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Yamareco

記録ID: 210845
全員に公開
無雪期ピークハント/縦走
槍・穂高・乗鞍

槍〜北穂〜奥穂〜ジャン〜西穂 縦走登山

2012年07月28日(土) 〜 2012年07月29日(日)
 - 拍手
GPS
30:45
距離
30.1km
登り
3,466m
下り
2,512m

コースタイム

(7/28)
3:45 鍋平高原駐車場
4:15 新穂高登山口
6:45 槍平小屋
7:20 発
9:05 飛騨乗越
9:48 槍ヶ岳
10:17 飛騨乗越
10:33 大喰岳
11:02 中岳
11:42 南岳
12:40 長谷川ピーク
13:50 北穂高岳
15:35 涸沢岳
15:55 穂高岳山荘(泊)

(7/29)
3:50 穂高岳山荘
4:23 奥穂高岳
4:30 発
5:25 ジャンダルム
6:45 天狗のコル
6:58 天狗岳
7:33 間ノ岳
8:05 赤岩岳
8:30 西穂高岳
9:43 西穂山荘
10:30 ロープウェー西穂高口駅

天候 7/28 曇り時々晴れ
7/29 曇り時々晴れ
過去天気図(気象庁) 2012年07月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車 ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
新穂高の無料Pに駐車予定が満車。鍋平高原の無料Pに停めました。
コース状況/
危険箇所等
歩いていて感じたことを書き連ねます。

アイゼン、ピッケル等必要な箇所はありません。

大キレット、奥穂〜西穂間は悪天候時の通行は避けた方が無難です。
また、朝一も朝露や霧で濡れていることがあるので注意が必要です。

ハイシーズンの岩場の稜線、クサリ場その他すれ違いが困難な場所では通過に時間がかかることが多く、余裕を持った時間設定が必要です。

急傾斜やガレ場では下部の他登山者に落石を出さないよう注意すると共に、上部の登山者からの落石にも注意を払います。

その為、上記のような箇所では適当な間隔を空けた方が良いです。
予約できる山小屋
槍平小屋
新穂高登山センターは現在解体されています。
新穂高登山センターは現在解体されています。
暗くてピントが合わないのでフラッシュでタマガワホトトギス
暗くてピントが合わないのでフラッシュでタマガワホトトギス
白出沢手前には簡易休憩所が設置されていました
白出沢手前には簡易休憩所が設置されていました
白出沢。大雨で渡渉できなかった数年前が思い出されます・・
白出沢。大雨で渡渉できなかった数年前が思い出されます・・
沢からは笠ヶ岳や抜戸岳も。
沢からは笠ヶ岳や抜戸岳も。
センジュガンピがたくさん咲いています
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センジュガンピがたくさん咲いています
登山道真ん中にクワガタ♀。こんなところにいちゃ踏まれちゃうよ・・
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登山道真ん中にクワガタ♀。こんなところにいちゃ踏まれちゃうよ・・
槍平で朝食にします
槍平で朝食にします
雪解け遅いところではキヌガサソウ
雪解け遅いところではキヌガサソウ
ミネザクラも咲き残っています
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ミネザクラも咲き残っています
オオバミゾホオズキや
オオバミゾホオズキや
チングルマも。
皆さんアップされていますが、千丈分岐では救急箱が設置されています
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皆さんアップされていますが、千丈分岐では救急箱が設置されています
ジグザグの急登に入ると、ミヤマキンポウゲのお花畑
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ジグザグの急登に入ると、ミヤマキンポウゲのお花畑
霧とハクサンイチゲ
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霧とハクサンイチゲ
次第にガスは薄くなっていきます
次第にガスは薄くなっていきます
ハクサンイチゲの白とシナノキンバイの黄色があちらこちらでお花畑をつくっています
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ハクサンイチゲの白とシナノキンバイの黄色があちらこちらでお花畑をつくっています
お花畑。
お花畑と。ガスは晴れていきます
お花畑と。ガスは晴れていきます
後光射す飛騨乗越まであと少し。
後光射す飛騨乗越まであと少し。
標高もいよいよ3000mを超えます
標高もいよいよ3000mを超えます
飛騨乗越へ到着。槍の穂先がよく見えています
飛騨乗越へ到着。槍の穂先がよく見えています
槍ヶ岳山荘と槍ヶ岳。
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槍ヶ岳山荘と槍ヶ岳。
アップでもう1枚。すっかり晴れてくれました。
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アップでもう1枚。すっかり晴れてくれました。
山頂直下は長いハシゴがあります。
山頂直下は長いハシゴがあります。
振り返ってこれから歩く穂高までの稜線。
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振り返ってこれから歩く穂高までの稜線。
山頂に到着。思ったよりはすいていました。
山頂に到着。思ったよりはすいていました。
鷲羽や水晶もよく見えています。
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鷲羽や水晶もよく見えています。
北鎌尾根。遠目に歩いている人が確認できました。
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北鎌尾根。遠目に歩いている人が確認できました。
穂先を下りる途中、奥穂がちらっと一瞬だけ見えました。
穂先を下りる途中、奥穂がちらっと一瞬だけ見えました。
再び飛騨乗越。長い稜線歩きのスタートです。
再び飛騨乗越。長い稜線歩きのスタートです。
タカネシオガマ。マルハナバチがせっせと蜜を集めます
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タカネシオガマ。マルハナバチがせっせと蜜を集めます
ミヤマキンバイとイワウメもまだまだ咲いています
ミヤマキンバイとイワウメもまだまだ咲いています
まずは大喰岳。槍がぐんぐん離れていきます
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まずは大喰岳。槍がぐんぐん離れていきます
タカネヤハズハハコが満開。
タカネヤハズハハコが満開。
雪渓とヨツバシオガマ。バックには常念も見え始めます。
雪渓とヨツバシオガマ。バックには常念も見え始めます。
ライチョウに出会いました
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ライチョウに出会いました
4児の母親だったようです
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4児の母親だったようです
中岳の手前から。このあたりは雪が多く残ります
中岳の手前から。このあたりは雪が多く残ります
南岳へ。
大天井、常念もバッチシ見えてきました
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大天井、常念もバッチシ見えてきました
南岳。この日3000m峰4座目です。
南岳。この日3000m峰4座目です。
下る途中、シナノキンバイが固まって咲いていました
下る途中、シナノキンバイが固まって咲いていました
南岳小屋。ここから大キレットが始まります。
南岳小屋。ここから大キレットが始まります。
雲のかかった北穂。そこへ続く長い稜線。
雲のかかった北穂。そこへ続く長い稜線。
一気に下っていきます
一気に下っていきます
まずは長谷川ピークを目指します
まずは長谷川ピークを目指します
南岳からずいぶん下ってきました
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南岳からずいぶん下ってきました
長谷川ピーク。この先が切れ落ちた稜線で難所になります。
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長谷川ピーク。この先が切れ落ちた稜線で難所になります。
ナイフリッジを慎重に通過していきます
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ナイフリッジを慎重に通過していきます
途中にはイワオウギも
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途中にはイワオウギも
先はまだまだ長いです。
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先はまだまだ長いです。
飛騨泣きへ。ここは頭上からの落石に要注意箇所です。
飛騨泣きへ。ここは頭上からの落石に要注意箇所です。
長谷川ピークを振り返ります。両側が切れ落ちているのがよく分かります。
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長谷川ピークを振り返ります。両側が切れ落ちているのがよく分かります。
南岳から全景。
ミヤマリンドウかな。花は閉じていました。
ミヤマリンドウかな。花は閉じていました。
急登が続く中、癒されます
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急登が続く中、癒されます
北穂までの厳しい登り
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北穂までの厳しい登り
登り切ると北穂高小屋です。大混雑。
登り切ると北穂高小屋です。大混雑。
今日は常念が当たりでした。午後はずっと晴れていたようでした。
今日は常念が当たりでした。午後はずっと晴れていたようでした。
チングルマと前穂。
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チングルマと前穂。
前穂と奥穂。
前穂からの雪渓、下部には涸沢。この景色好きです。
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前穂からの雪渓、下部には涸沢。この景色好きです。
ハクサンイチゲと涸沢。
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ハクサンイチゲと涸沢。
涸沢岳への長い登り。
涸沢岳への長い登り。
チシマアマナや
ミヤマオダマキに再び癒されます。
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ミヤマオダマキに再び癒されます。
こんなにも厳しい環境だからこそ綺麗に咲いているのでしょうね。
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こんなにも厳しい環境だからこそ綺麗に咲いているのでしょうね。
雲がかかってしまいましたが、長かった道のりを振り返ります。
雲がかかってしまいましたが、長かった道のりを振り返ります。
山頂少し手前のクサリ場ではシコタンソウとイワオウギ。
山頂少し手前のクサリ場ではシコタンソウとイワオウギ。
岩場を埋め尽くしていました
岩場を埋め尽くしていました
こちらはシコタンハコベ
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こちらはシコタンハコベ
シコタンハコベにシコタンソウ、イワオウギ。
シコタンハコベにシコタンソウ、イワオウギ。
涸沢岳まであと少し。左手に前穂、右手に奥穂と贅沢な配置。
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涸沢岳まであと少し。左手に前穂、右手に奥穂と贅沢な配置。
涸沢岳に到着。あとは下れば穂高山荘です。
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涸沢岳に到着。あとは下れば穂高山荘です。
奥穂とジャンダルム。
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奥穂とジャンダルム。
こちらも大混雑でした。素泊り+ビールで6600円也。翌朝に備えぐっすり寝ます。
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こちらも大混雑でした。素泊り+ビールで6600円也。翌朝に備えぐっすり寝ます。
朝。大キレットの向こうに槍が見えます。
朝。大キレットの向こうに槍が見えます。
奥穂に到着。明るくなるのを待ちます。
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奥穂に到着。明るくなるのを待ちます。
ジャンダルムはよく見えています。
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ジャンダルムはよく見えています。
明るくなってきました。この直後、槍はガスの中に入ってしまいました
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明るくなってきました。この直後、槍はガスの中に入ってしまいました
個人的には一番の難所、馬の背の下りに入ります
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個人的には一番の難所、馬の背の下りに入ります
馬の背を無事通過。奥穂山頂には人も増えてきました
馬の背を無事通過。奥穂山頂には人も増えてきました
ロバ耳とジャンダルム
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ロバ耳とジャンダルム
奥穂に雲がかかりはじめます・・
奥穂に雲がかかりはじめます・・
ジャンダルム直下。今回は西穂側から無難に登ります。
ジャンダルム直下。今回は西穂側から無難に登ります。
ジャンダルム山頂。3000m峰8座目に無事登頂しました。
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ジャンダルム山頂。3000m峰8座目に無事登頂しました。
穂高連峰を包み込むような雲。
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穂高連峰を包み込むような雲。
時折スーっと抜けますが、結局20分待って晴れることはありませんでした。
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時折スーっと抜けますが、結局20分待って晴れることはありませんでした。
ジャンを降り先へ向かう頃、次々と登山者が来ました。奥穂からジャンのピストンの人もいるとのことでした。
ジャンを降り先へ向かう頃、次々と登山者が来ました。奥穂からジャンのピストンの人もいるとのことでした。
西穂までの稜線はよく見えていました。
西穂までの稜線はよく見えていました。
岩場の切れ目から前穂。
岩場の切れ目から前穂。
まずは天狗のコルへの長い下りです
まずは天狗のコルへの長い下りです
少し近づいてもう1枚。下りが急ならば上りもまた然り。
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少し近づいてもう1枚。下りが急ならば上りもまた然り。
天狗のコル。休憩中の方々に先を譲ってもらいました。
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天狗のコル。休憩中の方々に先を譲ってもらいました。
一気に登って天狗岳山頂へ。
一気に登って天狗岳山頂へ。
上高地を挟んで左に霞沢岳と右にうっすら焼岳。
上高地を挟んで左に霞沢岳と右にうっすら焼岳。
間ノ岳へも急降下して再び急上昇する内容です。
間ノ岳へも急降下して再び急上昇する内容です。
長いクサリ場もあります。
長いクサリ場もあります。
間ノ岳へ到着。振り返ったらガスの中でした。ここで休憩中の方と10分ほど雑談。
間ノ岳へ到着。振り返ったらガスの中でした。ここで休憩中の方と10分ほど雑談。
西穂高岳までもうすぐです。ここで滑落現場を目撃します・・
西穂高岳までもうすぐです。ここで滑落現場を目撃します・・
小さなピークを幾つか過ぎると西穂へ到着。一気に人が増えます。
小さなピークを幾つか過ぎると西穂へ到着。一気に人が増えます。
西穂独標。ここまで来ると登山者の装備、服装も様々です。
西穂独標。ここまで来ると登山者の装備、服装も様々です。
下って西穂山荘。休憩スペースは人で埋まっています。
下って西穂山荘。休憩スペースは人で埋まっています。
観光客多い中、汗まみれで申し訳なく思いながらロープウェーにて下山。
観光客多い中、汗まみれで申し訳なく思いながらロープウェーにて下山。
鍋平高原駅から1キロかそこら歩いて駐車場へ到着しました。
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鍋平高原駅から1キロかそこら歩いて駐車場へ到着しました。

感想

7/28、29で新穂高を拠点にから槍ヶ岳、大キレットを越えて奥穂高岳、ジャンダルム、西穂高岳と歩いてきました。

槍〜奥穂と奥穂〜西穂は過去に歩いたことがありましたが、2つをつなげて歩いてみたいなと思い、今回の山行に臨みました。

(7/28)
新穂高には0時頃に着きます。
仕事終わってから急いで向かったものの、既に無料駐車場は満車。
仕方なく、歩く距離は長くなりますが鍋平高原の無料駐車場に停めることにします。

3時過ぎまで仮眠をとり、朝飯を食べて出発します。
新穂高まで暗い車道を歩くこと30分。登山口では多くの人が準備に入っていました。

右俣の林道を歩いていきます。
白出沢は無事に通過。大雨が降ると簡単に渡れなくなるので重太郎橋も含めて下山ルートとして使う場合には注意ですね。

槍平まで単調な登りを歩いてきます。
槍平で2回目の朝食を食べていよいよ急登に入っていきます。

上部はすっかりガスっており、先行き不安な登りとなります。
途中、ハクサンイチゲやシナノキンバイのお花畑があちらこちらで広がっていました。

標高も2700m地点を過ぎると、徐々にガスが切れ始め、上下共に視界が広がりはじめます。
飛騨乗越へ登りきる頃にはすっかりと晴れ渡り、槍の穂先もバッチシ見ることができました。
前回は穂先で夕日とブロッケン。槍とは相性が良いのかも。

槍山荘で三度目の食事をとり、槍の穂先へ登りに行きます。
山頂はさほど混んでおらず、所々ガスはかかっていますが、大展望を見ることができました。

再び飛騨乗越へ戻り、本日のメインの縦走路へと入っていきます。
大喰岳、中岳と通過する頃には次第に前後ろに雲が増えてきます。
良く見えていたのは常念方面。この日は長い時間表銀座全体を見ることができました。

南岳を過ぎると大キレットへの急下りとなります。
降り切ると長い稜線が長谷川ピークへと続いています。
まずは長谷川ピークを目指し、登っていきます。

長谷川ピークからは両側切れ落ちた稜線となり、慎重に進みます。
反対側からも登山者は来るのですれ違いに時間がかかる場合もあります。

A沢のコルからは再び飛騨泣きの急登り。
落石の多い箇所なので上部と周囲の音に気を配りながらの登りになります。
幸い通過時に登山者はあまり多くなく、登りに専念して北穂高まで歩くことができました。

北穂高を過ぎるとさすがにバテてきます。
4日間の出張と仕事の疲れも合い重なって次第にペースダウンしました。
途中の植物に要所要所で癒されながらも何とか涸沢岳へと着きました。

涸沢岳から10分ほど降りると穂高岳山荘に着きます。
予想通りの大混雑。覚悟していた通り、受付時に布団は1枚に2人と通告されます。。

同じ部屋には団体さん2組。そのうちの1組と隣になりましたが、後から人が入らなかったため幾つか空きが出て、結果的に譲ってもらっちゃいました。

明日の行先を話すと、くれぐれも気を付けるようにと皆さんから温かい言葉を声をかけて頂きました。

また、迷惑覚悟で翌朝は3時過ぎに起きることを告げると、逆にイビキがうるさかったらゴメンよ、と返ってきます。

絶対に事故に遭わない様慎重に歩こうと肝に銘じます。
本当に感謝な一夜でした。

(7/29)
お陰様でぐっすりと眠ることが出来、予定通りの3時過ぎ起床。
朝食をとり、準備して4時前に発ちます。

登山道は真っ暗な中ですが分かりやすく、また幾度も通っている道なので順調に奥穂山頂へと着きます。
風の当たらない場所でひと休み。難所の馬の背を通過できるくらいに明るくなるのを待ちます。
ジャンダルムも良く見えており、緊張と期待感を胸に歩き始めます。

馬の背の下り。
両側は1000mも落ちていると言われる難所で、一つのミスは即重大事故に繋がる危険な場所です。個人的には縦走路の中では一番神経使います。

無事に通過できたのも束の間。再び、長い下りが待っています。
下り切ると、ロバの耳を巻きながらジャンへ向かい登っていきます。

ジャンダルム直下。
以前来たときは奥穂側から直登しましたが、今回は登り口がよく分からず、無難に西穂側から登ります。

この辺りからガスで覆われ始め、山頂へ着くころには視界が全くなくなってしまっていました。
朝飯を摂りながら20分ほど待ちましたが、結局晴れてこず諦めて降り、再び縦走路を進みます。

降りて先に向かうころには、登山者が次々と到着し、ジャンを目指して登りはじめるところでした。

天狗のコルへ。
長い下りが続きます。下りきってコルを過ぎると再び長い登りになります。

登り切って天狗岳へと着くと、再び間天のコルへと長い下りとなり、コルからは再度長い登りになります。

間ノ岳山頂で休憩中の2人組に会い、休憩しつつ少し話しました。
西穂山荘を出発して7時半には間ノ岳にいるのだから結構なハイペース。
聞けば齢74で16の頃から登山を続けている大ベテラン。
年を取ってからは下りが楽できる、という理由で山スキーを勧められました。
少しでも長く山を続けたいと話され、心身共に素晴らしい方でした。

ここでの10分ほどの休憩が、後々起こる出来事で大きな分かれ道となったかもしれません。

赤岩岳を過ぎたあたり、突然大きな音と共に、前方で登山者が滑落していくのが見え、目が釘付けになります。

クサリ場から30m程度落下し、雪渓の上部でようやく止まりました。
下に降りるのは困難で、すぐ傍にいた一人が途中まで降りて状況を確認しています。
どうやら意識はあるようです。

電波が通じるエリアだったようで上にいた別の登山者が携帯で連絡を取ります。
直後、後ろを歩いていた同行者が到着し電話を代わり、状況を説明します。

ところが、登山者が滑落したのは長野側。通報して受信したのは岐阜県警。
一旦電話を切って長野県警に繋いで、(長野県警から)再度連絡するようにするとのこと。
幾ら県が違うとは言え、県境から西へわずか平行距離数メートルの地点。
一刻を争う事態であるにもかかわらず、このような対応はどうかと正直思いました。

携帯で連絡を取ってくださった方は滑落した登山者のいたクサリ場のすぐ真下におり、巻き込まれる寸前だった、とのことでした。
滑落した登山者には大変申し訳ない言い方なのですが、あわや複数人滑落の大惨事になるところでした。同時に、間ノ岳で休憩を取らずにそのまま進んでいれば、時間的にも自分がまきこまれた可能性も大いにあり得ました・・・

登山者同士がお互いすれ違うにも困難な場所。
このような場所では、どうすることもできない部外者は邪魔以外の何物でもないので、心から「無事を祈ります」と同行者に告げ、その場を後にします。

今年、滑落現場を目撃するのは2度目。
自然を前にして改めて自分の無力さを感るのでした。
無事にヘリが来て、命に別状ないことを祈るばかりです。

間もなく歩いて西穂高岳。
ここまで来ると緊張の糸も解けるばかりか、登頂した登山者の晴れ晴れした顔にどこか心癒されるのでした。

ちょうど登り下りの登山者が多い時間帯でか西穂からの下りは各所で渋滞。
つい今さっき事故を目撃したばかりなので、他の登山者の歩き方や間隔の取り方などものすごく危険に思え気になってしまいます。

ピラミッドピークあたりで長野県警の山岳救助隊の方に会い、事故現場の方から来たか聞かれたので、目撃したことを伝え、既に知り得ている情報だったとは思いますが、大まかな位置、同伴者がいること等聞かれたことに手短に返答します。
すごい勢いで登って行かれました。

西穂独標まで降りるとさすがに、登山者の装備・服装は多種多様になります。
上部はガスがかかり、ピラミッドピークが辛うじて見える程度でしたが、皆さん山頂での時間を楽しんでおられました。

西穂山荘も大混雑。
これから登りに入る方々も多くいるようでした。

ロープウェー乗り場まで数多くの登山者とすれ違います。
道を譲ったり譲ってもらったりの連続で無事に下山することができました。
少々重い気持ちで登山を終えることになりました。

飛岳の湯(登山者は100円割引になります)で入浴し、帰途につきました。
比較的早い時間帯だったため、上信越道も大きな渋滞には巻き込まれず、16時過ぎには自宅に着きました。

【7.31追記】
長野県警のHPで、滑落負傷と発表されていました。
命には別状なかったと思われ、本当に良かったと思います。






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コメント

軽い怪我なら良いのですが。。。
kiyoponさん、始めまして。Futaroと申します。

滑落された方、どの程度の怪我だったのでしょうか。心配ですね。他人ごとでは有りません。ちょっとした気の緩みで怪我をするのは山ではよくある事ですから。。。

ところでこのルートで一泊二日はかなりきついはずですが、コースタイムを見るとゆとりですね 二日目などは午前中で終わっていますね。これだと確かに渋滞に巻き込まれずに済みますね でも疲れたでしょう。ご苦労様でした。

それから”新穂高登山センターは現在解体されています。”との事ですが、登山届のポストは何所かに移動しているのでしょうか?
2012/8/2 17:29
Futaroさん、こんばんわ
コメントありがとうございます

滑落された方、かなりの高さを落ちましたので残念ながら軽傷では済まなかったかと思います。それ以上の情報はありません。全くおっしゃる通りで他人事ではなく、常に自戒して用心して歩くことが肝要です。特に難所通過後など気の緩みやすい時には注意すべきですよね

初めて歩くルートではないので、早出で調節して良い時間に小屋に到着&下山できるように設定したつもりです 天気も良かったですしね。

登山届は少し上がったところ(仮設?)にもありますし、登山口(有料駐車場入口すぐ右あたり)にもありましたよ 右俣に入る場合ですね
2012/8/2 18:39
プロフィール画像
ニッ にっこり シュン エッ!? ん? フフッ げらげら むぅ べー はー しくしく カーッ ふんふん ウィンク これだっ! 車 カメラ 鉛筆 消しゴム ビール 若葉マーク 音符 ハートマーク 電球/アイデア 星 パソコン メール 電話 晴れ 曇り時々晴れ 曇り 雨 雪 温泉 木 花 山 おにぎり 汗 電車 お酒 急ぐ 富士山 ピース/チョキ パンチ happy01 angry despair sad wobbly think confident coldsweats01 coldsweats02 pout gawk lovely bleah wink happy02 bearing catface crying weep delicious smile shock up down shine flair annoy sleepy sign01 sweat01 sweat02 dash note notes spa kissmark heart01 heart02 heart03 heart04 bomb punch good rock scissors paper ear eye sun cloud rain snow thunder typhoon sprinkle wave night dog cat chick penguin fish horse pig aries taurus gemini cancer leo virgo libra scorpius sagittarius capricornus aquarius pisces heart spade diamond club pc mobilephone mail phoneto mailto faxto telephone loveletter memo xmas clover tulip apple bud maple cherryblossom id key sharp one two three four five six seven eight nine zero copyright tm r-mark dollar yen free search new ok secret danger upwardright downwardleft downwardright upwardleft signaler toilet restaurant wheelchair house building postoffice hospital bank atm hotel school fuji 24hours gasstation parking empty full smoking nosmoking run baseball golf tennis soccer ski basketball motorsports cafe bar beer fastfood boutique hairsalon karaoke movie music art drama ticket camera bag book ribbon present birthday cake wine bread riceball japanesetea bottle noodle tv cd foot shoe t-shirt rouge ring crown bell slate clock newmoon moon1 moon2 moon3 train subway bullettrain car rvcar bus ship airplane bicycle yacht

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