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60年安保と68年全共闘の違い、2011年反原発デモの歴史的、世界情勢的背景がわかりやすく、今まで混同していたことがすっとわかりました。
投票やロビイングではなくデモに参加することの政治行動の意義もようやくわかりました。代表者が、我々の代表である、と思えるようになるための手続き、行為を踏まなければ政治家が我々の代表者であるという実感は持てません。古代ギリシアの直接民主制や現代スイスの直接民主制の実態を読んで初めて、そういうものか、と思った。
日本の国会中継の討論が聞くに耐えられないのは、相手に対する敬意がなく、互いに相手を中傷したり、質問に対し答えず堂々と話をずらしたりしているから。それでは討論を尽くした、という実感が得られません。
社会を変えるには、無理に変えるのではなく、変わり目に沿って変えていくものなのだ、ということか。社会の民意の変化には節目があり、それを読めなければ結局は無理なものかもしれない。後期工業化社会が終わってしまったこれからの時代です。関係性、相対性、再帰性がキーワードでした。政治思想史と物理学がこんなにリンクしているとは、この本を読まなければ知り得ないことでした。おすすめです。
以下引用p368〜〜〜〜
「私は社会と関係ありません」とか「私が動いても社会は変わらない」というのは、悲観でも楽観でもなく、単に不可能です。自分が存在して、歩いたり働いたり話したりすれば、関係に影響をおよぼし、社会を変えてしまいます。政治に無関心な人、不満があっても動こうとしない人が増えれば、確実に社会を変えます。自分が望む方向に変えるようにするか、自分が望まない方向に変えてしまう行動をとり続けるかの違いです。
小熊英二
講談社現代新書2012.8
https://elk.bookmeter.com/books/5242118
深いね
yoneyamaさん
読んでみようかな・・・・という書評でした。
この手の話には疎いのですが、読む必要性を感じました。
ありがとうございます。
ぼくもわりと疎いのです。疎いくらいの人にちょうどよく基本から整理できますよ。殆どの人は現実的な政治的活動というものにネガな見方か避けて通るかだけど、その事自体に何故なのだろうかと思うだけの好奇心があれば、面白く読めると思います。
小熊英二さん、現代史も自分で体験し、確かめながら、足もとをしっかり築いて、発言されている方ですね。シベリア抑留でお父上らが深刻な体験をしたことにも、この研究方法で、家族の単位からも、史実をつかみ出している。一昨年に、私の仕事場にひょっこり来られました。この人は、ものを考えるときに、また新しい動きをとらえるときに、自分の体験で現場をしっかりつかんでいる方だと思います。
ほぼ同年代で読み応えある本をゆっくり出している興味深い著者です。今回読んだ本では、著者の読書量の多さも感じることになりました。古典や分かり易くもない本を、わかりやすく整理してくれていました。
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