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2014年02月24日 09:13珍事件ファイル全体に公開

真夜中の Stand by Me、っていう思い出

川崎で回送電車と工事車両がぶつかったのだという。
そう、営業列車が終わったあとも、そういうのが走ってるんだよなあ、と「ある事件」を思いだした。
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東京で勤め人をしていた頃、住んでいたのは三鷹だった。勤め先は飯田橋。中央線(総武線直通)で一本だ。
ある日ある夜のこと、会社の近くでずいぶん夜遅くまで飲んで電車に乗った。
そんな時刻になると、飯田橋で停まる各駅停車が日中なら三鷹止まりなのに、そのまま高尾とか豊田まで行くようになるという「危険」な電車だったのだが、案の定乗り過ごしてしまった。

「とよだ〜。とよだ。終点です。」というアナウンスに目が覚めた。
まずい!!あわてて折り返し電車に乗ろうとするが、時刻はもう午前1時近く。上り電車は終了していた。
季節は秋も深まる11月初旬。駅のベンチで寝るには寒くてつらい時期だ。
で、考えた末に得た結論は「三鷹まで歩いて帰ろう。」だった。かなり無理な話だが、歩くのは嫌いじゃなかったし、じっとしているよりは動いていた方が温かいと思ったのだ。

酔った頭でルートを考える。どうも核心部は「多摩川越え」だね。
豊田は多摩川の西。三鷹に向かうにはどうしてもこの大河を越えなければならない。しかし、道が一向にわからない。こんな所を歩いたこともないのだから当たり前だ。
そんな時、頭の中に神の声が聞こえたのだった。
「もうこんな時刻だもの電車は走っていない。線路上を歩いて行くのが一番わかりやすいんじゃないかぇ?」と。
私はその声に従うことにした。

豊田の駅を出て線路沿いに歩いて、適当なところで線路に入る。
少し歩いて行くと突然足元が抜けて腰まで入ってしまった。イテ〜!なんだ? と見ればポイントのところ。なるほどこういう落とし穴があるのね。
そうこうして線路上を歩いて行くとやがて日野駅だ。この駅は高架になっていて下には道路が走っているのが鉄橋から透けて見える。前方には多摩川らしき、街の灯がまったくない黒々とした帯が横たわっていた。

多摩川が近づくと川の流れの音が大きくなった。暗闇を透かして見ると向こう岸までは500mくらいか。
いざ、鉄橋を渡らん!と見れば、鉄橋には「手すり」というものがない。床だけだ。しかもここでは上下線が離れている!一本の線路(鉄橋)の巾はたかだか3m弱ってとこだ。こりゃ落ちたら大変だね。
しかも、もう一つ問題があった。上下線路が離れているって事は万一列車が来たらどうする?ということ。こっちの鉄橋からあっちの鉄橋に飛び移れるだろうか?しかし、それは見るからに到底無理そうだった。
「でもなあ、深夜の2時に電車が走ってくるわけがないよね。」と思う。それよりも鉄橋から落ちないように500mの綱渡りをすることで頭が一杯だった。

ゆっくりと慎重に足を踏み出す。二本の線路の間、暗闇越しのおそらく20mくらい下を白々と川面が波立って流れているのがうっすらと見えた。
と、その時だった。向こうからオレンジ色のヘッドランプが近づいて来るじゃないか!何だ何だ?電車か?まずい!
とにかく速攻で元の方へ戻る、戻る!
必死に橋のたもとに戻って身を伏せて見やればそれは黄色く塗られたいわゆる「保線車」だった。
そうか、営業の電車が止まっている深夜はこういうのが走るんだ。
考えてみればわかりそうな話だったけど、考えつかなかった。

結局三鷹に着いたのは朝の8時過ぎ。
疲れ果てて自宅に帰り着き、その日の会社は休みますと連絡入れた。
とんでもない「真夜中の Stand by Me」だった。

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言うまでもありませんが、鉄路を歩くなどは「違法行為」です。くれぐれもマネしませんように。
『鉄道営業法
第三十七条  停車場其ノ他鉄道地内ニ妄ニ立入リタル者ハ十円以下ノ科料ニ処ス』
私?時効ってことで・・・。いや80円なら払ってもいいかな?

ところで「 Stand by Me」はいい映画だった。成長期の男の子にはこういう冒険が必要なんだよね。
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コメント

ゲスト
RE: 真夜中の Stand by Me、っていう思い出
ほっほー、映画見たいな情景が目に浮かびます。
もしも橋の中央部なら、ぶら下がって列車を交わすことになったのでしょうか?仮にハーネスとシュリンゲがあっても恐ろしい
昔の悪ガキたちは線路に釘を置いてペシャンコにして遊んでいました。私じゃありませんよ。いけませんね。
どちらにしても、電車の重量はとても人間が太刀打ちできるものではありませんね。
2014/2/24 10:26
RE:murrenさん/真夜中の Stand by Me、っていう思い出
ええ、「電車来るわけないね。」と思いつつも「万一」は考えていました。
やっぱり枕木にぶら下がる、しかないですね。
時間にすればわずか数十秒だろう、と思ったものです。
でも現実的には不可能だったでしょうね。腕力が持たない。酔ってますし。

この時、電車が来るタイミングがあと1分遅かったら、いま私は生きていないだろうと思います。
2014/2/24 10:42
まさに珍事件 (^^;;
pasocom さん
もの凄い過去をお持ちですね!

豊田駅って。。。Σ( ̄ロ ̄lll)
失礼ながら、ここで笑ってしまいました。
山をやる前から(?)
やはり健脚だったのですね。

Stand by Me は仰る通りいい映画です。
線路と聞くと必ず連想します。

ちなみに、通勤中に鉄橋に差し掛かると
私はDancer in the dark を思い出します。
見終わって椅子から立てないくらい
ショッキングでしたので、
他人様にはあえてオススメしません。(笑)

映画関連だったので、思わず食らいついて
しまいました。(^^ゞ
2014/2/24 11:04
RE:sionさん/まさに珍事件 (^^;;
コメントありがとうございます。
『ものすごい過去』でしょうか (^^)。
タヌキに噛まれたのと同じような『しょうもない過去』みたいな気もしますが・・・。

都内から高尾山まで歩かれるようなyamahiroさんのような方もいますので、さほど健脚というほどなのかどうか?
ただ高校時代に100km歩いた経験が自信になっていたことは間違いありませんが・・。

申し訳ないのですが「Dancer in the dark 」という映画は見ていません。鉄橋が盛り上がり部分なのでしょうか。
「Stand by Me」では鉄橋の場面は、いわば冒険の一コマで、他にも様々なアクシデントがありますね。
で、自分達の町に帰ると男の子達は「いままでの自分達の町が小さく感じた」という風に成長していた。
今時の子ども達は家に籠もってゲームしているばかりでこういう冒険が出来ていません。
私の頃はいわば冒険だらけだったのに・・・。と思います。
2014/2/24 11:22
RE: 真夜中の Stand by Me、っていう思い出
murrenさんが書いてあるとおり昔の私達は日常は線路に釘を置いて先を平にしていましたし、飛んだ釘を探すのには苦労しましたよ、

線路に耳をつけて電車の来る音を聞いたりしていましたし、また線路の土堤を渡って向こう側に行ったり、一度鉄橋を恐る恐る渡った記憶がありますよ、それだけ昔は鉄道を身近に感じていましたし、それで事故や怒られた記憶がありませんでした、

のんびりした時代と言えばそれまでですが、子供だけでなく大人も線路を道路代わりにしていましたから、
2014/2/24 15:59
RE:naidenさん/ 真夜中の Stand by Me、っていう思い出
コメントありがとうございます。
私は田舎育ちゆえ、東京に出るまでさほど鉄道に馴染みはありませんでした。
電車なんてめったに見ることもなく。

それでも鉄路を見ると、これがどこまで続いているんだろうと、なんだか夢見るような気持ちにはなりましたね。
映画「Stand by Me」では主人公達がまっさらの平原を歩いて行くのではなく、やはり鉄路を歩いて行く。その光景はまさにそんな、「未知の世界」に連れて行ってくれそうな線路への憧れを表しているのだろうと思います。
2014/2/24 16:24
RE: 真夜中の Stand by Me、っていう思い出
pasocomさん、楽しい日記よませていただき、ありがとうございます。とても笑ってしまいました。豊田−三鷹間は直線でも19km。暗闇で橋を渡ることだけでも恐怖なのに、その上に電車がくるとはすごい状況ですね。よく生きてました! 今から45年前は、murrenさんやraiden46さんの同様、ぺしゃんこ遊びしたり列車の音をよく聞いてました。懐かしいです。
2014/2/24 21:33
RE:totoroさん/ 真夜中の Stand by Me、っていう思い出
下らない日記を楽しんで頂いたようでとても恐縮です。
なるほど調べて見ると豊田−三鷹間距離は19kmと出ます。もっと遠いような気がしていましたが、意外と近いですね。
山行でも場合によっては一日で15kmくらいは歩きますから、平地であればなんでもない距離のようでもありますが、まあ、酔っていて千鳥足じゃ疲れますね(^^)

「深夜に回送列車」というニュースで一瞬思いだした「珍事件」でした。
2014/2/25 5:05
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