちを持って指先タッチ写真を撮ります。
あの映画を見ると、本当に先人のご苦労に頭が下がりますね。
蛇足ですが、その先人のご苦労を知ってか知らずか、三角点に脚を掛けてのガッツポーズの写真には違和感を禁じ得ません。
コメントありがとうございました。
私もhide227様と同じ気持ちです。
まあ、ことさら三角点標石にタッチしたいという程ではなく、でも設置されているのであれば、一目は見ておきたいという程度ですが、さすがに標石に足を乗せたり腰を下ろしたりする気にはなりません。
最近では標石のてっぺんにICタグが貼り付けられているものも多い。そういうのを破損させても困ります。
それにもまして先人への尊敬の念、忘れたくないですね。
pasocomさんこんにちは。
私は小説は読んでおりませんが大分前に映画は見ました。
日本山岳会の小島烏水が軽く表現されておりますが、ある意味とてもうらやましい時代だったですね。日本に未踏峰の山があった訳ですから。でも、修験者がすでに登っていたということでは日本の宗教登山のすさまじい執念も思いました。
三角点は私も昔から好きでした。これは世界文化遺産にしてもいいぐらいですね。根もしっかり入っているし重い石をよくも運んだと感心するばかりです。
映画公開からすでに4年ですから、私が遅すぎですが(^^)。
日本山岳会との確執、映画では大きな題材になっていましたが、WIKIPEDIAによると「1909年(明治42年)7月24日 - 民間人による最初の登頂が石崎光瑤、河合良成、吉田孫四郎、野村義重によって成し遂げられた。」
とあり、映画での小島烏水らによる登頂(8/3シーン)はフィクションのようです。
ただ調べて見ると、この人、日本山岳会初代会長だそうで、また「ことに山梨の自然、芸術に関しては、1898(明治31)年、初めての甲州入り以後、多くの記文をのこし、「甲斐山岳の形態美」「山を讃する文」「白峰山脈の記」「不盡の高根」「広重の甲州日記に就て」などが記憶される。」という山梨に深い関係のある方でした。
(南アルプスNET)
http://www.minamialps-net.jp/data/article/197.html
修験者の話も「甲斐国志」などによれば金峰や鳳凰はすでに平安時代から信仰の対象として登山されてきたようで、剱山も同じであってもまったく納得のできることです。
なにかの本によれば西洋で登山が始まったのは近世になってからであり、日本の登山歴史はそういう観点から飛び抜けて古い歴史なのだとか。
そういう積み重ねの上に私たちの山行があるかと思うと実に感慨深いですね。
もう4年になるのですね。
家族揃って映画館で見ました。
剱岳行きたいなって思いましたが。
どうも機会がなくて未踏です。高いところ怖いので
三角点探索は
私の登山の重要アイテムです。
新田次郎の小説は事実検証され
大変細かく書かれているので
読んでおくと登山の楽しみ増える気がします。
富士山・槍ヶ岳・剱岳。。。
たびたびすみません。
小島烏水の名前は私が登山を始めた最初から本によく書かれておりましたが剱岳の登頂はpasocomさんの言われるように完全にフィクションのようですね。完全に調べた訳じゃないですが小説とは言え事実を曲げている点では残念な気がしました。忠臣蔵の吉良のような感じも受けます(私は吉良町在住者)。
そんなことを気に留める人は少ないかも知れませんが、ちょっと小島烏水が可愛そうな気もしますね。
https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&ldtl=1&dtltbs=1&mcmd=25&st=update&asc=desc&ndc1=786&ndc_lk=1&id=1000065816
それと、昔から登山ガイドは佐伯という芦峅寺出身の姓が多くて「佐伯」という姓を聞くとゾクっとしたものですが、長次郎は芦峅寺じゃなくて宇治という姓なので、そのあたりが劔の特殊性というか宗教登山と絡んで興味深いところに思います。
コメントありがとうございます。
やはりとっくに映画館でご覧になっていますね。
これ見ると誰しも、特に登山をする者ならば剱岳に行ってみたくなります。ただ剱は山梨からは遠く、また地元からでさえ日帰りというわけにはいかないのでしょうね。
地図を見ると現在では有料道路ができていたり、山小屋などもあちらこちらにあるようで、あの頃よりずっと手軽に登れることは確かなのでしょうが・・・。
新田次郎氏は諏訪の人のようですが、著作には富士山頂レーダー、武田信玄など山梨にも関係深い。
murren様へのコメレスで小島烏水が山梨にも関係あると書きましたが、新田氏も、山梨で山に登るからには押さえておかねばならない人ですね。
再度のコメントありがとうございます。
murren様のような登山ベテランの方には小島烏水というのは当然のように知られた人物だったのですね。
映画の最初の部分で小島ら山岳会との初登頂争いが描かれていたので、このままどっちが勝ったとかいうつまらない話になるのかと疑っていましたが、最後にはお互いの立場を理解し合って祝福し合うということでほっとしました。
この辺はフィクションであっても、小島らは吉良ほどの悪役(敵役)でもなく盛り上げる役所(やくどころ)として私には納得できる範囲でした。
ただ、こういう半ノンフィクションの話は、どこまで事実かという点ではなるべく史実に基づいて欲しいという気はします。そうしないとすべてがウソっぽくなってしまうように思うので。
「昔から登山ガイドは佐伯という芦峅寺出身の姓が多く」を聞いて想い出すのは「シェルパ」ですね。
本来はネパールの少数民族名だったのが山岳ガイドに丈けていたので一般名称になってしまったと。
日本でも立山あたりには同じような一族?がいたのですね。これまた勉強になりました。
こんにちは。
剱は登らずとも剱沢から眺めるだけでも何か感じるものがあります。当然、人によって違うとは思いますが。
あの岩と雪を纏った姿に神々しさを感じずにはいられませんでした。
近いうち、頂きを踏みます。
コメントありがとうございます。
北アルプス一帯はsirius様のホームグラウンドでしょうから、剱岳はあちらこちらから眺められているのでしょうね。
映画では主に南西側の尾根や南側剱御前の方からの姿だったと思いますが、それでも私にも感じさせるものがある神々しい山容でした。
地図で見ると例の立山・黒部アルペンルートからも見えそうですし、剱沢というと真東側からでしょうか。そちらからも良い形だと。どこから見てもそんななんてさすがの山ですね。
北アルプスもうかうかしているともう初雪の声が聞こえるのでしょうか。剱岳は「日本でもっとも危険な山」だそうですから、なにとぞお気をつけてお出かけ下さい。
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