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これが、ものすごく立派なまっすぐな竹のストックで、表面は褐色に磨かれたものだった。リングも竹。繋ぎの素材はすべて皮革。グリップも皮革製。美しすぎるストックだった。長いのだが、途中を持てばよい。リングは直径12センチはあろうか。今のよくあるやつの倍だ。ラッセルにはこれが頼もしい。大体、山スキーするのに、滑降の時間はせいぜい1時間未満、登りは5時間とかだ。装備は登り機能を念頭に設計されるべきであると思う。
私が学生だった1980年代にはまだ札幌秀岳荘で竹のストックを売っていて、新人の半分くらいはこれを愛用していた。2000圓ほどだったか。リングをつなぐ皮の部分が、メンテ不足で千切れてしまい、針金なんかで適当に治して使っていたが、愛が足りなかったと思う。若いうちだったし道具を愛するという傾向ではなかった。登山装備は消耗品で服も何も、修理もいい加減だった。90年代になって縮むストックが便利に思われ、私の竹製は倉庫入りしてさらに数十年が過ぎた。
昨年山の帰りにバス停で慌てて20年ほど使ったストックを置き忘れ、失くした。翌週捜し歩いたが見つからなかった。家にあった古い35年前の竹製(リングが欠けていた)を治そうと思いなおして、秀岳荘に電話すると、竹ストックのリングのスペアなんてもう20年も前に扱いをやめています、とのこと。それもそうだよ。ストックもスキーも流行りでどんどん変わる。でも、ほぼ固まってきた自分のやり方に必要なのは、丈夫でリングが大きいのがいい。
ふと、長万部の登山愛好家と、あの美しいストックのことを思い出した。当時も結構なお歳だった気がして、もしやもう引退して使わずに置いてあるなら、あの美しいストックを使わせてもらいたいと思い立ち、10年以上のゴブサタなのに電話をかけて見た。かなり厚かましいのだけど、あのストックを引き受けて、昔みたいな山登りをできるなら僕しかいない、とまで思った。
電話が通じて一通りの近況を話して、そのことを問いかけてみると「先週も登りましたよ。あのストックはまだ現役です」とのお返事をもらい、非常にうれしかった。道具は使われてこそ甲斐あるもので、あの年代物が今も活躍していてうれしかった。
うちにある普及版竹ストックの半壊の準年代物を、なんとか再生できないか。リングは竹材店で探すか、いやいやどこかヤブのクマザサを刈って来て曲げて作ろうか。いや、記憶をたどるとあれは確か籐だった。今度からは皮革に油を忘れまい。
しかしまだ、修理の目処立たず。とりあえずはうちにもう一本ある80年代の少し曲がった金属製のやつでこの冬はしのぎます。これはこれでかなりレトロバック。
写真:
ボロいストックは35年モノの放置ストック
山頂で持っているのが、そのとき借りた美しい竹のストック
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-21183.html
私が小学生の頃使ってた竹ストックとはレベルが違いますね!
もし土蔵から40年以上前の竹ストック出て来たら部品取りに差し上げます
部品取りじゃなくてそのまま使います。魔法の土蔵。一度拝見したいですね。
今の金属製品より味がありますね
そうですよね。やっぱり革の消耗は激しいんですが。私は電車入山も多いので、ジロジロ見られるのもおもしろいですね。
懐かしいです!
「前職」(笑)で毎冬使っていました。
30年ほど前でした。
個人所有ではなく「団体所有」でしたので
メンテの行き届いていないストックに当たると
バスケットが行動中に吹っ飛んで難儀した記憶。
たしかすっ転んでいた写真が有ったなぁ。
日記にしてみようかな…(笑)
前職は、マタギ組合?
装備は個人持ちにしないと愛が芽生えないかも。
ちらちらありますね〜 例えば
https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/n426600539
おお、今夜決戦じゃないですか。と、慌てて参加してはいけないか。
見たところ修理もいりますね。この、革パーツを自分で作れるといいんですよねえ。
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