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実社会の悶々と、「道を外れた」登山を身を以て知るというショックとの構成で、主人公の典型的な疑問や印象的な葛藤のことばも描かれる。
私はこの両者の対比でいえば完全に「バリ山行家」なので、メガさん同様、芥川賞なんかで目立っちゃってやや困惑、放っといてください。という感じです。地下足袋でホムセンの安い上着です。
ヤマレコだってヤマップだって多分大多数は、非「バリ山行家」であろう。同じ「山が好き」同士と言っても、全然見ている山が違うのです。
単行本ではなく、月刊文藝春秋芥川特集号で読んだので、作者の言葉とか、選考者の評もついていて面白かった。作者は山にも登るようだけど、これまでの作品のテーマは山ばかりではなく、ただ、体を使ってわかる何かが一貫しているようにも思えます。「純文学」の題材としてのバリ山行が今回のテーマ。日常の中の、ふとした事件の中に何かを見出す、でも答えは読者各々でどうぞ・・・、というまさに純文学だった。中学生でドストイェフスキーを読んで以来の小説作家とのこと。その軌跡やかけて来た情熱がまたよい。
主人公とメガさん以外の登場人物が全て登山家の姓だったので、作者は山の歴史も記録も愛読する人のようです。おかげで人相が浮かび上がりました。松浦、藤木、槇、谷口、花谷、服部、植村、難波、栗木、新田、板倉、森田にアーヴィン。こうなると山田さん佐藤さんもただの人じゃないよね。書いていて楽しそう。メガさんが「ヤマップじゃなくてヤマレコ」だったところもぐっと来ました。
もう一件の「サンショウウオの四十九日」も読めて、芥川賞掲載号はオトクです。こっちはなかなか非日常的設定の純文学。作者のインタビューがらじるで聴けて、こちらも面白く読みました。
こんばんは。「バリ山行」は未読ですが、山田姓の登山家といえば山田昇さん(群馬県)が思い浮かびます。ヤマダ電機の会長と同姓同名でややこしいのですが、以後お見知りおき下さい。
今は「上州武尊山スカイビュートレイル」と名称が変わりましたが、かつて「山田昇杯」という山岳レースもありました。
山田昇の名はそんな名前になっちゃったんだ。姓名自体が山登り向きなのに残念ですね。
「バリ山行」を読んでいた時期に、吉村昭の「高熱隧道」→「熊撃ち」を読んでいて、
実は、こちらの方がハマってました。
どきどきしながら、あっと言う間に読み終えました。
「バリ山行」は、あれ?ってスルーした感じでした。
同時に読むには吉村昭は強敵ですね。フィクション本は読む側の状況やコンディションが大きいですね。結局読んだひとがどれだけ反芻して膨らませられるかや、作者がどれだけ読者にそれを自動的にさせられるかというものかもしれない。
構成や展開はちゃんとできているまともな短編なので、それぞれの立場で面白がればよい。私達の立ち位置は、おもしろがるにはやや微妙という感じです。
まず、私の場合は登山道登山家の目線作品は、文学に限らず映画もドラマもあまり見ないです。いやいや、新田次郎の登山道外登山の話さえ全然読んでないですから。
でも面白がらなくても良いわけで、読後に時々、思い返させ、考察させるようなエネルギーはあり、それは良い作品ってことなんじゃないかな。
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