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この本を手にした経緯などの日記はこちら。
http://www.yamareco.com/modules/diary/21844-detail-88632
阿弥陀岳の説明の中に、「阿弥陀仏を祀る故にその山名をなし、また麻姑�堯腹�まこいわ）とも呼ばれていた。」
とあった。
甲斐国志の八ヶ嶽の項にも「権現ヶ嶽、小嶽、赤嶽、麻姑嶽、風の三郎ヶ嶽、編笠山、三ツ頭、その他種々の呼称ありと云う。」
とあったが、「麻姑嶽」については現在のどの山を指すのか分からなかった。
この「麻姑岳＝まこやま」は他の文献にも出てくる。
・『すわかのこ』(宝暦6年＝1756年)
「虚空蔵ケ岳、磨磐山共云（まこやまともいう）、擬宝珠ケ岳、薬師岳、権現岳、阿弥陀ケ岳、編笠ケ岳、中にも至りて高し斎河原ケ岳(←西岳のこと)・・・」
・『日本山岳志』（明治39年＝1906年）
「八ケ岳八峰中に、小岳、麻姑岳、風ノ三郎ヶ岳、三ツ頭等の名を挙げたれど・・・」
・『山梨県市町村自治名鑑』(大正9年＝1920年)
「八ケ岳は、権ヶ岳、小岳、赤岳、麻姑岳、風三郎ケ岳、編笠山、三ツ頭、桧岳の八峰になり・・・」
ただ昔の山名と現在の山名を同定しようと追求するのもあまり意味がないような気がして放っておいたのだった。
しかし、ここに唐突に「麻姑山＝麻姑岳」が出現。それが阿弥陀岳のことだと分かった。
この「麻姑」とはいったい何か？調べて見るとなかなか面白い。
WIKIPEDIAにいわく、
「麻姑（まこ）は、中国神話に登場する・・・仙女である。西晋・東晋時代の葛洪の書『神仙伝』などに記述があり、その容姿は歳の頃18、19の若く美しい娘で、鳥のように長い爪をしているという。
（中略）
蔡経（←平民の人物名）は麻姑の爪が鳥のように伸びているのを見ると、彼女が神人であるにもかかわらず、心中『この爪で背中を掻けたら気持ちが良いだろう』と考えた。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BA%BB%E5%A7%91
とのこと。「麻姑」とは仙女の名だった。「麻姑」は「まご」とも読むらしい。
そして上の伝説からおわかりだろう、「孫の手」とは実は「麻姑の手」だったのだ。(^^)
阿弥陀岳が「麻姑岳」とされたのはやはり、岩峰を爪に見立てたのだろう。阿弥陀岳で岩峰と言えば南稜ということになりそうだ。
古代からの八ヶ嶽のメインルートである西岳や編笠山からギボシを経由して権現岳にいたる登山道からは、南稜のP1〜P4と呼ばれる岩々が屹立しているのが手に取るように見ることができる。おそらくその景観が昔の人々にも印象的だったんじゃないだろうか。
［余談］
山梨は瑞牆山登山口にある県営駐車場の脇に「←魔子の山」という標識が立っている。
なかなか興味をそそる山名なのだがあえて近寄ることもなかった。
漠然と女優である「緑魔子さん」の所有物かとも想像していたが、さにあらず。どうもこちらも「魔女・仙女」の「魔子」らしい。とんだ副産物知識を得てしまった(^^)
写真左）麻姑の図
写真右）ギボシ付近から望む阿弥陀南稜
なるほど阿弥陀は孫の手に結びつくんですね。
私たちにとって阿弥陀は赤岳鉱泉にベースを張った冬山合宿の息抜きの山でした。連日の横岳西面の氷や岩陵登攀に疲れたり飽きたりするとピクニック気分で阿弥陀に登ったような、そんな山でした。
ヤマレコでもとても多くのレコが上がっている北陵や南陵もザイルは持参したものの気楽にノーザイルで登っていた記憶があります。
千葉に住んでいたとき東京から中央線で松本に向かうと列車の窓から阿弥陀の南陵が美しく長く見ることができましたが、八つは赤岳が主峰で威厳がありますが阿弥陀は私たちには何となく友達のように親しみ深い山に思っています。
コメントありがとうございました。
冬の阿弥陀岳の南稜や北稜をザイルなしの「ピクニック気分」で気楽に登っていたとは驚きですね。
私などが眺めると阿弥陀と赤岳はまるで双子のように同じ山容に見えます。どちらの斜面も似たような傾斜と岩肌に見えますが、murrenさんクラスになると格段の差があるんでしょうかね。
私も一回だけ阿弥陀岳に登りましたが、賑わっている赤岳と対照的に誰もいない静かな山頂で驚きました。縦走路から外れているせいもあるのでしょうが、人気がないですねえ。
赤岳は昔から「赤岳」らしいですが、「阿弥陀岳」という名前が固定したのは明治期になってからのようです。いかにも山岳信仰や仏教からの命名は八ヶ岳にふさわしい気がして、いい名前だと思います。「孫の手岳」でなくてよかった・・・(^^)
おはようございます
あら・・八ヶ岳の宿題を忘れてました（＾＾；
阿弥陀・・わたし未踏峰なんです（汗
厳冬期に挑戦しておこかしら
わたし的には「虚空蔵ヶ岳」にひかれますね
虚空蔵は「宇宙」という意味合いです
虚空蔵菩薩に赤岳手前の地蔵菩薩（大地の意味あい）に不動明王・・
十三菩薩が、赤岳を釈迦如来とするなら守護する形にそろっていくなら胎蔵界曼荼羅の並び方になってくるのですがね。
いろんな意味合いで興味尽きない話ですね
でわでわ
早朝からのご訪問ありがとうございました。
実は「麻姑」にはちょっと違和感があり、驚きでもありました。
八ヶ岳の山名はみな仏教曼陀羅の世界のようですが、そこに急に中国の仙女とは？？
八ツにはかなり唐突な山名です。
これはこれで、探ると何か面白い謂われが出てきそうですが・・・。
ぱそこさん
あちこち海外に行っていた頃、世界の孫の手を蒐集するのが好きでした。上海で買ったもので、引っ掻き刺激の強いものがあり、これがお気に入りです。日本のは成田山、善光寺など門前の店に名前を書いて売っているのがいくつかありますが、どれも先が丸くてあまり利きません。ナイフで尖らせればよいのですが。
中国語でも「麻姑的手」かと思って辞書を引くと、老头儿乐（老頭児楽）でした。老头儿というのは年配の人なら知っているロートル、年寄りのことです。直訳で「年寄りが愉快」。「おねえさんの手」のほうがぐぐっといいですね。
コメントありがとうございました。
yoneyamaさんは「孫の手収集家」でしたか。そりゃ詳しそうですね。
「年寄りが楽」という中国語より、祖父母孝行のイメージがある日本の「孫の手」の方が情緒深いです。
また、痒いところに手が届かない、もどかしいことを「隔靴掻痒」といいますが、この逆で「痒いところによく手が届く＝気が利く」ことを「麻姑掻痒」というそうです。
人間みな「麻姑掻痒」でありたいものですね。
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