![]() |
A.I.・・・ artificial Intelligence 人工知能
B.I. ・・・basic income国民全員に最低限の生活費を一律給付する制度
蒸気機関、内燃機関、コンピューターが革命的に経済を変えてきたように、2030年には人工知能が全人類の知能を超える時代が来ると予測され(技術的特異点・シンギュラリティーと言います)その時代の経済活動を論じています。
著者によれば、人工知能がどれだけ人の知能を超えても、「生命の壁」を超える訳ではないとしています。しかし、現在の労働のほとんどは人工知能に代替されるので、人は労働をする必要がない社会になり、制度改革がなければ、労働者でさえない、資本を持たざる者は生きていくことができなくなると言います。
古くから提唱されているB.I.という制度によって、労働せずに暮らせる社会が訪れた時、人が本当に頼りにするものは、今の社会で価値の中心とされている「役に立つもの」ではなくなるというケインズの予言をあとがきで引用していました。
「われわれはもう一度手段より目的を高く評価し、効用よりも善を選ぶことになる。われわれはこの時間、この一日の高潔でじょうずな過ごし方を教示してくれることができる人、物事のなかに直接のよろこびを見出すことができる人、汗して働くことも紡ぐこともしない野の百合のような人を、尊敬するようになる。」
これってまさに世間から「なぜ山に登るのか」と問われ続けてきたアルピニストのことだよな、と思いました。
歴史物、過去の書物ばかり読んでいたので、近未来の本は新鮮に感じました。昨日は奈良、平安、鎌倉の人の常識が今といかに違っていたかの本を読んでいたので、近未来の「労働」「有用性」の価値転換、分かる気がします。
著者はシンギュラリティの若き専門家です。
人工知能と経済の未来
2030年雇用大崩壊 井上智洋(文春文庫2016.7)
おはようございます。面白そうですね、働かない社会,配給の社会?社会主義とも、違うんでしょうか?
今の行き過ぎた、経済活動、考えさせられます
「歴史のくずかご」行きになってしまったソ連型社会主義との違いについても207pにわかりやすく書いてありました。ソ連の集約的な経済では、異なる個々の現場に対応できない点が弱点です。
B.I.の社会は、完全機械化経済だから今より多くの富を産むとはいえ、富裕層の富を多少目減りさせて持たざる人の生活費を持つことになるから、どれだけ穏やかに体制移行ができるか、そして穏やかに行わなければそもそも悲劇的な社会になるだろうと思います。しかし、「労働」は無くなってしまうのだから、その制約の中で多くの人が幸せになる社会を探すしかないのです。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する