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Yamareco

記録ID: 43512
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
槍・穂高・乗鞍

槍ヶ岳・北穂高岳(大キレット)

2009年07月27日(月) 〜 2009年07月30日(木)
 - 拍手
GPS
80:25
距離
41.3km
登り
2,530m
下り
2,519m

コースタイム

【27日】
上高地(6:10)-(6:55)明神(6:55)-(7:30)徳沢(7:30)-(8:15)横尾(8:40)-(9:20)
一ノ又(9:20)-(9:50)槍沢ロッジ(9:55)-(10:25)ババ平(10:25)-(10:45)大曲
(10:45)-(11:40)天狗原分岐(11:45)-(12:35)坊主岩小屋(12:35)-(13:10)殺生分岐
(13:10)-(13:45)槍ヶ岳山荘

【28日】
槍ヶ岳山荘(6:55)-(7:25)槍ヶ岳(8:35)-(8:45)槍ヶ岳山荘

【29日】
槍ヶ岳山荘(6:15)-(6:40)大喰岳(6:40)-(7:00)中岳(7:00)-(7:30)天狗原稜線分岐
(7:30)-(7:45)南岳(7:45)-(7:50)南岳小屋

【30日】
南岳小屋(6:05)-(7:15)A沢のコル(7:15)-(8:15)北穂高岳【北穂高小屋】(8:45)-
(8:55)北穂高岳南稜分岐(8:55)-(10:20)涸沢【昼食】(11:15)-(12:05)本谷橋
(12:05)-(12:45)横尾(12:50)-(13:30)徳沢(13:30)-(14:05)明神(14:05)-(14:35)
上高地
天候 27日/雨
28日/晴後曇夕方から雨
29日/雨
30日/霧後晴
過去天気図(気象庁) 2009年07月の天気図
アクセス
コース状況/
危険箇所等
槍沢には雪が結構残っており、登山道も何度か雪渓を渡渉する。
アイゼンが必要な程ではないが、この時期の登山であれば軽アイゼンを持参した方が良い。
天狗池はまだ凍っている様で、天狗池への道もあまり歩かれていない様だった。

槍ヶ岳山荘から山頂への道は鎖やハシゴが整備されているので、落ち着いて行けば問題はない。
一部登り専用と下り専用に道が分かれているので、案内に従う事。

大キレットは難所の連続だが、鎖やハシゴをはじめとした補助が良く整備されている。
ひとつひとつ落ち着いてクリアすれば心配ないだろう。
しかし、風雨(特に風)が強い時には危険と思われるので、通過前に状況を見て判断する様に。

涸沢は雪がまだ沢山残っており、涸沢からの下山でも当面雪上を歩く。
アイゼンは必要なかったが、やはり持参するに越した事はない。
上高地を出発
2009年07月27日 06:12撮影 by  DMC-TZ5, Panasonic
7/27 6:12
上高地を出発
槍沢
2009年07月27日 09:34撮影 by  DMC-TZ5, Panasonic
7/27 9:34
槍沢
槍沢ロッヂ
2009年07月27日 09:48撮影 by  DMC-TZ5, Panasonic
7/27 9:48
槍沢ロッヂ
槍沢キャンプ地
2009年07月27日 10:24撮影 by  DMC-TZ5, Panasonic
7/27 10:24
槍沢キャンプ地
雪渓を渡渉
2009年07月27日 10:56撮影 by  DMC-TZ5, Panasonic
7/27 10:56
雪渓を渡渉
槍ヶ岳山荘
2009年07月27日 13:47撮影 by  DMC-TZ5, Panasonic
7/27 13:47
槍ヶ岳山荘
槍ヶ岳山荘の寝室
2009年07月27日 13:58撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/27 13:58
槍ヶ岳山荘の寝室
槍ヶ岳山荘の談話室
2009年07月28日 05:30撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 5:30
槍ヶ岳山荘の談話室
槍ヶ岳山荘夕食
2009年07月27日 17:05撮影 by  DMC-TZ5, Panasonic
7/27 17:05
槍ヶ岳山荘夕食
槍ヶ岳山荘朝食
2009年07月28日 05:03撮影 by  DMC-TZ5, Panasonic
7/28 5:03
槍ヶ岳山荘朝食
槍の…
2009年07月28日 06:19撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 6:19
槍の…
穂先が…
2009年07月28日 06:21撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 6:21
穂先が…
見えた!
2009年07月28日 06:24撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 6:24
見えた!
いつも遠くから見てました
2009年07月28日 09:16撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 9:16
いつも遠くから見てました
槍ヶ岳山荘と槍ヶ岳
2009年07月28日 06:29撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 6:29
槍ヶ岳山荘と槍ヶ岳
小槍
2009年07月28日 06:59撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 6:59
小槍
登頂開始
2009年07月28日 07:00撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 7:00
登頂開始
よじ登ります
2009年07月28日 07:03撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 7:03
よじ登ります
穂高方面が見えてきました
2009年07月28日 07:05撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 7:05
穂高方面が見えてきました
ハシゴを登ります
2009年07月28日 07:07撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 7:07
ハシゴを登ります
穂高アップ
2009年07月28日 07:11撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 7:11
穂高アップ
山荘を見下ろす
2009年07月28日 07:17撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 7:17
山荘を見下ろす
まだまだ登ります
2009年07月28日 07:19撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 7:19
まだまだ登ります
あと一息です
2009年07月28日 07:23撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 7:23
あと一息です
最後のハシゴ
2009年07月28日 07:25撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 7:25
最後のハシゴ
ハシゴの上から見下ろす
2009年07月28日 07:26撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 7:26
ハシゴの上から見下ろす
登ってくる人も見えます
2009年07月28日 07:26撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 7:26
登ってくる人も見えます
ハシゴの上から山荘
2009年07月28日 07:26撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 7:26
ハシゴの上から山荘
槍ヶ岳山頂
2009年07月28日 07:29撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 7:29
槍ヶ岳山頂
山頂からの眺め
2009年07月28日 07:33撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 7:33
山頂からの眺め
孤高の笠ヶ岳
2009年07月28日 07:27撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 7:27
孤高の笠ヶ岳
黒部五郎・双六方面
2009年07月28日 07:42撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 7:42
黒部五郎・双六方面
薬師・鷲羽・水晶方面
2009年07月28日 07:49撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 7:49
薬師・鷲羽・水晶方面
ブロッケン現象
2009年07月28日 08:08撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 8:08
ブロッケン現象
手前が下りで奥が登り
2009年07月28日 08:13撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 8:13
手前が下りで奥が登り
槍ヶ岳山頂を独り占め!
2009年07月28日 08:18撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 8:18
槍ヶ岳山頂を独り占め!
みんな登っています
2009年07月28日 09:45撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 9:45
みんな登っています
チングルマ
2009年07月28日 10:05撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 10:05
チングルマ
テン場からの槍
2009年07月28日 10:13撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 10:13
テン場からの槍
談話室からの槍
2009年07月28日 10:46撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 10:46
談話室からの槍
談話室からの常念
2009年07月28日 10:47撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 10:47
談話室からの常念
常念岳
2009年07月28日 09:24撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 9:24
常念岳
キッチン槍のメニュー
2009年07月28日 10:57撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/28 10:57
キッチン槍のメニュー
槍ヶ岳山荘夕食(連泊)
2009年07月28日 17:05撮影 by  DMC-TZ5, Panasonic
7/28 17:05
槍ヶ岳山荘夕食(連泊)
大喰岳
2009年07月29日 06:38撮影 by  DMC-TZ5, Panasonic
7/29 6:38
大喰岳
中岳
2009年07月29日 07:01撮影 by  DMC-TZ5, Panasonic
7/29 7:01
中岳
南岳
2009年07月29日 07:45撮影 by  DMC-TZ5, Panasonic
7/29 7:45
南岳
南岳小屋
2009年07月29日 07:51撮影 by  DMC-TZ5, Panasonic
7/29 7:51
南岳小屋
南岳小屋の寝室
2009年07月29日 10:32撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/29 10:32
南岳小屋の寝室
南岳小屋夕食
2009年07月29日 17:32撮影 by  DMC-TZ5, Panasonic
7/29 17:32
南岳小屋夕食
南岳小屋朝食
2009年07月30日 05:26撮影 by  DMC-TZ5, Panasonic
7/30 5:26
南岳小屋朝食
さあ、大キレットの始まりです!
2009年07月30日 06:25撮影 by  DMC-TZ5, Panasonic
7/30 6:25
さあ、大キレットの始まりです!
痩せた尾根を歩く
2009年07月30日 07:02撮影 by  DMC-TZ5, Panasonic
7/30 7:02
痩せた尾根を歩く
慎重に…
2009年07月30日 07:07撮影 by  DMC-TZ5, Panasonic
7/30 7:07
慎重に…
足場が整備されているので、慎重に行けば問題ない
2009年07月30日 07:09撮影 by  DMC-TZ5, Panasonic
7/30 7:09
足場が整備されているので、慎重に行けば問題ない
危険箇所には板も…
2009年07月30日 07:16撮影 by  DMC-TZ5, Panasonic
7/30 7:16
危険箇所には板も…
A沢のコルで休憩(落石注意)
2009年07月30日 07:17撮影 by  DMC-TZ5, Panasonic
7/30 7:17
A沢のコルで休憩(落石注意)
まだまだ難所が続きます
2009年07月30日 07:35撮影 by  DMC-TZ5, Panasonic
7/30 7:35
まだまだ難所が続きます
ステップが作られている
2009年07月30日 07:40撮影 by  DMC-TZ5, Panasonic
7/30 7:40
ステップが作られている
北ホあと200M
2009年07月30日 08:00撮影 by  DMC-TZ5, Panasonic
7/30 8:00
北ホあと200M
北穂高小屋
2009年07月30日 08:15撮影 by  DMC-TZ5, Panasonic
7/30 8:15
北穂高小屋
北穂高小屋のテラス
2009年07月30日 08:19撮影 by  DMC-TZ5, Panasonic
7/30 8:19
北穂高小屋のテラス
北穂高岳山頂
2009年07月30日 08:46撮影 by  DMC-TZ5, Panasonic
7/30 8:46
北穂高岳山頂
ハクサンフウロ
2009年07月30日 10:07撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/30 10:07
ハクサンフウロ
グンナイフウロ
2009年07月30日 10:10撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/30 10:10
グンナイフウロ
雪の残る涸沢
2009年07月30日 11:24撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/30 11:24
雪の残る涸沢
クルマユリ
2009年07月30日 11:39撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/30 11:39
クルマユリ
2009年07月30日 12:11撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/30 12:11
上高地に帰ってきました
2009年07月30日 14:37撮影 by  Canon EOS Kiss X2, Canon
7/30 14:37
上高地に帰ってきました

感想

大キレット。
写真や映像で何度も見ており、いつかは行ってみたいと数年前から憧れていた。
昨年、長期休暇に計画を立てたが、天候が悪く九州遠征に変更してしまった。
今年も長期休暇で計画を立てるが、週間予報では今年も天気が悪そうだ。
行くべきかどうかをぎりぎりまで迷ったが、日程に余裕があるので天候の良い時に大キレットを越えれば良いと思い出発した。
今回は初の大キレット越えなので、テントはやめ小屋泊にする。

予定では上高地-槍ヶ岳-大キレット-北穂高岳-奥穂高岳-前穂高岳-上高地。
順調に行けば槍ヶ岳山荘・穂高岳山荘の2泊3日で行けそうだ。

前日に松本に入りホテル泊。
翌朝、松本電鉄の始発に乗ろうと思い松本駅へ向かった。
駅前でタクシードライバーに呼び止められたので話を聞くと、上高地に迎えがあるので電車とバスで行くのと同金額で乗せて行ってくれるとの事。
実にラッキーだ。
ドライバーが親切で「ゆっくり寝て行きな。釜トンネル辺りで起こすから」と言うので、お言葉に甘えて寝かせてもらった。

上高地に着くと雨。
予報通りなのでそれほど落胆はしなかったが、本当に今日槍ヶ岳山荘まで行けるのだろうか。
まあ、とりあえず横尾まで行き今後の行程を決めよう。

横尾に着くと平日で雨なのに結構人がいた。
多くの人が涸沢に行くようだが、数組のグループが槍ヶ岳へ向けて歩いていった。
こんな雨でも行く人がいるのならばと、私も槍ヶ岳へ向け出発した。

槍沢ロッヂまでは傾斜も少なく、あっと言う間に辿り着いた。
ロッヂを過ぎると本格的に登り出すが、槍ヶ岳山荘まで急な斜面はない。
距離が長い分、徐々に高度を上げていく。
これがジャブのように堪える。
本当ならば槍の穂先を見ながらの景色の良いルートなのだろうが、本日は景色が殆どない。
槍も山荘も見えず、いつ着くかもわからない斜面をただただ登る修行の様だった。
高度計が3,000Mに近付き、そろそろかと思うとやっと山荘に辿り着いた。

目の前に大きな槍の穂先がある筈だが、影も形も見えない。
宿泊の手続きを済ませた後、雨の中暫く外にいたが槍はまったく姿を現さなかった。

槍ヶ岳山荘は生憎の天気なので、結構空いている。
1人に2つの布団スペースが与えられた。
人気の山荘だけにこんな事はなかなかないだろう。
玄関前のロビーではテレビで常に天気予報が流れている。
どうやら明日も天気が悪そうだ。

2日目、目を覚まし外を確認すると霧雨が降っており、予報通りの天候だった。
朝食を済ませ、本日の行程を考える為に2階の談話室で地図を見ていると、窓の外が急に明るくなった。
窓の外を見ると薄っすら太陽が見える。
窓を開けると僅かながら槍の姿が…
慌てて外へ出ると、見る見るうちに槍が姿を現す。
あっと言う間に雲は消え、大きな槍が目の前に立ちはだかった。
「で、でかい」
一瞬の出来事だった。
山を見てこんなにどきどきしたのは初めてかもしれない。
「はじめまして。いつも遠くから見ていました」
こんな言葉が心の中に浮かんだ。

周囲の人々も一斉に歓声を上げ、一気に穂先に登り始めた。
私は何枚も穂先を写真に収め、落ち着いた頃に登り始めた。
シーズンには大混雑すると言われるが、本日は人も少ないので写真を撮りながら自由なペースで登っていると、30分程度で山頂に着いた。

山頂からの展望は見事。
雲が多いもののこれまでの天候が嘘の様に360度見渡せた。
風もなくあまりにも気持ちが良いので暫く山頂でゆっくりしていると、いつの間にか一人になっていた。
槍ヶ岳の山頂に自分だけとは本当に贅沢だ。

暫くして数組のパーティーが登ってきたので、山頂を譲り下山を開始した。

山荘に戻り本日の行程を考える。
改めて天気予報を確認すると、本日は午後から崩れる予報。
キレットで雨が降るのもいやだし、明日以降の方が天気は良さそうなので、槍ヶ岳山荘にもう1泊する事にする。

その日は山荘前のテラスに座って穂先を登り下りする人を眺めたり、周囲を散策したり、山座同定を楽しんだりして過ごした。
非常に贅沢な一日だったが、この選択が間違えだった。
結局、その日は夕方まで天候が持ち、雨が降り出したのは夕方だった。

翌日の朝も雨は降り続け、いよいよ行程に悩んだ。
昨日、天気の良いうちに大キレットを越えた方が良かったかもしれない。
そんな事を言っても後の祭りなので、今後の行程を考える。
今回は大キレットを諦め、雲ノ平方面へ行く事も考えた。
しかし、大キレットを諦め切れない。
とりあえず今日は南岳小屋まで進み、状況を見て考えよう。

早速雨の中南岳小屋に向け歩き出す。
この稜線は晴れていれば大展望が楽しめそうだが、本日は白い世界をただただ歩くのみ。
早足で歩いているとあっと言う間に南岳小屋に着いてしまった。

小屋の方に大キレットの状況を確認すると「今日はやめた方がいい」との返答。
外の風雨を見ればごもっともである。

まだ7時台だったが本日の大キレット越えは諦め、宿泊の手続きをした。
今日の山歩きもこれで終了…
一日を小屋内で過ごした。
ある意味なんて贅沢な山行きなんだ。

南岳小屋は良かった、小屋内は清潔で布団もからっとしている。
食事も出来立てで美味しかった。
本日の宿泊者は9名でゆっくり過ごすことが出来た。

小屋に泊まった方はみんな大キレット越えを考えている様だ。
しかし、天気予報では明日も良くない模様。
私も含め、全員下山する為のルートを考え始めた。

私は結局、下山のルートを決めきれないまま翌朝を迎えた。
4日目、本日も雨だろうと外を見たが、霧が濃いものの雨は降っていない。
風もそれ程強くない様だ。
予報を確認すると天気も好転している様だ。
いよいよ大キレット越えを決行する。

身支度を整え、山荘の方に「お気をつけて」と見送られ霧の中を歩き出す。
大キレット入口の注意書きに気持ちが高ぶり、脈拍が上がっていく。
最初のなんて事のない下り坂でも「大キレットなんだ!」と思うと緊張する。
いよいよ下り坂はどんどん急になり、長いハシゴも出てきた。
ハシゴを下り鞍部に出ると暫くは危険の少ない道。
しかしこれからが核心部だ。

長谷川ピーク周辺は痩せた尾根を歩く。
先を見るとそのやせ細った尾根に緊張するが、一歩一歩落ち着いて進めばそれ程の難はなくクリアできる。
良くも悪くも最近は整備が進んでいるようで、危険な箇所にはステップなどが設置されていた。

唯一の休憩場所と言われるA沢のコルで一息つくと、今度は飛騨泣き。
こちらは急な斜面で滑らないように登っていく。
下は霧で見えないが、逆に吸い込まれていく様である。
暫く頑張ると岩に「北ホあと200M」の案内。
ここでやっと緊張の中に安心が出てきた。

ここからは急な登りを頑張り、とうとう北穂高小屋に辿り着いた。
憧れと目標の大キレット通過に感動がこみ上げてきた。

北穂高小屋はキレット越しの槍ヶ岳の眺めが良い事で有名だが、本日は何も見えない。
それでも暫く槍ヶ岳方面の真っ白な景色を眺めていた。

もう1泊して予定通り奥穂高岳を目指すことも考えたが、明日も天候は不安定の様だ。
今回は奥穂を諦め、ここから涸沢に向け下山を開始した。

下山を開始すると、何故か急に太陽が顔を出し、周囲の山が見え始めた。
最後に大キレット越えのご褒美だろうか。

今回、山旅の中で出会う人全てが口にしたのは「こんな天候で残念な山旅だ…」と言う言葉。
確かにそうだが私は少し違っていた。
大キレットを越えたと言う満足感が体中を走り回っている。
それが悪天候の残念さよりずっと勝っているからだ。

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コメント

ステキです!
わたしもキレット越え今年こそはと思っていたので楽しく読ませていただきました。今後とも宜しく!!!
myブログ→http://namupero.blog48.fc2.com/ mijinco
2009/8/3 23:22
コメント有難うございます!
mijincoさんこんばんは!
trattoriaこととらと申します。

コメント有難うございます。
これからmijincoさんのブログをゆっくり拝見させて頂きます。

今後も情報交換させて下さい。

よろしくお願いします。
2009/8/4 22:35
良かったですね!
初めましてtrattoriaさん!
丁寧な山行記録から、
天候判断の難しさ、行くか止めるかの迷い、
そして喜びが伝わってきます。

次の山行記録も楽しみにしています!
2009/8/4 7:24
manabuさんこんばんは!
manabuさんこんばんは!trattoriaこととらと申します。

山行記録読んで頂いて有難うございます。
ヤマレコでは皆さんの山行きを自分の山行きの参考にしています。
manabuさんの山行きもこれまで何度も拝見しており、参考にさせて頂いております。

こちらこそ今後も山行記録楽しみにしています。
2009/8/4 22:45
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

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体力レベル
5/5
無雪期ピークハント/縦走 槍・穂高・乗鞍 [2日]
新穂高〜上高地
利用交通機関: 車・バイク、 電車・バス
技術レベル
3/5
体力レベル
5/5
アルパインクライミング 槍・穂高・乗鞍 [2日]
前穂高北尾根
利用交通機関:
技術レベル
5/5
体力レベル
4/5

この記録で登った山/行った場所

関連する山の用語

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