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Yamareco

記録ID: 147984
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
槍・穂高・乗鞍

槍穂縦走(槍沢から前穂へ)

1999年08月26日(木) 〜 1999年08月29日(日)
 - 拍手
motch その他1人
GPS
56:00
距離
35.4km
登り
2,908m
下り
2,900m

コースタイム

8/26 雨 上高地→明神→徳沢→横尾→槍沢ロッヂ→ババ平→大曲先→ババ平TS1
8/27 曇のち雨 TS1→大曲→槍ヶ岳山荘TS2
8/28 晴 TS2→大喰岳→中岳→南岳→南岳小屋→大キレット→北穂→涸沢岳→穂高岳山荘TS3
8/29 雨のち曇 TS3→奥穂→紀美子平⇔前穂→岳沢→上高地
天候 8/26 雨
8/27 曇のち雨
8/28 晴
8/29 雨のち曇
アクセス
利用交通機関:
電車 バス
八王子(実家)→(急行アルプス)→松本→(アルピコ電鉄上高地線)新島々→(アルピコ交通バス)→上高地BT

※急行アルプス=現在のムーンライト信州に該当する夜行急行で、新宿〜南小谷間で運行されていた。
コース状況/
危険箇所等
登山ポストは上高地BTにあり。

1.上高地→横尾
 危険箇所皆無。平坦な道が続く。
 上高地BT→明神→徳沢→横尾間のコースタイムは、いずれも1時間前後。
 早足の登山者は、各40、40、50分といったところ。

2.横尾→ババ平→槍沢大曲
 横尾からは少し傾斜が出てくるが、槍沢ロッヂの直前までは緩い。
 槍沢ロッヂの手前で少し上がる。
 槍沢ロッヂからはだんだん傾斜が出てきて、ババ平からは高い樹が減る。

3.槍沢大曲→槍ヶ岳山荘
 標高が上がるにつれ、傾斜が急になる。
 8月中旬くらいまでは、途中で雪渓がある場合が多い。
 岩稜帯だが、ルートはよく整備されており、浮石もほとんどない。
 晴れている場合、途中から右前方に常に槍の先を見ながらの、
 意気上がる登山となる。


4.槍ヶ岳山荘⇔槍ヶ岳
 肩の小屋にザックをデポして往復するのが普通。
 登りと下りでルートが違う。
 梯子が多い。梯子は基本1人ずつ登り下りするのがマナー。
 また、梯子の直下は落石を受ける恐れがあるので、若干下がったほうがいい。
 頂上は狭く、15人程度が限界。
 コースタイムは登り30分、下り20分程度だが、
 渋滞時は往復で2時間近くかかる場合がある。

5.槍ヶ岳→大喰岳→中岳→南岳→南岳小屋
 中岳の手前に鎖場がある以外は、基本的にはなだらかな稜線歩き。
 大喰岳の山頂は巻くことができる。
 中岳から南岳へ向かうルートは、全体的に緩やかだが、
 小ピークがいくつかあり、長い。
 南岳から小屋まではすぐ。頂上から見える。 

6.南岳小屋→大キレット→長谷川ピーク→滝谷A沢コル→北穂小屋
 小屋の南側が緩い丘になっており、
 そこを登りきってすぐ、左から大キレットへの長い下り。
 鎖場、梯子が至るところにある。
 このルートは、初心者のみでは不可。必ず経験者をリーダに立てること。 
 岩は脆く、浮石も多いので、落石を起こさないよう慎重にコース選びをする。
 大キレット最低コル(鞍部)から長谷川ピークを過ぎるあたりが最も危険。
 稜線が鋭いリッジ状になっており、三点支持を取れないと滑落の危険性大。
 滝谷A沢コル(岩に白ペンキで「A沢のコル」と書いてある)から登り。
 傾斜が急な上、浮石が多い。また、時間帯的に多くの登山者が通行するので、
 落石多発地帯となっている。要注意。
 小屋は割合すぐに見えるが、そこからが長い。
 岩肌に「←北ホあと200m」の白ペンキが見えるが、その岩陰を過ぎると、
 遥か頭上に北穂小屋が見えて、だいぶテンションが下がる。
 ここで気を抜かず、最後まで歩こう。
 北穂の上に北穂の頂上標識があるが、ここは北稜で、南稜が北穂の頂上。
 南稜は松濤岩付近から登る。ここにテントを張るスペースがある。

7.北穂小屋→松濤岩→涸沢槍→涸沢岳→穂高岳山荘
 松濤岩付近から涸沢ヒュッテに下る北穂南稜ルートへの分岐があり、
 そこからも多くの登山者が登ってくる。この間のルートが狭い上、
 付近は8月中旬まで雪渓があるので、往来注意。
 涸沢槍までは落石多発地帯で滑りやすく、毎年のように事故が起きるため、注意。
 梯子や鎖場は多いが、特に体力的には難度は大キレットよりは下がる分、
 気が抜けやすい。
 涸沢岳のピークは巻けるが、ピークに登らないともったいない。
 ピークから穂高岳山荘がある白出(しらだし)のコルまでは15〜20分程度。

8.穂高岳山荘→奥穂高岳
 特に朝は非常に渋滞するので、穂高岳山荘から出るのは、夜明け前がベスト。
 通常は山荘から30〜50分程度で奥穂に登頂できるが、
 登山者が多いと、梯子待ちが非常に長くなり、倍以上はザラ。
 切り立った斜面にいくつかの梯子がある。朝一番だと視界が悪いのと、
 身体が暖まっていないことで、落石を起こすリスクが高まるので、慎重に。
 右手にジャンダルムが視界に入るころには傾斜が緩くなる。

9.奥穂高岳→吊尾根→紀美子平⇔前穂高岳
全体的に非常に痩せた尾根で、細かいアップダウンが続く。
少しすると南稜の頭に達し、奥穂南稜ルートの踏み跡が見えるが、
ここはヴァリエーションであり、迷い込むと大変なことになるので、
視界が悪いときには特に注意。ここは涸沢側から巻く。
右手は切り立っており、岳沢が見える。
前穂は稜線通しでも登れるが、一般登山者向けではない。
そのまま前穂の西斜面を巻き、岳沢方面へ下ると、紀美子平。
ここからの前穂へのアクセスは比較的容易。ルートもよく整備されているが、
岩屑の急斜面で、往来者も多いので、落石に特に注意。

10.紀美子平〜重太郎新道〜岳沢小屋
急な下り。森林限界を過ぎても、鎖場、梯子が続き、気が抜けない。
比較的滑落事故が多い場所でもあるので、細心の注意を払うこと。
旧岳沢ヒュッテは2006年に雪崩で倒壊したが、2010年8月に岳沢小屋として再建。
ただし、規模が小さくなった(収容約30名)ので、小屋泊まりには予約が必要。
テン場はOKだが、あまり大きくはない(約30張り)
http://www.yarigatake.co.jp/dakesawa/information.html

11.岳沢小屋〜上高地BT
重太郎新道とは打って変わって、なだらかな下りとなる。
旧岳沢ヒュッテ跡に、「No.0」という道標があり、上高地の登山口が「No.10」なので、
これを目安にすることが出来る。
中間点あたりに風穴があって、大変心地よい。
ババ平から上高地方面
ババ平から上高地方面
ババ平から槍沢上流
ババ平から槍沢上流
ババ平から横尾尾根
ババ平から横尾尾根
坊主岩小屋
槍ヶ岳山荘から。穂高連峰。
槍ヶ岳山荘から。穂高連峰。
槍ヶ岳山荘から。富士山が見える。
槍ヶ岳山荘から。富士山が見える。
槍ヶ岳山荘から。
槍ヶ岳山荘から。
槍ヶ岳山荘から大天井〜燕の稜線。
槍ヶ岳山荘から大天井〜燕の稜線。
槍ヶ岳山荘から常念岳。
槍ヶ岳山荘から常念岳。
槍ヶ岳ピーク。
槍ヶ岳ピークから穂高への稜線。右奥に見えるのは乗鞍。
槍ヶ岳ピークから穂高への稜線。右奥に見えるのは乗鞍。
槍ヶ岳山荘付近から笠。
槍ヶ岳山荘付近から笠。
槍ヶ岳山荘付近から穂高方面。
槍ヶ岳山荘付近から穂高方面。
大喰岳ピーク。
中岳ピーク。
中岳から大喰、槍。
中岳から大喰、槍。
南岳小屋の獅子ヶ鼻から涸沢岳、ジャン、吊尾根、前穂
南岳小屋の獅子ヶ鼻から涸沢岳、ジャン、吊尾根、前穂
南岳から大キレットへ下る途中から常念。
南岳から大キレットへ下る途中から常念。
大キレットと北穂
大キレットと北穂
大キレット最低コルから長谷川ピークへ向かう。
大キレット最低コルから長谷川ピークへ向かう。
南岳から大キレットへ下る途中から穂高への稜線を一望する。
南岳から大キレットへ下る途中から穂高への稜線を一望する。
北穂小屋から大キレット〜槍の稜線。左奥には鷲羽岳が見える。
北穂小屋から大キレット〜槍の稜線。左奥には鷲羽岳が見える。
北穂小屋。
北穂北峰。
北穂北峰から常念。
北穂北峰から常念。
北穂北峰から常念、大天井。
北穂北峰から常念、大天井。
北穂北峰から笠。
北穂北峰から笠。
風雨の中、奥穂に登頂。このあと、更に風雨がひどくなり、急いで下った。
風雨の中、奥穂に登頂。このあと、更に風雨がひどくなり、急いで下った。
下山後、河童橋。
下山後、河童橋。

感想

初日
例によって、急行「アルプス」で一路松本へ。
しかし乗り心地が悪く、さらに冷房の効きすぎで寒かったため、
ほとんど寝られなかった。
天気が悪く、意気の上がらないスタート。
一気に槍の肩までアプローチ予定だったが、槍沢で飲んだ水に当たったのか、
ババ平の先で猛烈に腹が痛くなってしまった上、
雨もどんどん強くなっていたので、ババ平へ引き返し、そこで幕営。
一晩中腹が痛く、食事もろくに出来なかった。

2日目
まだ腹が痛いが、5時半に出発。空からは薄陽が差している。
綺麗だったので写真を撮ったが、積雲が降りてきたので、
そう時間が経たないうちに雨が降るだろうと思っていたところ、
案の定、歩き出して1時間もしないうちに雨が降ってきた。
風が強く、しかも寒いので、ペースも相当落ちる。
が、ババ平からのスタートだったので、9時半には槍ヶ岳山荘に着いた。
このまま南岳小屋まで進んでもよかったが、
お目当ての槍ヶ岳は大荒れで、とても登れそうになかった。
槍ヶ岳に登らずしていくのも悔しいので、わずか4時間でこの日の山行は終了。
その後はただひたすら猛烈な雨風に耐えながらテントの中で呆然と過ごす。
しばらく転寝していたが、ラジオの音声が聞こえて目を覚ますと、
パートナーがラジオを聞きながら天気図を書いている。
ということはもう16時か?
(注:NHKのラジオ気象放送は10時、16時、22時の3回に分けて行う)
外はまだ小降りだが、午前中よりは雲が薄くなっている。
パートナーが書いた天気図を見ながら、翌日は高気圧の尾根が張り出しそうなので、
1日くらいは持つだろうという希望的観測をし、
食事は早々に済ませてその気分が覚めやらぬうちにシュラフに入った。

3日目
3時ごろ起床。パートナーはまだ寝ている。
ここ2日間は体調不良で迷惑をかけてしまったので、
今日はきちんとしようと思い、寝ている彼の脇で朝食を作り始めた。
ふと外を眺めると薄暗い空には星がきらきらと輝いている。
ぼくは思わず歓声を上げたかったが、
パートナーが起きてしまうので、黙ってそのまま朝食作りを続けた。
4時過ぎ、パートナーが起床。
好天を告げると、彼も嬉しそうに微笑む。
外に出ると、もう空が白んでいるのが見える。
御来光を槍ヶ岳山頂で見たいので、ぼくたちは準備を急いだ。
そしてテントを撤収し、荷物をテン場にデポして槍ヶ岳へ。
30分もあればいけるほど近い。しかしこの時期は事情が違った。
団体さんがいたのである。なんと槍ヶ岳登頂まで30分ほど待たされ、
せっかくの御来光も見れず。
仕方なく待っている間に出てきた太陽をバックに記念撮影をする。
5時半には出発。南岳までは順調だったが、
大キレット越えはパートナーにも結構堪えたようで、時々立ち止まって、
彼の様子を見守る。
北穂高岳の小屋に着いたのは、10時半すぎ。なかなかよいペースだ。
ぼくたちはそこでゆっくりと休憩をとることにし、昼飯を作り始めた。
出来上がったラーメンを無感動にかきいれる。
食べ終わってひと息つくと、そよ風が気持ちいい。
ここ2日は荒天だったので、ここまできてやっと山を実感する。
が、携帯電話を見るとアンテナが立っていた。
ぼくは「文明の利器からはなかなか離れては生きられないものだ」と、
ちょっと苦笑しながら、それでもせっかくだからと、
翌月に白馬岳を一緒に登る友人に電話をしてみた。
ちょっとした会話をし、すぐに切った。やはりちょっと無粋だと思う。
休憩しすぎたかなとも思ったが、小屋出発してからはさほどの難所もなく、
13時過ぎにはこの日の目的地、穂高岳山荘に着いた。
予定より1時間半も早く着いてしまったので、奥穂をピストンしようかと思ったが、
パートナーが完全にあごを出してしまったので、
テント内でゆっくりと休息することにした。

4日目
槍ヶ岳で予感したとおり、またもや雨だった。
この後、本当はジャンダルムを経由して西穂高岳まで縦走する予定だったが、
そこは北アルプス有数の難所で、悪天候ではとても無理することは出来ないので、やむなくこの日で降りることにした。
山荘の目の前には奥穂高岳がそびえたっているが、
雨の日では梯子から何からことごとく滑り、その壮大さも恐怖の対象でしかなかった。
が、ぼくらは梯子に足をかけ、登り始めた。
正直、かなり怖かったものの、無事日本第三の高峰、奥穂高岳に立った。
しかしその余韻に浸る間もなく、猛烈な風雨がぼくらに襲い掛かってくる。
記念撮影もほどほどに、さっさと降りることにした。
紀美子平から前穂も、それこそ駆けるように登り、すぐに降りた。
次第に風雨は弱まり、安心感がぼくらを包み込む。
2100m地点の岳沢小屋までくると、
それはもう逆に山が恋しくなってしまうくらいだった。
これから奥穂へ行くという親子ふたりと取り止めのない話をしながら、
ぼくらはまた無感動にラーメンをすすっていた。
そして上高地に降り立つと、またいつもの喧騒の世界に戻ってきた。

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