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http://www.yamareco.com/modules/diary/21844-detail-93516
八ヶ岳は横岳の標高は2829mとされ、その地点は三叉峰と奥ノ院の間にある無名峰になっているが、実際に現地で詳しく観察してみれば明らかに奥ノ院の方が5、6mは高いんじゃないか、という疑問だった。
この日記にコメントを頂いたり、返したりしている間に昭和38年(1963年)測量という地形図が見つかり、そこには奥ノ院に2835mと明記されていた。
これなら、2829mの無名峰より5、6m高そうという観察結果に合致する。しかし現在の国土地理院地図には奥ノ院の所にあるべき盛り上がり等高線も、標高点も書かれていないのだ。これはいったいどういうことなのか?
そこで後日国土地理院HPの「問い合わせフォーム」でこのことを質問したのだった。
その回答メールがやっと返ってきた。その内容はこうだ。
『国土地理院の「日本の山岳標高一覧」で公表している「横岳」の最高地点及び標高値は、空中写真から高さを計測する空中写真測量という方法で位置を選定し高さを求めたものです。
この計測の際には、「奥ノ院」と最高地点に選定した「標高点」は、同じ高さの2829mで計測されましたが、最終的に現在の「標高点」の位置を最高地点ということにいたしました。
なお、空中写真測量による高さの計測精度には誤差があり、国土地理院ではその許容範囲を約+−3.3mとしております。
また、ご指摘の「2835m」という表記については、昭和42年及び昭和47年の1/50000地形図に掲載されていましたが、昭和50年にこのエリアの国の基本図が精度の高い1/25000地形図に変わって以降は、それにあわせたものとしております。』
要約すると、昭和50年(1975年)かその直前頃に空中写真測量なる測量が行われ、それ以前よりも詳しい地図になった。
その時には「奥ノ院」と無名峰は両方とも2829mと測量された。
そして理由は良く分からないが無名峰の方を最高点と決めた。
ということのようだ。
空中写真測量というのを調べて見ると、これは飛行機にカメラを積んで写真を撮り、その画像を調べることで測量を行う方法らしい。
http://www.do-soku.co.jp/w002.html
現在ならデジタル技術も進んでアナログ測量よりずっと精度の高い測量ができるのだろうが、どうも古い写真測量ではさほど高い精度ではなかったようだ。「誤差プラスマイナス3.3m」ってちょっと大きすぎじゃないだろうか。
これが事実だとすると奥ノ院は最大誤差でも標高2832m程度だということになるだろう。
あらためて私が撮った写真を見直せば、まあそんなところか、という気もする。
それにしても、横岳の標高は3mも高くなるわけだし、その位置も違ってくるのだ。放置せずに早く再測量してもらうわけにはいかないのだろうか。
上図左)昭和38年(1963年)測量と書かれた国土地理院地形図
上図中)1980年発刊の「日本登山大系」の中の地図
上図右)現在の国土地理院地形図
[追記]
国土地理院は2019年1月24日に八ヶ岳周辺地図を改訂し、奥ノ院の標高を2830m(横岳山頂)、無名峰の標高点は2826mと変更された。
これで横岳山頂は標高のみならず、位置も100m以上も移動したことになる。
この件に関しては地図博士の田代博氏のHPでも取り上げられ(2019年)、その中で「すでに2015年に同様の指摘をしている人もいました。」としてこの日記に言及している。
http://yamao.lolipop.jp/map/2019/yokodake.htm
pasocomさん、おはようございます。
雑学シリーズお待ちしておりました
なるほど、空中写真測量の結果からえいや(笑)で決めた感じですね。
無名峰の方が広がりが大きいので、そちらが高いと考えたのでしょうかね。
現場見ていないとこういう判断になるか・・・
1975年頃だとGPSもないですし、そもそも飛行機の位置精度から低いでしょうね。
無名峰の標点も誤差があるとなると、そこの高さも頼れない訳で、三角点のある赤岳か硫黄岳から測量しますかね。
それよりも、直接奥ノ院の上でGPSで計測した方が高い精度で決められそうです。
ちなみに、自分が行った時のGPS記録を見ると、
'13/11/23 2829m(滞在2分間6回の平均値)
'15/02/07 2834m(滞在8分間6回の平均値)
となっていました。
13年当時のスマフォはGPSの感度が低く衛星を沢山捉まえられなかったので、15年データの方が信頼性高いと思います。
おはようございます。さっそくのコメントありがとうございました。
山の標高は三角点があれば、0.01mつまりセンチレベルで測量されていますし、三角点がない山でもメートルレベルまで求められていると思っていました。
現に横岳でも三叉峰と無名峰にはメートルまでの数値が明記されているのですから、「空中測量の精度は3m超です。」などと言われても納得できないですね。
もっとも、これは現在の空中測量の精度ではないでしょうね、まさか。
最近なら、本当にへんな測量をするよりGPSで測った方がずっと正確で安上がりそうです。
maruiさんの2015年数値の2834mは、私の推測に近くて非常に正しそうな気がします。
(GPSログを残していたとは!)
あとは、これを公式に認知してくれるには地理院自身が測量(またはGPS確認)する必要がありますが、それ、いつになったらやってくれるのか?ということですね。
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