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僕は、全く読めません。初めは誰かがとり組んでいるのを教えて回っている人にくっついて、横で聞いて歩きます。1時間くらいして、「これ幼稚園級だから読んでご覧なさいよ」と頂いた短いやつが、金15両の借金の証文書き「借用仕金子古又(しゃくようつかまつりきんすのこと)」でした。これが、よく時代劇で出るアレか!とにかくたくさんあるので、形式も似ていて、入門編としては最適なんです。(写真左)
え〜と、利息は1割2分。12月までにはきっと返します、か。川西屋惣吉さん、辛いだろうなあ。元利急当御返済可仕候(がんりきっとごへんさいつかまつるべくそうろう)です。この「候」がとにかく多いもんで、読めないほど簡単な記号になっていること、漢文よろしく「可(べく)」や「被(せられ)」が返り点になっていることなど学びました。
会長さん初め90代のご老人が多数。「30年も読んでいるのに読めないところはまだ読めない」「昔の人はこれでやり取りしていたっていうのに、なんでこれだけ便利な社会なのにそれが読めないのか、忌々しい!」「横田先生がフスマの下張りなんかから発掘したもので、どの古文書も二枚とて同じものはないものです」「どこにも回答なんかないです」「印刷したものではなく、生の古文書をたくさん読み込むのが一番です」「自分の頭をコンピュータにするしかない、同じ形の字を探して、前後の言葉で推測する、ジグソウパズルに似ているところもある」と奥深い話ばかり。
崩した漢字の用例集の辞書もある。もう縦書きのアラビア文字かモンゴル文字かというほどほとんど判別不可能です。いろんな外国文字を学ぶのは昔から好きですが、崩した漢字は1対1対応ではなく、しかももちろん活字じゃないから判別はデジタル的には行きません。あたり前だけどオール手書きの世界って今からはかなり想像できないくらい読解力が要るのです。そのうちA.I.がやってのけるかもしれませんが、この頭の体操的読解パズルの楽しみを奪われるのももったいないかも。いや、失った後には、喜びそのものさえ想像してくれる人はいないでしょう。地図読みとGPSみたいに。
立派な武士の公式文書ばかりではなく、むしろ松本の商家のビジネスのやり取り書が中心です。しかし笑えるのもありました。宿場の飯盛り女たちや駕篭かき連中の「心得違」や「不調法」をお役人に訴える「乍恐書付以奉願上候(おそれながらかきつけもってねがいあげたてまつりそうろう)」というのの読解を教わりました。(写真右)
「古文書は間口が広くて奥行きが広い、一生やめる気はないよ」と90歳たちは笑っていました。
とにかく市内の近所の地名が出てくる、憶えた元号が出てくる、知っている松本の商家の名前がバンバン出てくる。この地元感がなんつってもたまりません。
こんな世界があったのかあ!記念すべき一日であった。
もう定年退職後もやること一杯ですね、適性もありそうやし。こうなったら早期退職すべきでは!
でも山にも御一緒下さい。
ノー収入でやりたいことはいくらでもあるね。まあ、まだノー収入ってわけにもいかないよね。一人暮らしなら自由だけどさ。
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