いま70才前後の人と、昨日今日、現実で会い、TVで見て、ラジオトークを聞いた。私には15才ほど上の世代で、これまでなにかと人生の影響を受けてきた年齢差の世代である。大学の研究室、山の道、好きなミュージシャンや、芸術の世界、仕事などでも。こちらが多感な修行中に、ちょうど相手が活躍している世代差だからか。
彼らの幼年期には、戦後の混沌がまだ残り、今とはまた違った生存の危機があった。青年期、 長く続いた伝統や政治や父権に 反旗を翻し、既存の価値を壊し罵倒し、それ故その子世代からも家長として扱われず、多様な父を演ぜざるを得なかった初めての世代。「やさしさ」のようなものが自助努力のみだった長い昭和期など。だが、底抜けの明るさも持ち味だ。青年期に自由の果実を手にしたせいだろうか。
常に一歩先行く先輩として何につけ背中を見せてくれる世代だ。
2020年の今、彼らが見せてくれるのは、どう老いるか。介護老人一歩手前。主体的に活動できる 最期の時期としての70才代をかく生きるという人々を、近頃たまたまよく目にする。いや気になるから目につくのか。
正月の楽しみ。撮りためたETV特集を見る。
12/21放送の
「日々、われらの日々〜鉛筆画家 木下晋 妻を描く〜」
https://www4.nhk.or.jp/etv21c/x/2019-12-21/31/30486/2259685/
病み衰えて死にゆく女房を介護しながらそのすがたを鉛筆で絵描き続ける画家のドキュメンタリー。女としては最も醜いすがたを写実的に描かれたくはないだろうに。そんなことばももらすけれど、この画家の妻の宿命なんだから、と覚悟を決める奥様。この画家の才能に惚れた時の言葉もある。
優しい言葉など少なめに、甲斐甲斐しく介護はするけれど、「これは”生きる執念”を描く大チャンスなんだ」と本音を隠さない画家。生っちょろくないんだけど、これを愛と呼ぶのも可能かもしれない。
70歳くらいの世代。彼らの生きた時代背景をあれこれ総動員しながら見る。
絵の気迫が、文句無く凄い。
●もう一本は12/14放送の
ETV特集「ある特攻隊員の死〜祖母とたどる兄の最期〜」
https://www4.nhk.or.jp/etv21c/x/2019-12-14/31/25067/2259678/
が、ドキュメンタリーとして良かった。若いPDが、ある特攻隊員の最後と、その家族の残した言葉や、一緒に過ごした人たちを訪ねて調べて、どんどん知られていなかったことがわかっていく。その展開も、人々の言葉もすごく良い。「死を前に家族に言いたいことはたくさんあったけど、それを言葉にしてはいけない時代だった。そのことを汲み取って欲しい」という特攻生き残りさんの言葉がよかった。
74年前のことだけど、調べればまだいろいろなことが分かる。予科練同期生に手紙を500枚書いたのは凄い。諦めてはいけない。
明けましておめでとうございます。
「日々、われらの日々」、見ました。
芸能で身を立てる方、連れ添う方、それぞれの激しさを感じました。
日常生活の中に激しさが同居することは、私にとっては、想像もつかず…。この激しさ(覚悟?)があるから、絵は美しく激しく、また人を惹き付けてやまないのでしょうか。
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