サワっちょがカムチャツカの山で死んだと連絡があった。北大の少し後輩、山岳部と探検部の仲。時々山で偶然会った。3年ほど前、僕は登山初心者向けの本を書いた。山岳部で身につけたテクニックが主なネタの、山岳部員なら誰でも書けそうな本だ。山に登る人の殆どが山岳部出身者だったのは大昔の話になってしまった。サワっちょは岳人に長いこと連載で、やはり探検部的山登り技術のコラムを書いていた。本州ではけっこうアウェイな気持ちになる、北海道登山愛好家育ちの野蛮な山登り術の数々。山岳部やワンゲルや、探検部員なら知っているテクのあれこれ。僕の本と、サワっちょの本は半年違いくらいで出版されたのだけど、その内容のかぶり方にすごく驚いた。同じ育ちで身につけた山登りなんだから、そりゃそうか、と納得した。
山でのトイレを考える時明らかになる、公園ではなく山を登るとはどういうことか、という認識が共通だった。これは北海道で山登り育ちした者にとっての基盤だと思う。
サワっちょはチーム84を経て中央登山界で名を知られ、今や日山協の役員(だったかな)まで背負い、その人柄で誰からも愛された。記憶の中でもいつでも微笑んでいる。最後にあったのは、遠見尾根でイグルー講習会していた時、ガイドで登ってきてばったり会った。イグルーなんかやっているから米さんだと思った、だって。ニコニコしていた。サワっちょが高田馬場のカモシカにいた時買ったオーバーズボン、ビリビリのボロボロのかぎ裂きを毎度縫って使っている。もう捨てようかと思っていたのだが、捨てられなくなった。
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