たまった録画を見る（ガ島、インパール、ノモンハン）

計画していた長期沢山行が諸事情で中止になり、そのうち二日間は妻娘が東京生家へ出かけて留守。僕の方は近所の実家高齢父母と食事したりして過ごすが、晩は帰宅して超久しぶりに猫と二人の夜。

台風接近で気温も下がっているし、家族もいないので冷房使わず網戸で夜風だ。3日ほど前、大家さんが突然冷房を取り付けてくれたのには、日中家にいることもある妻は助かったと言っている。松本も最近は冷房設置住宅が標準になってきたみたい。猫が一番助かったと言っている。

何もする予定がない自由を満喫。と、思うのだが、ついネットの読書メーターで、面白そうな人の書評沼にハマってダラダラと2時間も書評ハシゴしてしまった。

いつもはまとまった時間が無いからと録画して見ずにたまっているTV番組を見ることにした。Nスペのガダルカナル、随分前のインパール、BS戦艦大和の再放送、あちこちのすずさんなど。新しい資料はどんどん出てくる。もはや遠い歴史だから？

ガ島で全滅の一木清直大佐の長女90歳が初めてインタビューで答えていた。1万5千人が死んだガ島で最初に全滅した900人の指揮官一木隊長は、死後、構造的な失敗の責任を現場の責任として負わされた。言葉は少なくても、その後の長い人生の苦悩は察してもやりきれない。100歳近い元生存兵も、ただ泣くばかり。戦争とは、生涯口にすることもできない体験をすることなのだ。
https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20190811

インパールもようやく見た。史上最悪の無謀な作戦、牟田口中将の孫が初めて取材に応じた。牟田口中将は戦後20年経っても、無謀な作戦だったことを認めることができなかった。3万人も無駄死にさせた作戦は、時の政権（陸軍参謀本部）の気に入る作戦を彼が仕事熱心に立案し、兵站専門家が無理だというのを恫喝して強行したもの。中将の側近で「5000人も（日本兵を）殺せば陣地が取れる」という会話を日記に記録し、最後は置き去りにされた齋藤友圀少尉（当時23歳）が最後の最後に出てきて、驚いた。そしてそのインタビューも。73年も前のことなのに声が詰まった。司令官は、兵の命のことなんかなんとも思っていなかったと。
取材も、構成も、編集も、力作だと思った。
https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20170815

ノモンハンも見た。参謀本部の辻政信が、まっとうな助言を尽く退け、敵をなめきり兵の命を弾のような程度にしか思っていなかった。ノモンハンの空撮映像を始めてみた、ナスカの地上絵のような、数万はあろうかという塹壕が今も残っていて驚いた。辻政信の次男が初めてインタに出ていたのも驚いた。副題は「責任なき戦い」、ふさわしいタイトルだった。無謀な作戦の大敗の責任を押し付け自殺させた井置中佐の死に対し、参謀本部も、関東軍司令部も、誰も「知らない」と、人のせいにしていた最後は圧巻。よくあれだけの音声記録を集めたものだ。
https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20180815

3つとも新発見のフィルムや文書、これまで取材に応じられなかった人たちの証言が多数。アメリカ、イギリス、ソ連を相手にそれぞれ尽く無謀な作戦三連発だった。これは軍隊と言えるほどのクオリティではない。戦前の日本が、他にはなくてこれさえ磨けば強くなると信じていた大和魂こそが、敗因だったのだった。

戦争につながる日常とはなにか？常に持つべきは、異なる意見の人に対する寛容さ（その人の知性に対する敬意）と、日常の中の差別的なもの、暴力的なものに対する丁寧な警戒感だと思う。耳の痛い批判を受けたときの、その態度が重要ではないだろうか。この問題は、いまこのときも、世界に溢れかえっている。
日本のひどい負けっぷりは歴史遺産である。忘れたり、知らなかったりでは遺産の持ち腐れだと思う。

録って見てない機動戦士ガンダムオリジンも見る。40年前、中学生だった時の懐かしい面々の、ストーリー開始前の物語だが、モビルスーツの動きなどアニメ技術はもちろん21世紀的だ。連邦軍やジオン軍の高官、政治家、門番に至るまで、みんな白目が大きくて顔がコワい。1979年の作品では、こんなコワい人たちもどこかよその世界と思って見ていたっけ。セイラさんやフラウ・ボウの可愛らしさは進化している。アニメ技術の進化は女の子の仕草に最も現れている。

コメント

matsuko

RE: たまった録画を見る（ガ島、インパール、ノモンハン）
こんにちは。
昨年、インパールを視聴しました。
録画しておらず、今年こそはと思ってましたが、またもや見逃し…😱

齋藤少尉が、(私たちは)そういった存在だった…と語ったあのインタビューが、忘れられません。
毎年、放送するべき力作と思います。

長いスパンでじっくり作る番組については、やはりNHKは良いですね。

イグルスキー米山

マツコさん
三連発で見ましたけど、どれも質が高いというか、録音、資料、インタの物証で固め、何度も作り直して練っていたのがわかりました。特にインパールは力作だったと思います。出演者、もう今年は生きているかどうか。今は正に瀬戸際の時代なんです。戦争は、忘れた頃にやってくるから。

matsuko

Re: マツコさん
今すぐにも消えそうなものを拾い上げ、形にする。どれだけの手間がかかることか！

記録にならなければ、形にしなければ、全てが無かったことになります。本当の瀬戸際ですね。