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http://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-380170.html
「う〜む。日本で一番ですと?」なんだか気になってしまう私だった。
「日本で一番高い」と豪語する割りには標識には標高が出ていないようだ。そこで地形図で調べると標高2580mほどらしい。金峰山山頂(2599m)と同じくらいだ。確かに高いね。
でも、峠なんて探せばいくらでもありそう。と調査してみることにした。しかし闇雲に地形図を当たるってのも非効率そうだ。
そこでまず、WIKIPEDIAで「日本の峠一覧」というのを見る。ここですでにつまづいてしまった。
この一覧の中には「乗越=のっこし」と呼ばれるポイントが数多くリストアップされている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E5%B3%A0%E4%B8%80%E8%A6%A7
なるほど「乗越」は「乗り越える」だから峠と同じ意味なのだろう。北アルプスでよく見かける地名だ。
だが、だとすると「常念乗越」なんてのも峠?。あそこも標高2500m近くある。こりゃいくらなんでも違うだろう、と言うことで、とりあえず地名に「峠」が付くものに限定することにした。
次に「標高の高い峠」で検索すると出てくるのは「大弛(おおだるみ)峠」など。どうも「峠」というのはやはり登山で通るものではなく、「尾根の向こう側に行く」ために通る場所、というイメージが強いらしい。そのため車か少なくとも自転車で通れるようなのが「峠」と認識されているようだ。
脱線するようだが、車で行ける峠の中で標高が高いのは
1)大弛峠[山梨−長野] 標高2360m
2)渋峠[長野−群馬] 標高2172m
3)麦草峠[長野] 標高2120m
4)金精峠[群馬−栃木] 標高2024m
というところらしい。大弛峠は一般道だが、他は国道が通っていて「国道で行ける高い峠ベストスリー」になるようだ。
調べているうちに「日本三大峠」というものがあるらしいこともわかってきた。
それは
・針ノ木峠(はりのきとうげ)2541m/北アルプス
・三伏峠(さんぷくとうげ) 2580m/南アルプス
・雁坂峠(かりさかとうげ) 2082m/奥秩父
だそうだ。
また三伏峠ではなく、夏沢峠(2392m/八ヶ岳)を入れることもあるとのこと。
この中で雁坂峠はダントツで標高が低いが、そこはただ標高の問題ではなく、越える難度とかも含むのだろう。
地元民でもあり、雁坂峠が大きな峠とは知ってはいたが、夏沢峠など知らずに歩いていた(^^)。
好日山荘のブログに次のようなものがあり、「乗越」まで含めると「飛騨乗越 /3020m」がもっとも標高が高い峠ということにもなるようだが、やはり「峠」という地名ではないし登山者しか歩けない道でもあるから、これは除外していいと思う。
http://column.kojitusanso.jp/ksguide/2010/10/post-72.html
また私の地元の山梨では早川尾根周辺に
・仙水峠 2264m
・白鳳峠 2458m
・広河原峠 2344m
などという峠が点在しているが、いずれも三伏峠には及ばず。
こうして様々な観点から調べてみるとやはり三伏峠が「日本で最高所の峠」であることは間違いなさそうだ。
であれば標識の「日本一高いと言われる」の「と言われる」は堂々と外してもらってよさそうだね。
峠というとやはり上に書いたように尾根越えして別の土地に向かうというイメージが強い。だから「峠越え」にはいまでもなんとなく哀愁を感じる響きがある。
三伏峠は伊那谷から反対側の大井川源流域に越える峠のようだ。地図を見る限り、こんな所を越えてどこへ?という場所。それでも昔の人々がそこを通ったからこそ「峠」と名付けられたのだろう。
「峠」の地名にそこを歩いた人々の労苦が忍ばれる。
こんちわ
飛騨乗越しか知らない(^^;
峠って、コルに向かって道があってそれを上がったところが「峠」で、その道が向こうに下ることが、条件じゃないのかなぁ・・
まさしく「字」のごとくですね。山の上、下
その意味では、飛騨は乗越しであって「峠」じゃないではないでしょうね・・
でわでわ
こんにちは。
「峠」という漢字は日本で作られた国字って聞いたことがあります。
どっちにせよ、世界にはとんでもない高さの峠がありますが、やっぱり人が往来するのに必要な場所だったんでしょうね。
私の近くには「峠」という名前が付いていますが、そこに登っていく道と下っていく道が廃道になってしまい、そのコルに下り登りする道しか残っていない場所がありますが、「峠」と呼ばれています。
私自身は北アルプスは全く知らないのですが、地図で見ると「飛騨乗越」は西側の飛騨沢から登って稜線を越え東側の槍沢に降りるルートの峠に見えます。
(稜線を少しだけ歩きますが・・・)
峠に関するサイトをいくつか見ると、そもそも峠の場所というのは時間(歴史)とともに移動しているらしく、雁坂峠なども昔は2080mの峠だったけど今は2050mしかない所を通過しているのだとか。
飛騨乗越も以前はちゃんと稜線を乗り越えた道だったのかもしれません。
また、山梨県内の例としてあげた「白鳳峠」や「広河原峠」も稜線を乗り越える峠ではなく、単に稜線鞍部に過ぎません。それはご指摘のとおり、正確な意味では「峠」ではないように思えます。
他にも北アルプスには乗越という場所がいくつもありますが、今現在の地図からは「峠」ではないと思われる場所も多々あるようです。
もともと地名についてはそれほど厳密に規定することには意味がなく長い歴史の中で受け継がれたり変化したりしてきたものでしょう。
これは「山」も同じなのですが、結局地名に込められた歴史に敬意を表すれば、「三伏峠」を日本一と称して良いだろうと言うのが私の結論なのでした。
地図を眺めると峠という場所は稜線を越える凸部でありながら、また稜線の鞍部である場所が多いですね。
稜線には登山道があることが多く、鞍部としては峠越えの道ができるので、「峠」は道の十字路であるものが多いように感じました。
するとmurren様の近くの峠のように稜線越えの道がなくなって、実質「峠」でなくなり、単に稜線鞍部になった場所でも「峠」という地名だけが残るってこともおきるのでしょうね。
だから地名というのは面白い。一種の「歴史のタイムカプセル」なんだと思います。
今回調べていたら、世界で一番高い峠も見つかりましたがチベットあたりからインドの方へ向かうところ、標高5000m超です。
こういうスケールは想像を絶しますが、これもシルクロードなどで人が交易を行った歴史があるから峠と言うことになったのでしょうね。
「峠」を英語で言うと単に「pass」らしい。そこにはこういう人の交流みたいな概念はなく、単純に「通り道」ということに過ぎないようです。
こういうことにも日本人の「峠」に対する情感が込められているように感じるのでした。
こんばんはpasocomさん
えっ!地元なのに雁坂峠行ってないんですね、西沢渓谷といい意外な感じがします(笑)
雁坂峠は日本三大峠のひとつでしたねー。雁坂峠だけはワタクシ行った事あります
日本三大峠は江戸時代辺り普通に通っていた峠、と言う感じがします。いずれ残りの二つの峠も線をつないで行ってみたいところですね!
「気になる」とのコメントから早速の日記!
マメですなあ〜。
「と言われる」と付けたのは、飛騨乗越など名前に峠はつかなくても三伏より標高の高い峠的場所を意識して断言するのを避けたのかなあと想像。
paso様的仕分けによると三伏峠は日本一高いと断言してよいとのことで、伊那谷民としては安心しました!
「峠」以前から気になっていて、峠歩きは歴史が感じられ、なかなか面白いです。
箱根峠は江戸時代の道がそのまま残っていたり、小仏峠を歩いた時も昔は関所が峠にあったという発見とか。
日本百名峠の本(井出孫六)より
東北の峠には、一揆と飢餓の歴史が刻まれ
関東の峠には、民権の雄叫びが聞こえる
甲信越の峠には、工女たちの溜息がもれる
関西の峠には、遣隋使の足跡があり
日本海側の峠には、塩や魚を背にしたポッカたちの足音も聞こえる
中国山地には、タタラと木地師の汗が流れ
九州の峠には、唐物洋物の運ばれた南蛮の香りが残っていた
日本三大峠、あらためて歩いて見たくなりました。
さすが、雁坂峠が日本三大峠とご存じでしたか。
雁坂嶺にトンネル(雁坂トンネル)ができたのは「ついこの間」みたいなものですね。昔地図を見ていると国道140号線は三富でちょんぎれ。反対側も秩父までで終わっていた。
「てことは、いずれこの山越えて一本にするつもりなのか?」とずっと思っていました。でもなかなかトンネルは完成せず。それまで埼玉は隣接県でありながら直接行くことができない県でしたね。
そこを昔の人たちはどんどんと越えて歩いていたのでしょうか。雁坂峠には雁坂小屋という山小屋もあるようで、これは昔の「峠の茶屋」の名残りなのか?
歴史好きとしては歩いてみたいルートですが、日帰りには厳しそうなコース。それに反対側に行った後戻る手立ても考えないと(^^)。とハードル高いのでした。
またyokowv様のレコをネタに書いてしまいました。
コメント入れた後下調べ程度のつもりでWIKIを開いたら、膨大な「峠」が一覧で出てきて驚き。地図でなめるように探すのか?と考えていたのが却ってそんなことできないと、あっさり断念したのが良かったようです。
yokowv様がおっしゃるように「乗越」というのをどう考えるか、などを考慮して控えめに「と言われる」を入れたのでしょうね。
それにしてもそんな標高の所に峠があるのが意外に南アルプスだったというのが驚きでした。
やはり南アルプスは懐深いなあ、とあらためて感じましたね。
おや!「日本百名峠」ってのがあるんですか?
ということは「全百名峠踏破!」なんて目指す「峠フリーク」もいるのか?
私も本文に「峠越えという言葉には哀愁が感じられ・・・」などと書きました。あのとき、頭には「天城越え」が響いていたのでしたが(^^)、一方歴史的にも峠には関所があったりで、調べると興味尽きない。現代人をも引きつける魅力がありますね。
現在、峠と呼ばれるような場所にはたいていトンネルが掘られてしまい、私の地元でも小仏どころか笹子峠さえ歩いたこともない。かろうじて昔の御坂峠を歩いたことがあるくらいです。数分で山を抜けてしまうようになると「峠の香り」など味わうこともなくなってしまいます。便利になってそう言うものが失われてしまうのは残念ですね。
私もなんだか峠歩きしてみたくなりました。
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